表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/90

第24話 神帝国剣聖編スタート!

 とりあえず事態を収拾したオレは、誠意とはどのようなものでしょうか、と、恐る恐る聞いてみる。

 すると、皇帝と話し合ってみるとのことだった。

 で、その結果、


「お城の無血開城…?」


 皇帝陛下に呼び出されたオレが聞いたのは、迷宮の上にじいさんが作ったお城、あれを差し出せってことだった。

 なんだビクビクして損したじゃないか。

 あんなのでよければどうぞどうぞ。


「よいのかあれほどの立派な城を無一文で譲渡など」

「勝手に建てたこちらが悪いんですから。あ、人が住むんですよね、中にいるモンスター討伐しないとな。少々待ってもらえます?」

「それはかたじけない。しかし、迷宮の上になど人が住めるのか?」

「あ、それならば…少々お待ちを」


 オレは迷宮の主をお呼び出しする。


「召喚魔法か…?」

「あ、ただの転移魔法です」

「なに!?どこ?ここどこ!?」


 迷宮の主さんは突然呼び出されてあたふたしている。

 転移魔法、向こうの世界で色々お取り寄せを試していた結果、自由に物を呼び出せることに成功したのだった。


「このお方、どうやら皇帝陛下のご先祖さんらしく…」


 オレはここの迷宮について聞いたことを説明する。


「なんと…!?我が国の迷宮は人々に恩恵をもたらす為に動いてくれていたのか!」

「しかも、その主が我々のご先祖であったとは…」

「ちょっと、なんでバラすの!ダメでしょ!」


 なんでだよ?人々の為に迷宮を運用してるんだろ。

 だったら人々にも協力してもらって、共に頑張っていけばいいじゃないか。


「でも、迷宮は…少なからず人を殺めている」

「それは自分ひとりでなんとしようとしてるからだろ。皆の知恵をかりろよ、そして新しい運用を行うんだ」


 人と迷宮が手をとって、きちんと管理していけば摩擦も起こらない。

 実際、じいさんや迷宮幼女の迷宮はそれでやっている。


「人と迷宮が手をとって…それは理想でしかない。実際、初代皇帝と私も最初は…」

「そのときと今は時代が変わっている。そうだな…一度、アステリアの迷宮を見に来るといい」


 あそこでは、生還石というものを作り出し、迷宮で死んでも蘇り迷宮から脱出できるようにもなっている。…身包み剥がれるがな。

 その所為で人々はどんどん迷宮に挑戦し、魔石を採取し、アステリアは近年稀に見ないほど成長をなしとげている。


「まあ、やるだけやってようぜ。少なくとも…今より悪くなることはないだろ」


 オレは遠くに見えるお城を見やる。


「…そうかもしれませんねぇ」


 迷宮の主さんも、自分ちの上に立っているお城を見てそう呟く。

 あんなものが上にあったらおちおち寝ていることもできないだろう。

 誰かに住んでもらって管理してもらった方がいいと思いますよ?


「その方、本当にあの迷宮の主なのか?」


 皇帝陛下が聞いてくる。

 オレは迷宮の主さんに目配せをする。

 主さんは頷いて、


「おおお…!もぐら…?」


 数メーターはあろうかという天井に届くくらいの大きなモグラに姿を変えた。


「おお!なんと愛らしいもぐらだ!」


 皇帝陛下は立ち上がってもぐらに近づく。

 回りのお方がお留めしているのも無視して。

 随分もぐらがおきに召したようだ。


「このつぶらな瞳がなんともいえん」

「代が変わってもおっしゃることは同じですね…」


 ここの王様の家系はもぐら好きだったのだろうか?


「うむ、それでは別室にて詳しい話をしようではないか」

「お待ちください、まだ続きがあるでございましょう」

「おっと、そうだったな」


 もぐらから人に戻った迷宮の主さんと一緒に出て行こうとした皇帝陛下を、筋骨隆々なおじいさんが呼び止める。

 まだなにかあるのでしょうか?


「うむ、これで我が国で無断で戦闘行為を行っていたことは不問としよう」


 あっ、じゃあもう帰っていいですかね?


「まだ聖女クラリッサの件が残っておろう」


 やっぱダメですカー。


「聖女クラリッサは我が国にとって最も重要な人物、その立ち位置は皇帝である私をも凌ぐもの」

「その聖女を貰い受けたいというならば…それ以上の人物を差し出してもらわなくては困る」

「そなたの娘、セイカを私の養子に貰い受けたい」


◇◆◇◆◇◆◇◆


「えっ、神帝国の皇帝から養子の提案を受けている?」

「はい、ファネスお姉様」

「えっ、セイカちゃんお姫様になっちゃうの?」


 久々にあったセイカちゃんから最近どうしてたのか聞いたところ、神帝国の剣聖さんと訓練を行っていたという。

 セイカちゃんは私達と違って、ソーヤが居ないからという理由で迷宮攻略には一切参加してなかった。

 そしてその途中で神帝国の皇帝陛下と出会う機会があり、養子にならないかと誘いを受けてたとか。


「なりません、私はお父様以外の娘になるつもりはありませんので」


 で、でも、お姫様だよ?一生左団扇だよ?


「お父様の居ない世界に用はありません」


 …ソーヤ居なくなったらどうするのかな?

 こんな世界など滅ぼしてくれるわって魔王になったりしないよね?

 セイカちゃんの実力ならそれが可能そうだし…


「あっ、でも、もし皇帝陛下の養子になるんだったら、親子関係じゃなくなるよね?そして血は繋がっていない、それってお嫁さんにもなれるってことじゃ…」

「ファネスお姉様、結婚という儀式があると同時に離婚という儀式もあることをご存知ですか?恋人あるいは夫婦にはいずれ別れが訪れるかもしれません。しかし、親子にはそれがないのです」


 ほんとこの子はブレナイヨネ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ