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第23話 神帝国迷宮編完結!

 教皇様の話では、迷宮探索が始まった翌日に突然迷宮の上に見知らぬお城が現れたとか。

 調査隊を派遣しようとしたところ、天空城から無数の竜騎兵と冒険者達がその城に向かって攻撃を加えだしたとか。


 お城からはワイバーンやらグリフォンやらが無数に飛び立ち竜騎兵と交戦、地上では骸骨ソルジャーと冒険者達が激戦を繰り広げてるとか。

 とても近寄れたものではないらしい。

 転移魔法についても一切機能しなくなったらしく、天空城にすら向かえない。


 時を同じくしてクラリッサにも連絡がつかなくなって。

 迷宮に調査隊を出したくてもその上でドンパチやらかしてるからどうしようもなく、途方にくれてたとのことだった。


「それでは、クラリッサの転移魔法の暴走で異世界へと?」

「ええ、まあ、あのそれでこれを渡して欲しいと」


 オレはクラリッサから預かった聖女の器と一便の手紙を渡す。


「これは…!クラリッサから…!?確かにこの手紙の魔力はクラリッサのもの、少々お待ちくだされ、この手紙は前聖女のカーリンしか読めぬようになってます故」


 教皇様が席をはずし前聖女のカーリンさんを呼びにいく。

 しかし…あいつら一体何をおっぱじめたんだ?

 なんでこんなところで戦争やってんのよ?


 お城の仕業はたぶんアステリアの迷宮じいさんの所為だろうが…

 どうして城のモンスターと天空城の奴らがドンパチしてんだか。

 ああ、帰りたくない、帰りたくないでござる。

 クラリッサもこんな気持ちだったのだろうか?いや違うか。


「お手紙拝見いたしましたわ」


 そこへ前聖女のお方が手紙と聖女の器を持って部屋に入ってきた。


「これをクラリッサに返していただけませんか」


 そう言って聖女の器を差し出してくる。


「今は聖女たる資格のあるものはクラリッサしか居ません、私もまた」


 そう言ってお腹をさする前聖女さん。


「しかし、随分困ったことをしてくれたものだ」

「そうですね、これはどれほどの損害賠償を請求して差し上げればよいものか」


 えっ?損害賠償?


「何せ我が国のシンボルである聖女を…」

「ソーヤ様、全てはあなたの責任でございますよ」


 えっ、オレの責任?えっ、どういうこと?


「現地妻など…」

「ちょっ、ちょっと待って!何書いてたのクラリッサ!」

「きっとこちらへ帰りたくない理由もソーヤ様の浮気の現場を見たくないからでしょうね」


 まって、待ってください、ほんと何書いてたの?教えてよ!内容を!


「とにかく我が国の聖女たるクラリッサを頂くというのなら、それなりの誠意を見せていただきませんとな」


◇◆◇◆◇◆◇◆


 なんの誠意だよ。オレはとにかくドンパチやらかしてる奴らを止めに走った。

 

 まずは天空城へ行き、そこで指揮していたテンコをとっ捕まえる。

 そしてそのテンコをバリヤーとして迷宮の上に建っているお城の王室まで行く。


「ねえ、仮にも私、乙女なのよ?盾に使うってどうなのよ?」

「もうお前、盾に変身してたら?」

「ひどいっ!」


 そしてその王室でふんぞり帰っていたリューリューシアの頭に拳骨を落とす。


「お兄様、痛いですぅ」

「お前ら何やってんの?なんでこんなことしてるのよ」


 一同を正座させたまま理由を聞いてみるとこういうことだった。


 まず初日にアーチェが迷宮を攻略したらしい。

 なんでそんな即効なんだよって聞いたら、迷宮の主のお方に接待プレイをしてもらったそうな。

 迷宮の最深部まで直行ルート、敵は一体も出ずに、ラスボスは自滅という。

 うん、アーチェに暴れられたら目もあてられないからな。うん、利口な判断だ。


 しかして、そんなのは納得がいかないと麻呂姫がごねる。

 むろんその他の人達からも批難轟々である。そりゃな。

 ならば再戦だとなったが、迷宮の主のお方が土下座してやめてくれとせがむ。


 そもそもここの迷宮なのだが、その昔この国の王様と盟約を交わし、人々の為に迷宮を運用していたそうな。

 国中の魔素が薄くなるように迷宮を動かせ、人がモンスターを倒しやすいように凝った作りにせず、攻略に主自身が手を貸して、定期的に魔石として放出していたとか。

 ようはあれだ、迷宮攻略の恩恵がずっと続いていたって感じだ。

 それで神帝国は他より豊かな自然に囲まれていたとのこと。


 なので、迷宮自身にはあまり力が残っていない。

 そんなに壊されたらどうすることもできなくなると。

 そこでうちの3迷宮のお方が登場。

 ならば我らが力を貸そうと。


 そっから話がおかしくなってきたらしい。

 とりあえずじいさんが迷宮の上にお城を建てる。

 その雰囲気に合わせたモンスターを迷宮幼女が作り出す。

 で、シュリがその二人の補助をしたもんだから、お城は倍、モンスターも倍。

 普通に攻略できる代物でなくなったそうだ。


「そこでこのテンコ様が登場!総力戦にて迷宮を攻略することに!」

「お前か元凶は」

「私はテンコお姉様がそっちにつくなら不公平と迷宮側につくことにしましたの」


 一時的に神力を返してもらったリューシアとドンパチを始めることになった。


「アーチェだけでなくファやシルシィまで」

「え、いやだって、天空城の総力戦っていうから」

「私はイーリス教対迷宮の戦いとか聞きましたから」


 オレはテンコを見やる。

 テンコは明後日の方角をみながら、


「ついカッとなってやった、今は反省している」

「………………」


 そのセリフを言ってた奴らは、大抵が反省してないんだがなあ。

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