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第21話

 クラリッサが天の岩戸に閉じこもりました。

 あれ?おかしいな。オレ、クラリッサに告白をうけたはずなんだが?

 突然頬を膨らませて、一言もしゃべらなくなって、家に戻ったとたん客間からでてこなくなった。


「いやー、あっれはねえわー」

「だよねー、ほんとソーヤってデリカシーに欠けるよねー」

「こいつゴミね、いやゴミの方がまだましね」


 なんだよう?


「女が一大決心をして告白した場で」

「よその女から貰った指輪で助けられたんだとかねー」

「もう死ねばいいのに」


 うっ、いや確かに、今思えばあの場で言うことじゃなかったかな?


「まあ、今はそれより、どうすんだよお前」

「どうするとは?」

「告白の答えだよー、もちろんオッケーだよね!」


 …どうしたものか。


「まあ、二桁も嫁さんがいたら、一人増えるぐらい大したことはないのかもしれないが…」

「えっ、二桁の嫁さん?えっ、そんな話聞いてないんだけど?」

「そうですわ!あれ何?なんで傷治ってるの?なんで空飛んでますの?」


 えっ、なんで大地兄ちゃんそんなこと知ってるのぉ?

 オレはその日、洗いざらいを白状させられるのであった。


◇◆◇◆◇◆◇◆


「申し訳ありませんでした」

「いやええんよ、無事やったんやし。それにしてもあの土砂崩れでよう無傷で助かったもんじゃ」

「ほんにのう」


 翌日オレ達は救助に向かおうとしてくれてた人達の家々を回っていく。


「しかしめんこい子じゃのう」

「こっちの外国の人もべっぴんさんじゃて、やっと大地にも春がきおったか」

「なっ、ちがっ」

「はい!よろしくお願いいたしますわ、おじい様方」


 そういや今日はやけにヴァレリー姉さんと大地さんの距離が近い気がする。

 土砂崩れの際になにかあったのだろうか?


「おいっ、誤解を招くようなこと言うなって。田舎だと噂は風よりも早いんだぞ」

「あら、誤解でないようにすればよろしいじゃありませんか」

「…うちにはニートを養う余裕はないぞ?」

「ふっふっふ、ニートとは世を欺く仮の姿、その実態は…大学主席、研究所からも引く手数多!才女のヴァレリーとは私のことよ!」

「でも働く気ないんだろ?」


 大地兄ちゃんバッサリである。


「あの二人いったい何があったの?」

「………………」


 相変わらず、聖女さんはプイッと横を向いてオレの話しに答えてくれない。


「もう、クラリッサったら、いつまでも照れてないでちゃんとソーヤの方へ向きなさいよー」


 花梨ちゃんが聖女さんの両頬を挟んでむりやりこっちに向かそうとしてくる。

 あれ、怒ってたんじゃなくて照れてたのか?

 そういやほんのり頬が赤いような気も?


「あ、あの、ご迷惑でしたよね、私なんかが、その…」


 俯いたまま、掻き消えそうな声でそう言ってくる。

 思わずオレはクラリッサを抱き寄せる。


「あっ!そ、ソーヤ様…?」

「迷惑だと思っていたらこんなことはできないさ」

「ソーヤ様…!?」


『あっ、このガキ、私のクラリッサになにを!』

『お前のじゃねえだろ?』


 と、花梨ちゃんがオレ達二人に向かって抱きついくる。


「ふふふ、私もクラリッサだーい好き!」

「花梨…私も花梨のこと、大好きだよ」


 ほんとクラリッサと花梨ちゃんは仲がいい、すでに親友といっても差し支えないのではないだろうか。


「でもソーヤはちょっと嫌い」

「ええっ?」


 オレ、花梨ちゃんに嫌われることしただろうか?


「複数の嫁さんはべらせて、その上クラリッサまで毒牙にかけようとしてるしー」

「いや、あれはな…はい、すいません」

「フフフ…」


 クラリッサはそんなオレ達を見て微笑んでいる。


「ソーヤ様、結局、元の世界へは戻れるのでしょうか?」


 ふとクラリッサが真顔になってそう聞いてきた。


「ああ、多分、これなら問題ないと思う。試してみないことには分からないが…魔素は十分にあるようだ」


 さすがオリハルコン、賢者の石といわれるだけはある。

 アーチェが魔力を込めている、麻呂姫との結婚指輪についているオリハルコンの石。

 内包されている魔素は無限大。

 これなら転移魔法を発動するのは十分可能そうだ。


 しかし普通に転移した場合、やはりランダムワープになる。しっかりとビジョンを描ければなんとかなりそうな気もするが…

 まずは、逆転移を試してからだな。

 あっちにおいてある、予備の転移魔法陣の半魔石を取り寄せれられるか試してからにしよう。


「ああ、そうだ、これ渡しとく」

「これは…?魔石!?まだあったのですか?」

「いや、このオリハルコンから空の魔石に魔素を移した。それならクラリッサも魔法が使えるだろ」


 クラリッサは複雑そうな顔をしてその魔石を見やる。


「アーチェ様の魔力ですか…」

「いや、アーチェは関係ないぞ。それは普通に向こう世界の魔素を吸って溜まっていた魔素だ。そもそもアーチェのは呪いだし、取り出すどころか、他に使うこともできないよ」

「えっ、そうなのですか?私、そんなのに嫉妬して…」


 さらに複雑そうな顔をするクラリッサ。

 この子はあれだな、根が真面目な分、恋愛にも真面目で少々嫉妬深いところがあるのかな。

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