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第15話 異世界編聖女さんデパートで買い物をする、の巻

 翌日、町へ買い物に出かけることになったのだが…


「なんでオレまでスカートなの?」


 オレの服装、花梨ちゃんのお下がりである。


「仕方ないだろ、合うサイズがそれしかないんだから」

「かわいいじゃない!ね、クラリッサ」

「はい、ソーヤ様、とってもにあって、ます」


 似合ってどうするよ?ユーリじゃないんだから。


「町に行くのに、あんなボロボロの服を着ていけないだろ」


 まあ、そうだけど…

 せめてジャージとか、


「ダメっ、ソーヤはそれが似合っているの!」


 さいですか。

 まあ、町で服を買ってもらうこの身としては、贅沢は言えないのだけども…


「ばあちゃん、こんなにいっぱいいらねえって」

「バカいうでない、女の買い物には金がかかるものじゃ!いろいろ必要なものもあるじゃろうて」

「私、ここに住む、それだけでいい」

「ほんとクラリッサは欲がないねえ、花梨、ちゃんと頼んだよ」

「まっかせといてー!」


 そうしてオレ達は大地さんの運転で町に向かう。


『はわわ…あわわわ…』


 聖女さんが目を回しておられる。

 道中も車の窓にしがみ付いて言葉にならない言葉を発していた。


「どうしたのクラリッサ?」

「あー、実はこのお方の故郷、時代が中世風なんだわ。車とかビルとか見るのが始めてな訳だ」

「へー、じゃあ私どんどん案内してあげるね!」

「こらこら、先に買い物済ませるぞ」

「はーい」


 聖女さんは花梨ちゃんに手を引かれて子供服売り場に連れられていく。

 オレもキョロキョロしながら後を付いてく。

 あれから十数年が経ってる訳だが、以外と代わり映えしないな。

 おっ、これまだ売ってんのか。

 懐かしさに心躍らせながらあちこちを見て回る。


「ソーヤはこういうとこ来たことあるのか」

「あー、まあ、昔?」

「買い物は出来るか」

「たぶん大丈夫」

「じゃあこれ渡しとくか。日本の紙幣は分かるか?」


 大地さんがお金を差し出してくる


「大丈夫だ、問題ない」

「そう言う奴は大抵大丈夫じゃないんだが、まあとりえず渡しとく」


 そしてオレにこのまま花梨達が終わるのを待つか、それとも自分の服を買いにいくか聞かれる。

 もちろん自分のを買いに行きます。

 あそこでいたらオレまで女物をあてがわれそうだ。


「俺もお前に付き合いたいんだが…あいつらにお金もたすと碌な事になりそうにないんでな」

「でしょうね」


 聖女さんたちは、ン十万もするゴシックドレスとかを選別している。


「やっぱりクラリッサはこんなのが似合うー」

「かわいい、いい。ソーヤ様、どう?」

「似合っていることは間違いない、間違いないんだが…もっと安いのにしようね」


 ゴシックドレスを纏った聖女さん、どこの西洋人形かというぐらい輝いて見える。

 店員さんもしきりに褒めちぎりである。


「じゃあ今度はこっちの!」


 花梨ちゃんはまたもやン十万もする和服をチョイスする。

 絶対、聖女さんで遊んでいるなこりゃ。

 オレは花梨ちゃんのターゲットとなる前にと、自分の服を探しに行くことにした。


◇◆◇◆◇◆◇◆


 ふう、まったくお父様もお母様も、なにもこんな極東の辺境になんて住まなくてもいいのに…

 やっぱり向こうで一人暮らし・いや、ダメですわ!

 一人で生活しているときっと、自分でなんとかしろとか言われちゃいますわ!

 そうなると、今までのように親のすねをかじって生きていけません!

 ビバ!働きたくないでござる!ですわ!


 私の人生設計は、資産家の親に養ってもらい、ゆくゆくは資産を譲り受け、一生遊んで暮らすことですから!


 かつては爵位もあった我が家系、まだまだ…私ぐらいは養っていける資産が残ってる…はず!

 まあ、どうしてもというなら、実業家の男性に嫁いで専業主婦ぐらいはしてやってもいいですがね。

 ふっ、その気になれば私ほどの美形、きっと引く手あまたですから!


『なんだろな…最近、ときどき空耳が聞こえるんだよなあ…』


 あら、なんか女の子が呆れたような目をしてこっちを見てきてますわ?

 珍しい、このような辺境に私と同じ外国の子ですか。

 しかし先ほどの言葉、どこの国の言葉なのでしょう?聞いたことないような言語でしたわ。


『お嬢ちゃん、どうしたの迷子にでもなったの?』


 私はその子に英語で話しかけてみます。

 しかしながらその子には伝わっていないようです。

 フランス語、ドイツ語…これもだめ?


「日本語でお願いします」


 あら、日本語がしゃべれますのね。

 でも私、日本語苦手ですの。アジア圏の言葉はどうも優雅さに欠けているような気がして覚える気がおきません。

 それに引き換え、先ほどこの子が発した言葉は…なんかイントネーションの響きがいい、綺麗な発音でしたわ。


 なんとか日本語で会話するものの、よく意味が分かりません。

 服を買いに来たらしいですが、ここは男物売場ですわよ?

 仕方ありません、私が女物売場にご案内しますか。


◇◆◇◆◇◆◇◆


「ソーヤ…やはりダメだったのか?」

「違うんだよ、オレは男物がいるって言ってるのに、この人理解してくれないんだよ」

「そんなスカートなんか履いてるからだろ」


 誰の所為だよ?


「あ、いや、そうだな、俺がちゃんと説明してやる。こう見えてもそこそこの大学を出てるからな。英語なら任せとけ」


 オレのジト目に慌てて大地さんがそう言う。

 大地さんは金髪のねえちゃんに向かって説明をしてくれる。

 しかし、この金髪のねえちゃん、デパートで堂々とニート宣言してたな。


 つーかあれだ、なんか分からないが、人が強く思っていることが聞こえてきてるような気がする。

 テンコのやつ、またなんかやらかしたんじゃないだろな。

 暫くすると説明が終わったのか、大地さんが戻ってくる。


「すまん、早すぎてよく分からん」


 大地にいちぇんェ……

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