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第13話

 翌日、大地さんに連れられてオレ達の墜落現場に向かったのだが…


「探し物は見つかったのか」

「んー、あるにはあったんだけど」


 マジックバック、取り出すことはできるが入れることができない。

 あ、いや、入れるこというのはミニチュアサイズに縮小されてってことね。

 普通に鞄としてなら使える。

 しかし、これじゃあ売りに出すのは無理そうだな。


『ソーヤ様、こちらは結構残っていました』


 そう言って嬉しそうに魔石を袋に詰め込む聖女さん。

 まあ、これなら全部使えば帰還するぐらいならなんとかならないこともないかな?

 問題は帰還先だよな。

 またランダムワープだとどこに出現するか分かったものではない。

 空の上ならまだましだ。あっちの世界には魔法があるしな。

 地面の下とかだったら最悪。マグマの中とか、魔法も使う間もなく溶けてしまいそうだ。


 なんとか向こうと連絡がつけばなあ…あいつらオレが居ないことに気づいてんのかな?

 いや、いくらあいつらでも…待てよ?

 今は迷宮探索の競争中…もしかしたら気づいてないかも。ああ、気づいてないだろうなあ。

 まあ、さすがに一、二ヶ月もすれば気づくだろうが。

 それまで聖女さんが待てるかどうかが問題だ。


「そんな石どうするんだ?」

「これは奇跡の石といいましてね、どんな傷もたちどころに治してしまうんですよー」

「胡散臭い宗教だな」


 ふっふっふ、そう言っていられるのも今のうち、この効果を見れば…ってやんないけどね?

 聖女さんの目線が呆れて候。


『これだけあれば十分でしょうか』

『まあ、戻るだけなら大丈夫だろうけど…』


 その瞬間地面が揺れだす。


「キャッ!」


 聖女さんが驚いて抱きついてきた。


『な、なんですか今のは!?』


 そういやあっちの世界、地震なんて一回もあったことないな。ダンジョン内で大地震とか目も当てらんないけど。


「はっはっは、外国の人は地震が珍しいんだったかな」

「じ、じしん…?」

「そう地震だ。こう地面がな…」


 大地さんが地震について説明してくれる。

 でも大地さん、その子に日本語で説明しても伝わらないと思うのですが?

 聖女さんは分かっているのか分かっていないのか、ふんふんと頷きならが話を聞いている。


「じしん、こわい?」

「はっはっは、日本の建物はな、少々の地震じゃびくともしないよう出来てんだ。これぐらいの揺れならへっちゃらさ」


 大地さんが不安そうな聖女さんの頭をぽんぽんと叩く。


「とはいえ油断は禁物だ。今日はもう引き上げるぞ、土砂崩れでもおきたらことだからな」


 大地さんが撤収の合図を送ってくる。

 まあ、必要なものは大体回収できたし。

 オレ達は車に乗って家に戻る。

 と、家に帰り着いたのだが、なんだか辺りが騒がしい。


「なんかあったのか?」

「お、大地じゃねえか!大変だぞ、おい!花梨ちゃんが!」

「花梨がどうかしたのか!?」


 オレ達は急ぎ家の中に駆け込む。そこには…

 血にまみれた花梨ちゃんを抱きしめているおばあちゃんが泣いていた。


「花梨、おい、花梨!」


 大地兄ちゃんが花梨ちゃんを揺する。ぐったりとした花梨ちゃんはなんの反応も示さない。


「た、倒れてきた箪笥に…」


 もう息をしていない。心臓も…止まっている。


「そ、そんな…」


 オレは辺りを見回す。ここじゃギャラリーが多すぎるか…ならば…

 オレは大地さんから花梨ちゃんを奪う、そして奥の座敷へ向かった。


「お、おい!なにを!」

『クラリッサ!魔石を!』

『はい!』

『すまない、元の世界に戻れないかもしれない』

『…カリンは私の友人です。その友人を見捨てて戻りたいだなんて思いません』


 クラリッサはオレが寝かした花梨ちゃんの回りに魔石を並べながら言ってくる。


『それに…この世界で生きていくとなったら、そのときは、ソーヤ様が面倒を見てくれるのでしょ?』

『勿論だ!クラリッサに不便は掛けさせない!』


 そう言ったオレにクラリッサは微笑みかけてくる。


『私がリザレクションを掛けます。ソーヤ様は蘇生の手順をお願い致します』

『分かった、少し魔石を貰うぞ』


『いきます!』『リザレクション!!』


◇◆◇◆◇◆◇◆


 な、なんだこれは…俺は夢を見ているのか…!?

 血が…傷が……消えていく…!?


 ――これは奇跡の石といいましてね、どんな傷もたちどころに治してしまうんですよ。


 そういったソーヤの顔が思い出される。

 花梨の周囲においてある石が輝きを発している。

 まさか!本当に!?


「おお、奇跡じゃ…奇跡がおこっておるのじゃ…」

「ばあちゃん…」


 オレとばあちゃんは呆然と立ち尽くしてソーヤ達を見ている。

 村の皆は悲しみくれているばあちゃんを見ていられなくて、家の中までは入ってきていないようだ。


『ソーヤ様、傷は治りました!しかしながら、リザレクションでは死人までは…』

『任せろ!後はオレがなんとかする!』


 ソーヤが花梨に心臓マッサージと人工呼吸を行う。


「ごほっ!がっ!」

「息が戻ったぞ!後はしばらく血流操作で凌げば…」


 花梨の胸が上下している、そんな、先ほどは確かに…

 ソーヤは暫くカリンの体のあちこちを撫でて、


「ふう、もう大丈夫だろ。しっかし、魔石がほとんどなくなっちまったなあ…あ、」


 ソーヤと俺の目が合う。


「あー、そのー、実はオレ、医術の心得がありまして…」


 どんな医術を用いれば傷が一瞬で治るのだ?

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