第11話 異世界編聖女さん地球のモンスターに驚く、の巻
くっ、いたっ、ここは…そうだ、急に大空に移転して!私、意識をなくてたの!?
迷宮探索では意識を失う事は死に繋がるのに!
私は急ぎ辺りを見回し……ソーヤ様…
そこには血まみれのソーヤ様が倒れていました。
そ、そんな…どうして!?
体中には木の枝が刺さり…ふと見上げた木はいつくも枝が折れていました。
まさか!あの上から…!?
「ソーヤ様、ソーヤ様!しっかりしてください!」『リザレクション!』
私は急ぎソーヤ様に回復魔法を掛けます。しかしながら…
「なっ、魔法が…発動しない!?」
何度も魔法を掛けようとするのですが、まったく効果が現れません。
ど、どうすれば…?どうして魔法が効かないの!?お願い!魔法よ!
どれくらいそうしていたか…私の声は枯れ、体中に痛みが襲ってきます。
しかしながら、ソーヤ様に比べれれば私の傷など…そうか!私はソーヤ様が守ってくれたから!?
大粒の涙を流しながら私は必死で魔法を唱えます。
「ぐっ」
私の祈りが通じたのかソーヤ様がうめき声を上げます。
そして何かを指差すように…魔石を…?
ソーヤ様は魔石と隣にある地面に書いてある文字を指差します。
魔石の魔力を使って魔法を使う?
そういえば空気中に魔素の流れが感じられません。
そういうことですか…ここは魔素を封じる何かがあるのですね!
私は急ぎ魔石を握り締めます。
『リザレクション!』
ソーヤ様の傷が…少しだけ回復します。
こんな魔石程度の魔力では…
とにかくあたりに散らばっている魔石を用いてソーヤ様に回復魔法を掛け続けます。
なんとかその甲斐もあって流れ出る血は止まったのですが…まだまだ全回復には程遠い。
ここから出ないことには…私はソーヤ様を担いで大声を上げながら辺りを彷徨います。
誰か!誰かいませんか!ソーヤ様を、ソーヤ様を助けてください!
ふと遠くに灯りが見えました。一瞬光って凄いスピードで消え去っていきます。
誰か魔法を使われたのでしょうか?
魔法が使えるなら、あそこまでいけば!
私は疲れた体に鞭打ってソーヤ様を引き摺っていきます。
と、木々が途切れたかと思うと…急に足場がなく…
「きゃぁああ!」
崖のような場所から滑り落ちてしまいました。
これは…黒い地面?この白い線はなに…?
落ちた場所は黒く硬い地面が左右にずっと続いている場所でした。
そして遠くから白い大きな何かが迫ってきて…
「モンスター!?くっ」『ファイヤーストーム!』
しかし、魔法はやはり発動しません。
そのモンスターは私達の前で立ち止まります。
するとそこから…人間が!?
えっ、モンスターの中から人間?
私は知らずソーヤ様をぎゅっと抱きかかえて後ずさります。
「くぁwせdrftgyふじこlp?」
その人間は驚いた様子でこちらに何か言ってきてる気がします。
しかしその口から発せられる言葉は私には理解できなく…
◇◆◇◆◇◆◇◆
どうしたものか…
俺は隣で眠っている二人の子供を見やる。
道路のど真ん中で座り込んでいた二人の子供。
どうしたのかと近寄ってみたら服装がボロボロ。
見た目は外国の子供のようだが、いったい何の事件に巻き込まれたのか。
二人とも外傷はなかったんだが、じゃあこのボロボロの服はなんなのか?
イノシシでも狩っていたのかな?外国人が?まあ、ねえわな。
女の子は男の子を掴んで離さないし。
車に乗せるのも一苦労したぜ。
ほんとどうしたものか…
このまま警察にでもいった方がいいのか?
しかし、なんか訳ありっぽいしなあ。
とりあえずこのまま連れ帰ってばあちゃんにでも相談してみるか。
先ほどまで警戒心いっぱいでこっちを見ていた女の子を見やる。
なんかお人形さんみたいな作りだな。
外国の子供なんて始めてみるぜ。
こんな田舎にゃ外国人自体がめずらしいしな。
男の子の方は、なんとなく日本人に似てるような気もするな。
ハーフなのか?
そうこうしているうちに家に着く。
「大地にいちゃんおかえ・・ばぁあちゃーん!大地にいちゃんが誘拐を!」
「うぉい!ちげーから!!」




