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第4話 神帝国聖女編スタート!

「お呼びでしょうか聖女様」

「クラリッサ、いよいよあなたに私の…いえ、私達の力を受け継いでもらう時がきたようです」

「えっ!?」


 力を受け継ぐ?それはもしかして…!


「これより3日後、聖刻の儀式を執り行います」

「そんなっ…!」


 聖刻の儀式、それは…その昔、聖人より伝えられた魔法を執り行う儀式。

 その魔法とは…


「私の持つ魔力の全てをあなたに移します。あなたが新しい聖女となるのですよ」


 リザレクションなどの伝説の魔法は多量の魔力を消費します。

 それこそ人一人の魔力では贖いきれません。


 ならばどうするか、複数人の魔力を集めればいい。

 そう、この魔法は他人の持つ魔力を自分に取り込むようにする魔法。

 神帝国の聖女とは…その魔法により人為的に作られているのです。


「お待ちください、聖女様はまだまだお若いではありませんか。引退などとんでもありません!」

「嬉しい事を言ってくれますね。しかし、若いといっても年齢的には曲がり角、今のうちに野に降りる方が賢明だと思いませんか」

「確かに少しばかりお腹周りが…あっ、いや、まだまだ大丈夫ですよ!」

「うぐっ!大丈夫…大丈夫よ…まだ運動すれば取り返せる!」


 聖女様はお腹のお肉をぐにぐに掴んでいます。

 …かなりついてますねー。


「と、冗談はこれくらいにしまして、あなたもご存知でしょうアステリアの聖女のことを」


 アステリアの聖女ですか…確か伝説の魔法をいくつも使い、パルテニアスでは数万のモンスターを撃退したという。

 冒険者としても優秀で、5大迷宮の2つを攻略されている。


「どのような方法をとってあのような怪物が出来上がったのかは分かりませんが…一度お会いした際にはその魔力の多さに圧倒される程でした」


 聖女様がリザレクションを使うのにほぼ全ての魔力を使うのに対して、アステリアの聖女は片手間で使っていたとか。

 ただの擦り傷にリザしてたときは空いた口が塞がらなかったとか。

 規格外にも程があると聖女様はおっしゃられています。


「聖刻の儀式がバレたということはないのでしょうか?」

「どうでしょうね…その件については教皇閣下が調べる方法をいくつか考えられているようですが」


 しかし、それほどの力、儀式の魔法を使ったとて、一体何人の魔力を集めれば…まさか!?強制的に人から魔力を吸い上げたとか!


「可能性はあるでしょうね。事実、聖女が住むという城に、魔力のある者が集められているという噂もあります」


 私はその言葉を聞いて絶句します。


「ただ、アステリアの聖女自身はそのような悪人にはとても見えません。お話した際も明るく天真爛漫な女性でした」

「ということは…」

「裏で何者かが動いている可能性がありますわね」


 アステリアといえば最大大国、権力闘争も激しいとか聞いています。

 きっと魔力の高い子供を担ぎ上げ、儀式を用いて…なんということでしょう!


「どちらにしろこのままでは我が神帝国の権威が急降下でしてね」


 聖女様のお話では、すでに能力が頭打ちである聖女をそのままにするよりも、今後能力の開花の可能性がある者に代替わりをさせ、今現在において神帝国の聖女がアステリアの聖女に劣っている理由付けをしようと。


「あなたならば、いずれかの聖女を追い越すかもしれませんしね」

「そんな…無理です!」

「フフ、駄目ですよ、たとえ無理であっても無理と言うのは『可能性』だけならあるでしょう」


 そうか!その可能性というものを建前にする為に!?


「聖女様はそれで納得されているのですか!?」


 魔力を人に渡すということは、自分は魔力のない存在となってしまう。

 それがそもそも魔力を余り持たない人ならばいいが…これまで豊富な魔力に支えられて育った人間は違う。

 代替わりした聖女は皆…短命です。


「これは私にとっていい機会なのですよ。いつまでもあの人を待たす訳にはいけませんしね」


 そう言って聖女様は柔らかな笑顔を向けてきます。


「最後にあの人の子供を貰って、どこかひっそりとした所で生涯を終えたいのです」


 …聖女様には想いあっている男性がいます。

 しかしながら、聖女は短命である。

 なので聖女様はその男性と袂を分かつことを決意なさったのですが…男性の方はそれでもずっと待っているようなのです。


「私が居なくなれば、あの人もまた新たな人生を歩む事が出来る。そうなればいいと私は思っています」

「聖女様…」

「あなたにも心に思う男性は居るでしょう?」

「い、いえ、私は修道院育ちでしたので…」


 聖女様はフフフと笑いながら私の頭をなでてきます。


「あなたには辛い使命を負わしてしますかもしれません。私を恨んでくれてもいいのですよ」

「とんでもありません!私かこうして育って来れたもの全て聖女様のおかげです」


 私は赤子の頃修道院に捨てられていた孤児でした。

 それをここまで育てて頂いたのは全て聖女様のおかげなのです。


「お話は終わりましたかな?」


 そこへ教皇閣下が入ってきました。


「猊下、クラリッサの事よろしくお願いします」

「勿論大切に育ててあげましょうぞ」


 そういって教皇閣下は部屋の入り口に声を掛けます。


「リサ、入って来るが良い」

「はいはーい!って、あれ?聖女様?クラリッサも?」


 そして私の幼馴染のリサが入ってきました。


「今回の聖刻の儀式が無事に終わった後、聖女の代替わりについて盛大な催しを行う予定です」


 そう言って私をリサを交互に見やります。


「そこに件のアステリアの聖女、及び…その聖女に力をもたらしたといわれる人物を招きます」


 えっ、聖女に力をもたらした人物…?


「クラリッサ、そなたはリサと体を交換し、その人物のもとに潜入するのだ」


 えっ、ええっー!?

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