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アイ・ファンタジア  作者: ぬこぬっくぬこ
第三部◆ 間 話 ◆
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SS委員長編

「納得がいきません!納得がいきませんわ!!」


 急にどうしたの委員長?


「前部の間話で、すわっ、これで私もレギュラー入り!?と思わせといて、最後にちょろっと出ただけなんてあんまりですわ!」


 まあ間話って基本、本編にあんまり影響のない話だからなあ。


「そこで私に提案があります!」


 …あまり無茶なことは勘弁してください。

「新婚旅行へ行きましょう!!」


 ある日突然、憤慨しだした委員長がそう言い出した。


「えっ!?皆でどっか行こうってこと?」

「違います!新婚旅行と言ったら二人っきりで行くものでしょう!」


 新婚旅行かー。そういやオレ、この世界に来て以来、観光なんてしたことないな。いやまて、


「二人っきり?」

「そう二人っきりで!」


 えーとオレの奥さん今何人いるんだっけか?えーと…10人…

 後、きっとシュリやセイカもねだってくるだろうし、ファとかもって合わせると…

 1人4日としたら2ヶ月近くかかんじゃね?


「それはちょっと現実的ではないと思います」

「そうですか。ならばこうしましょう」


 委員長がオレの手を取り、


「ザ、KAKEOCHI」

「ええっ!?」


◇◆◇◆◇◆◇◆


「ちょっとソーヤ、この手紙ってどういうこと?」

「フッ、書いてあるとおりさ、オレはこれから愛に生きると決めたんだ」


 ただいまアーチェの攻撃を受けてる真っ最中。

 あれから、オレはこれから委員長とKAKEOCHIしますって手紙を書かされた。

 そして今、その手紙が見つかって追っかけられてるのだった。


「アーチェ、麻呂姫、身勝手なオレを許してくれ!」


 そうして涙ぐむオレ、ただいま『マリオネットダンス』の魔法に掛かっている真っ最中だ。

 つうか声マネ上手いな委員長。


「アディオス、我が心の故郷よ!」


 もう意味が分からねえ。

 いい加減操りの魔法解いてくれませんか?あいつらもオレがしゃべってないことを気づけよ。口開いてないだろ?

 結局逃げ切れる訳もなく、捕まってぼこぼこにされるオレ。


「私だって…私だって幸せになりたいんです!」


 そう言って泣き崩れる委員長。どうしたらいいのこれ?

 そんな委員長の肩にアーチェが手を置き、


「バカねえ、悩みがあるなら言いなさいよ。私達もう家族でしょ?」

「アーチェさん!?」

「そうでおじゃる。溜め込むと碌な事にならないでおじゃる。麻呂は身をもって知ってるでおじゃるよ」

「姫様!?」


 3人でひしっと抱き合う。


「何々…ソーヤに新婚旅行を提案したら拒否られた?」

「前に一緒に旅をしようと誘っておきながら、そのまま放置された?」


 あ、なんか雲行きが怪しくなって来たぞ。


「ちょっと何処行こうとしてるのソーヤ?」

「ちょっと洗濯物を取り入れに…」

「どこに洗濯物があるの?」



◆◆◇◇  視点変更◇委員長  ◇◇◆◆


 あれから皆で相談して、お休みの日に一泊二日で旅行に行くのは、別に新婚旅行関係なしに有りだろうという話になりました。

 しかしてトップバッターはいいだしっぺのこの私。


「嬉しそうだな委員長」

「そりゃもう!念願の初デートですわ」


 私がそう言うとソーヤ様は苦笑します。


「なんかあれだよな、色々逆になってるよな。委員長はこれで良かったの?」


 フフッ、宜しいですのよ。貴族の結婚なんて人柄も知らず、勝手に決められるのが大抵のパターン。私の両親のような場合はめったにありませんの。

 それに、今は私の片思いでも、いずれきっと振り向かせて見せますわ。お母様も先に無理やり籍を入れて少しずつ親密になっていったのです。


「それにしても、あの脳筋そうな壺好きの王様の国にこんな街があったなんてね」

「フフフ、ベルガンディアの名物の一つなんですよ。花の都フランシュセーヌ」


 そう、ここは花であふれる都。世界で最も美しいと言われてる場所の一つ。

 城壁を囲む草原は野花で溢れ、街の中は至る所に整然とならべられた花々が植えられています。


「しかも不思議な事に、この街の花々は枯れることがないのですよ」

「へえ、それはすごいな」


 ソーヤ様が花に近づいて様子を見ています。


「花は…普通の花だな。つーことはこの街全体に魔法が掛かっているのか。大掛かりなことしてるな」

「そうですわソーヤ様、ここの領主様に転移の魔方陣を置いてもらえるようお話に行きませんか?」

「おっ、そうだな。あーでも、アーチェ達連れて来たら碌な事しねーような」


 いくらアーチェさんでもこんなに落ち着いた街で暴れたりしませんでしょう?


「だといいんだがなあ…」


 とりあえず、領主の館に向けて歩き出したのですが…


「なんか、同じ景色がぐるぐる続いてないか?」

「そうですわね。こんなに時間が掛かるなんて?」


 どうやら道に迷ったようです。


「こいつはまずいな、これ迷宮だぞ」

「えっ!?」


 ソーヤ様が言うには、魔素の流れが迷宮と同じようになっているとのことです。


「人っ子一人いませんですね…どっかの家を訪ねてみましょうか?」

「こういう場合、ドアを開けたらどっかに飛ばされるってオチのような気もする」


 仕方ありませんね、まったくどこのどなたかは知りませんが無粋なマネをしますわね。


「シュリちゃんを呼びますか?」

「いや、今日は委員長と二人っきりの旅行だろ?なーに、街の見物が迷宮の見物になっただけだ」

「ソーヤ様…」


 まったく…ほんとに人たらしなんですから。


「そんじゃま迷宮モードと行きますか。委員長、なんか武器いる?」

「大丈夫ですわ。これ特注のレイピアですの。柄に魔晶石もついてますし」

「魔晶石?ああ、魔法の威力を上げてくれる奴か」


 それでは行きましょうか。



◆◆◇◇  視点変更◇???  ◇◇◆◆


 な、な、な、なんじゃあいつらはぁ!

 せっかく好みの女の子が入って来たから我の元に呼び寄せようとしたのに、全然思うようにならん。

 扉の一つも開けばマップが作り直される罠をしかけておったのに、全然開こうともせん。

 それに軽々と屋根に飛び移りマッピングしておる。迷路の板くぐりはルール違反なのじゃぞう!

 やばい、まずい、迷宮をクリアされたら我の本体がばれる!

 あっ、だめっ、そこはっ、


「どうやらここが中心みたいだな」

「この木、あきらかに怪しいですわねえ」


 ここは…秘儀!『死んだフリ』


「ちょっと委員長、あれ燃やしてみないか?」

「分かりましたわ」

「いーやーめーてー!」

「「木がしゃべった!!」」



◆◆◇◇  視点変更◇委員長  ◇◇◆◆


「エント?」

「はい、そう呼ばれております、はい」


 私達が迷宮の中心で見たものは、幹が複雑に絡み合った一本の大木でした。


「え?かわいい子見つけたらこうやって取り込んでたの?」

「ととと、とんでもない!ちょっと待って下さいまし」


 その木はそう言うと、ぶるんと震え、一枚の葉を落とします。

 と、その葉が地面につこうかとした時、ぽんと小人になりました。


「この姿になって迷っている女の子と一緒に遊ぶのが趣味なんですよ」

「ほう、で、うちの委員長を誑かそうとしたと」


 まあ、うちのだなんて。


「そう…こんな風にねっ!」

「なっ!」


 小人がソーヤ様に近寄り、バッと土を掛けるとそこには泥人形と化したソーヤ様が。


「フッフッフ、油断大敵じゃわい!これで残るは小娘1人!我の正体を知ったからには生きて…あれ?なんかすごいオーラ出てるですが、あれ?」

「今すぐソーヤ様を元に戻しなさい。さもなくば、この街ごと消滅すると知りなさい」

「…本気?」


 私はそこにある木より大きな火炎球を発生させる。


「あわわわ。燃える!モエチャウゥウ!」


◇◆◇◆◇◆◇◆


「いやー委員長が居てくれてほんと助かったよ」

「いえ、私なんて…」

「いやほんと、あれがアーチェや麻呂姫だったら、先にエント燃やして取り返しのつかないことに…ブルブル」


 あれからエントはソーヤ様を元に戻した後、お土産までくれました。


「エントの雫か、なんに使うものなの?」

「植物に永遠の命を与えると言ってましたわ」

「そうか、ちょっと待ってて」


 ソーヤ様はそう言うと花屋さんに入ります。


「委員長これ」

「えっ?」


 そうして買った花にエントの雫を振り掛け、指輪にします。


「枯れない花の指輪だよ。なんか不安にさせててごめんな。アーチェや麻呂姫と同じぐらい…大切に思ってから」


 私は今日、2度目の恋に落ちるのでした。

 新連載始めました。ねこマジ!よろしくお願いいたします。

 http://ncode.syosetu.com/n9831dg/

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