第五章 剣姫ファネステール
◆◆◇◇ 視点継続◇ソーヤ ◇◇◆◆
「ええっ、兄ちゃんほんとに迷宮行って来たの!?しかも食べ物こんなにいっぱい!」
「ああ、なんせボスクラスが団体さんで現われたからな。結構儲かったゼ」
「盗んでないよね?」
なんでだよ。まあ、疑う気持ちは分かるが。
「それは俺達が保障しようではないか」
「そうだぞ、見た目はこんなだが、なかなか役に立つ奴であるぞ」
「がっはっは、肉持って来たぞ。どんどん食え」
なんで居るのお三方?
「俺達も孤児院のことは気になってはいたのだ」
「ただまあ、なんというか、ほらこんなパーティ構成でな。稼ぎがだな…」
「がっはっは、俺様達大飯ぐらいである」
よく今まで生きれこれたな。
「それに俺達も実は孤児でな。三人ともここではないが、同じ院の出身なのだ」
「え、マジで?」
「まあ、大飯ぐらいで、追い出されたのだがな」
それは、また…
うむう、この世界、モンスターが跋扈してるから結構孤児とか多いのか?
「それでも我々は運がいいほうだ。師匠に拾われてなければ、今頃、野垂れ死にしておるとこだったしな」
「師匠?」
このお方たちの師匠か…随分マッスルなんだろうか。
「Sランカーの魔術師でな。師匠と一緒のときは我々も結構いけたのだぞ」
えっ、魔術師が師匠?だったらなんでこうなったんだ?
「そら魔術師に必要なのは盾役であろう?」
「まあ、そうだけど。それ師匠じゃなくね?」
いったい何を教わったんだよ?
それにしても過去形か、その師匠は…
「こいつが師匠の求婚を断った所為でな」
「おいっ、それは言わない約束だろ!」
…お師匠さん、剣の人に求婚したのかー。もしかして、今流行のマッスル魔術師だったんじゃないだろな。
もうこれ以上、肉偏差値上げないでよ?
「俺なんかが、師匠とつりあう訳ないだろ…モンスターも満足にやれやしねえ」
ふうむ。3人とも、オレが教えた補助魔法使えば結構なとこまで行けると思うんだがなあ。
「兄ちゃんこの3人と行って来たのか」
「ああ、寄生させてもらったゼ」
「それ胸張って言うことじゃ…」
「と、言うのは半分冗談で、ちゃんとスカウトの役割は果たしたはずだぞ」
「半分は本当なんだ…」
いいじゃないかよう。3人だけじゃ厳しいことも、4人居ればなんとかなることもある。
「いやいや、これだけ稼げたのもソーヤが居たお蔭だぞ」
「そうだな。聞けばすでに2つも迷宮を攻略したメンバーに居たとか」
「がっはっは、これからは俺様たちのメンバーの1人だ!」
3人がフォローしてくれる。うむ、性格はいいんだよな、性格は。
「そうかー、すげーな兄ちゃん。プロの冒険者に認めてもらうなんて」
「ソーヤお兄ちゃん、今度、迷宮の話聞かせてよー」
「ソーヤさん。あまり危険なことはよしてくださいよ」
うむ、オレ子供達に大人気に。これでテンコにでかい顔されずにすむかな。
子供達はオレ達を囲んでわいわい言っている。が、みんながみんなそうであることもなく、
「痛っ!いきなり何すんの?」
そこには棒を構えた女の子が。
ほんとなんでみんなオレを攻撃すんのかな。マジで流行なの?
「嘘ばっかついて!子供が迷宮なんて入れてくれる訳ないじゃない!」
女の子はオレを睨みながらそう言ってくる。
「む、お前はいつぞやの」
「こ、来ないで!こっち来ないでって言ってるの!!」
マッスルチームが女の子に近づこうとすると、棒切れを振り回しながら後ずさる。
これはあれか、オレの前に迷宮行こうとしてお仕置きされたたちか?
「わ、私だって本気出せば、モンスターなんかいちころなんだから!」
一応そいつらモンスターじゃないんで、勘弁してやれな。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「そんなに稼ぐことができたなんて。あんた達、やっぱり私と行った時からかってたのね!壁に向かって槍投げるわ、地面に斧刺して身動き取れなくなるわ」
うん、それ今回も変わってないな。
「あんただけ迷宮で稼ぐなんて卑怯よ!私も連れて行きなさい!」
「そうは言ってもなあ。どうしてそんなに迷宮行きたがるんだ?」
他の子も迷宮で稼ぎたそうな子は居るが、この子は特に想いが強そうだな。
よく見ると、木の棒かと思ってたが、ちゃんと木刀のように手入れしてあるな。
「私のパパとママは、この迷宮都市でも屈指の冒険者だったの。だから私だって…」
「こら、ファネステール。ご両親は、それは何年も修行を積んだお方だ。今のお前とは比べる物でもない」
神父様が女の子を宥めにかかる。
「どうしてよ!?こいつだって、私と同じぐらいの年じゃない!」
そう言って女の子はオレを指差す。
んー、これはまずいパターンのような気がする。他の子も併せて、勝手に迷宮行こうとしないよう気をつけないとダメだな。
「ソーヤ君は、いくつかの迷宮を攻略している実績があるのだよ」
「そんなの信じらんないわよ!私の一撃も避けるそぶりもなかったし。それに見てよ、その服、冒険者風の服装の癖に、ほとんど汚れてないじゃない。モンスターと戦って返り血も浴びないってありえないでしょ!」
まあ、基本、戦闘では遠くから眺めてるだけだしなあ。汚れてもリフレッシュでさっさと落とすし。
現代っ子のオレは綺麗好きなのだ。
「なーにが綺麗好きよ。あんたの部屋、ゴミだらけだったじゃない?」
「テンコ帰って来てたのか?つーか人の記憶覗くなよ!お前も出歯神か!?うぉっ、輪っかとばすなよ!それ切れるだろが!」
「器用に避けるわねえ」
エンジェルの天使の輪っか攻撃はスパッといくんだぞ!こんなとこで危ないだろが!
「すみませんねえ。この子の両親はその…二人ともここでは屈指の剣士であったのでして…」
神父様がすまなそうにオレに言ってくる。いや、神父様は悪くないよ?
「ここにも何度と足を運んで懇意にしてくれていた方達でしたが、迷宮で行方不明となりもはや数年…」
「パパ達は絶対生きてる!私が必ず助け出して見せるもん!」
ふむ、そういう事情があったのか。
良く見てみるとパラメータ高いな。多少は両親に鍛えられていたか。これなら…
「ちょっとまた、変なこと考えてない?」
おっと、またやるとこだったな。あんまり力を持たせて無茶したらまずいしな。
「剣を学びたいなら俺が教えてやろうか?」
そこに、剣の人が女の子にそう言いだした。
「おい、子供に…」
「子供がどうした。どっちにしろここでは強くならなければ生きていけない。ギルドの連中に感化されて俺も子供は守るべきとか思っていたが」
いたが?
「ここは冒険者の街、ここで普通に生きることなど不可能であろう。波もある。いずれ滅びるかも知れぬときに力が無くてどうする?」
「そうだな。ソーヤが子供でも十分できることを教えてくれたしな」
「がっはっは、俺様達がすべてを守れる訳ではない!」
まあ、普通に鍛える分にはいいんじゃないか。なにかあったらオレのリザもあるしな。
「これからは、俺のことを師匠と呼ぶがいい!」
「マッスルは嫌なんですけど…」
そう言ってやるな。技術は悪くないぞ。ただまあ、マッスル化には気をつけないといけないけどな。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「神父様、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」
「ふむ、こんな夜更けにどうされましたか」
神父様も夜遅くまでお仕事ごくろうさまです。この人、いつ寝てんのかな。
朝早くから子供達の世話をし、夜は夜で遅くまで本読んでるし。最近はテンコの相手までしてもらって…あいつもなんでもかんでも人に頼るなよな。自分の服の洗濯ぐらい自分ですればいいのに。
今度栄養ドリンクでも作ってみるかな。
「昼間にマッスル剣士が言ってた波について聞きたいんだけど」
「波ですか…彼らが波と呼んでいるもの、それはモンスターの波なのです」
モンスターの波?
「50年から100年ほどの周期において、魔境よりモンスターが侵攻して来るのです」
「えーとたしか20年ほど前に来たって言ってたっけ」
「はい、その時は私は神帝国に居たのですが…街が滅びたと聞いてこちらに駆けつけたのです」
ふうむ。まあその時にここに居たら生きてはないわな。
「それまでここに住んでいた人は?」
「この国の王都まで非難しています。ここの王都は世界でも屈指の防御結界がありますので」
そう言いながら神父様は苦い顔をし、
「しかし、それらは全てではありません。体力の無い子供達や、老人達は…私がこの院で見たものは…」
「さっさと場所を変えたりは?」
「ここは一攫千金を目指して冒険者が集まるのです。人が集まれば子供ができる。しかし、一攫千金を目指して達成できる者は極わずか…」
今居る子供達を避難できても、また新たに孤児ができるということか。
「私ができることは、子供達を早く一人前にし、この街から去って行ってもらうしか。後はこうして書物を読み、波に対応できる方法を調べるぐらいしかできませぬ」
「波と戦うは…この国は諦めてんだっけ?」
「そもそもこの街自体が、国の統治をされておりませぬしな。自治は冒険者ギルドが行っております」
なるほど、アルシュラン陛下の言った通りだな。
「もし、他の国の手を借りることが可能だとしたら?」
「…アステリアでございますか?しかしいくらなんでも遠すぎる…派兵に1年もかかれば…それに道中の国々も普通に通してくれるかどうか」
問題がそれだけなら、アーチェ達が魔石を持って来てくれたらなんとかなるか?あとは波の威力が、アステリアの兵士でなんとかなるかだが…
一度、ここの王都とやらに行って、ここと転移魔法をセットしとくか。そうとなればそこそこの魔石が必要だな。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「おい、いいのか?連れて来て」
「ほっといたら1人でも行きそうな感じだしな。目の届くとこに居てくれた方がいいだろ。ほら、あんた師匠だろ、いいとこ見せようぜ」
あれから暫く経って、再度迷宮に挑戦することにした。
例の女の子はマッスル剣士と鍛錬をして、そこそこ使えるくらいにはなったんじゃなかろうか。
「おい、分かってるか。まずは今の自分の力量を知ることからだぞ」
「はいっ、師匠!」
最初はマッスルに拒否反応を示していたけど、命中に特化した補助魔法をかけた剣の人を見て、態度が急に変わった。
他人の実力を見る力はちゃんと備わっているようだ。
「おっとモンスターだ。マッスル3人衆は自分達で補助魔法をかけてみて。それで、お試しだ。え、えーと、ファ…ファックションだっけ?」
「なんでくしゃみなの!?ファネステールよ!」
「じゃあ、ファでいいか」
「それ覚えてたとこだけじゃ…ほんと覚える気ないわね。それにその呼び方…パパ達と同じ…」
『スピアーザアロウ!』
おい、いきなり何投げてんだよ!いい加減それやめにしないか?また、槍の人が槍投げたよ。
「すごいオークが串刺し…」
威力だけはあんだよなあ…
「ようし見てろ!」
剣の人が張り切って、モンスターに向かう。
「おいっ、人の獲物、横から掻っ捌くなよ!」
「早い者勝ちであろう」
しかし、斧の人に持ってかれる。これ浅い階層じゃ実力計れねーな。
「ちょっと3人とも、いいとこ見せたいのは分かるが、それじゃあ練習にならない。ここはファに任せてみよう」
「ええっ、いきなりオークを!?そんな…」
「モンスターなんて屁でもないんだろ。大丈夫、なんかあってもオレ達がついてる!」
「ソーヤ…うん、がんばる!」
ファは震えながら剣を構える。
「いくぞ!『アポカリプス・エクステンド!』」
「えっ、急に体が軽く…」
「オレはスカウトであるが、魔術も使える!回復、補助は任せろ!ファは存分にそいつに集中すればいい」
「…分かった!」
ファは震えの止まった体でオークに向き直り、
「いいか、まずは敵の動きだ。敵の動きを良く見ろ!剣を振りかぶるとき、足を動かすとき、必ず隙ができる。隙の大きさに合わせて攻撃を変えていくんだ」
「そうだ。剣を振りかぶれば素早い突きを。移動にあわすなら面をとらえる横振り、決定的な隙には振りかぶれ!」
オレと剣の人の声に頷き、モンスターに攻勢をかける。
「イタッ!くっ、この!」
「あせるなよ。『リザレクション!』少々の怪我なら心配するな。珠のお肌に傷も残させやしねーぜ」
「もう、ソーヤったら」
随分余裕ができてきたのか、笑顔を見せる。そのままオークの振りかぶりに合わし、顔面に突きを入れる。
オークは倒れながら魔石と変わり、
「やった!やったよソーヤ!!私、モンスターを倒したよ!」
ファがオレに抱きついてくる。うむ、意外とあるな。なにがとは言わない。
「うむ、なかなかよいコンビであるな。お前とお師匠様を思い出すな」
「それは言わない約束だろう」
「いい加減腹を決めろ。今のお前なら十分じゃないのか?」
「まだまだだ。せめて上級者が越える、30階層の攻略ができれば…」
しかしこの3人、武器と役割が合ってないんじゃないかなあ。
「ありがとうソーヤ、補助魔法かけてくれて」
「それがオレの役割だからな。ほら、オレ役に立ってるだろ?寄生じゃないだろ?」
念を押しとかないと。
「うん、こないだのことごめんね」
「ああ、もういいって。ほら魔石だ。これはファの分だ。ファが始めて自分で掴んだ魔石だ」
「っつ、パパ、ママ、私…きっと立派な冒険者になるから!」
ファは涙ぐみならがオレの手から魔石を受け取る。
「とりあえず今日は行けるとこまで行ってみるか」
「む、しかし、帰る事も考えておかねば。10階層を越えると、迷宮も刻々と通路が変化するしな」
「何言ってんだよ。たとえ迷宮がどんな形になろうとも。食料が途中で尽きることがあろうとも。さくっとオレの転移魔法で」
ほんと便利だよな転移魔法。あのミイラな人も、召還魔法だけじゃなくて、転移魔法も研究しといてくれれば良かったのに。そうしたら前世で死ぬこともなかったんだがな。
「ほんと反則だなお主…」
「がっはっは。俺様のスピアーは次元もを貫く」
訳の分からないこと言うのもよして下さい。
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それから数回層降りること、何回か敵との戦闘を繰り返し、
「うーん、やっぱ今日はここまでにしとくか?」
「なぜだ?ここらの敵など余裕のよっちゃんだぞ」
そのセリフなつかしーな。あんたはどこのおっさんだ。
「街へ武器を調達しに行こう」
「ええっ?どうしたのだ急に」
やっぱ3人とも武器を変えた方がいい。なんつーか無駄が大きすぎる。
「まず槍の人、槍投げんな。一発うったら終わりだろそれ?まあ、後は盾役として役に立ってるが、どうせならその力もっと生かそうぜ」
「がっはっは。は?」
槍の人一応スナイパーなんだろ、だったら、
「弓も持とうぜ弓」
「弓など当たったことがないのだが?いくら補助かかろうが、あんな点で攻撃するなど今更…」
「じゃあ、矢は今までの槍にしようぜ」
「がっは?」
槍の人は笑おうとして硬直している。
そう、今までの槍なみの矢を飛ばせる剛弓を準備すんだよ。なにそんな物は無い?じゃあ作ればいいじゃない。なーにオレの魔法でもそれくらいできるだろ。
それを弾くにはかなりの筋力が必要だろうけど、筋肉だけはたっぷりあんだろ?
「後はそうだな、その弓に盾もくっつけるか。固定砲台の完成だ!」
盾の隙間から弓を飛ばす感じだ。動きは鈍くなるだろうが、元々動いてないし。
「次に斧の人。なんで地面にぶっさすの?斧やめてハンマーにしようぜ」
「ハンマーを武器?そんな物でモンスターを倒せるのか?」
どうせ、地面に刺さった斧抜くんで時間ロスしてるだろ。
「弱いモンスターなら切るより有効だ。面で攻撃だから当たる範囲もでかい。強敵でも行動不能にできれば十分勝ちだ」
「なるほど…」
「それに斧より広く防御できるしな」
あとはそれを扱う筋力だな、まあ度々言わなくても分かるだろ。
「最後に」
「俺はできれば剣でいきたいのだが」
ふうむ、シールド特化にすればと言いたかったんだが。そうだな。
「じゃあいっそのこと盾を取っ払うか」
「ええっ、てっきり盾役に徹しろと言うものとばかり…」
剣で防御すればいいじゃない。
「その代わり、剣を持てる限りの重量、大きさにするんだ」
そう、どっかのガッ○さんのように。
「そんなもの、この狭い迷宮で振り回すのは…」
「だから基本は防御に徹するんだよ。そして、ここぞと言う時に狙い済ました一撃を!」
「盾でいて、剣にもなる…そうか、そういう発想もあったのか!」
剣の人も納得してくれたようだ。
まあ、とりあえず試してみて、ダメなようならまた変えればいいさ。どのみちこのままじゃどっかで行き詰る。
「ねえ、私は?私はこの剣のままでいいの?」
ファが心配そうな顔で聞いてくる。
「ファはそのままが一番だな。盾役が充実しているからな。3人の間を縫い敵を殲滅する係りだ。四方を守りに固めれられたお姫様。うむ、剣姫と呼ぼう」
「私がお姫様…ソーヤったらもう」
ファは顔を手で隠しながら、嬉しそうにしてる。いつの時代も、女の子はお姫様に憧れるものだな。
さしづめオレはお姫様をたぶらかす悪い魔法使いか?
「こやつ…ジゴロの才能があるのではないだろうな?」
じゃあさっそく街に買い物に行きますか。
オレは転移魔方陣をセットし、皆を転送させる。
「うわぁ、ほんとにあっという間に孤児院だ。すごいねこれー」
そうだろう、そうだろう。
「ううむ、なんか悪い事してる気がしてくるな。これ他の冒険者にも使えるようになればいいのにな」
ふむう、そうだなあ。魔石を加工すればなんとかならないことも?おいおい、考えていくか。
「ほら、ソーヤはあまり街に行ったことないでしょ!私が案内してあげる」
そう言ってファがオレの手を引いていく。
「おや、ファネスとソーヤ君ではないですか。無事に帰って来れたようですね。それにしても行くときとは違って随分仲良く…」
「あ、神父様!」
ファが慌てて手を離す。まあ、確かに帰って来たら上機嫌だしな。
「神父様、ちょっと街行ってきますんで」
「分かりました。晩御飯には帰って来るのですよ」
オレはそう言ってファの手を取り、
「じゃあいこうぜ」
仲良く出かけることにした。




