第二章 神の力
◆◆◇◇ 視点継続◇ソーヤ ◇◇◆◆
「ありがとうございます。ありがとうございます。このご恩は一生忘れません!」
「いやいや、そんなに畏まらなくとも…」
ああ、毛布があったかい。スープが空腹を満たしてくれる。まさしく人情のあったかみが感じられる瞬間だな。
あれからあちこち連れ回され、とうとう力尽きて倒れたオレを、この神父さんが助けてくれたらしい。
いやー、神帝国の教会もいいことしてるじゃないですか。ダメですよ、こんないいとこと対立しちゃ。
「ほんと軟弱な奴ねえ、これぐらいでへばって」
「お前はいい加減にしろよな!普通に人間は空飛べないし、数日間も飲まず食わずだと死ぬんだぞ!」
ほんと良く生きてたよオレ。自分の頑丈さに感謝しないとな。
「ちゃんと死なないように加護かけといたのに」
「ほんとか?」
「死なないようにだけだけど」
…人はそれを拷問と呼ぶんだぞ。
「………………」
ん?なんか子供がいっぱいこっちを見てるな?
「ほら、お前達、お客様に失礼だぞ」
「でもー、僕達もご飯食べたいー」
「…もう少し待ちなさい。しばらくしたら、チェルがご飯を買って来てくれるから」
え!このスープこの子達のだったのか?あまりにも空腹でがつがついっちゃったぞ。
「ここはもしかして孤児院で?」
「ええ、そうですよ。この近くには世界最難関と言われる迷宮がありましてな。この子達はそこで亡くなった冒険者達の子供なのですよ」
子供が居るのに迷宮行くのかよ?
「皆、一攫千金を狙っておりますからな。中には子供の治療費欲しさに…」
「神父様、大変です!シルシィの容態が!!」
「なんだと!すぐに行く!」
と、そこへオレと同い年ぐらいの女の子が飛び込んできた。
神父さんはその女の子と一緒に部屋を飛び出して行く。オレも行ってみるか。
教会から少し離れた小屋のようなとこへ入り、中には今にも息絶えそうな小さな子供が。
「おい、これはまずいんじゃないか」
「お客人!どうしてここへ?すぐにここから出て行きなされ。この子はその…伝染病の類で…」
伝染病か。って神父様もやばいんじゃね?むっ、二人ともサーチしてみると病反応でるな。
『リザレクション!』
「な、なんだ!?急に体が軽く…」
「ちょっとその子診せてみて」
むう、オレのリザじゃ効果が薄いか。
「おい、お前天使なんだろ。この子なんとかできないのか」
「なんとかねえ、私この世界の天使じゃないから、天国に連れて行くのは無理かもね」
誰が死ぬ方に何とかしろと言ったよ?
「助ける方法はないか聞いてるんだが。つーか、魔力貸せよ。オレがやるから」
「無理よ。私はこの世界の存在じゃないからね。こっちの魔力とは本質が違うのよ」
ふむ、仕方ないオレの全力で…
「ただまあ、代償があれば別ね。といっても私に代償を払えるのはあんただけだけど」
「…お前、本当に天使か?どう考えてもそれ、悪魔の所業じゃねえのかよ?」
「何言ってんの?神の奇跡に代償が付き物なのは当然の事でしょ?ただで手に入れようなんて虫が良すぎじゃない」
そういえば、神様の奇跡って大概、他に悪影響及ぼしてるわな。
「じゃあ、それでいいから頼むよ。どうせオレの身はお前が強制送還すんだろ?」
「もうちょっと自分の身のことも考えたら。その子の命も大切だけど、あなたも同じ命なのよ?」
お前に言われたくないわ!
天使もどきが横たわっている子供に手をかざす。その手に光が集まり、
「んー、ここは私もなんか呪文とか魔法名とかつけて盛り上げた方がいい?」
「いいからはよせ」
『ゴッドハンド!』
ゴッドハンドはねえだろ。それ攻撃魔法じゃねえの?お前ネーミングセンスねえな。
「それは、お互い様じゃないの?」
なんで知ってんだ?
「おお、なんだこの神々しい光は!魔法?いや魔素の動きは見られない…?」
「あ、あの…シルシィは、シルシィは助かるのでしょうか!」
女の子がオレの手を取って、体を密着させてくる。
「大丈夫!あそこのオレの下僕がなんとかするから。いてっ」
「誰が下僕よ。つーか人が働いてるときにいちゃいちゃすんな」
「お前、羽根のときといい、普通に魔法使えてんじゃ?」
「ん?何言ってんの。自分のことなら普通に使えるわよ」
ほんと神様ってやつあ自分勝手な。
「って、おまえ、こっちの言葉分かんないんじゃなかったの?」
「そんなのすぐ覚えられるよ」
なら、なんで今まで覚えてなかったんだ?
「覚える気がなかったからに決まってるじゃない?」
「………………」
これダメな方な天使だな。
「それより治療は終わったのか?」
「もう大丈夫じゃない?一応病原菌の除去と体力の回復はしといたから。それよりこの子だけですんでるのかねえ」
そうだな、神父さんと隣の子も病の判定出たしな。
「まあ、末期じゃなきゃオレがなんとかするよ。どんな代償かたまったもんじゃないし」
「それがいいわね。すぐに神頼みは良くないし」
お前が働きたくないだけじゃないよね?
「き、君達はいったい…」
「ああ、オレ達は「異世界の神とその使徒よ!」」
何言ってんのぉ!?
「は?」
ほら、呆れてるだろ。変な宗教みたいに思わたらどうすんだ?こいつ、言語が理解できないままの方が良かったんじゃねえか。
「まあ、変な話は置いといて、ようは、少々の怪我や病気なら直す魔法を持ってるってことだよ」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ありがとうございます。ありがとうございます。このご恩は一生忘れません!」
「いやいや、そんなに畏まらなくとも…」
ってこれ、前回とセリフが逆になってんな。
とりあえず、スープの分ぐらいは働いたかな?
オレはとりあえず子供達を集めてリザレクションで、多少の怪我、病気を治していった。といっても魔力少ないから、全員は無理だなあ。
明日以降ひとりずつ本格的に直していくしかないな。
「神父様…」
「ん?チェル帰って来てたのかい。なんだい浮かない顔して」
「実は…最近モンスターの影響のせいか、これだけしか」
そう言ってその子は、籠に入っている芋のような物を見せる。うん、全然足りないな。
子供達がオレを見つめてくる。やっぱ体調を良くしても腹は膨れないよね、うん。
「そ、そうだこれ、これで何か買えないかな?」
オレはアステリアの金貨を神父様に見せる。
「これは金貨?しかし見たことない図柄ですね」
「アステリアの金貨なんだけど」
「アステリアですか!?あの東の大国の!…残念ですが、ここらでは換金はできません。首都にでも行けば別でしょうが」
やっぱダメか。随分辺境そうだからなあ。
ううっ、子供達の視線が痛い。
「なに?食べる物が無い?だったらあんたちょっと迷宮でも行って稼いで来たら。一応プロなんでしょ?」
なんでオレが迷宮潜ってんの知ってんだ?
「記憶を見る事なんてちょちょいのちょい」
「やめろよな!プライバシーって言葉を知らんのかよ!!」
つーか、一人で迷宮なんて無理だぞ!
ん、迷宮?そうだ、たしかマジックバックに…おお、あった、入れっぱなしだ。
「神父様、これ」
「これは?」
「迷宮探索用の保存食なんだけど、これをふやかせば多少はお腹が膨れると思うんだ」
これだけあれば一回分はもつだろ。ふう、これでスープの分はちゃらに。ん、まだ見てくるな。もうないぞ?
「神様…」
「おまえ何吹き込んだんだよ!」
「え、まだ何もしてないけど」
ほんとか?つか、まだっつったな、なんかする気だったのかよ!?
「先ほどの一件を覗いておったのでしょう。あの子はもう助からないと皆思っておったところが…」
「うん、あの二人は神様なんだよ。ほら私を見て、さっきまで寝たきりだったのにすっかり万全よ!」
あの子が原因か。
「違うぞ、オレは神様なんかじゃないからな」
「私は神様よ!」
「お前は黙っとけよ!」
無垢な子供を変な宗教にさそうな。
「ほらお前達、お客人が私達に差し入れをしてくれたぞ。お礼を言おうではないか」
「「お兄ちゃんありがとう」」
「ほんとにありがとうございます」
いやいや、そんな礼言われても。むしろ助けてもらったのはこっちなのにな。
「神父様はオレの命の恩人だしな。オレができることならなんでも…は無理だが、できるだけのことはさせもらうよ」
「じゃあ、いつまでもここにいてよー」
「…いつまでもは無理かな。早く帰らないとあいつら何しでかすか分からないし」
そういや、オレ攫われてから何日経ったんだ。まさに麻呂姫が言ってた、気づいたら知らないとこにいた状態だな。あれでフラグ立ったんじゃね?
(パパー、パパー、どこにいるのぉ?)
ん?どこからともなくシュリの声が。
(パパー、ちょっとシュリ召還してよー)
ん?そういやシュリはオレの仲魔だから召還できんのか。えーと、召還魔法はっと…
「あれ?パパどうしたのそんなとこで寝てー。あれあれ?シュリ半透明だよー」
し、死ぬ…そういやこいつ伝説の神獣、フェニックスだったけ。そんなの召還できる訳ないだろ!干からびるわ!!
「あほねえ…」
気づいてたんなら先に言えよ。人のこと指差して笑うなよ!お前ほんとに天使か?
「そうだ、パパ。ユーリおじちゃんが話をしたいって言ってたよー」
ユーリまだ10歳だよな?おじちゃんはねえだろ。せめてお兄ちゃんにしてあげろよな。
そう言うとシュリは魔法で鏡のような物を作り出した。
「そ、ソーヤ無事なの!?大丈夫?」
「ああ、ユーリか。なんか久しぶりな気がするな。まあ、ちょっと魔力を使いすぎただけだから気にスンナ」
そこにはユーリが映りこんでいた。
「いったい今どこに居るの?」
「それがオレにもさっぱり。まあ、アステリアは有名だから帰るのはなんとかなるとは思うが」
「それなんだけど…」
ん?
「ソーヤが帰って来なくて、アーチェとリーシュ姫様が慌てて」
ふむ。
「緊急用の全土の上空に映像を映し出す魔道具を持ち出して」
ふむふむ。
「ソーヤ帰って来てでおじゃるぅ!麻呂が悪かったでおじゃるぅ!すぐにやせるでおじゃるからぁ」
「ごめんなさいソーヤ!私もう無茶しないから帰って来てー」
「パパー、パパー。シュリおなかすいたよう」
「って泣きながら訴えて…」
…
「ソーヤが一国の姫様と、国のシンボルである聖女とを捨てたってことが広がっちゃって」
……
「今アステリア全土でソーヤ狩りが…命まではとられないとは思うけど、帰って来るのはほとぼりが冷めてからの方がいいと思う…」
「神父様」
「なんですかな」
「たのんます!オレをしばらくここに置いてください!!」
◇◆◇◆◇◆◇◆
ってかなんでそんなことになってんだよ!ユーリもオレが連れてかれるとこ見てるだろ?
「いや、あの二人があんな行動に出るとは…こないだの無茶振りを反省してもらいたかったんだけど…」
いったいなんて説明したんだ?
「知らない女の人と空飛んで行ったと」
うむ、間違ってはいない、間違ってはいないが…そこに合意があったかどうかは別だろ?
「パパー、早く帰って来てよー。ママ達が、だいえっととか言っておかしくれないんだよー」
だから、やせろよな。
つーかお前、最後のはそれか!子供がお腹すかして泣いてるって、一番インパクトあんじゃねーかよ!それオレのせいじゃないだろ?
「ソーヤ!そこに居るのソーヤじゃない!?」
「ほ、ほんとでおじゃるか!」
「なにこれつきぬけるわよ?」
ちょっ、こわっ。あんま顔近づけんなよ。
「失礼ね!さんざん心配させといて!」
「つーかおまえら何やってんの?帰るに帰れなくなっただろ!」
「だってぇ、ソーヤが居なくなって、急に自分の力が怖くなったんだもの。このままソーヤが帰って来ないかと考えたら、いてもたってもいられなくなって…」
「そうでおじゃる。麻呂なんて全然寝てないでおじゃるぞ。食べる物も喉を通らなくて…ほら、すっかりやせたでおじゃるぞ」
そういえば、二人とも憔悴した顔してるな。オレが居なかったのって、たったの数日だろ?
「私って世界を破滅できる程の力を持ってるじゃない?」
世界の破滅はちょっとどうかと思うが、否定できないのが怖い。
「もし、寝言で魔法使ちゃったらとか…ソーヤが居てくれればなんとかしてくれるでしょ?」
だからどうしてオレが居たらなんとかなるんだ?その時は神殿ごと塵と化してると思うぞ。あ、もしかしてアルシュラン陛下、それを見越して街から離れたとこに空中神殿とか作ったのか。さすが王様腹黒い。
「セイカちゃんも呼んで来るね。ちょっと引き篭ちゃって…」
ユーリがそう言って部屋を出て行く。
「すっかりみんな、あんたに依存してるわねえ」
隣の天使もどきがオレにそう言ってくる。どういうことだ?
「あんたは自分自身のことだけじゃなくて、自分が与える影響という物も考えた方が良いわよ」
オレの与えた影響?
「あの子達を見てみなさい。ちょっとあんたが居ないだけでこうよ。あの子達は、あなたのことを神様かなにかだと思ってんじゃない?」
「オレがアーチェ達の神様?なんだそれ?」
むしろあいつらが神並みの力持ってんだが?
「そういう問題じゃないの。あんた、こっちの神様とやらに、自分が居なかった場合の世界を見せてもらったんじゃないの?その世界は今と同じようになってた?」
ふむ。オレが居なかった場合か…アーチェもチート級ではなかったな。魔法も覚えたてぐらいだったか。
「魔法が使えること自体が稀有なこの世界。それをなに?ぽんぽん伝説級の魔法覚えさせちゃって」
「いや、オレはきっかけを与えただけで…ってもこの世界じゃ解明されていない原理を教えたことには変わりないか」
「しかも、今まで誰一人として成し得なかった迷宮攻略をさっくりやっちゃってまあ」
迷宮攻略では大して活躍してないような気がするが?
「気づいてないならあえて説明しないけど。じゃあ、あんたが居なくても迷宮攻略できた?あなた自身の力が、ではないの。あなたの与えた影響がこの世界を変えて来たのよ」
この世界の変革か…言われてみれば普通じゃありえないことの連発なのか?
「あの子達にとって、現実が現実じゃなくなった夢のような世界。そしてその夢のような世界を作り上げたのは…」
オレと出会ってなければまず経験することのない夢のような世界…
「オレが作り上げた世界…か」
「そうともいえるかもね。そこで根底に関わって来た子供達。あの子達は、一周してるあなたと違って正真正銘の子供なのよ」
そうだよな。現代社会でも魔法があればなんでもできると思ってる子はいるよな。この世界には実際にあって、そら万能ではないが、あいつらにとってなんでもできる魔法があって、それがきっとオレという魔法なのかもな。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「大の大人達ですら、あんたのことなんでもアリって思ってる節があるんじゃ?まして、子供ならなお更のことじゃないかね」
そう言うと天使もどきは、
「仕方ないわね。私がリミッターかけてあげるわよ」
「え、ほんとに?でも代償とかいるんじゃない」
「これは私自信にも関わってくることだしね。別に良いわよ」
そして、アーチェ達に手を掲げる。
「ちょっと、ソーヤそいつが例の浮気相手?何あんた、モンスターでもいける口なの?」
「浮気じゃねーよ!こいつ異世界の神様なんだってさ。オレを連れ戻しに来たらしい」
「「えええっ!」」
「それは誠ですかお父様!!」
そこへセイカが入って来て、
「ユーリさん離してください!あいつやれないじゃないですか!!」
「ちょっ、剣を持ち出してどうする気なの!ダメだって」
あいかわらず好戦的な。そのやれないって、殺って文字じゃねえだろな。
「落ち着けって、ちょっと落し物があって、たちまちどうこうってことはないから」
「お父様…分かりました。私に神を殺す力を身につけろということですね!」
どこでどうなったらそうなるんだよ?
「おい、なんかフラグ立ったような気がするんだが大丈夫なのか?」
「なんのフラグよ?」
そらお前がやられるフラグ。
「なにを訳の分からないことを。ほらリミッターかけたわよ。あんたたち、どうしても必要なときしか、強力な魔法が発動しないようにしてあげたらから感謝しなさいよね」
「ほんとうなのソーヤ?」
「らしいぞ。良かったじゃないか」
天使もどきがアーチェ達に掲げていた手を降ろす。それもゴッドハンドなのか?
「天使もどき、天使もどきって、人のことパチモンみたいに言うなよ。仕方ないねえ、特別にあんたに私の名前をつけさせてあげる」
「じゃあテン子」
「…もっと他にあるでしょ?ミカエルとかガブリエルとか」
「ガブ子」
なんだよう。分かり易くていいだろぅ。こっちを射殺すような目で見るなよう。
「はぁ、テンコでいいわよ。よし、これであなたと私につながりができたわね」
なんのつながりだ。
「これからあんたは私の為に働く使徒となったのよ」
「いつだよ!」
「あら、神に名をつけるってことは、その神の信徒となるも同意義なのよ」
そら、詐欺だろ。
「あんたに集まる信仰はすべて私のものに。そしてあんたを信仰してるこの子達を崇めてる者達も私のものに。これで私にもこの世界の魔法が使えるわね。夢が広がるわぁ」
…邪神誕生の瞬間であった。
「誰が邪神よ!」
「ソーヤが見つかったって本当?」
「あ、メリ姉にフィフス殿下。あそこに、シュリちゃんが映している鏡の中に居ます」
「おい、ソーヤ。他国に行く場合はパスポートが必要だとあれほど言っておいたであろう」
そんなこと言われましても。
「で、実際どこに居るの?」
ユーリが聞いてくる。そういやここがどこだが未だに知らなかったな。
「神父様、ここっていったいどこなんですか?」
って神父様遠くで耳栓して、お茶飲んでる。なんで耳栓してるの?
「ん、ああ話は終わったのですか。ここですか?ここは最果ての地、世界最難関の迷宮に隣接する都市『パルテニアス・エード』ですよ」
「「パルテニアス・エード!」」
ん?どっかで聞いたような…
「それって、魔境のすぐ隣じゃない!?」
「ソーヤ、どういうことでおじゃるか!また抜け駆けして、迷宮攻略する気でおじゃるか!?」
「まてまて、オレは連れて来られただけだってな…」
あっ、思い出したぞ。パルテニアス・エードって、オレが前世で最後に立ち寄った街じゃねえか。つーと隣にある迷宮って…
「あら、当たりを引いたようねえ」




