ワタクシ先生のフラグ回収
ワタクシ先生のフラグ回収
「しなてくいい!しなくていいですから!!」
― 完 ―
と、言う訳にもいかず、日々は続いていく訳でして…
「先生!先生、お願いがあるのです!」
「あら委員長、慌ててどうしたのですか?」
「ちょっと先生のお歳を貸して頂けませんか?」
「は?」
え、なんですって?歳?貸すの?何を?どうやって?
突然委員長が???なことを言い出します。
「実は叔父様よりこのような物を頂きまして」
と言ってステッキのような物を取りだして、
「これは、相手の合意があれば、振った回数分、歳を吸い取ることができるらしいんですわ。効果は1日だけですので、お気軽にお試しできますの」
らしいとな。それほんとに大丈夫ですの?あの王様の一品ですわよね?
「そこで、先生のお歳を貸して頂けないかと思いまして」
「…それでどうしようと?というよりなぜわたくし?」
「先生!これを使えば若返れるのですよ!?どうです、もう一度若かりし青春など?」
ええ!?もう一度ぴちぴちギャルに戻れるのですか!
「ぴちぴちギャルはちょっと…」
「あなたたちは成長してどうなさるおつもりで?」
「ソーヤ様は、私達がまだ子供だから避けられてるとのこと。それならば大人になって迫ってみればどうかと言われまして」
あの王様、ほんと碌なことしませんわね。
「実際姫様が言うには、迷宮で大人になったシュリちゃんに釘付けだったとか」
ふむふむ、ソーヤ君はほんとに子供なのでしょうか。
「さあ、若き麗しい先生を見て、きっと結婚の申し込みも殺到しましょう!」
「ええ?ほんとですか!分かりました、ワタクシにおまかせなさい!!」
「ちょろいですわね」
委員長はワタクシに向かってステッキをかざす。
「えーと4歳ほどでよろしいでしょうか。一振り1歳なので4回ですわね」
そういってステッキを振ります。
すると見る見るうちに…
「きゃっ、服がやぶれそう。着替え持って来るのでしたわね。しかし、背は伸びましたが…」
そこには少し成長した委員長が。確かに背ぐらいしか変わってないですわね。そんなに胸の前で、手をスカスカしてますと虚しくなりますわよ?
さて、ワタクシも鏡をば。あれ?あんま変わってませんわね。まあ、4つじゃねえ…
「じゃあ、次わたしー」
「ええっ!?」
突然残りの6人が現われ次々とステッキを振っていきます。
ちょ、ちょっと待ってくださいまし。いくらなんでも振りすぎ…
どんどん若返っていくワタクシ。ちょっと服がだぶだぶなんですが?
「委員長…大丈夫!女は胸じゃないわよ!?」
「…このっ、このっ!」
「ちょ、つつかないでくれない?」
そう言って委員長達はクラスを出て行きました。あのーワタクシ動けないのですが。せめて服を、服を誰か!
「ふう、やっと行ったか」
あれ?ソーヤ君、なんで道具入れの中から?
「いやー、なんかいやな予感がしてなー。どうやら今回はうまく回避できたようだな」
だんだん回避性能上がって来てますわね。
「しかしー、随分吸いとられちゃってまあ」
「ソーヤ君、ちょっとこっち見ないでくれまし」
「麻呂姫かセイカの服でも持って来ようか?」
「本当ですか?それは有難いですわ。ってそんなに縮んでます!?」
鏡の中を覗き込んだその姿は…これ若く麗しいどころか、幼く瑞々しいじゃないですの?
「…ご愁傷様で」
「おお!このような所に幼女が!!どうした道にでも迷ったのか。うむ、素っ裸ではないか。どうだ我輩の部屋で着せ替えでも」
「どこから現われた!?この陛下、幼女センサーでも付いてんのか?つーか部屋に連れ込んでどうする気だ?」
どこからともなく現われたアルシュラン陛下がワタクシを担ぎ上げます。ひぃー、服が!服がぁ!!
「ソーヤ君、ソーヤ君なんとか!」
「なんとかー。ちょっと陛下、人攫いはダメですよ?」
「またソーヤの子供か?ソーヤばかりずるいぞ!」
「何がずるいんだよ?陛下もさっさと結婚してこしらえりゃいいじゃない」
陛下はワタクシを降ろし、腕を組んで考え事をしながら、
「ふむ、そうであるな。我輩も例外を作って、セイカと…」
「あげないぞ!あげないからな!!つーか、犯罪だぞ。それ、例外でも犯罪だからな!」
そして、ソーヤ君はワタクシを見つめ、
「仕方ない。これあげますから、馬鹿な事考えるのはやめましょう」
そう言って服にワタクシをくるんで、陛下に差し出します。
ちょっとソーヤ君!?
「やったねワタクシ先生。玉の輿ですよ?」
「おお、そーか。では貰って行こう」
「いやー!やめてー!!」
◆◆◇◇ 視点変更◇委員長 ◇◇◆◆
「おや、教室から先生の叫び声が?」
とりあえず、あのまま放置しておく訳にもいきませんですし、私は自分の服を着替え、ユンファさんと一緒に子供用の服をお持ちしたのですが、
「委員長、先生以外にも誰か居るの」
「そうみたいですわね」
教室の中に入ると、
「あら、ソーヤ様」
「やべっ」
―――ダッ
『マリオネット・ダンス!』
「ちょ、なんで委員長がその魔法!?」
「アーチェさんに教えてもらいましたの」
「また、アーチェか!」
ふふふ、逃がしませんですわよ。
「なんと、他人の歳を吸い取る魔法とな。世の中には良い物があるのだのう」
とりあえず、あのロリコンは無視してっと、
「ソーヤ様、どうです?この私の成長した姿」
「…委員長はあんま変わってな、いだだだ、やめっ電撃はやめて!トラウマが再熱しちゃう!!」
「今、どこを見て言いました?ん?いいですかソーヤ様、女性の魅力は、決してOPPAIではないのですよ?」
「分かった、分かったから。うん、委員長とても魅力的だよ」
「どうして目を逸らしながら言うのでしょうか?」
くっ、なぜ私だけ…そう言えばお母様のお部屋には胸パッドらしいものが散乱してましたわね。
「叔父様、胸を吸い取るステッキとか持ってませんでしょうかね?」
「やめて、ワタクシの唯一のとりえを吸わないで!」
ワタクシ先生も意外と巨匠でしたわね。ちょっとぐらい良くありません?
「まあ、委員長は委員長なりの魅力があるから。無理に自分に無い物をねだらなくてもいいと思うよ」
「私の魅力と言いますと?」
「ほら、オレが会った中でも一番かわいいじゃないか。いや、今は美人ってとこか?」
ソーヤ様…私のこと一番かわいいだなんて…いやですわー。
「委員長、顔がにやけてるよ。ねえ、ソーヤ君、あたいの魅力は?」
「ユンファかあ、うん、でかいよな」
どこ見て言ってらっしゃるので!やっぱり無いよりあった方がいいじゃありませんか!
「ソーヤは小さいのより大きい方が良いのか。変わった奴だな」
「この国、王様がこんなんでほんと大丈夫か?」
変わってるのは陛下の方かと。
「ソーヤ様、胸を大きくする魔法とか持ってません?」
「変身するだけならあるぞ?でも虚しくなるだけだからやめた方がいいかな」
変身魔法じゃ意味ありませんですしね。胸パットも変わらないですわ。
「委員長、ソーヤ様どこにいるかご存知ありません。あら、ソーヤ様ここにいらっしゃったので。みなさんソーヤ様こちらにいらっしゃいますわよー」
おや、クラスの皆も集まって来ましたですね。
いいですわねー、みなさん立派に成長されて…
「委員長、ちょっと委員長。実は二人っきりで話をしたいことがあるんだ。そう二人っきりで!…だからこの魔法解いてくんない?」
二人っきりでですか!そうですわね、今まで二人っきりなんてなかったですわね。いったい何のお話でしょうか…胸がときめきますわ!
私はソーヤ様の魔法を解除し、
―――ダッ!
『『マリオネット・ダンス!』』
「あのヤロウ、全員に教えたんかよ!?」
◆◆◇◇ 視点変更◇ソーヤ ◇◇◆◆
「それでお話というのは?」
「ああ、今度各国を回って転移魔方陣の設置に行くにあたってな。委員長も付いて来てもらえないかと思って」
うむ、委員長は家事スキルが抜群にいいからな。いつも作ってくれているお弁当、おいしゅうございます。
アーチェと麻呂姫は家事スキル絶望的だし、メリ姉はワイルドめしだからなあ。迷宮内では家事は基本ユーリが担当している。
「それは本当ですか!私もご一緒させてくれるのですか!!」
「ああ、なんせ、長い間旅行することになるしな。ほら、そのー料理とか、家事とか…って、もしかして貴族に失礼か?」
まるでメイドさんだな。これメイドさん雇った方がいいのか?
「いえいえ、メイドだろうがなんだろうが、ソーヤ様のお役に立てるのであれば問題ありませんわ!」
「ほんとにいいの?」
いい子だな委員長。いいお嫁さんになると思うよ。
「そうでしたわね。他の方にはない魅力。ふふふ、あの二人じゃ私にこれで敵うことはできませんですわね。これは…いけますわね!」
どこにいくんだよ?もしかして変なスイッチ押しちまったか?
「ソーヤ様、おまかせ下さい。このマリセリーヌ・レイ・セトバナ。たとえ火の中、水の中、どこへなりともお供いたしますわ。このマリセリーヌ・レイ・セトバナが!」
なんで2回も名前を言うんだ?
「そんぐらい言っとかないと、覚えないでしょう?」
良くご存知で。
「ああ、そう言えば、クラスの方は大丈夫かな?ワタクシ先生1人じゃ大変じゃないのか?」
「大丈夫ですわ。今回、王立学園からこちらに移って来たメンバーに私の妹がいます。私の引継ぎならその子にさせますわ」
「へー、そういや一人、委員長に似た子が居たな。ん?待てよ。その子確か、随分アーチェに懐いてたような」
「…アーチェさんの信者ですわ」
ホントに大丈夫か?
◇◆◇◆◇◆◇◆
「あーあ、もう戻ちゃった。ねえ委員長もっと長く変身できないの」
「そうですわねえ。先生にもう一度吸わしてもらうとか」
「……ちょっと委員長、ワタクシ元の姿に戻らないんですが?」
「「………………」」
「よ、良かったじゃないですかー。もう一度青春を謳歌できますわよ!」
「こういう場合、もう成長しないとかなりそうな気もするな。おい、それ危険だから没収な」




