第十二章 終わりよければすべて良し!で許して
◆◆◇◇ 視点継続◇ソーヤ ◇◇◆◆
「ユーリ!怖かったよユーリ!!」
「うん、うん、怖かったよね」
助け出されたオレは、ユーリに真っ先にしがみついた。
「何やってるのよ。そこは私とおじゃる姫に抱きつくとこじゃない」
「そうでおじゃる。ほらソーヤこっちに」
「ひぃいい、雷がぁ!雷マンが襲ってくるよぉお!」
「ほら大丈夫。ボクがちゃんと守ってあげるから」
「ずいぶんトラウマになってんね。まあ、あの状況じゃ仕方ないかね」
お前らもさっきの雷マンに襲われて見ろよ!こえーんだぞ、ちょーこえーんぞぉー。
「なんかしゃくぜんとしないわね」
「そりゃこっちのセリフだろ!?」
今回、一番の強敵だったのお前達だぞ?なんでオレを攻撃すんだよ!
「それで、この迷宮のラスボスどうするの?」
メリ姉が、人型になって正座してるじいさんを指差す。
「火あぶりでも水攻めでもお好きに」
「ちょっ、それはないであろう!お主とわしの仲ではないか」
「まさかっ!ソーヤ…もう…」
麻呂姫がオレを蒼白な顔で見てくる。ちげーし!掘られてないからな!じじいも紛らわしい言い方すんなよ!
「うむ、わしはいつもパーティを組んで狙われる方であったからの。初めてじゃわい、仲間と供に戦うというのは。うむ、結構良いものじゃの」
そりゃー、自分が狙われねーからな。つーかあんた、最終戦何もしてねーだろ?
「それじゃそろそろ帰るか。明日の準備もしないとな」
「式はもう良いでおじゃる」
「あんたまだそんなこと言ってるの?」
ん?決着ついたんじゃなかったのか?諦める方に決着がついたのか?
「違うでおじゃる。悔しいでおじゃるが、形式上の妻はアーチェに譲るでおじゃる。今回のことで麻呂は分かったでおじゃる。形がなくともしっかりと絆はあるということが」
「おじゃる姫…」
「よっと」
「ん?何してんのソーヤ、そんなでっかい箱取り出して」
「これか、これはな…」
お、やっぱりか。こっちの方にもかかってんな。オレは箱から取り出したソレを羽織った。
「きゃっ、なんでおじゃるか!急に麻呂の服がドレスに!?」
「あら、私のも変わってる」
「これはな、祝福のタキシードつってな。そのな、そのー…この服を着るとな、…愛する相手の服が、ウェディングドレスになるんだよ」
「ソーヤ…!」
麻呂姫は両手を顔に当てて、泣きそうな顔をする。
「ほら、良かったじゃない」
「うん、うんでおじゃる!」
アーチェが麻呂姫を抱き寄せる。二人ともいつの間にそんなに仲良くなったんだ?
「あと、この服、式をあげないと脱げないらしいんだわ。だからな、麻呂姫…」
「ソーヤ、ソーヤァア!」
麻呂姫は泣きがらしがみついてくる。
「式を挙げないと脱げないのかい?それは困ったね」
メリ姉がオレに言ってくる。ん?振り返ったオレが見た風景は…
「ソーヤ…そうだったんだ…ボクでもいいんだ」
ウェディングドレスを着て涙ぐんでいるユーリと、
「まいったねえ、ちょっと年の差がありすぎなんだけどねえ」
同じくウェデングドレスを着たメリ姉が頭をかいている。
「パパー、パパ。シュリもー、ほら、シュリもだよー」
おお、シュリまでだ。これサイズも自動で変わるんだな。そこには妖精サイズのシュリがウェディングドレスを纏ってふわふわしてた。
「ソーヤ…お主…わしのことそう思って…ポッ」
…あれ?若干変なのが居るぞ?うわっきもっ!
そして、ウェディングドレスを着たじいさんが…おいっ、ベルガンディアの王様!これいったいどうなってんだよ!!
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ななな、なんだこれは!」
最近そのセリフよく聞くな。
あれからとりあえず、アーチェの呪い解除の魔法で例の服は脱げた。やっぱ呪いなのなアレ。ちなみに、脱げたあとのタキシードをサーチしてみたら、再度祝福のなんたらがかかってた。どういう構造なのか。とりあえず厳重に封をした箱に詰め、マジックバックの奥にしまっておかないとな。
で、振り出しに戻った訳だが、
「じいさん、じいさん。あんたこの迷宮って自由に形変えることできるの?」
「うむ、できるぞ」
「じゃあ、一階の地上部分、こんな感じにできない?」
ってことで、THE・OSHIRO、すなわち、地上部分にお城を作って貰った。もちろんモデルは、天下の名城、姫路城。
ただ、少し、すこーしだけスケールがでかくなったけどな。具体的には、10倍ぐらい…天守閣が遠いなあ…雲の上にあんじゃね、あれ。
「わしの迷宮のエリアだとこれぐらいになるぞ?」
「アーチェは、これ作れるか?」
「あら、変わった服ね。いいわよー」
ってことで、アーチェにはまさにお姫様って感じの、振袖を作ってもらった。
「ほら、麻呂姫だけの式場だぞ。これでもやめとくか?」
「するでおじゃるぅ!ここで式をあげるでおじゃるぅう!ソーヤ!はよう、はようみんなを呼んでたもれ!!」
ってことで、迷宮と王城を転移魔方陣でつなぎ、準備中の皆様を招待申し上げた訳で、
「ここはいったいどこの国だ!?ソーヤ、こんなとこに連れて来ていったいどういうつもりだ!」
「何言ってんの。ここはアステリアだよ。王都のすぐ隣の迷宮の上だって」
「お主こそ何を言っておるのだ。我が国の迷宮にこんな物は無いぞ?」
「このお方、ここの迷宮の主でして」
ってことで、アルシュラン陛下、フィフス殿下、その父上の元国王様へじいさんを紹介する。
ってことでが多いな。
「ははは、馬鹿な事を、ここが迷宮のはずがない。そんなじじいが迷宮の主のはずはない。ハハハハ…」
元国王様はちょっと壊れかけて来ている。
「じいさん、じいさん、ちょっとドラゴンの姿になってみて」
「うむ」
「「「………………」」」
◆◆◇◇ 視点変更◇前国王様 ◇◇◆◆
「アルシュランよ。ワシは狸か狐に化かされておるのか?」
「父上…いいかげん現実を認めましょうぞ」
ワシはこの国の前国王、この国の迷宮は何度も挑戦し、隅々まで知っておるはず。決してこのようなOSHIROは無かったはずだ…
「ソーヤ兄ちゃん、ほんとにさわっても襲い掛かってこないの?」
「ああ、大丈夫だよ。ちゃんと言い聞かせてるからな」
「わぁ、私、ドラゴンに触るのなんて初めてー」
「おお、すごい!こっちの火の鳥の炎、全然熱くないやー」
そして、この歳になるまで、モンスターと人が触れ合う光景など見たこともない。
目の前には、巨大なドラゴンと火の鳥と戯れる子供達が…いやいや!ありえんだろこの光景!!
「ちょっとソーヤさん!うちの娘に危ないことさせないでくれません」
「あ、おかみさん。大丈夫だって、ほらおとなしいもんだろ」
「うむ、今のわしは機嫌も良いしな。今日は無礼講だ!」
ドラゴンがしゃべっておる…
「へ、陛下、これはどのような冗談で?他国の大使を、このような危険なとこへ連れて来るなど正気の沙汰ではござらんぞ」
大使連中がアルシュランに詰め寄る。
「おお、そうであった。あそこにおる、ドラゴンとフェニックスを手なずけている、ソーヤと言う者が前回のメテオ事件の張本人だ。うむ、煮るなり焼くなり好きにして良いぞ」
「「できる訳がないでしょう!!」」
と、そこへリーシュが走ってき、
「父上、兄上。どうでおじゃるかこれは」
そう言って体を一回転させる。
「おお、変わった服だな。よく似合っておる」
「アーチェが作ってくれたでおじゃる!」
聖女が?聖女とは仲が悪かったのではないか?
「父上、麻呂は、麻呂は世界一の幸せ者でおじゃる!」
そう言って輝くばかりの笑顔を向けてくる。うむ、よい笑顔だ。リーシュの母も草葉の陰で泣いておろう。いだっ!
「人を勝手に死んだ風に呼ばないで下さらない!」
「母上!!」
「お、お前、どうしてここに!?」
「娘の晴れ姿、見に来ない訳にはいかないでしょ?」
そこにはリーシュの母、すなわち、ワシの嫁が立っておった。
「あれ?麻呂姫のお母さんって生きてたの?」
「ソーヤは初めてでおじゃったな。紹介するでおじゃる。こちらが麻呂の母上の…」
「ニーフェン・フォン・アステリアですわ。小さなお婿さん」
ワシの嫁が自己紹介する。
「麻呂の母上は、麻呂が小さい頃に実家に軟禁されることになったでおじゃる」
「それはまたどうして?」
「うむ、ワシとニーフェは供に敵対国家の王家の出であってな。アステリアが力をつけるによって、その国が我が国を危険視しだしてな。その人質として軟禁されておったのだ」
こないだも、その件で当国へ行っておったのだが、軟禁解除はすげもなく断られたばかりのはず?
「さすがにメテオバーストとワールド・プロテクション・アイギスの魔法は効いたようですわね。このまま、アステリアの機嫌を損ね続けて万一があったらということで、今回開放に至ったようですわ」
「それでは、母上はこれからずっと、麻呂達と一緒に暮らせるでおじゃるか!」
「そうですわよ」
リーシュは、プルプル震えながら、
「ソーヤ…あらためてお礼を言うでおじゃる…あの時、迷宮で助けてくれてありがとう。あの時、武闘大会で助けてくれてありがとう。麻呂は…麻呂は生きていて良かったでおじゃる!」
ソーヤは、そう言ったリーシュを優しくなでている。
「良い伴侶を見つけたようですわね。あなたもよく認めましたわね、リーシュはいずれ…とか言っていたのに」
「認めざるを得なかったしな。アレを見てみろ、あの者に敵う者が居ると思うか?」
「…あらなんのことでしょう。私には何も見えませんわ」
我が妻は色々見えないことにしたらしい。うむ、わしもそうするかな。
◆◆◇◇ 視点変更◇ソーヤ ◇◇◆◆
「ソーヤ君、これはまた、とんでもない物をこさえたであるなー」
「ああ、ホーネスト先生。久しぶりだね。ん、なんかオレにそれ以外にいうことはないかな?」
「ふむ、なんかあったかのう?」
妹のこと言えよ!
「い、いや、忘れていた訳ではないであるぞ。ソーヤ君の妹だけあって…」
あってって、なんなんだよ?
翌日、式には大層人が集まって来た。なんせ広いしな。もったいないんで、見たい人は全員入れることにした。
最初は恐る恐るだった人達も、突然できたOSHIROには興味深々で、今じゃ…
「ちょっ、なにるすか!ひげを引っ張るでないぞ!」
「ちょっとだけ、ちょっとだけ、先っぽだけでもだけでもいいから」
なんてドラゴンのじいさんのひげを引っ張ってる冒険者も居たり、
「こら、鱗に剣を立てるでない!」
『エアブラスト!』
「ごはぁあ!」
「ちょっと!マナーは守りなさいよ!おじいちゃんが嫌がってるでしょ」
「おお、お主は宿屋の子と言う名前の…」
「それ名前じゃないし!」
あまりにもはっちゃけた冒険者は、宿屋の子にお仕置きされている。
「おお、伝説としてのみ存在しているフェニックス…ぜひその炎を頂けぬか」
などと言っている魔術師も居たり、
「残念ですが、私の炎に堪えられる物質は存在しません。今は、他に移らないようにしてますが、燃えるようにすれば、すべてを燃やし尽くしますよ」
「あちっ、あつっ、私が悪かった、悪かったからやめてくれ!」
うん、ちょっと火力を上げたようだ。
「とおちゃん、でっかいお城だねー。これ誰が住んでるの。天井がずーっと上にあるー」
「うむ、ここにはな、それはもうでっかい巨人が住んでおってな」
いや、住んでませんから。子供に適当なこと教えるのやめような。
「なんでも、今度姫様とご結婚なさるらしいのだぞ」
「えー姫様ちっさいのに大丈夫なのー」
「そこはほら魔法の力で…」
『エアハンマー!』
「ひでぶっ!」
子供に何教えてんだよ!ちなみにオレは巨人じゃねーぞ。
「ソーヤ様、此度はお招きありがとうございます。立派なお城も建てられたようで…」
「うむ、守護獣にエンシェントドラゴンと伝説のフェニックスか…相変わらず規格外だの」
ファンレーシアの女王様にベルガンディアの王様がそう言ってくる。
「別にオレの城じゃないぞ?」
「またまたぁ、いよいよ大陸統一に乗り出したのですね」
「ちょっ!物騒なこと言わないでよ!やめてよ、こないだ各国の大使と揉めたばっかなんだから!」
毎日アサシンさんの顔を見るのも飽きた。まじ勘弁してください。今日なんて10人ぐらい来たぞ!
「そんなものは根っこを絶ってしまえば良いのですよ。ソーヤ様なら誰が差し向けたかすぐにおわかりになるでしょう」
女王様がそう言ったと同時に、各国の大使連中の顔が青ざめる。絶っていいのかなあ?
と、その時、一際大きな歓声が上がった。麻呂姫が姿を現したようだ。
「あら、かわいらしい。大変良く似合ってますわねー。今度、私の国にもあのような服を用意してもよろしいでしょうか?」
「ん?別に著作権がある訳でもないし。好きにしたらいいと思うよ」
「ソーヤ!ここにおったか!何こんな所で油うっておる!お前もすぐに着替えんか!」
フィフス殿下達がこっちに走りながらそう言ってくる。まだ時間には早いんじゃ?
「お披露目があるだろう。お前だろこんなに大体的に人を入れたのは。これからすべて回るぞ」
ええっ、マジスカ。何キロあるんだこれ。
「上の階ももちろんいくぞ」
「ほら、私が補助魔法かけたげるから、さっさと行ってきなさいよ」
「階段だけでもスゲー高いんですが」
まんまスケールをでかくしたもんだから、階段の一段が数メートルある。階段に階段つけないとダメだなこりゃ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ハァハァ、全部回るだけでも大変だなこりゃ」
「麻呂は、ソーヤとこうして回れて、大変嬉しいでおじゃるぞ!」
そりゃー、あんたのパラメータ高いからな。オレ普通。
「おお、やっと帰って来たか」
「何運び入れてんの?」
俺達が控え室に帰って来ると、城の兵士達がでかいパネルのようなものを運び入れていた。
「うむ、これは遠くの景色を映す魔法具でな。これだけ人が多いとお主達の姿が見えぬであろう」
アルシュラン陛下がそう言う。
そんな便利な魔法具あんなら、わざわざ回らなくても良かったんじゃ…
「ソーヤ、リーシュ、準備はできておるか?そろそろ始めるぞ」
フィフス殿下がオレ達に問いかけてくる。
「ばっちりでおじゃる!」
「そうか。リーシュ、まだまだ、子供、子供だと思っておったのに早くもこういう日がこようとは」
いや、ほんと子供ですから。まだ、10歳ですよ?
「これからは立派なレディとして発って行くのだぞ」
「まかしておくでおじゃる!」
いや、だからまだそんな歳じゃないって。
オレと麻呂姫が神前に向かって歩いて行く。回りは大歓声だ。もう和式結婚式じゃねーな。
「うむう、せっかく空中神殿を作ったのに。ソーヤに一本取られたな」
うん、落ちるフラグは回避できたようだ。
「ソーヤ様…」
「ちょっと委員長これからどうするのよ?」
「大丈夫ですわ。先ほど叔父様からコレを頂いたの」
何持ってるの?叔父様って例のアレ?やめてよもう呪いの一品は。
「姉上、やはりソーヤ様は一味違いますね」
「そうでしょ。ちゃんとあなたはソーヤ様の下僕となり、お使えするのですよ」
何吹き込んでんの姉上?まじ勘弁してよ。
「ソーヤ兄ちゃん…」
「そう落ち込むなって、ほら…その…お前にはオレがい…」
「大丈夫まだこれが残ってるから」
そう言ってカード出す宿屋の子。ん?どっかで見たカードだな。なんだったかな。
「お父様…なんだか素敵ですね」
「うん。シュリのパパはすっごいんだよー」
「そう言えば、私達、姉妹になるんだよね」
「ホントに!?セイカちゃん、シュリのことお姉ちゃんって言っていいよー」
いや、逆だと思うぞ。
「ほうほう、これが人間のけっこんしきという物か。随分賑やかじゃのう。まるでゾンビに追い立てられとる吸血バットのようじゃのう」
それ、どんな状況?
「とおちゃん、姫様の相手って巨人さんじゃないの?」
「うむ、あれはだな、子供が作りやすいよう魔法でだな」
『エアハンマー!』
「あべしっ!」
シモネタ禁止な。
「アーチェ、ほら、ソーヤが来たよ。うん、なんだか凛々しいね」
「そうね、私が作った服だもの、馬子にも衣装よ」
こらこら。
「なんだか普通に振舞ってるね。もっと暴れるかと思ったんだけど」
「なに言ってるのよメリ姉。私達これから家族になるのよ?いちいち嫉妬なんてしてられないわよー」
「ねえ、君ほんとにアーチェ?」
うん、きっそそれ、アーチェの皮を被った何かだな。
「みんな失礼ね!」
そして、オレと麻呂姫は部屋の中央の神前に辿り着き、
「ソーヤ、これ指輪でおじゃる」
「おっと、今回はオレがちゃんと用意したぞ」
外れなくなったら困るからな。オリハルコン製だぞ。賢者の石だぞ。お値段はプライスレスだ。
「ソーヤ、麻呂の為に…」
「それでは誓いの言葉とくちづけを」
そう神父さんが言ってくる。ここからは洋式だな。誰も和式の方法知らないし。もちろんオレも知らない。
「ソーヤ、麻呂はいついかなる時も、供に過ごし、ソーヤのみを愛し続けることを誓うでおじゃる」
「麻呂姫…オレも麻呂姫…え、えーと、り、リンスだっけ?」
「ひどいでおじゃる!この期に及んで麻呂の名前を知らぬでおじゃるか!!なんでおじゃるか、そのキューティクルに必要そうな名前は!」
「く、苦しい、ち、違うんだ麻呂姫!」
麻呂姫がオレの首を絞めにかかる。違うんだ!ずっと麻呂姫って言ってたからド忘れしてって、あれ?オレ、麻呂姫の正式な名前聞いたことあったけ?
「変わった結婚式ねー。和式とやらって、男の人が首絞められるの?」
いや、そんな風習あったら怖いぞ。
「リーシュフェールでおじゃる。これから最もソーヤが愛する人物の名でおじゃる!しっかり覚えてたもれ!!」
「なにこっそりアピール入れてんのよ!」
「ほら、さっさと誓うでおじゃる!」
「わたくしことソーヤは、ここにいるリーシュフェールさんと、生涯を供に過ごし、愛しつづけることを誓います」
ほら、言ったから、言ったんだから首から手を離して。もう息がやばい。
「まったく、最後の最後まで、ソーヤはソーヤでおじゃるな」
それどんな評価?
「ほら、くちづけでおじゃる」
オレと麻呂姫とのくちづけが終わると、回りから盛大な拍手が送られる。今回は出歯神は現われなかったな。いてっ、なんでこんなとこに桜の花びら?
しかしまあ、麻呂姫も力強くなったなあ。一瞬天国が見えたぞ。前の世界の両親が手を振ってたじゃねーか。
前略、天国のお父様、お母様。異世界でオレに嫁ができました。二人も。しかも子供の。大丈夫、ここじゃ合法ってことになってますんで。マジもんの合法ロリだな。
「あれ?この指輪はずれねーな?」
「ああ、それ、ちゃんと私が同じ魔法かけといてあげたから。さすがオリハルコンねー、よく魔法がとおるわー」
「………………」
 




