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アイ・ファンタジア  作者: ぬこぬっくぬこ
第二部◆前略、…異世界で嫁が出来ました!?◆
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第二章 新たなる迷宮へ

◆◆◇◇  視点継続◇ソーヤ  ◇◇◆◆


「お、いいぞ、その調子だ!」

「はいっ!」


「何やってんのー?」

「アーチェか。見ての通りセイカの特訓だが?」

「王宮でもやって、家でもって、ちょっとやらせ過ぎじゃない?」


 そういえばそうか。


「いえ、大丈夫です。少しでも早くお父様を守れる力を身に付けたいんです!」


 ええ子やー、まあこっちはもうちょっとで、


「出ました!いま少し飛びました!!」

「おお、やったか!」

「えっ、なにが出たの?」


 いやな、セイカの奴、力のパラメータも高いが魔力も結構あるんでな。補助だけで終わらすのは勿体無いと思ったんで、魔法の活用をしようとな。

 とはいえ、剣での攻撃の合間に魔法とかじゃ結局一緒だから、アニメでよくある、剣から衝撃派を飛ばすような魔法、ソニックスラッシュとかできないかなーと。

 補助魔法をかけた剣の、その補助魔法を魔力の刃として飛ばす方法を試してんだよ。


「えっ、こんな感じ?」


 そういうと手刀から魔力の刃を放った。


「……どうやったんだそれ?」


 オレとセイカは目を丸くしてアーチェを見つめる。


「え?前にユーリが言ってじゃない。補助魔法に攻撃魔法を同時発動よ。プロテクションにマジックスラッシュを同時に発動させて、あとは起動させるだけね」


 …天才の言う事は違うな。そんなのできねーよ!


「アーチェお母様!ぜひ私にその極意を伝授して下さい!」

「え?お母様?ソーヤがお父様で?うふふ、何この子かわいいじゃないー。いいわよ、まっかせなさい!」


 もしかしてこの子、意外と世渡り上手なんじゃ…


◇◆◇◆◇◆◇◆


「うむ、良いぞ!よし、そこだ!うむうむ」


 今日はセイカの迷宮デビューの日、


「さすが我輩のセイカだ。いうことないであるな」


 なぜかアルシュラン陛下が付いて来た。あと、我輩のじゃないよ?うちの子だからね?あげないよ?


「王宮は構わないので?」

「何を言っておる。我輩のかわいいセイカの初迷宮なのだぞ?なにを置いても、こちらを優先するに決まっておろう」


 この陛下もうだめぽ。


「しかし、セイカが使っておる魔法、剣から飛び出しておる物は何だ?また新しい魔法を生み出したのか?」

「オレじゃないけどな。アーチェとセイカの2人で作り出したらしい」


 その名も、


『魔刃剣!』


 おーおー、1階の雑魚じゃ真っ二つだなー。


「ねえ、ソーヤ」

「ダメだぞ!」

「なんでよ?あれなら私でもできるじゃない?」

「お前がやったら、天井ごと真っ二つだろ?オレはまだ生き埋めになりたくない」


 ちゃんとセイカの行動を見てみろよ。敵にしか当ててねーだろ。お前にできるのか?


「練習すれば…」

「ほんとか?ほんとにそう思ってんのか?おい、ちょっとこっち向けよ」


「しかし、これじゃーセイカの実力が測れないね。敵が弱すぎだよ」


 メリ姉がセイカを見ながらそう言う。


「もう少し階層を下げる?ボクなら大丈夫だよ?」


 セイカをサポートしてるユーリが答える。


「んーどうせならもっとカテーのに試してみるか?ほらアイアンゴーレムとかミスリルゴーレムとか」

「そうであるな。よし、そこまでは我輩が誘導してやろう!」


 この陛下、セイカにいいとこ見せたいんだろーなー。さっきからずっと、うずうずしてたしな。



◇◆◇◆◇◆◇◆


「……アイアンゴーレムはおろか、ミスリルゴーレムまで一刀両断だと…」


 おー、こりゃまた、とんでもない威力だな。

 さすがに普通に攻撃したんじゃ傷が付くぐらいだったのだが、しっかり溜めてやるとスパッといった。


「まさしく一閃だなー」

「一閃ってなに?」

「いや、昔カクゲーでな、その一撃が決まれば勝利が決まるって技があってな」


「一閃…一閃かぁ、どうその技名『魔刃剣・一閃』とか」

「お、いいんじゃね?セイカはどうだ」

「はいっ、とてもいい名だと思いますっ!」


 そう言って、セイカは嬉しそうにはしゃいでいる。


「ずいぶん子供達は無邪気にはしゃいでるけど…これとんでもないんじゃ」

「まさかドラゴンの鱗まで切断せんよな?」

「まさかねー…したらどうしよう」


「良いではないか、我輩のセイカは世界一ぃ!」

「兄上が壊れた…」




◆◆◇◇  視点変更◇リーシュ  ◇◇◆◆


「これはゆいゆいしき事態でおじゃる」

「由々しきじゃない?」


 そんなのどっちでも良いでおじゃる!このままでは、このままではぁあ!


「麻呂の出番やら、役割やらが激減でおじゃる!」

「あら?おじゃる姫も私とソーヤの仲間入り?」

「…まだ、麻呂にはデビルダムが残されておるでおじゃる!」


 そう、まだ単体究極兵器が!


「でも魔刃剣のほうが早いうえに、むこうは複数攻撃もできるわよ?」


 そうでおじゃる。麻呂は単体、しかしてセイカは複数まとめれるでおじゃる。こないだ3対一気に真っ二つしたでおじゃる…。


「アーチェとユーリも他人事ではないでおじゃるぞ」

「ん?どういうこと?」


 ユーリが聞いてくる。


「ソーヤが次に目指してる迷宮『標なき宮殿』。主なパーティ構成は3人か4人でおじゃるぞ」

「なんでそんなに少ないの?」


「うむ、この迷宮、階層も浅く、敵のレベルも大したことはないでおじゃる。よって元々そんな大人数が必要でない上に…」

「ない上に?」

「転移のトラップがあるでおじゃる!」


 二人ともそれがどうしたという顔でおじゃるな。分かっておらんでおじゃるなー。


「転移のトラップは引っかかれば、パーティ全員が飛ばされる訳ではないでおじゃる。引っかかった者のみが飛ばされるのでおじゃる」

「パーティが分断されるってこと?」

「そして、分断されたら終わりでおじゃる」


 少なくとも飛ばされた1名は助からぬでおじゃるな。


「なにその無理ゲー」


 アーチェが呆れたように呟いておる。まあその通りでおじゃるな。なんせ、


「今まで一度たりとも攻略されておらんでおじゃる」

「いやでも、ソーヤは転移の魔方陣を研究しに行くだけで…」

「ユーリは分かっておらんでおじゃるな。ソーヤだぞ?きっと「よし、ついでにこの迷宮、攻略して帰ろうぜ」って言うに決まってるでおじゃる」

「「言いそう…」」


 そして、この迷宮攻略の為には、


「まず必要なのは、罠探知、解除のできるスカウト。これはたぶんソーヤが行うであろう」


 最近、メリ姉と特訓をしておるようでおじゃるしな。


「後の人数はそのスカウトの才能にかかっておる。なにせそのスカウトが失敗すれば終了でおじゃるからな。スカウトが管理できる人数までじゃ」

「そうなると、前衛、ヒーラー、プラスアルファってとこだね」


 うむ。ユーリも分かって来たでおじゃるな。


「なに?私は確定じゃないー」

「先に言ったでおじゃるぞ、敵は大したことはない。よってそんなに強力なヒーラーでなくても良い。麻呂もユーリもリザレクションは使えるでおじゃるからな」

「5人はさすがに無理かな?」


 無理でおじゃろうな。すなわち、


「前衛がセイカで決定すれば、この中で最低でも一人、リストラが発生するでおじゃる!!」

「な!なんだってぇえ!!って、順当にいっておじゃる姫じゃないの、それ?」

「なにおう!セイカの活躍しだいでは盾役はいらんでおじゃる!セイカの活躍しだいではヒーラーがいらんでおじゃる!?あれ?これソーヤとセイカの二人だけでいいんじゃ…?」


「「「………………」」」


「ちょっとなんとかしなさいよ」


 そう言われても…というかその対策の為に集まってもらったのでおじゃるが。


「まだセイカちゃんは剣士としてスタートラインに立ったばかりだよ。だから、そんなすぐどうこうということもないんじゃ?」

「甘いわねー。村での事忘れたの?ソーヤとみっちりやってたら、半年か1年もあればこの国一になってても不思議じゃないわよ?」

「大兄上からの指導も受けておるでおじゃるしな」


 しかし、ふむ、そうか、今ならばまだ…


「よし、早急にファンレーシアに行くでおじゃる!」

「なに?あれほど反対してたのに?」

「さっさと行って、さっさと終わらすでおじゃる!」

「なるほど、今ならボク達4人で行くことになりそうだね」


 そうでおじゃる。まだセイカが成長する前に終わらすでおじゃる!




◆◆◇◇  視点変更◇ソーヤ  ◇◇◆◆


「おお!?なんだこれ?スゲー宙に浮いてら」


 いよいよ二つ目の迷宮『標なき宮殿』に向かうことが決まった。なんか麻呂姫が急に張り切りだしてな。

 だがファンレーシアは遠い、馬車でも数ヶ月かかるとかなんとか。まあのんびり観光しながらでもと思ったんだが。


「ダメでおじゃる!数ヶ月もあったらまずいでおじゃる!!麻呂の!麻呂の活躍がぁあ!」


 とか言って麻呂姫がごねて、結果、


「よし、ならば我が国の最も早い馬車をだそう。だが我輩も行くぞ!」


 などと言って陛下が秘蔵の馬車を出してくれた。それがまた…


「見よ!これが、我がアステリアが誇る魔道馬車『アステリアホース』だ!」

「おお!で、馬は?」

「魔石が動力だからな、馬などいらんよ?」


 じゃあ、なんで馬車でホースなんだ?馬居ないなら馬車じゃねーだろ?


「細かい事は気にするでない」


 さいですか。

 しかし、キラッキラだな。あと見た目はどう見ても馬車じゃない。むしろガ○ダムに出てくる戦艦に近いかな?スケールは違うがな。

 おお、中はやはりシースルーか。ほんと魔法バンザイだなー。

 オレはひときわ立派な席に腰掛けた。おーふかふかー。


「ちょっとソーヤ、そこは大兄上の席でおじゃるぞ」


 えっ?国王席?ヤベッ!


「よいよい、我輩はこの長椅子で良い。ほらリーシュ、セイカ、両隣に座ると良い。なんなら膝の上でも良いぞ」


 どこのキャバクラ?


「王宮ではこのようなことはできぬであるからな」

「そう言えば、国王の旅なのに護衛は居ないの?」

「おるではないか?」


 どこに?


「王国一の回復術、王国一の攻撃術、王国一の守護術、ここには我が国一の戦力が集まっておるではないか」


 アーチェ達のことか。なるほど。そう言えば殿下は?

 今回の遠征メンバーは、オレ、アーチェ、ユーリ、麻呂姫、メリ姉、セイカ、アルシュラン陛下の7人だ。


「フィフスか?あやつは留守番だ。父上もバカンス中だからな。王国に王族が居なくなる訳にもいかんからな」

「陛下もバカンスってことになってるの?」

「いや、せっかくだからな、ファンレーシアとの外交ということにしておる。そうでもしないとコレ出せぬからな」


 いいのかなそんなのでっちあげて、


「別にでっち上げではないぞ。留学の話もあるしな。向こうからこっちに一度来ておるのだから、こちらからも一度向かうのも礼儀である」


 絶対後付だね?そう言いながらセイカの頭をなでているじゃ…セイカもすっかり陛下になついちゃってまあ。オレの立場は?


「そんなにもの欲しそうな目をしてもセイカはやらんぞ。我輩のだからな」

「えええ!?」

「お主にはそこの立派な椅子があるではないか」


 オレは麻呂姫に訴えるような目を向け、


「そう言えば、大兄上は昔教師になりたいとしきりに言っておったでおじゃるな。小さい子に囲まれて幸せに暮らしたいと。回りの貴族が慌てて修正しておった」


 そら慌てるわ、そんな言動してたら。


「ところでコレどうやって動かすの?運転手は?もしかして自動で目的地まで行ってくれるの?」

「いや、さすがにそこまでの技術は無い。王都内なら問題ないが、外ではさすがに無理だ」

「じゃあどうするの?」

「ほら」

「なにこれ?」

「マニュアルだ」


 えっ、オレが運転すんの?マジで?


「あっ、私運転したいかもー」

「やります!オレやります!!まだ死にたくない!」



◇◆◇◆◇◆◇◆


「どうだ、このドライブテクニック!これがドリフトだ!!」


 いや車輪ねーからできないが。


「わー、お父様もう一度、もう一度さっきのを!」

「おーまかせとけ」


 最初は恐る恐るだったが、慣れると楽しい!渋滞もない、信号もない、世界のすべてがオレのフィールドだ!


「むむむ、よし、次は我輩が神のドライビングをして見せようではないか!」

「なに言ってるのよ?次は私よ!ちゃんと順番守りなさいよ」


 セイカと麻呂姫がオレの運転ではしゃいでるの見てアルシュラン陛下が言ってくる。つーか、運転したことないんじゃ?

 あと、アーチェ、仮にもその人王様だからな。あんま袖にするのはどうかと思うぞ。


「人のこと言えるの?」


 はい、すいません。


「我輩は国王であるぞ?」

「あら、そんなこと言っていいの?セイカやおじゃる姫に嫌われるかもよー?」

「むむむ…」


 まあ、人が楽しそうにやってるの見たら自分もしたくなる気持ちは分かる。


「だがしかし、運転はゆずりません」

「「ええっ」」


 お前ら運転できんだろ?オレ出発前にちゃんと練習したんだぜ?まあ草原のだだっぴろいとこなら大丈夫かもしれないが。それでもアーチェの運転には乗りたくないな。


「ソーヤ、あれ、あれやってくれでおじゃる!ほらインメルマンターン?」


 いや、いくら宙に浮いてるからって、飛行機じゃないんだから無理だぞ?


「ソーヤだけずるいぞ。我輩もリーシュ達にほるほるされたい」


 ついにぶっちゃけたなこの陛下。ほるほるってなんだよ?


「次に移動する時までに練習しとけばいいじゃ?」

「うむ、そうだな。王宮に帰ったら運転の練習をするか」


 回りが国王様に運転さしてくれるかどうか知らないがな。


「ちょっとソーヤ、前向いて運転してよ。なんか向こう人だかりがあるよ」

「ん?ほんとだ、なんだろな。よしいったん休憩にするか。アーチェと麻呂姫は魔力の充填を頼むよ」


 一日中運転はきついし、魔石に魔力も充填しないといけないしな。


 降りてみると結構な数の馬車が止まってた。ちなみに、向こうの人はこっちをみて絶句している。

 気持ちは分かる。オレだってこのファンタジーな世界に、こんなハイテクな乗り物がやって来たら絶句するわ。


「あのー、こんなとこでたむろして何やってんですか?」


 オレが聞くと、


「いや、あの、アレ何?馬車?」

「おい、アレ見てみろ、アステリア王家の紋章…まさか噂に名高い、アステリアホース…」

「な、なんだってぇ!ということはあの中には、国王陛下が!」


「「「へへー!」」」


 と言って平伏してくる。オレが王様じゃねーんだがなあ。 


「この先でグリフォンの群れが居まして…ただいま領国の兵士たちが討伐に向かっておるところなのです」

「グリフォンとな」


 グリフォンってあれだよな、ワシの頭で羽が生えた犬みたいなやつ。ペガサス、ワイバーンと共に空の騎兵として圧倒的人気を誇る…うむ、一匹くらい欲しいな。

 そういや、この世界ってモンスターテイマーとか居ないのか?


「モンスターテイマー?モンスターを操る職ですか?いえ、聞いたこともありませぬな」

「そもそも、モンスターと共に過ごすことなど無理でしょう。ちょっと寝返りうっただけで、こっちは瀕死ですぞ」


 そりゃそうか。


「でも竜騎兵は居るんだよね?」

「あれは特別でさあ、国が管理されてますからなあ、兵器扱いですぞ」


 ふむう。しかしテイマーは憧れるな。モンスターに乗って大空を翔る。うむ、いいな。よし、試してみるか!


「また、なんか変なことを考えてるね」

「ソーヤダメだよ。グリフォンって言えば街の兵が数十人束になってやっと勝てる相手だよ?」


 メリ姉とユーリが釘をさしてくる、が、


「今更グリフォンなんて余裕だろ?ドラゴンすら倒してんだし」


 ちょっと、見にいこーぜ。


「ほんとにソーヤはもう。いつか痛い目見ても知らないよ?」

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