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アイ・ファンタジア  作者: ぬこぬっくぬこ
第一部◆やり直し、チートなし!◆
1/90

第一章 転生。え?オレ死んだの?

 くっ、まぶしっ!

 オオ光が!

 誰だか知らないが連れ出してくれたのか!?ありがてぇ、ありがてえ。


「なにこの子。生まれてすぐ泣くどころか、笑ってる…」

「ええ?不気味ねぇ。でも丈夫な子供には違いなさそーね」


 ん?なんか様子がおかしいぞ?

 体が思うように動かない。ヒールを!誰かヒールを!


「なんかこんどはひる、ひる言い出したわね。今は夜よ?」

「泣き声じゃないの、生まれだばかりの子がしゃべる訳ないじゃない」

「変わった泣き声ね」


 なんかしゃべっているようだが知らない言葉のような…もしかして…

 オレは恐る恐る体を見渡し…おお、赤ん坊ではないか!

 そこには、すっぱだかの赤ん坊の体が!マジかよ!


 これはいわゆる…転生ってやつじゃ…

 えっ死んだの?オレ死んだの?


「あら今度は泣き出したわね」


 しゃべろうとしてもおぎゃーおギャーとしか言えない。こりゃ確定だなー。

 しかし転生か。まさしくファンタジーだな。ファンタジーってことは、ここはオレが召喚されて来た世界だろうなー。

 よし、試しに魔法を使ってみよう。

 オレは心の中で『サーチ!』と唱えてみた。


「あら静かになったと思ったら寝てるわね」



 どうやら気絶したらしい。気が付けば夜が明けていたでござる。

 …たかがサーチ一発で?サーチなんて1万回は使える魔力があったはずだぞ?

 オレは極限まで絞ったサーチで自分のパラメータを見てみた。


 魔力:0/5


 びっくりな数値が映った。ええっ、20万あったはずだぞ!?5ってなに?

 赤子になったからか?…成長したら戻るよね?

 あ、今0になってら…だんだん意識が遠く…



◇◆◇◆◇◆◇◆


 ある日、家でゴロゴロしながらネットを見てると、回りが突然光だし、唖然としていたら急に景色が変わった。

 えっと思ってあたりを見渡すが、勝手知ったる我が家の面影はなく、大自然が広がっておる。

 そして目の前に…ミイラ!ミイラがいるよ!?


 なに?いったい何が起こったの?このミイラ、オレのせいなの?


 どうしようこのミイラ。供養しなきゃならないのかなあ…とりあえず穴掘って埋めとくか。

 いやいや、今はミイラどころじゃない!なにが起こったのか調べねば!


 ということであたりを散策してみたが、数件の小屋はあるものの人っ子一人いやしない。

 途方にくれてたところ、ふと机の上にある書物を見ると…見たことない字なのに読めるじゃないか。

 なになに?究極魔法の書?ふむ…召還とな。召還ですか!


 中を読んでみると、異世界からの召還魔法が書かれてた。そうかー、あのミイラこれやったのかー…供養はしなくてもいいか。

 しかし魔法か。オレも使えるのかな。よし、


『フレア!』


 とたん巨大な火球が壁をぶち破り、遠くへ飛んでいって轟音と共に山が吹き飛んだ。


「………………」


 なんでオレはお試しなのに一番威力がある物を選択したのだろう?ヤベエこれ苦情くんじゃね?あの山、人住んでないよね?

 オレは急いで山に向かって走りだした。と、すげースピードだ。ええ?オレ普通に走ってんだよね?なんか時速60kmは出てんじゃ…ギャーぶつかるー!


 ―ドゴンッ!


「………………」


 普通に走り出したところ、とんでもないスピードが出た。そしてそのまま木にぶつかったのだが、木のほうが粉々になった。オレの体はなんともない。

 これは…チート、チートですか!異世界人補正ってやつですか!オラ、ワクワクして来たぞ!この世界でなら生きていける。いや前の世界に絶望してた訳じゃないけどな。


 それから毎日、魔法の書物を読み漁り、調子に乗って様々な魔法を試してみた。

 サーチとかで周辺を調べた所、日本一個分くらいの距離には人が居ない事も分かった。マジですカー。まあ食料は沢山あるからいいけど。


 そんな調子で数ヶ月、あらかた魔法の習得も終わり、さあ帰ろうと思ったところ帰る方法が分からない。

 全部の書物に目を通してみても、召還したものを戻す方法は載っていない。そもそも召還自体も未完成っぽい感じだったしな。

 …えっ、帰れないジャン?ん?でも、帰れないと問題あるっけ?両親はすでに他界してるし、子供もいない。よしっ、この世界でオレは英雄王になる!


 ということで、オレはこの異世界ライフを楽しむことに決めた。


 とりあえずは人里探さないとなー。そういやどっかにこの世界の地図が載ってたような…お、あったこれだこれ。…北はどっちだ?えーとこの山、最初に潰したやつだよな。じゃあ山に背を向けた方角に行けばいいのか。


 途中何度か魔物に出くわすものの、今のオレに敵はいない。魔法一発で瞬殺だ。

 しかし町までは遠かった。オレの身体能力を持ってしても3ヶ月ぐらいかかったんじゃないか。


 おお、人里だ。かれこれ半年以上人に会ってないと、さすがに人恋しくなるなー。いよいよ異世界人とのファーストコンタクトだ!


 町の人に色々聞いたところ、この世界には迷宮と呼ばれる物があるとのことだ。

 そこで取れる魔石って奴が、いい値で売れるらしい。ちなみに今のオレは一文無しだ。あのミイラ金持ってねーの。いや、死人に追剥はダメですよ?


 よし、いっちょその迷宮へ行って稼いでくるか!もう魔物の肉は食い飽きた。

 なになに?この近くに世界最難関と呼ばれる迷宮がある?誰もが一攫千金を狙う迷宮だって?おお、そこならがっぽがっぽと稼げそうだな。

 なーにオレはいずれ英雄王と呼ばれる存在だ。そんな迷宮ちょちょいのちょいさ!


 などと、回りの忠告を無視して一人で迷宮に入ったのだが、


 それがまずかった。


 食料が尽きますた。

 それまでは魔物を狩って、その肉を焼いてモ○スターハンター張りの生活をしていたのだが、迷宮のモンスターは死ぬと魔石となる。すなわち肉おとさねーよ!

 町で食料買い込めって?オレ一文無しだよ!


 戻ろうにも戻り道が分からない。この迷宮は、迷宮自体が常に動いているようで、マッピングがまったく役に立たない。

 調子に乗ってかなり奥まで行ったので、他の冒険者にも出会わない。

 仕方ないので魔石をかじってみたが、お腹壊した。


 ついに歩くこともできなくなり、迷宮でぐったりしてたのが最後の記憶だった。


◇◆◇◆◇◆◇◆



 異世界召還についで転生までですか。運がいいのか、悪いのか。

 だが、転生した今のオレにはチート性能はなさそうだ。


 毎日魔法を使って伸びないかなーと試してみるものの、1年たっても魔力は10どまり。倍になったと考えればそりゃいいんだが、どう考えても今後、倍々にはなりそうにない。ちなみに隣にいるやつはすでに500はある。


 せつねえ…


 魔法の知識だけならあるから、使うだけなら何とかなるが、一発気絶コースだ。

 高位の魔法など使った日にゃ、ポンとはじけるかもな。


 きっとオレを召還した奴も、実力以上の魔法を使ったせいで干からびたんだろう。

 それに、両親がしゃべってる言葉も理解できない。壁に書かれている文字も読めやしない。


 ああ、オレの素敵な異世界ライフよ、いずこへ…



◇◆◇◆◇◆◇◆


 数年経ち、何とか言語は理解できるようになった。文字は両親も読めないらしい。

 だが、文字は読めないと先に進めない。

 チートをなくしたとしても、このまま農民として生を終える気はない。

 知識を生かすためにも文字は必須だ。


(とりあえずの目標は、あの迷宮を突破してやる)


 と、またろくでもない事を考えてるオレが居たりして…


 両親に文字を覚えたいと伝えたところ、


「おいおい、文字なんて覚えなくても畑は耕せるぞ」

「実はオレ、前世の記憶があるのです。ぜひそれを生かしたくて…」

「早くも厨二病か?」


 この世界にもあるんだ厨二病…


「しかしうちには学校なんて通わせる余裕はないぞ」

「まあ、あなた。村長さんのお子さんがちょうど勉強しているみたいだからまぜてもらえばどう?」

「二人も同時だと村長も大変じゃないか?」


「聞くだけ聞いてみるよ」


 オレはそう答え村長の家へ向かった。



◇◆◇◆◇◆◇◆


「もう勉強ばっかりイヤ。どうして私だけが勉強しなくちゃならないの!?」


 村長宅に着くとそう声が聞こえた。


「ほかの子達は毎日遊んでるのに、どうして私だけ」

「それはお前が私の娘であるからだ。この村を納める立場である私達は教養をおろそかにしてはならない」


 どうやら喧嘩中らしい。


「それに他の子達は決して遊んでいる訳じゃないぞ。畑仕事をしたり、狩にでたり仕事をしているのだぞ」

「私もそっちがいい。それに私、将来は冒険者になるから村の事なんてどうでもいいもん」

「ばかな事を言うな。冒険者になどなれる訳がないだろう」

「なるもん!」


 村長さんの娘さんは冒険者志望のようだ。


「ん?君はたしかヴェルさん家の子じゃないか」


 村長さんが窓から覗き込んでるオレに気づいて話しかけてきた。


「はい。文字を教えて貰いたくてここまで来たんです」

「ふむ、文字なんて覚えてどうする気なんだ」

「魔法を使いたいんです」


「魔法とな……」

「うん。以前ここで魔法の書がいっぱいあったのを見たので」

「ううむ。文字を覚えたいというのは立派な事だが、読めるようになったところで魔法は使えないぞ」

「えっ?」


「魔法を使うには素質が必要になる。それに合わせて物事に対する理解も必要となる」

「物事に対する理解?」

「そうだ。たとえば火の魔法を使うには、火とはどのように生まれ、なぜ燃え続ける事ができるのかなどだ」


 素質と理解か。

 よく分からないが適当に使ったら使えてたけどなあ。


「魔法を使えるのは、王都などで様々なことを勉強し、素質あるものぐらいしか使う事はできない。このような田舎では使える者など居ないよ」


 たしかに、今のオレは素質はからっきしだしなあ。


「祖先が王宮魔術師であったことがある私の家系でも、その人以降、一人も魔法を使える者は居ないんだぞ」


 なるほど、村長さんちは祖先が魔術師なのか、それで魔力が高いんだ。

 オレはこっそり娘さんの魔力を見てみた。


(おお、村長さんと一緒で1万近くある。素質だけは高そうだな)


「しかし娘のアーチェも二人ならもう少し身も入るか…?覚える気があるなら勉強してみるかね?」

「えっ、いいんですか?」

「うむ、かまわないよ」


 それから村長さんの娘さんと一緒に勉強することになった。



◇◆◇◆◇◆◇◆


「自分から勉強したいだなんて奇特な奴ね」

「勉強きらい?」

「大っ嫌い」


 そう言うと娘さんは机につっぷした。

 村長さんは今、用事で出かけている。


「うーん…ちょっとこっち見て」


 そう言うとオレは、手のひらの上に小さなライトの魔法を発動させた。


「えええ!これなに!?魔法…ねえこれ魔法なの?」


 娘さんはとても驚いた顔でライトの魔法を凝視した。


「ええっ、どうして?どういうことなの!?」

「見よう見まねでやったらできたんだ」


 そう言ってオレは、光を7色に変化させてみせた。


「きれい…」

「勉強していろんなことを理解できたら、君にでもできるようになるかもよ?」

「ほんとう?」

「うん、だからまずはオレに文字を教えて。一緒に魔法が使えるようがんばろうよ」

「分かった、がんばる!」


 村長さんの娘さんは結構チョロインさんかも。


「えと、君の名前はアーチェだっけ?オレの名前はソーヤ。よろしく」

「うん、よろしくね!」


 それからアーチェに文字を教えてもらってると、村長さんが帰ってきた。


「あ、あ、あ…アーチェが人に物を教えている…!?」

「ん…?」

「バカな…ありえない…!あの勉強嫌いのわがまま娘が!?」


 えらい言われようだな。


「ちょっとなによ。私だって人に教えるくらいはできるわよ」

「おおお…」


 ずいぶん感動しているようだ。今までの苦労がしのばれる。


「これはいい刺激になりそうだな」


 そう言うと村長さんはこっちに向いて、


「これからもよろしく頼むよ」


 とりあえずオレは頷いておいた。



◇◆◇◆◇◆◇◆


「ねえ最近見かけないけど、いったいどこに行ってるの?」


 今日も村長さんの所へ行こうとしたら、近所の幼馴染が声をかけて来た。


「ああユーリか。実はこないだから村長さんに字を教えて貰っているんだ」

「文字を?そういや覚えたいって言ってたね」

「どうせならユーリも来るか?オレが覚えてるとこまでなら教えてやるよ」

「いいの?最近一緒に居れなくて寂しかったんだ」


 そう言うとユーリはオレの手をとって体を近づけてくる。

 こいつ見た目はどうみても女の子なんだけどな。

 残念ながら一緒に風呂に入った時にはついてた。

 なにがとは言わないが。


「えへへ、久しぶりにソーヤの手を握ると落ち着くね」

「生まれてからずっと一緒だったしな」

「うん。これからもずっと一緒に居れたらいいね」


 これが女の子だったらフラグなんだろうがなあ。

 男の娘ルートはごめんこうむる。

 まあ、こいつとは長い付き合いでいたいけどな。

 迷宮探索も一人で潜る気はもうないし、見た所素質も悪くなさそうだから誘ってみるのもいいかもな。


「なあ、オレは将来冒険者になるつもりだけど、ユーリは将来なりたいものってある?」

「ええ!ソーヤは将来村を出て行くの?」

「それはほぼ確定だな」

「そうかあ。うーん、ボクなんかが冒険者になれるかな。できれば一緒に行きたいよ」

「よし、それじゃオレと一緒に勉強と訓練をしよう。おまえならきっと大丈夫だ」


 とか話してたら村長さんの家に着いたな。


「ちょっと彼女同伴?ガキのくせに生意気ね」

「アーチェか。言っとくがこいつは男だぞ」

「ええ!?マジで?とてもそうは見えないわね」


「ソーヤこの人誰?」


 しがみつくなって、変な目で見られてるだろ。


「こいつはアーチェ。村長さんの娘さんだよ」


 そう言ってオレはユーリにアーチェを紹介した。


「んでもって、こいつはユーリ。オレの幼馴染だ」

「ずいぶんとかわいらしい男の娘ね。もしかしてそっちの趣味?」


 ねーよ。


「アーチェとは一緒に勉強しているんだ」

「二人っきりで?」

「いや、村長さんと一緒だから3人だな」


 なにやらユーリは考え込んで、


「僕、ソーヤと一緒に冒険者になるよ!そして一緒に冒険する!」

「おお…まあがんばろうぜ」


 突然張り切りだしたな。まあいいことだ。

 アーチェはなんだが憮然としているな。

 ユーリはそんなアーチェを睨むように見つめて、


「僕負けないからね」


「…なんだか分からないが、とりあえず中に入ろうぜ」


 オレはそう言って二人を家に押し込んだ。




◆◆◇◇  視点変更◇アーチェ  ◇◇◆◆


 私の名前はアーチェス・アングローバー!いずれ数多の冒険をこなし、聖女と呼ばれる存在よ!


 …なんて言っててもお父さん頭固いからなあ。結局は村長継がないとだめかなあ。


 今日もお父さんと言い合いをしてたら、窓から覗き込んでいる奴がいた。

 まったく、見せ物じゃないわよ。

 とか思ってたら、


「覚える気があるなら勉強してみるかね?」


 と、一緒に勉強することになった。

 しばらく経って、いつものように私がやる気をなくしてつっぷしてると、


「うーん…ちょっとこっち見て」


 なによって、えええ!指先が光ってる!

 すごい!きらきらしてとてもキレイ!

 え!?わたしにもできるようになるの?ほんと?


 よし、勉強がんばらないと!

 いずれ魔法を極めて聖女と呼ばれてやる!


 それから毎日、そいつと勉強をすることになった。

 不思議なもので、それまでまったく面白くもなかった勉強が、とても面白くなってきた。

 そいつが幼馴染を連れて来て暫く経ったある日、


「人の体はね、色々な器官があるんだ、まずはそれを理解しないとね」


 なんだか細胞がどうとか色々言われてるけどよく分からない。


「ちょっと私には難しすぎると思うんだけど」

「魔法を覚えるんだろ?まず最初に覚えるのは回復魔法だ。何はなくとも覚えといて損はない系統だしね」

「ふむふむ」

「ぼくはある程度分かってきたよ」


 ってそいつの幼馴染のユーリは言った。くっ、私より理解がいいとは生意気ね!


「ユーリには昔から応急処置とか色々教えてたしね」

「え、なによ、じゃあ私が頭悪いんじゃないってことね」

「アーチェは悪いどころか、今まで会った人の中でも一番理解が早いよ」


 むふふ…当然よね。なかなか見所があるじゃない。


「でもいい加減、魔法のひとつも使いたいなあ」

「ほんとボクでも使えるようになるのかなあ」

「おいおい二人とも、魔法ってやつはできないって思ったらおしまいだ。オレはできる。そう思い込むことが第一の条件だ」


 思い込む、うむ思い込むね。

 私にはできる…私にはできる…私にはできる……

 あっ今なんか光った!


「おお、魔素の流れが」

「ちょっと刺してもいい?」

「なんでだよ!」

「怪我しないと回復魔法使えないじゃない?」

「っく、ナチュラルにオレを人体実験に使おうとしてる…」


 あら逃がさないわよ?


 …そうやって追いかけっこしてたら普通に怪我しました。


「おおお、ほんとに回復してる…!」

「やったなアーチェ、これで君も魔術師だ!」

「ソーヤほらボクにもできたよ」

「おお、ありがとな回復してくれて」

「えへへ」


 やった…魔法が…やったああ!!

 わたしははしゃぎは回ってさらに怪我をしました。


「ソーヤの回復魔法は私達とはなんか違うような」

「ああそうだ。いま二人が使ったのは普通のヒール。オレが使ったのはリザレクションって言われる魔法だ。とはいえかなり威力は絞ってるけどな」

「リザレクション?」

「ヒールはあくまで人の回復を早める魔法。それに対してリザレクションは蘇生、つまりよみがえらす魔法だ」

「???」

「リザレクション?う~んどっかで聞いたような…伝説の魔法とかなってたような?」

「まあ、おいおい説明していくよ。これさえ使えりゃ生存率が急激にアップする。ちゃんと見て覚えておくんだぞ」

「うん、分かった」


 夢広がる、世界の魔法、私たちの未来にかんぱい!




◆◆◇◇  視点変更◇ユーリ  ◇◇◆◆


 ボクの名前はユーリ。ソーヤの幼馴染です。

 ソーヤというのはボクと同じ年に生まれた男の子で、今年6歳になります。

 それまではいつも二人で居たんだけど、ある日文字を勉強しだしたとかいって、村長さんの所に入り浸りになって居ました。

 ボクは勇気を出して一緒に勉強させて貰う事にしました。

 だってソーヤとずっと一緒に居たいんだもん。


 ボクのソーヤは6歳とは思えないほど物事をよく知ってます。いつもボクは助けられてばかりだから、いつかはソーヤを助けられる存在になりたいと思っています。

 もし、ボクが女の子だったら絶対に結婚してます。それくらいボクはソーヤを慕ってます。


 そんなある日、ボクは魔法が使えるようになりました。

 魔法…ボクが使えるようになるなんて、やっぱりソーヤはすごいや。


 ボク達が魔法を使えるようになって数ヶ月が経った頃、


「最近二人ともやる気が落ちて来てるな」

「もっと魔法を教えてよ!」

「まずは物事の理解が先だって」


 ほんとアーチェはこらえしょうがないなあ。


「それに毎日勉強ばかりでつまんない」

「前に勉強も面白くなって来たって言ってたじゃない?」


 ボクがそう言うと、


「魔法が使えるようになったのよ?もっともっと魔法が使えるようになりたいわ。それに毎日こればっかじゃねえ…」

「そう言えばそうだな。オレも文字を覚えるので精一杯だったから忘れてたな。やっぱ休日は必要だな」

「???」

「よく学び、よく遊ぶ。学ぶばかりが人生じゃない。遊ぶ事も大切だ」

「いいセリフね。そう遊ぶ事こそが大切なのよ!」

「いや違うからな」


 ソーヤは苦笑、ボクもさすがアーチェは違うと思った。


「じゃあ村長さんに掛け合ってみるか」


 村長さんも毎日勉強ばかりでさすがに良くないと思っていたらしく、毎週土・日は休日として、毎日午後3時以降は自由時間とすることになりました。


「ここがいいか、ただ遊ぶだけじゃ時間の無駄だしな。体も鍛えれるアスレチックを作ろう」

「なにをする気?」

「魔法の練習」

「まじで、やった!」


 アーチェは喜んでるけど…


「まずは土魔法だ。土魔法で地形をいじるんだ」

「ふむふむ、…なんか地味そうね。いつになったら派手なのを…」

「アーチェ、土魔法は大切だぞ、落とし穴だったり、壁を作ったり、瞬時に動かせれる地形は応用がきく」


「そうは言ってもねえ…」

「それに攻撃魔法最大の禁忌、メテオバーストは土魔法を極めないとダメなんだぞ!」

「ほんと!うん、がんばる!!」


 ほんとソーヤはアーチェの扱いがうまいなあ。


「うむむ、結構簡単ね」

「まあ、回復魔法に比べりゃたいていの物は簡単だな」

「なによ、回復魔法って一番難しい物だったの」

「人の体のつくりは複雑だからな。生物に直接作用するものだし、間違いも許されない。回復魔法は全系統で最も難しい物かもな」

「もっと簡単なのからでも良かったんじゃ」

「命大事、いちばん優先ね。まずは回復魔法、その次は隠蔽などの逃げる為の魔法だね」

「うんそうだね。それより、これいったい何に使うの?」


 ボクが今作ってる物についてソーヤに聞くと、


「これか、これは滑り台だ。もうすぐできるから待ってな。ちなみにあっちはブランコっていうやつな」


 ブランコと滑り台か。いったいソーヤはどこからそんな知識を覚えてくるんだろ。同じ書物で勉強してるはずなんだけどなあ。



◇◆◇◆◇◆◇◆


「きゃああ…ああびっくりした、けっこうスピード出るものなのね」


 完成した滑り台から滑り降りたアーチェは楽しそうだ。


「ほらユーリも滑ってみろよ」

「えええ、なんか怖いよ」

「大丈夫だって。なんかあってもオレがなんとかしてやるから」


 やっぱりソーヤは男前だね。


「わわわ」

「どうだ?けっこう楽しいだろ」

「うん、さっきのブランコよりだいぶいいね」

「あれは…アーチェがバカみたいに押したから…本来はもっとゆっくり漕ぐものなんだよ」

「そうなんだ、でももう乗りたくない」

「まあそう言うなよ。二人乗りとかでカップルにも好評らしいんだぜ?」

「え、ほんと?じゃあ一緒に乗ってよ」


 うん、ブランコもいいね。

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