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元魔王(偽)で公爵令嬢リディアーヌの冒険  作者: 星乃 夜一
嫌われ公爵令嬢 対 攻略対象者!?
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第十九話

お久しぶりです。あまり間をあけるのも何なのでちょっと更新。

おさらいな感じです。

気がつくと私は真っ白な空間に立っていた。

そこは何もなく、暑くも寒くもない。

女神様の世界だ。

昨日、一昨日と女神様に連れて来られた世界。


瞬きをする一瞬で、女神様は現れた。

足元まである淡い金髪。

白いドレスの清楚な女性。


女神様はその花のような口を綻ばせ、言った。


「リディアーヌ、グッジョブよ!

昨日のは、なかなか面白かったわ!」

「・・・・」


グッジョブというのはよく分からないけれど、昨日のというのは聖女が私の部屋にやって来て、色々言っていった事か。


「女神様」

「面白い展開に持っていったわね。

聖女と公爵令嬢のガールズラブね。

それもアリよ」

「・・・ガールズラブってなんでしょう?」

「女同士の恋愛よ!」


女神様はグッと親指を立てて、ニヤッと笑う。

女神様、清楚なお顔が台無し。

昨日の聖女を思い出す。

私は顔が引き攣るのをなんとか抑えて、笑顔を浮かべた。


「女神様、その件についてお話があります」

「いやよ! 聞かないわ!」


女神様はぷいっと横を向いた。

いやいや、聞いて貰わないと困りますから。

じとーっと見ていると、女神様はこほんっと咳をした。


一瞬で色付く世界。

空は青く、地平線まで緑が広がる。

かと思えば、紫色の木やピンクの木が立ち、青い色の動物や、カラフルな建物が遠くに見える。

遊び心で常識にとらわれずに描かれた世界。

見るのは二度目なのに、一瞬で変わった世界に驚いて、口を開いて、周りを見回す。


「きゃ」


急に足元がせり上がり、私はバランスを崩して倒れた。

倒れた先はふかふかの長椅子。

目の前にはテーブルが現れ、色とりどりのお菓子と、蛍光色の飲み物が置かれた。


「さて、リディアーヌ、お茶にしましょう」


女神様はにっこり笑うとカップを手に取って飲んだ。

私も蛍光緑の飲み物が入ったカップを持ち上げる。

香りは紅茶だ。


「いただきます」


二度目であるから、戸惑いつつもコクリと飲んだ。

よかった。味も紅茶だ。


女神様からお菓子も勧められる。

皿に乗ったケーキは色とりどりのフルーツのケーキ。

果肉が蛍光の紫や蛍光ピンクの果物ってちょっと見ない。

味は瑞々しくてとても美味しい。

せめてクリームだけは水色ではなく白がいい、と思っていたら、瞬時に白に変わってまたびっくりした。


女神様を見ると微笑んでいる。


「あなたの驚いた顔って可愛いわよね。

普段もそうやって気を抜いていればいいのに」


まずい。

色々呆気にとられて、表情を取り繕えてなかった。

私は居住まいを正した。


「女神様」

「なあに?」

「お聞きしたい事があるのですが」

「聖女の苦情なら受け付けないわよ」


一番聞きたい事を拒否されてしまった。

受け付けないと言われても。

聖女にどう対応していいのか分からなければ、先に進めない。

聖女は男。

しかも私に気がある?

そんな中でどうやって進めていけばいいのか。

この物語、すでに修正出来ないところにいないだろうか。


異世界から来た少女を主人公にした物語。

主人公は清楚で美しい黒髪の少女。

ーーもうここ、違うし。男だし。冒頭から違うってどうなのだろう?


聖女となった少女が率いる一行は、この国ーーブランシェ王国を訪れる。


聖女と男達が城でイチャイチャしているのを面白く思わない女が私で、周りの取り巻きを使って聖女に嫌がらせをし、聖女の仲間達を虜にして、聖女を脅かす。


私に出来るのだろうか。

聖女の仲間の王子や騎士達に色気で迫るなんて。


王子は食えない人みたいだし、騎士のヒューは無表情。

双子のサミュエルとオズウェルには敵意を向けられているし、魔法使いのノアに至っては私を認識していないようだ。


引っ掛けなくていい聖女が引っ掛かって、他はその取っ掛かりさえ見えないってどうしよう。

王子は寄っていけば相手をしてくれそうだけど、絶対裏がある。迂闊に近付くのは危険な気がする。


せめて傾向と対策さえ教えてくれれば。

そこまで考えて、聖女が召喚されてから今までにどんな事があったのか、興味が湧いてきた。

そこに聖女の仲間を落とすヒントがあるかもしれない。


女神様を見ると、ニンマリと笑った。


「いいわよ、教えてあげる。

聖女が男達を落とした方法。

性格生い立ち弱点を」


いや、やっぱりあまり聞きたくないな。

弱点とか。

彼らが知られたくない事を聞くのはいい事だとは思えない。


「女神様、やはりそういう事は聞くべきではないと思います」

「なあによ!いい子ぶっちゃって。

あなたね、基本情報は攻略対象者を落とすのに必要な事よ!」


女神様はカップをソーサーに戻すと、立ち上がりビシッと指を私に突き付ける。

私は女神様のあまりの勢いに目を丸くした。


「こ、攻略対象者?」

「そう。攻略対象者よ!

よーく聞きなさい!

あなたはそれぞれにあったやり方で落としていくのよ!

男どもを!」


男どもって。

女神様、口悪い。






お読みいただきありがとうございます。

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