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そら
今日も突き抜ける水色の空に、キレイな白い雲が流れてゆく。
自分の立つこの場所がどんな人混みになろうと、見上げればこの広い空。
昔は空を見上げると心が落ち着いた。
最近、空を見ても何も感じなくなった。
すり減った革靴に、おじさんに願いをこめて買ってもらった鞄、リクルートスーツ。
内定がもらえるまで、このはてしない戦いは続く。
働くってなんだろう。
いきるため?ひとり立ちするため?生きがいのため?食べるため?自分のため?誰かのため?
仕事には少しばかりでいいから幸せな瞬間がほしい。
少しは興味のあることを仕事をして
またには休みを取って旅行へ行きたい!
上司が厳しくてもいいから、自分の成長できるところがいい。
私はわがままなのだろうか。
きっとそうなのだろう。
面接官にこの迷い、邪念が見透かされているのだ。
学生最後の夏休み。
私は果てし無く続く道の真ん中で、高くそびえ立つ灰色の壁を壊せずにいた。