第3話 動き出す山~after~
今回も短いです。次からは長くなりそう…
博麗神社 17:00 (新月まであと2日と3時間)
「明日はどうしようかな~。」
とりあえずそれが博麗霊夢の今日1日の感想だった。
早朝から守矢神社の神奈子と早苗がやって来て、早苗は大きな袋を持っていた。それから神奈子が参拝してくれた。何故わざわざ神もいないこんなところに来て何を願うのか聞いたら、
「必勝祈願だ。」
と素っ気なく答えていた。
その後の出来事は思い出せないが、いつの間にか神奈子と早苗はいなくなっていた。
昼間はいつも通りの10倍に薄めたお茶をすすっていたら、いつも通りに魔理沙がやって来て、強さの秘訣を教えてくれと頼み込んできた。この前は、パチュリーに頼むことを勧めたがどうやら失敗に終わったみたいだ。
チルノに負けたからと言っても魔理沙は魔理沙だから、気にする程ではないと思っていたが、相当参ってるみたいだ。こればかりは本人でなんとかしてもらうしかない。
魔理沙がチルノに負けた情報は、珍しく来たはたての新聞からだった。あの能力なら弾幕ごっこをしてる場面を撮ることは可能だが、記事にされてたのは魔理沙が負けて一人で泣いている場面だった。まぁ、当然の如くはたてを弾幕ごっこでボコッボコにしてやったが、反省も後悔もしていない。その後天狗達に追い回されたが。
魔理沙の頼み事をあしらっていると、白狼天狗の椛がやって来た。用を聞いたら、暇だから怪談話を話しに来たらしい。
その怪談話は巡回していた白狼天狗が行方不明になる話だったり、ある白狼天狗は大きな手に捕まれて地獄に連れてかれたり、夜中巡回した白狼天狗は次の日には、大きな足に踏み潰されたかのように身元判別不可能なぐらいにひしゃげている。
など、椛の怪談話を聞いていたが、面白くなかった。更に面白くないのは、椛の話し方があまりにも真剣だったことだ。まるで、誰かに助けを求めるように必死に話していた。しかも、その怪談の被害者はいつも白狼天狗で20:00を過ぎてから起こるらしい。
嫌な予感しかない。まるで、異変が起きる前のような独特の感覚だ。朝の神奈子達の訪問といい、椛の話といい、おかし過ぎる。
「博麗の巫女の勘はよく当たる」と言われるが正直嬉しくない。いつも良くないことばかりに反応してしまうからだ。
そして、現在。椛の話を聞いても結局魔理沙は「異変を解決しようぜ!」とも言わず、帰って行った。あの状態じゃあ弾幕ごっこは無理そうだ。
椛の話を嘘と割り切るのもよし、神奈子達に神社に来た理由を問い詰めるのもよし、魔理沙を叩き直すのもよし…。
だが、博麗の巫女としては、
「はぁ…。結局やることは、変わらないか。」
「明日はあの怪談話は本当か嘘か確めるとしましょうか。」
今回はいつもいる頼れる相棒は隣に居ない。
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同時刻・博麗神社の裏
そこには先程の話を聞いていた二人の妖精がいた。
「ど、どうするのチルノちゃん?」
「そりゃ、決まってるよ!ダイタラぼっちが出るんでしょ?行かなくっちゃ!」
「その前に明日パチュリーさんの話を聞かないと…。あと、そのダイタラぼっちの退治は霊夢さんに…」
「それもそうだね。明日はパチュリーの話を聞いてから、ダイタラぼっち探しだ!」
「聞いてなかったのチルノちゃん!?ホントに行く気じゃないよねぇ!?」
一人の氷精は明日が来るのを待ちわび、一人の妖精は氷精の猪突猛進さに不安を募らせて博麗神社から出ていった。