第2話 動き出す山Ⅰ
今回は短めです。今回は第1話から2日経ったことにしてください。(パチュリーの休暇はあと2日)
妖怪の山・頂上・大天狗の間 9:00 (新月まであと2日と11時間)
「射名丸文。」
「はい、大天狗様。」
私の目の前であぐらをかいている男性は、若々しい外見とは裏腹に、鋭い眼光と身体中から滲み出ている妖力が男性の実力を物語っている。流石、どこぞのカリチュマとは訳が違う。
「現在、白狼天狗30名が行方不明になり、今は白狼天狗の巡回を禁止させて被害の拡大を防いでいるが、この事態は早急に解決せねばならん。お前は山の神々と共闘し、元凶を倒せ。河童に協力させるのも良い。ただし、この事態は天狗の沽券に大きく関わる。外部への協力は求めるなよ。」
「承知しました。」
腰を上げ、失礼な事はしてないか内心びくびくさせながら、私は大天狗の間を出ていった。
大天狗様の指令を聞いた感想は、
(どう足掻いても無理だろ!白狼天狗を30人も行方不明にしてる奴をどうやって退治するんだ。こんな時に異変解決の専門家に頼れないっておかしいわよ!)かなりの無茶ぶりだと思う。
山の神に協力を依頼するにしても有力な三本柱は性格が悪い。だが面倒な事は最後に残したくないので最初は守矢神社に向かう。
面倒臭い守矢神社に出発しようとしたら、知り合いの天狗が声をかけてきた。
「文さん。どうしたんですか?とんでもないぐらいに面倒な事を押し付けられたみたいな顔して。」
椛、よくわかってるじゃないか。天狗の仕事をほっぽり出している私に声をかけてくれる天狗は椛かあいつぐらいしかいない。そんな椛にはちょっとしたお使いをしてもらおう。
「椛、明日博麗神社に行って、この山の怪談話をしてきなさい。今、巡回禁止令で暇をもらってるでしょう?」
「…まぁ、そうですけど。」
「あなたは暇だったから博麗神社に行って、暇潰しに博麗神社で例の怪談話をしただけ。それ以上でもそれ以下でもないわ。」
「文さん、それ命令ですか?」
「そうよ。」
「はぁ…。こんな意味不明な事を押し付けるからには、後で奢ってくださいよ。」
「わかってるわよ。」
椛は快く引き受けてくれたみたいだ。今回は外部からの協力は受けれないようだが、偶然一人の白狼天狗が世間話をしに行っただけ。白狼天狗達には何も聞かされてないのだから、大天狗様の指令には反してはいない。これで合法的に異変解決屋に協力を仰げる。
今度こそ射名丸文は守矢神社へ飛び立った。