緊張感のない戦闘的な、
おーげぇ、皆落ち着こうか、なにやらアクセス数やランキングがおかしなことになっているみたいだ。
お陰で作者はキョドって5回も書き直し、既に訳が分からなくなってきている。
フーレンスジルコニアスを生み出した作者ということを理解し、あまり追い込まないで頂きたい><; 目立ちたくない目立ちたくないんだよぉTT
観光をしながらフーレンスジルコニアスとニャンデストが時計塔へと向かう。
ガヤガヤと賑わう街頭には、無限回廊525層『古代種の都』の周辺に出る敵からドロップする素材やアイテムなどが露店を潤している。街の規模やその施設の充実振りに浮かれていたプレイヤー達だったが、先行偵察を受け持っているギルドの調査で、しっかりこの階層にもボスが配置されてる事が判明し、数日後の新マップに備えてトッププレイヤー達が慌てて攻略に挑んでいた。
新階層への期待と新マップ実装のハードスケジュールにも、転生で上位種になったプレイヤー達はその新しい力にウッハウハしながら飛び回っているようだった。今回のアップデートで追加された新しい武器カテゴリーに幾つか有用な物も確認されており、今から育てる時間的損失より新規参入者に期待という声も高まっているようで、高LV者と低LV者との差を埋める改善策を求める声も掲示板で多く上がっているらしい。
そんな盛り上がりとは少しズレた所で、細々と買い物などしながら目的地へと向かっていると、不意に後ろから声をかけられるフーレンスジルコニアス。振り向いてみればそこには『アーカイヴミネルヴァ』の1人、双剣使いの句朗斗が糸のような細い目をニコニコとさせながら立っていた。
先程別れたユカリアス達がギルドで前線攻略に向かうと言っていたはずなのに、主要メンバーの句朗斗が何故ココにと疑問を向ければ、インするまえに仮眠をしたらそのまま寝入ってしまい出遅れてしまったらしい。
ニャンデストの紹介といままでの事を掻い摘んで話すと、句朗斗は興味を示したようだ。
「へぇ、ニャンデストさんは獣人なのにテイマーなんだ……」
「はいにゃ、未だ1匹もテイムできてませんがT T」
「そ、そうなんだ。あ~…その噂はボクも聞いた事があるよ、よければボクも一緒に行っていいかな?」
レアちゃんの類友さんにも興味があるしねと、なにか気になることを呟いているが、前線組の句朗斗が参加してくれるのは心強いので有り難く了承する。トコトコと歩いていく途中で句朗斗が自分の知ってる範囲で今回の噂の検証を話してくれた。
「今回の噂に出てくる社には、精霊が封印されているらしいんだ。そしてそこに選ばれた者が行くと封印が解かれて力を得る……というものらしい」
此処からはボクの仮説なんだけどねと、前置きをしたうえで更に話しが核心に迫る。
恐らく今回の噂は運営から意図的に流されたもので、テイマー限定のイベント的なものだろうということ。選ばれた者=テイマーがその場所に行くとイベント限定の精霊タイプの敵がテイムできるのではないかというものだった。
「精霊タイプの召喚獣が!」
「あくまでも仮説だけどね、でも結構自信はあるよ。ボクもテイマーだけど、今回はサポートに徹するからがんばってみようね」
「句朗斗さん、ありがとう」
「ありがとうにゃぁ!」
腕をとる様に左右から抱きつくフーレンスジルコニアスとニャンデストに、いやぁそれほどでもと言いつつ頬を染める句朗斗、ボソッとオスマに負けてられないしねと呟いた言葉は、フーレンスジルコニアス達には聞かれないですんだ。
そんな話をしながら歩いて行くと、あっという間に目的地へとついてしまった。螺旋階段を下り庭園へと抜けると、その光景に一同は見入ってしまう。
綺麗に剪定された植込みが通路を形作り、薔薇の花が美しいアーチを作り出す。まるで御伽話しに出てくる庭園のような光景に、フーレンスジルコニアスとニャンデストがウットリとしてる様子に、女の子だなぁと句朗斗がニコニコしている。
「いやぁ生き返るねぇ~」
「にゃ、良い仕事してるにゃぁ」
どこかオヤジ臭い感想に、若干女の子に対する理想が壊された句朗斗が肩を落とすのだった。その後何故かトボトボと歩く句朗斗に首を傾げながらもフーレンスジルコニアスは目当ての路地へと辿り着く。
「狭いにゃ……」
「うん」
目の前の路地を見つめながら呟く少女達に、苦笑しながら頬を掻く句朗斗。少し前から聞こえていた鈴の音は、今はもうはっきりと聞き取れるほどになっていた。
「じゃぁ、ニャンデストさんは奥に行って封印を解いて、ボク達はここで待機。上手く敵が出てきたら通路からここまで連れてきてね」
「はいにゃ」
キビキビと指示を出し、ニャンデストが奥へと消えると、腰の後ろに左右から横向きに差してある双剣を抜き身構える句朗斗。その自然な一連の動作に見入っていると、どうかした?と笑顔で尋ねられ、何でもないと言いながら慌てて呪印銃を抜き身構えてみる。
こういう場面で『アーカイヴミネルヴァ』の面々は自然と攻撃態勢へと移行する。そんな彼らを見る度に、自分の力不足を痛感してしまう。やっと呪印銃を手に入れたというのに、属性弾どころか無属性弾すら反動が抑えられないでいる。
思わず溜息がこぼれそうになった所に、避けて!と句朗斗から指示が飛んでくる。反射的に横に飛び、回避だけなら結構できるのになぁなどと思わず苦笑する。そんなフーレンスジルコニアスの横を、小さな影が通り抜ける。
慌てて通路から駆け出してきたニャンデストも合流し、数メートル先でコチラに向き直り威嚇してくる精霊を見て、フーレンスジルコニアス達は思わず絶叫した。
「「か!かわいいぃぃぃぃ!!!」」
フーと毛を逆立ててフーレンスジルコニアス達を威嚇するのは、3頭身程でネコ型獣人の幼女のような姿をした精霊だった。琥珀色の大きな眼を吊り上げ牙を剥く姿さえ可愛く見えてしまう、グレーの髪は長く腰程まであるだろうか、白いワンピースのお尻からは二股の尻尾が今は毛をいっぱいに膨らましてピンと立てながら、赤い首輪に付いた鈴がチリチリと音を奏でる。
コチラを威嚇はしてくるが、それ以上は逃げようとしないことを確認すると、よしと句朗斗は頷く。
「あとはコイツを攻撃して、ある程度弱らせたらテイムしてみよう」
「え、無理!」
「にゃにゃ、できないにゃ!」
「で、できないって弱らせなきゃテイムできないでしょ?!」
「可愛すぎて攻撃なんて無理です!」
「今までテイム目当ての相手を攻撃したこと無いにゃ」
2人の言葉に呆然としたあと、それじゃテイムも出来ない筈だと納得し、ボク1人で弱らせるからそしたらテイムしてねと双剣を構えなおし、一気にネコ精霊へと距離を詰める句朗斗。
倒してしまわないように加減をされた双剣が振り下ろされる寸前、辺りに一際大きく鈴の音が響き渡ると、句朗斗の動きがピタリと停止する。
あれ?と呟く声に重なるように『ポーン』とシステム音が鳴り響く。
『スキル、テイマーズテイマーにより、句朗斗が精霊によりテイムされました。周囲に居る人は御気をつけください』
「「「ええええええ!」」」
3人の叫びが重なり合う中、クルリと句朗斗が振り返る。内心でこっち見んなとか思うフーレンスジルコニアスだったが、願いも空しく気づくと双剣が目の前まで迫っていた。
うきゃーと叫びつつもなんとか回避するフーレンスジルコニアスに、句朗斗は次々と攻撃を繰り出す。視界の隅でコチラに駆け寄ろうとするニャンデストに、来ちゃダメと踏みとどまらせる。恐らく彼女では句朗斗の攻撃を避ける事は不可能だろう。
「ニャンちゃんはその子をどうにかしてみて!」
「にゃにゃ!?」
どうしたものかとオロオロとしていたニャンデストだったが、取り合えずできることをやろうと、ゆっくりとネコ精霊の前へと進むとアイテムインベトリから武器を取り出した。
・手作りのネコじゃらし
ATK+5
ネコが飛びつく魅惑のアイテム
むしろATK数値が邪魔とも思える至高の一品
その魅力は犬さえ虜に!
ネコ精霊の前で怖くない怖くないにゃ~と、パタパタとそのネコじゃらしを振るうニャンデスト。その目の前でまた鳴り響く鈴の音に、ニャンデストまで操られては詰んでしまうと呼びかけるフーレンスジルコニアスに。
「にゃ、なんか大丈夫みたいにゃ~」
何度鈴の音が鳴り響いても、相変わらずパタパタとネコじゃらしを振り続ける姿に、ホッとするフーレンスジルコニアスだったが句朗斗は困惑顔になる。見ればネコ精霊の表情も困惑したものになって見える。
「対テイマー専用の、システムアシストまで入ってるスキルが何で彼女には効かないんだろう?」
「なんかおかしいの?」
フーレンスジルコニアスの疑問に、うん、いろいろとおかしいと呟く句朗斗がやっぱりレアちゃんの類友だけあって、彼女も普通じゃないねなどと笑っている。ゆっくりお話しして訂正を入れたい所だが、一先ずネコ精霊はニャンデストなら心配ないと、句朗斗の方に集中する。
「句朗斗さん、そろそろ治りませんか?」
「ごめんダメみたい……レアちゃんこのままじゃ手詰まりだ。ボクを撃ってくれ!」
はい、わかりましたと素直に頷き足払いをかけた後、一旦距離を稼いで呪印銃で狙い撃つ。その魔弾を双剣で受け流す句朗斗、反動で体勢を崩してしまうフーレンスジルコニアスだったが、句朗斗も衝撃で流石に直ぐには動けなかったようでどうにか助かった。しかしこの距離から魔弾を無力化するその力に、絶句しつつフーレンスジルコニアスが文句を言う。
「避けてどうするんですか!」
「いや、ボクがやってるんじゃないし!てか躊躇しようよ! レアちゃんPK嫌がってたよね? 今なんの躊躇もなく撃ったよね?!」
「気のせいですよ状況が状況だったのでしょうがなく」
「なんだろう、凄く心が痛いや……」
目元に光る一粒の涙を溜めながら、フフフと笑う句朗斗だったがハッとしたように、レアちゃんしゃがんで!と叫ぶ。反射的に素直に座り込んだフーレンスジルコニアスの頭上を今までの攻撃の倍する速度の剣戟が駆け抜ける。双剣の連撃スキルが発動したらしく、フーレンスジルコニアスがタラリと額を流れる汗を拭う間もなく、矢継ぎ早に次の指示が飛んでくる。
そのまま前に飛んで前転側転との支持に必死に従うフーレンスジルコニアス、もう一度前転してクルッと回ってハイポーズ!
その言葉にクルッと向き直り、キラッ☆ミ とポーズをきめるフーレンスジルコニアス。その視線の先には数歩手前でスキル後硬直で固まる句朗斗。
「反省はしている、だが後悔はしない!」
その足元に、何故か呪印銃の反動にビクともしないフーレンスジルコニアスからの3連射が撃ちこまれるのだった。
次話でこの件は片が付きますが、もしかしたらこの話しも含めて大改修するかもです。




