そして扉は開かれる的な、
種族名称に造語が仕様されております。ライカンスロープは本来は狼男、人狼という意味らしいですが、作中では獣人系全体を現す言葉として使用しています。
イリーガル・コール・オンライン
舞台となるのは3柱の神が創ったとされるリ・ユフクテス大陸。
神々は世界を創った後、それぞれ己の力を与えた生き物を創り世界に解き放ったとされる。
しかし神人、神竜、ギガンテス、ロードエルフ、エストドワーフ、ライカンスロープ、ハーフブリンガー等と呼ばれる彼等は、神々の意志から逸脱し互いに争い合い急激にその数を減らしていき、やがて姿を消していった。
悲しんだ神々は滅んだ者達を古代種とし、わずかばかり生き残った者達をベースに争いの原因となった各種族固有の特異な力を取り除いたヒューニック、竜人、ギガス、エルフ、ドワーフ、獣人、ハーフリングとして創造しなおした。
新たに生まれ変わった彼等も多少の諍いを抱えてはいたものの、以前のような苛烈さはなりを潜めその姿に神々は安堵した。
その後永い時を経て各種族事が独自の発展をしていく姿に、神々はこの地を彼等に任せ新たな世界創造へと旅立った。
神々が去った事に神の子達は悲しんだが、時を同じくして大陸の中央に禍々しい存在が現れ出した。
かつてこの地で争いあった古代種が残した負の遺産、後に『無限回廊』と呼ばれる深遠なるダンジョンであった。 (公式ホームページより抜粋)
「うおおおおおぉぉぉ!!」
苛烈な叫びを帯びながら真紅の大斧が振り下ろされる。
金属同士が擦れ合うような甲高い音と共に激しい火花が辺りを朱に染め上げ、その光に獣のように激しい笑みを浮かべたユカリアスの顔が照らし出される。普段から少しつり上がり気味な目は、今は爛々とした光を宿している、その視線の先では黒い甲冑に全身を包んでいた者が、怨嗟の叫びをあげながらその身を2つに裂かれた。
「ユカ退避、コーネリアス後方攻撃後に野郎共きばってきな!」
清楚な白い長衣に身を包んだ少女から、その姿に不釣合いな激しい指示が飛ぶと、あいよ!っと大斧を肩に担ぎながらユカリアスが横に飛び退くのとほぼ同時に、巨大な炎の塊がその場を駆け抜けた。
轟音と熱風を撒き散らし辺りを灼熱の地獄へと変えたコーネリアスと呼ばれたものは、未だ燻る炎をその口腔に残し、縦に割れた瞳孔を細めながらその金色の瞳を笑みの形に歪めた。
未だ陽炎のように揺らめく戦場には2つの影が躍る、肘から手までを覆う無骨な手甲に長い爪を煌かせながら敵の中を駆け抜ける者、この場の誰よりも小さくまるで子供のようなその身体で、舞うように双剣を操る者。
ここは『無限回廊』の最前線524層、攻略ギルド『アーカイヴミネルヴァ』のメンバーで構成されたPT。
「ふ~お疲れ~、この周囲はあらかた片付いたようだし、ちょっと休憩しようか」
「そうだな」
ギルドマスターであるユカリアスの提案に、さすがに疲れの色が見える他のメンバーも同意しカバンから各々アイテムを引っ張り出し休憩の準備をはじめる。
「何あんた! いつの間にそんなテーブルセット手に入れたのさ」
「ふふふ、先日の露店で格安で仕入れましたの」
アンティーク調の敷物をだして座り込んでいたユカリアスだったが、1人ウッドテーブルとウッドチェアのセットで寛ぐ白い長衣の少女に詰め寄りながら、4脚あるウッドチェアに忙々と座り込む。
「あ~コレいいわぁ、ねぇテンテアちゃん、これちょ~だぁいw」
少女2人が盛り上がる横で御座に座り込んだコーネリアスと呼ばれた竜人に、ヤンキーっぽい外観に狼の耳を生やした獣人のオスマと、糸のように細い目を笑みの形に貼り付けた子供のようなハーフリングの句朗斗が、我関せずと湯気をたてるお茶をすする。
ヒーラーであるテンテアと呼ばれた少女は、長いストレートヘアの黒髪を揺らし小首を傾げアゴに人差し指をあてがいキョトンとするとニッコリと微笑んだ。
聖職者特有のローブのような長衣に身を包む彼女は、その清楚な見た目とは裏腹に戦闘時の言動は苛烈を極める。そんな彼女がニコリと微笑む時には、碌な事が無いのをよく知っている男達はズリズリと微妙に距離をとった。
いいですよと、アッサリと肯定するテンテアにユカリアスがえ、マジ!? と乗り出すとその代わりと付け足した後
「お前の耳に付いてるそのレアちゃんのイヤリングと交換だがな!」
「だが断る!」
額が付くほどの距離でぐぬぬぬと牙を剥き出しながら睨み合う2人と、はぁお茶が美味いと呟く声をもらす男達にまったりとした時間が過ぎていく。
鬱蒼と茂った森の中、トンっトンっと軽い音をさせて木々の枝が揺れる。
エルフのホームタウンである深緑の都市『ディープ・プランタン』がある迷いの森の奥、中級層向けの敵が配置されているエリア。腕をやたらと長くしたクマの様な敵に攻撃を仕掛けながら、器用に樹上の枝を渡ってゆくフーレンスジルコニアス。
ペチペチと音をさせながらクマの頭に石飛礫が当たってゆく、たいして効いている訳でもなさそうだが逆にそれがクマの精神を逆撫でしているようでもある。
「グアァァァァ!」
「はいはい、風に属する精霊さん、ちょっと手を貸してね『雷の咆哮』よ」
やれやれと言った感じで祝詞を詠唱すると、ドカァーンという轟音と激しい閃光があたりを照らし出した。光が収まりフーレンスジルコニアスが地面に降り立つと、ブスブスと煙を上げるクマが横たわっていた。
「ありゃ、まだ生きてるのね」
えいえい! とその手に持つ武器の『パチンコ』でまたもやペチペチと石飛礫を飛ばし、オォーンと悲しげに泣くクマにクリスタル化して消えるまでトドメをさしてゆく。
「うぅむ……マスターランクになった鍛冶スキルで造ったパチンコだが、やはりパチンコはパチンコであったか」
ガックリと肩を落とし自分の主武装であるパチンコを恨みがましく睨みつける。
・名手のパチンコ
ATK+25
弓のように放物線ではく直線的に飛ぶため森の中で
の使用に適しているが、携帯用武器である為、攻撃
力は低め。
その性質上、狙撃カテゴリーに含まれる。
エルフという種族は素早さと魔力に秀でているが、力や体力が劣っている。その為、素早さを生かしたスカウト系や弓での射撃や精霊魔法を生かした後方職が主流とされている。フーレンスジルコニアスも後方攻撃に特化しているが、その主武装は弓ではなくパチンコである。
フーレンスジルコニアスの行動は全てが呪印銃に集約しているといってもいい、その為に彼女は『射撃カテゴリー』の弓ではなく、『狙撃カテゴリー』に属するパチンコを選んだのだ。
イリーガル・コールには各カテゴリーにはその系列に適用されるマスタリースキルが設定されている。
その為数少ない公式からの情報で呪印銃は狙撃カテゴリーという設定に従い、今現在唯一の狙撃カテゴリー武器の(ネタ武器として認知されている)パチンコでマスタリーを上げているのである。
呪印銃が実装されてからマスタリーを上げれば?と思うかもしれないが、β時代からパチンコを使い続けているフーレンスジルコニアスでさえ未だ狙撃マスタリーはマスターに達してはいない。しかも最高LVを誇る攻略ギルドに所属している者ですら、主武装のカテゴリーがマスターになっている者の方が少ない。
運営曰く、武器を極めるのは一生をかけて成しえるものである!という信念があるらしく、上がりにくいスキルでも1、2位を争う設定になっている。
「しかしそれもあと少しの辛抱よ、あと3%でマスターになれるから精霊魔法のマスタリー上げに移れるし、そしたらPTも組めるだろうからレア扱いもなくなるわぁ~」
攻撃力の低さから1匹への攻撃回数が多くなり、LVは低いがマスタリーランクだけは高いフーレンスジルコニアスであった。
ウッドテーブルの上で不毛な戦いを続けていたユカリアスとテンテアが、休憩中なのに疲労度を増しているその横で、自動マッピングされた無限回廊524層目のマップを見ながら3人の男が議論を重ねていた。
「全体を回ってみたがボス部屋は発見できなかったな」
「あぁ、これでこの階層は間違いなく謎解き系で確定だな」
「今回はすんなりといくと良いなぁ」
無限回廊は地下へと続くダンジョンだが、その仕様は各階で大きく異なっている。
一般的な洞窟タイプの物もあれば神殿のような建物の中、広大な敷地を埋め尽くす樹海であったり、砂漠であったりと一貫性が無い。そして各階層の最期に居るボスへと辿り着く方法も多種多様であった。
単純に敵を倒して進むだけの蹂躙系、いろいろな仕掛けや謎を解き明かす謎解き系、何故か回廊に住み着いてるおっさんから「この先に進むには通路の修理が必要だ!その為には材料が必要だから取って来い!」てきなパシリ系などがある。
「マップを見るに無駄に中央に空白地帯が大きいな」
「ちょうどこの部屋の真横辺りだな」
「案外力任せに壁を叩けば通路が開いたりしてね」
まさかなぁ~ははははは、と笑っていると
「死ねおらぁぁぁぁー」
「うぉ! あぶねぇー!」
突然聞こえた叫びに驚きつつ振り替えれば、最大スキルを持ってその真紅の大斧を振り上げたユカリアスが、叫びながらも神回避で避けたテンテアに向かって大斧を振り下ろしたところだった。ドゴーンという爆音と共に巻き上がる粉塵に視界が塞がれる。
「なぜ避ける!」
「普通避けるだろ! てか死ぬわ!」
「「「なにやってんだおまえらー!!」」」
その後、御座の上で正座させられた涙目のユカリアスが、青筋を浮かべたコーネリアスによって説教をされていた。
2人は現実では夫婦らしく、ギルドマスターとサブマスターの間柄もあって、暴走し過ぎたユカリアスをコーネリアスが窘める光景がよく展開されていた。
できれば暴走する前に止めて欲しいものだが、今回に限っては結果オーライであったと言えなくも無い。
「しかし本当に力任せで隠し通路が現れるとは……」
「言った本人のボクもビックリだよ」
「まぁ早速メンバー呼んでボス部屋に特攻しましょうか」
あぁそうね……と、まったく反省とかはないテンテアに同意してギルドチャットにて召集をかける。
その2時間後、漆黒のドラゴンタイプのボスを撃破した『アーカイヴミネルヴァ』のメンバーが525層目の扉を開け放つと、そこには今までに見たどの都市よりも荘厳な都市が存在していたのだった。
そしてその翌日、その告知は何の前触れも無く、唐突に発表された。
NEWS 2〇〇〇年 5月06日 10:08
イリーガル・コール運営チーム
いつも弊社の運営するイリーガル・コール・オンラインをご利用いただきありがとうございます。
早いもので正式サービスから早2年が経ちました。
多くの方から未実装コンテンツの早期の実装を望む声を頂いておりました。
運営チームとしましても1日も早くサービスの提供をしたいと思っておりましたが、無限回廊の進行上の問題により実装を見送っていたのが現状でした。
しかし、先日ついに525層に隠されていた無限回廊都市『古代種の都』が発見された為、Ver1.25からVer1.5までを段階的に実装することになりました。
実装スケジュールは以下の通りに成ります。
5月13日 Ver1.25 上位種族開放
5月20日 Ver1.5 上位種族開放に伴う新MAP開放
実装内容の詳細説明
上位種族開放
上位種転生条件(全種族共通)LV60以上
各種族それぞれ上位種が用意されていますが、ある一定の条件をクリアすると古代種と呼ばれる今は無き原始の種族に転生する事ができるようになります。
注意)一度上位種に転生してしまうとその後に古代種への転生条件をクリアしても再度転生することはできません。また古代種は非常に特殊な仕様になっている為、必ずしもゲーム内での強さに直結するとは限りませんので、転生の再にはお気をつけください。
種族開放にともない同時に専用装備も開放されます、ご期待ください。
上位種族開放に伴う新MAP開放
Coming Soon
戦闘シーン初めて書いてみました。
難しいですね……。
フーレンスジルコニアスの現在のショボさが少しでも伝わるといいなぁ。