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イリーガル・コール  作者: 山吹
Ver2.01
28/37

社会のお勉強的な、(登場人物紹介有り)

今更ながら登場人物紹介があります。絵心の薄い作者の書いた挿絵がちょろっと付いていますので、キャラのイメージが崩れる可能性があります。

ページの上のほうに挿絵表記のONとOFFが有りますので、そちらのほうで読者様側にて各自設定を変更してください。


挿絵(By みてみん)


NAME フーレンスジルコニアス

LV 86

TRIBE ロードエルフ(古代種)

CLASS フェアリーガンナー

(ネコは含まれません)



挿絵(By みてみん)


NAME ユカリアス

LV 108

TRIBE 神子(上位種)

CLASS アックスマスター



挿絵(By みてみん)


NAME テンテア

LV 105

TRIBE 神子(上位種)

CLASS ヒーリングマスター



挿絵(By みてみん)


NAME 舞姫

LV 109

TRIBE ハイエルフ(上位種)

CLASS フェアリープリンセス



挿絵(By みてみん)


NAME ニャンデスト

LV 82

TRIBE ライカンスロープ(古代種)

CLASS エレメンタルテイマー

SPIRIT NAME タマキ







鉄と骸炭(コークス)の焼ける匂いが充満する、ドワーフのホームタウン鉱山都市『ファティ・マール』の一角に在る鍛冶場で、1人の少女が腕を組み眉間に皺を寄せて目の前の金床を凝視している。

正確には金床の上に置かれている2つの宝石を凝視しているのだが、普段ポワポワとした雰囲気の少女が纏う珍しく真剣な様子の前では些細な違いでしかないだろう。


ポワポワ少女改め、フーレンスジルコニアスが凝視する2つの宝石は、先日『アーカイヴミネルバ』と『黄金りんこ』の両ギルドの知り合いと行った『無限回廊』の最前線で採集した物なのだが、手に入れた段階では未鑑定(アンノウン)状態だったはずなのに、何故か後日アイテムインベントリから出してみると既に鑑定状態へと変化していた。

しかも、何やらフーレンスジルコニアスにとって余りよろしくないオプションまで付加されていたりする。




・ゴルテアの魔石(劣化バージョン)

 製造アイテム

 魔獣ゴルテアの魔力が結晶化した鉱石。

 鍛冶で装備品に加工することができるが、

 その外観は製造者に起因する物になる。


 複製石により複製された物の為、本来の

 魔石より劣化している。

 複製石は近くに在るユニークアイテムに

 反応して変化する。




「何故…こうなった…」


状況から察するに、採集で出た未鑑定(アンノウン)状態の宝石が複製石であり、手にした時に近くに居たユカリアスが持つフーレンスジルコニアスが過去に作った、ユニークアイテム製のイヤリングに反応してゴルテアの魔石(劣化バージョン)へと変化したという事なのだろう。

過程は解る、解るのだが、何故こうもピンポイントで自分にとって良くない方向へと流れていくのかが解らない。ヒッソリと穏やかに埋没していたいのに、厄介なアイテムや出来事ばかりが舞い込んでくる。


「………見なかったことにしよう、そして売ってしまおう」

「なら私が買い取ろう♪」

「独り占めは駄目ですわ」


ボソリと漏れ出た独り言に返事が返ってきた事にハッと気付いた時には、ドサリという音と共に膝の上に2つの皮袋が置かれていた。かなりの重量を持つ皮袋にも驚いたが、まさか独り言に返事が返るとは思いもしていなかったフーレンスジルコニアスが呆気に獲られていると、金床の上に置かれた宝石達を2つの腕が拾い上げていく。


「いやぁ、まさかこんな物が手に入るとは」

「これであの筋肉女に自慢されることもなくなりますわ」


宝石を手に取りニヤリと笑うテンテアと、同じく宝石を手にしニコニコと微笑む舞姫を見上げ、やっと事の成り行きを理解したフーレンスジルコニアスが青褪める。


「なななななんなん…、どどどどどうどう?」

「なんでかって? それは私がレアちゃんを理解しているから」

「どうしてかって? それは私が師匠を熟知しているからですわ」


アワアワと意味も無く手を動かしながら口篭る言葉を補足し、テンテアと舞姫が揃ってポンっと肩に手を置き慰める。その後一度深呼吸をしてから、どうして2人が此処(鍛冶場)に居るのかと問い詰めれば、先日フーレンス(・・・・・)ジルコニアス(・・・・・・)未鑑定(アンノウン)アイテムを拾っていたのを見ているんだから、『何かやらかすと思うのは当然』だろう、ですわ、と普段のいがみ合いが嘘のように異口同音で頷きあった。


「そんな、私がちょっと変わったアイテム拾ったってだけで、わざわざこんな場所に足を向けるとか私の事どういう風に思ってるんですか!?」

「「レアだと思ってる」」


だから何故そこでハモるんだと呟きながら、崩折れ(orz)るフーレンスジルコニアスだった。



挿絵(By みてみん)


「それじゃレアちゃん、私は指輪でお願いね」

「私も指輪でお願いしますわ。筋肉女と違ってイヤリングだと髪で隠れてしまいますから」

「え? 私がソレを加工するなんて、了承していませんよ」


明後日の方を向きながら、澄ました顔で最後の抵抗を試みる。此処にフーレンスジルコニアスにとって、平穏と安寧を賭けた負けられない聖戦が始まったのである。狡猾な大人の口車になど毎回良いように乗せられるものかと、ちょっと余裕があるように見せかけつつ内心ではドッキドキしながらチラリと2人の反応を窺う為に視線を移す。


「あ、手が滑った…」

「あ、術が滑った…」


ガキンという甲高い音をさせながら、テンテアの拳がフーレンスジルコニアス愛用の金床に落とされる。次いでフーレンスジルコニアスの頭のすぐ横を髪を揺らしながら焔の塊が通り過ぎて行き、さっきから後ろの方で勝手に色々と撮影をしていたギャラリー達を吹き飛ばした。


ゆっくりと視線を下げれば、金属加工をする為の金床にはテンテアの拳の跡があり、後ろを振り返れば数人の男達の屍が転がっていた。その中にセバスちゃんの姿も混ざっていたのは、今はどうでもいい事だ。


「有り難く造らせて頂きます」

「そう言ってくれると助かるよ」

「流石はお師匠様ですわ」


平穏と安寧の価値と身の安全を天秤に掛けた結果、負けられない聖戦は30秒程で終戦したのだった。

大人って怖い。


「劣化バージョンだからかな、製作ランク的にはかなり低いみたい。複数一括製作ができるんだけど2個同時でもいい?」

「レアちゃんが造る事に意味があるんだから、やり易い方法でいいよ」

「えぇ、私もかまいませんわ」


精神的に既に疲弊してきているフーレンスジルコニアスは、諦めからもう早い所済ませてしまおうと2個分の材料を炉にくべていく。ユカリアスの時にはブルーダイアを使ったが、今回は2人からの要望で更にクリスタルとピンクサファイアを追加する。100%では無いが運がよければこれで指輪の色やデザインに変化を持たせる事ができるかもしれない。


自動修復で拳の跡が消えた金床の上で溶けて合金化された材料を叩いていくと、段々とリング状に整形されていき、淡い光を発した後に2つの指輪が誕生していた。



・対になったフーレンスジルコニアスっぽい指輪

 敏捷 +5

 魔力 +5

 5%の確立で魔法攻撃の10%を反射。

 鏡面の魔獣ゴルテアの魔石の作用で製作者

 フーレンスジルコニアスの姿を写し取った

 指輪だが、劣化している為に造形に差異が

 発生している。

 また一括製作された効果で対になった為

 装備者が同じPT内に居る時は効果に

 ボーナスが発生する。



「なん…だと…」

「レアちゃん…なんてサービス精神旺盛なの♪」

「もう今から筋肉女の悔しがる顔が目の前に浮かぶわ!」


劣化したゴルテアの魔石らしく、能力的にはユカリアスのイヤリングには及ばないが一括生産の副作用でPT(パーティー)ボーナスのオプションが付いている。そして一番の劣化ポイントとしてフーレンスジルコニアスの姿を写し取ったデザインには本来では付いていない、ネコ耳(・・・)尻尾(・・)が付いておりテンテアと舞姫のボルテージを上げ、逆にフーレンスジルコニアスのテンションをだだ下げにしていた。


取れぬのじゃ~無念じゃ~と呟きながら、金床の上に在る2個の指輪を掴もうとしているが今回も委託生産で作成している為に、フーレンスジルコニアスには所有権が無い為取る事は出来ない。

ニコニコと満面の笑みを浮かべながら悠々と指輪を拾い上げ、指へと装備していく2人を恨めしそうに見上げる。


「今度はネコ化した外観を使われるなんて不条理だ!」

「社会に出ればもっと不条理なことだらけよ~」

「これも良い社会勉強ですわ~」

「大人ってきたない……」


何処かで誰かと交わしたような会話をし、ホクホクとした様子で去って行くテンテアと舞姫、さっそくユカリアスの元へ行き自慢してくるそうである。


その後、大人の洗礼を受けたフーレンスジルコニアスは、八つ当たりのように狩り場で魔獣相手に暴れまわった。ムキーとかウキャーとか騒ぎながら魔獣に八つ当たりした御陰で、ログアウトする頃にはスッカリ何時ものテンションに回復していたが、呪印銃スペルガンに付けられた小さなシルバー製の小猫の小物の目が薄っすらと赤くなっていることには最後まで気付いてはいなかった。



御陰でレベルが1上がったそうです。







今回の登場人物紹介は女性陣になっています、決して作者の趣味です、いやその…。

男性陣の方も書く気ではいます、書こうとは思ってはいます、書かなくてもいいかなぁとかも考えています。



2012年内はコレが最後の更新になると思います、それでは読者の皆様、良いお年を~。



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