戦いの仕方的な、
すいません、今回多忙の為時間調整がうまくできず、中途半端に3000文字のショートストーリー的な物が2話になっています。
その1とその2で完全に話しの繋がりが、ぶつ切りになっております。
知り合いからタブレットを頂いたので挿絵描いてみました。
イメージぶち壊しっすか?
すいません><
その1
圧倒的な戦力差の戦いにおいて、過去の歴史でも多くの大逆転が成されている。
100年戦争や桶狭間の戦いなどは、登場人物なども含めて有名であろう。そして今、ここ銃職人工房でも、1つの圧倒的戦力差の戦いが繰り広げれていた。
フーレンスジルコニアス含めたネコ科に属する勢力5に対し、敵ネズミ目ネズミ科のオオクマネズミ、その勢力は実に50匹であった。
「ウニャー!」
「ナウナウナー」
「ネコのクセにネズミに怯えるにゃ! 倒すにゃ~!」
「ニャンちゃんもネコでしょ! どうにかしてよ~」
優位種でありながら、圧倒的戦力差に既にテーブルの上へと篭城しているネコ勢力。ネコ精霊は早々にニャンデストの背中にしがみ付き、栗色の毛並みのレミリアはフーレンスジルコニアスの頭の上でナウナウと鳴いている。
ネコの親玉っぽい獣人のニャンデストも、次々と現れるネズミの大群に悲鳴を上げてフーレンスジルコニアスへと抱きついてくる有様だった。
優雅に午後のティータイムを堪能していたネコ勢力が集う銃職人工房の喫茶スペースを、ボコっという音と共に壁に空いた穴から出てきたオオクマネズミが来襲したのは5分程前のことだった。
何の前触れも無く現れたネズミの姿にビックリしつつも、本能的に興味を示したネコ精霊とレミリア&ナティが臨戦態勢になりつつ迎え撃ったのだが、1匹の大きさが子ネコ程もあり早々にレミリアとナティは尻込みをしていた。
そんな2匹の不甲斐ない姿に動じる事も無く、幼女ほどもある体型を活かし果敢に対峙するネコ精霊だったが、1歩踏み出す動きに合わせるように更に穴から這い出してきたネズミの姿にピタリと動きを止める。
そんなネコ達の様子を嘲笑うかの如く、堰を切ったかのように次々と現れるネズミの大群にレミリアとナティだけではなく、ネコ精霊までクルリと向きを変えるとそれぞれの主の元へと避難していく。
あっという間に喫茶スペースの床を埋め尽くすまでになったネズミの大群に、悲鳴をあげながらフーレンスジルコニアスとニャンデストも成す術も無くテーブルの上へと逃げ込む。
「レアちゃん今こそ呪印銃で薙ぎ払うにゃ!」
「7発しか撃てないもん、次弾装填中にやられちゃうもん!」
「属性付加魔弾で撃てばいいにゃ!」
「反動でネズミの上に落ちちゃうじゃん!」
「レアちゃんの犠牲は忘れないにゃ…」
「ニャンちゃんが大鎌で薙ぎ払えばいいじゃん!」
足元を埋め尽くすネズミの大群に、生理的に触れたくないという思いからテーブルの上でテイテイとネコパンチと共に擦り付け合う2人の姿に、尻尾を巻いて逃げた事を棚上げしたネコ精霊とレミリアがやれやれと溜息を付く。
地味にテーブルの上で「フー!」と威嚇していたナティが、ネズミの一睨みで慌ててフーレンスジルコニアスの肩に逃げ登っていたのはご愛嬌である。
ギャーギャーと言い合う声に混ざってカリカリという規則正しい音が聞こえてくる、その音にどちらともなく気付いた2人とネコ達がそっとテーブルの下を覗き込むと、ネズミたちがテーブルを支える木の足をその歯で齧っていた。
サーッと顔を蒼くした2人がアワアワと慌て出す、どうしようどうしようとオロオロとする2人の背後でパスッという音が小さく響く。慌てて振り返ってみると肩にレミリアとナティを乗せたネコ精霊が、アガベによって新調された服の背中にお揃いで設えられたホルスターから『パラライズガン』を取り出し、有線式の針を天井へと打ち込みプランと空中でぶら下がっていた。
「にゃにゃ!?」
「おぉ!」
その光景を見たフーレンスジルコニアスが慌てて腰のホルスターから『パラライズガン』を抜き出し、いそいそと天井へと向ける。その様子にニャンデストもその腰をめがけてタックルするようにしがみ付く。
「ええい、離さぬか!」
「いやにゃ~、一緒にいくにゃ~」
「ニャンちゃん重いから重量オーバーだもん」
「レアちゃんのが重いにゃ!」
「ムキー!」
必死にしがみ付くニャンデストの顔を、手で押しのけるようにして引き離そうとするフーレンスジルコニアス。両者譲らぬ攻防を繰り広げていると、カランと軽い音をさせて工房の扉が開かれる。
「こんにちはお師匠様、いらっしゃいますかぁ? って何事ですの!?」
「舞姫さん良い所に、たぁすけてぇぇぇ!」
「うにゃ~」
どこか陽気な挨拶と共にピンクの髪を泳がせながら扉を潜る舞姫と執事のように付き添うセバスちゃん、そして『黄金りんこ』のマスター龍仙が入ってくる。
頼もしい援軍の登場にホッとしたのも束の間、ネズミによって齧られていたテーブルの足が力尽き助けを求める声をドップラー効果のように残しつつ、ネズミの大群の中へと2人が涙の軌跡を残して落ちていく。
もう駄目だと諦めと共にキツク目を閉じたフーレンスジルコニアスだったが、瞼の上からその視界を白に染め上げる熱を帯びた閃光が埋め尽くしていったのだった。
「いやぁ、ギリギリの所で助かったよぉ」
エメラルドのラインがアクセントで入る白い服から、プスプスと小さな煙を上げながらも笑顔でお礼を言うフーレンスジルコニアス。
「まったくにゃ、九死に一生を得たにゃぁ」
同じく軽装の皮鎧を纏った服から焦げた臭いをさせながら、テーブルに突っ伏しホッとした表情でニャンデストが相槌を打つ。
「すみません、咄嗟の事でしたので精霊魔術の範囲に御二人方まで巻き込んでしまって…」
シュンと肩を落とした舞姫が申し訳無さそうに項垂れる、その様子に服だけでなく髪も少し焦げてチリチリになったフーレンスジルコニアスとニャンデストが慌てて慰めに入る。実際少し装備の耐久が減っただけで、焦げ付いたエフェクトは時間で解消する為、舞姫が落ち込む必要はないのだが前線組で活躍する精霊術師の矜持がそれを許さないのだった。
「舞姫さんのお陰でネズミに齧られなくて済んだんだよ、それだけで大感謝だよ!」
「お師匠様…」
「そうにゃ、胸を張るにゃ!」
「ネコ…」
ガシッと手を握り合うフーレンスジルコニアスと舞姫、横ではニャンデストが膝を抱えていたが、どうにか落ち着いた様子にそれまで黙って見守っていた龍仙がことの顛末を尋ねてくる。
「それでどうして部屋中にネズミがいたんだ?」
「わかりません、いきなり壁に穴が空いて…」
「あっという間にゾロゾロ出てきたにゃ」
そう言って振り返った視界の先には、修復されて穴も無くなった壁が映る。ネズミの大群は舞姫による『焔の精霊王』の過剰威力の攻撃で跡形もなく吹き飛ばされており、既に痕跡すら見つけられない室内の様子に手がかりに成る様な物は見つけられない。
「要検証と言った所か…。それじゃぁもう1つ、なぜレア君はあのネズミ達を退治しなかったんだい?」
「いや、呪印銃の装弾数は7発ですし、あれだけ近距離で囲まれちゃうと反動消化もできませんし…」
それになんとなくネズミとか触りたくないのでというフーレンスジルコニアスの答えに、腕を組みつつ首を捻る龍仙の様子に何か間違ったかと不安になる。
「なんで精霊魔術を使わなかったんだ?」
「……え?」
「レア君は風の精霊王の加護を持っている、そして風と雷の範囲攻撃魔術も持っている。それでなぜ範囲魔術で攻撃しなかったんだい?」
「…………」
「………忘れてたんだね」
「ちがいますぅ、わすれてません~風の精霊王の調子がわるかっただけですぅ、わたしの所為じゃありまsウキャ-----」
バレバレの言い訳をしていると、フーレンスジルコニアスの頭上から一筋の雷が落とされる。その後、頭の天辺からプスプスと煙を上げながら、30分ほど誰も居ない空中に向かって必死に謝っているフーレンスジルコニアスの姿があったという。
その2
無限回廊525層開放による『古代種の都』『上位種転職』『新MAP』『新サーバー』と、数ヶ月の間に目まぐるしく実装されてきた新要素。
多くの者が前線攻略以外にもそれぞれ自分に合った場所を見つけ、色々なやり方でゲームを楽しんでいた。しかし、それでもゲーム攻略の本筋に位置しているのは変わらず『無限回廊』の最前線なのであった。
そして現在の最深部は541層、今まで最前線で戦ってきた者達も新要素に惹かれて若干攻略スピードが落ち気味だった。蔦が絡まる巨木やカラフルな鳥達が歌うジャングルを抜けると、朽ちかけた古代神殿が現れる。
中には神殿に住み着いた魔獣が徘徊しており1匹1匹の強さは控えめだが、やたらと取り巻きを召喚して大乱戦になりやすく火力よりも技術が問われる階層になっている。今も巨大神殿の中を思わせる大きなホールのような場所で、階層に数体配置されている中ボスクラスの魔獣との戦いが繰り広げれていた。
「雑魚召喚が始まったぞ! てめぇら歯ぁ喰いしばれぇ。 『揺ぎ無い慈愛の心』」
テンテアの乱暴な言葉使いとは裏腹に、周囲に居るPTメンバー達に若木のような清浄な香りと共に優しい光が降り注ぐ。局所的なオーロラのような光を受け周囲に展開する者達の、激戦を繰り広げて受けた傷が癒されていく。
「我が体内に宿りしは蒼き葬炎、全てを凍て付かす竜の咆哮也 『Absolute Zero』」
竜をその身に宿すコーネリアスが、詠唱と共に体内の竜氣を練り上げその顎門から超低温のブレスを吐き出す。余りの冷気にコーネリアス自身の身体に霜を発生させながら、透明度の高い氷柱が生み出され床一面に出現した魔法陣から次々と湧き出る魔獣の大半を飲み込み、断末魔の叫びが響き渡る。
「おっと、あんたの相手はアタシだよ、余所見してたらおっちぬぞぉ! 『斧装術・隕石砕き!』」
紅蓮に輝く大斧を軽々と振り回すユカリアスが、取り巻きを召喚した巨大魔獣を睨みすえる。ギリギリと身体を捻じった姿勢から繰り出される一撃は、空気摩擦で大斧が燃え上がる程に加速し隕石の衝突を思わせる威力を生み出し巨大魔獣を弾き飛ばした。
「いやぁ、ここの階層は久々に燃えるねぇ、やっぱりボクの居場所はここだなぁ。 『影走乱舞』」
「普段から真面目にやってればいいものを…。 『荒くれ者の輪舞曲』」
糸目で楽しそうに笑う子供のような外見の句朗斗と、狼の耳を生やしたヤンキーのような外見のオスマが、敵の大群の真っ只中で談笑しあう。残像を残し戦場を縦横無尽と駆け回る、好き勝手に動いているようで互いのスキル硬直を合図も無しに助け合う姿は、多くの修羅場を潜り抜けた者だけが持つ背中を預けるに足る者同士の信頼が感じられた。
「相変わらず賑やかですこと、もう少し優雅に戦えないものかしら… 『舞いなさい』
」
戦場の真ん中でゴスロリ服に身を包む舞姫が溜息をつく、右手に焔そして左手には雷を生み出し微笑を浮かべながらゆっくりと戦場を歩く。詠唱もせず踊るように少し手を動かすだけで、その背後には焔に焼かれ雷にその身を焦がす魔獣が累々と転がっていく。
「お嬢様の御前である。 『ひれ伏しなさい』」
いつもの紳士然とした執事服の上着を脱ぎ捨て、タンクトップになったセバスちゃんが舞姫に襲い掛かろうとする魔獣を殴りつける。初老の外見に似つかわしくない肉体は筋肉で膨れ上がり、ナックルガードを両手にはめた拳は山吹色のオーラを纏い、魔獣達を強制的に地面にめり込ませ平伏させていく。
「風さん、ちょこっとコレを掘ってごらん。『螺旋のツルハシ』」
戦場の隅っこの方で、崩れたかけた石像に渦巻く風を纏わせたツルハシを振り下ろすフーレンスジルコニアス。パカッと2つに割れた石造からコロコロと淡く輝く青い宝石が転がり出る、手に取り繁々と見てみると何となく見覚えがある気がするが未鑑定の表示で詳細までは読み取れなかった。
呪印銃改造に使えるかもとルンルンと次の石像へと向かい、ツルハシを振り上げるフーレンスジルコニアスの目の前で爆音とともに石像が粉々に砕け散る。
「おや、ごめんよ。ついうっかり手が滑っちゃった、そんな所にいるとまた偶然手が滑って斧がそっちに飛んじゃうかもしれないから、コッチヘオイデ?」
「…はひ」
ジャラジャラと盛大な音を立てながら、鎖に引っ張られユカリアスの手元へと戻っていく大斧を顔面スレスレに感じながら、コクコクと頷いたフーレンスジルコニアスが巨大魔獣へと向き直る。
ついつい採掘スキルで取得する直感で鉱石等の反応を感知する能力で、石像の中に宝石の反応を発見してしまい、最前線の未発見反応の誘惑に負けて戦闘中に1人掘り掘りしてしまった事に反省しつつ、汚名返上で自分の今できる最高の攻撃をしようと心に決める。
「お詫びとして身を切って全力で攻撃します! 我に宿れ黄金の右腕、貫くは眼前の敵也 『刻まれし烙印』」
初めて聞くフーレンスジルコニアスの詠唱有りの攻撃に、周囲で戦っていた者達も思わず振り返る。大きく振りかぶったモーションからエイヤっと投げられた小さな黒い物体が、ヘロヘロと飛んで行き巨大魔獣の背中にペチっと当たる。一瞬巨大魔獣が立ち止まり「ん?」と首を傾げるも、攻撃したフーレンスジルコニアスに気付く事も無くズシンズシンと現在交戦中の舞姫とセバスちゃんペアへと歩き始める。
「あ・ん・た・は! アレのどこが全力なのよ!」
「痛い痛い! 待って待って、まだ続きがあるんだってばぁ~」
左右からコメカミをグリグリとするユカリアスからどうにか逃げ出し、涙目になりつつ小声でブチブチと文句を言いながら腰のホルスターから呪印銃を取り出す。
「烙印は刻まれし、…えーと、1つの鍵持ちて7つの門を開けん 『七門皇帝』」
・七門皇帝(ガンナースキル)
前提条件『刻まれし烙印』必須
同種の属性魔弾7発を装填した弾倉を刻まれし烙印で
敵に投げつけた状態で、弾倉に装填されていた属性と
同じ魔弾を撃ち出す事で発動する。
誘爆した7つの魔弾も含め、一気に8発分の属性魔弾
で攻撃できるが、弾倉は破壊される。
盛大なマズルフラッシュの中から、緑色に輝く魔弾が吸い込まれるように、魔獣の背中の弾倉へと吸い込まれる。ライムグリーンに輝く魔法陣が展開すると、巨大魔獣を飲み込むような竜巻が発生する、風の刃で切り刻まれる巨大魔獣の咆哮を掻き消すような竜巻の中、更に7つの魔法陣が取り囲むように展開すると縦横斜めと本来有り得ない状態で次々と竜巻が発生する。
地面に転がっていた姿勢から起き上がり、無数の風の刃で全身を切り刻まれた巨大魔獣がヨロヨロと膝をつく姿に一瞬倒したかとホッとしたフーレンスジルコニアスだったが、次の瞬間には憤怒の表情の魔獣と目が合ってしまう。
猛り狂った巨大魔獣に追いかけられ、ギャーギャーと騒ぎながら逃げ撃ちしているフーレンスジルコニアスを眺めながら、『アーカイヴミネルヴァ』と『黄金りんこ』のメンバー達がウンウンと頷きあう。
「やっぱりレアちゃんて面白いなぁ」
「レベル差で仕留められなかったけど、火力的にも十分いけそうだな」
「うんうん、レア子はやっぱりメンバーに欲しいな」
「何を言ってるんですか、お師匠様はうちのギルドに来ていただきますわ」
顔を合わせれば口論になるユカリアスとテンテア、舞姫の3人が案の定喧嘩を始める。現在のフーレンスジルコニアスが前線でどれくらい通用するかの検証に、今まで大人しくしていた3人であったが想像以上の結果にテンションも上がり気味だった。
喧嘩するほど仲が良いを地で行く3人なので、周囲のメンバーはヤレヤレと見学して放置しているが、男達は内心ではこのメンバーが何気にベストなんだがと溜息をついていたりする。
逃げ疲れたフーレンスジルコニアスが黒レア化して、コーネリアスの外骨格に魔弾を当てた音に皆がハッと気付いて慌てて助けに行くのはもう少したってからだった。
正直わけわからなくなっております。
年を越して落ち着いたら改めて改修したいと思います。
活動報告で11月中にあと1話宣言した自分を激しく呪いたい心境です…。




