まだまだ続くよ特別サーバー的な、
ネタとしては古いですが、初期のプロットからやりたかったネタなのでやってしまいました。
実在する諸々とは一切関係は御座いませんという事でよろしくお願いします。
諸事情により5000文字ほど書き直したので、誤字等多いかもしれません。申し訳有りません。
…微かな甘い香りにユラユラとした意識が段々と形を取り戻してゆく、覚醒しだした意識に引き摺られるように自然と瞼が開いていくが、視界は闇に閉ざされたままだった。
ハッと息を飲むが求める空気は吸い込むことは出来なかった、闇と息苦しさに恐怖を覚え慌てて起き上がろうとするが、首から上が押さえつけられたように動かすことが出来ず首から嫌な音が聞こえてくる。
危うくムチ打ちにでもなりそうな痛みで完全に覚醒したフーレンスジルコニアスが、顔の上に覆いかぶさっている物体を「エイヤ!」と胸のほうへと転がす。
バンザイした状態のネコ精霊がコロコロと転がっていくが、スピースピーと聞こえる寝息から未だ起きる気配は感じられない。
簡素なベットの上で辺りを見渡せば小さなランプを置く台を挟んでもう1つベットが置かれており、そこには丸くなって未だ気持ち良さそうにスヤスヤと寝息を立てるニャンデストが眠っていた。
ゲームの中であるイリーガル・コールの世界で『フーレンスジルコニアス』として目覚めることに大きな戸惑いを覚えたが、新サーバーの仕様で現実では10分の時間で3日間を体感できるという事を思い出し1人納得したりしている。
「今日が2日目ってことはまだ40時間近くあるってことかぁ、何気に5連休だ」
朝からテンション上がってきたと言いながらベットから抜け出すと、鼻歌交じりにアイテム欄からペイントツールを取り出し、ニャンデストとネコ精霊の頬にキュキュッとネコヒゲを描いてから部屋を後にする。
「さて、此処はどこでしょう?」
今更ながらに自分が何処で寝ていたかの疑問を思い出し、キョロキョロと周囲を見渡すフーレンスジルコニアス。とりあえずコッチと決めた方向に廊下を進んでいくと、下へと降りる階段へと辿り着き流石は私と自画自賛しつつ降りていくが、実は反対方向に進んでも同じ階段があり下へと降りられたというオチは黙っておく。
シックなダークウッドで設えられた壁や階段を見ながら下の階へ降りると、広い玄関スペースとそこから続く2階まで吹き抜けになったホールのような部屋へと辿り着く。
「あぁ、ここ『アーカイヴミネルヴァ』のギルドホームだ」
結局あの後、『アーカイヴミネルバ』と『黄金りんこ』の間でジャンケンで決められたギルドホーム争奪戦は『黄金りんこ』の勝利となり、『アーカイヴミネルバ』は本サーバーとは違うギルドホームとなってしまっていた。
悪い事をしたかと落ち込んだフーレンスジルコニアスだったが、落ち着いた感じのこのギルドホームが皆気に入ったらしく、案外本サーバーのギルドホームより良いんじゃないかという意見さえ出ていた。
そんな事を話しながら通った記憶があるホールを通り奥の部屋へと足を踏み入れれば、数時間前までどんなインテリアが合うかで盛り上がった大部屋へつき、親睦会で出たお酒に酔っ払ってそのまま寝てしまったのかと思い至った。
後でユカ姉やテンテアさんにお礼を言おうと思いながら誰か居ないかなと部屋の中を見渡すと、大きなクッションの上で足を投げ出してグッタリと横たわる黒い外骨格をした竜人の姿を見つける。
コーネリアスさんと呼びかけながら何度か揺すってみるが、呻るばかりで目覚める気配が無い。ツンと鼻を突くお酒の匂いに昨日のお酒が抜けていないのかなと思いながら、ふと以前ユカ姉から聞いた寝ている旦那を起こす魔法の言葉を思い出し耳元で囁いてみる。
「ダーリン早く起きないと昨夜の続きをしちゃうぞ…」
「勘弁してください!!」
ガバッと勢いよく起き上がるコーネリアスにビックリして固まってしまうフーレンスジルコニアスだったが、コーネリアスも反射的に探したユカリアスの姿の変わりにクッションの横でしゃがみこむフーレンスジルコニアスの姿に同じく固まってしまう。
「レ、レア…。おはよう、よく眠れたかい?」
「おはようございます、お陰様でグッスリ寝ちゃいました。すいませんお手数かけちゃったみたいで…」
「ユカやテンテアが無理に飲ませたのが原因だしな、気にする必要は無いさ」
大人なコーネリアスの対応で何とか無難に済んだ微妙な空気だったが、それで昨夜の続きってなんですか? というフーレンスジルコニアスの空気ぶち壊しな質問に、ガックリと項垂れるコーネリアスが忘れて下さいと呟いたとか。
「すまないがレア、俺とアレの状態異常回復をしてくれないか」
「アレ…?」
精霊魔術講座の後、未転生組からの呼びかけに若干1名を除き応えが帰ってきたメンバー達は大いに盛り上がり、ハイテンションのまま精霊達と親睦を深めてきますとダンジョンへと特攻していた。
残された呼びかけに応えてもらえなかった失意のコーイッタンとボチボチ寝るかと思っていたコーネリアスは、飲み足りないユカリアスとテンテアに捕まり強化合宿と銘打った2次会へと強制連行され、またもや泥酔状態へと陥っていた。
コーネリアスが指差すほうを見ればテーブルの陰にはボロゾーキンのようになったコーイッタンが転がっていた、一体あの後にどんな惨劇が繰り広げられたのか…。諸悪の根源であるユカリアスとテンテアはだらしが無いと憤慨すると、第2ラウンドだと言いながら新たな獲物を求めて酒樽を手に『黄金りんこ』のギルドホームへと向かったらしい。
ムムムっと呻るフーレンスジルコニアスが、チョエイ! と変な掛け声と共に手を振り上げるとコーネリアスとコーイッタンの頭上に水の玉が出現する。本来なら状態回復の水の祝福が降り注ぐのだが、重力に負けるように水の玉のままストンと落下しバシャっと2人を水浸しにする。
ポタポタと水を滴らせながら半眼で見つめるコーネリアスから、フイっと視線を逸らすフーレンスジルコニアス。
「ふおおぉぉぉ!! 呼びかけキタコレ----!!」
「ぎゃっ!」
突然起き上がり叫び出すコーイッタンに驚き、色気の無い悲鳴を上げながら座り込むフーレンスジルコニアス、その視線の先では今もヒャッホーと叫びながらコーイッタンが飛び跳ねている。
「落ち着け、一体どうしたんだ?」
「今レアさんの水の精霊から自分にも呼びかけがあったんです! 俺にも守護くれるって言ってくれたんですよ~♪」
未だ興奮気味のコーイッタンをどうにか落ち着かせ詳しい経緯を聞き出せば、フーレンスジルコニアスが状態異常回復のスキルをミスした事で水の精霊が申し訳なく思ったらしく、『うちの娘がご迷惑をおかけして…お詫びに貴方も守護の対象に加えときますね』と申し出てきたという。
「御陰様で水属性が中級魔術まで無詠唱になりました、ありがとうレアさん!」
「レアって言ぅなぁぁぁ…」
座り込んだ姿勢からコテンと力無く倒れこんだフーレンスジルコニアスが、喜ぶべきか悲しむべきか葛藤しながら呟く横で、謎が深まったと頭を抱えるコーネリアスであった。
本サーバーとは違いイベントサーバーでは住人達が日常生活を送っている、その為『古代種の都』や他の街でも朝早くからガヤガヤと人々が行き交う光景がプレイヤー達を出迎える。
仕事に向かう人や買い物をする主婦を器用にすり抜けながら、フーレンスジルコニアスが帰路を急ぐ。
その目には、時に住人とぶつかりそうになったり、時に戸惑いながらも住人と話すプレイヤー達の姿が映し出される。その姿に皆朝早くから起きて活動するとは健康的に楽しんでるなぁ等と感想を抱くが、殆どのプレイヤーが徹夜でダンジョンに篭ってヒャッホーしていたり徹夜で遊びまくって朝帰りしている不健康優良児なのは知る由も無かった。
歩きなれた道を進み銃職人工房の近くまで来ると、その通りの真ん中に数人の人だかりが出来ていた。いつもの習慣でつい身構えてしまったが、特にコチラへ注意を向けてくる様子も無いその集団にホッと胸を撫で下ろす。
自分が目立っている訳ではないと思うと、沸々と好奇心が沸き起こってくるフーレンスジルコニアス。
道の真ん中で何かを取り囲むように集まる集団に、つつつっと近寄ると隙間からコッソリと中を覗き見ると、そこには1人のプレイヤーが倒れていた。
黒い髪と黒い装備で身を包んだヒューニックの少年が、何故かピシリと背筋を伸ばしグーグーとイビキを掻きながら爆睡していた。
「……何やってるんでしょう、大野さん」
「なんだ、知り合いか?」
「いいえ!! 全然これっぽっちもまったく関係無い赤の他人の知らない人です」
「そ、そうか…」
つい漏れた言葉を野次馬の1人に聞かれたものの力一杯首を振って否定し、万が一にも巻き込まれないようにとソソクサと銃職人工房の中へと退避する。
見なかったことにして記憶から消去したフーレンスジルコニアスだったが、頼んでいた材料アイテムは諦めなきゃと溜息を吐き出す。露店巡りをして仕入れてこようかとも思ったが、後で自力で集めてくればいいかと今あるアイテムでできる物を作ることにする。
コツコツと上げてきた銃職人スキルもやっと中間ランクにまで上がっている、もっともココからのランクにかかる修練の為の時間と必要材料は今までの比では無いのだが…。
なにしろ今のランクを上げるだけで、ここまでの修練に使ってきた量の素材アイテム以上の数が必要になっている。
鍛冶スキルで大体の予想はしていたが、やはりと言うか生産系スキルの修練は中間~終盤までが一番精神的にクルなぁと思うフーレンスジルコニアスであった。
「さて今ある材料だけで出来る物といえば…やっぱりコレかなぁ」
システムウインドウを覗き込みながら銃職人スキルで作れる物のリストを順に送っていく、その中で一番下にある項目に視線がいくとそこには左手用装備作成と書かれたグループがあり、クリックすることで更にウインドウが開かれ2種類の銃の名前が表示されていく。
ひとつは『パラライズガン』、ダメージを与える事より相手を状態異常にすることに主眼を置いた銃で、これは大野さんに頼んでいた素材アイテムを必要とするため今は材料不足で作成不可になっている。
そしてもう1つが『デリンジャー』という名称の小さな銃だ、最初これを完成予想表示で見た時にあまりの可愛さに速攻でチャレンジしたものの、見事に失敗してできたのは心の傷を残した水鉄砲だった。
以来なんとなく造るのを躊躇っていたのだが、いつまでも避けて通れぬ道だと覚悟を決めて作成ウインドウを開き必要アイテムを投入していく。
しかし、ここで彼女は大きな失敗を犯している。これは以前水鉄砲を造ってしまった時もそうなのだが、ランクが上がった事でメンテナンスや簡単な部品の作成なら店の奥の工房室を使用しなくてもできるようになっている。そしてこの左手用装備作成も工房を使わなくてもできるのだが、簡易作成扱いになる為に成功率に下方修正が入っている。
しかも簡易作成にはミニゲーム要素が追加されている為ある種のテクニックが必要とされるのだが、その注意書きにも気付いていない。
流れ出すミニゲームの音楽に「集中集中!」と呟き身体でリズムを刻むその背後で、静かに扉が開いた事に最後まで気付かなかったフーレンスジルコニアスが『踊り出した』。
チリチリと鳴る鈴の音にゆっくりと意識がハッキリとしだす、丸まった姿勢からシーツの上で思い切り手足を伸ばし固まった身体をほぐしていく。普段より軽い身体に違和感を覚えたニャンデストが周囲を見渡せば、ダークウッドの見慣れぬ部屋が視界に飛び込んでくる。
少しボ~とした頭で此処がどこかを考えていると、鏡の前でポーズをとっている小さな背中が映る。
「タマキ?」
「ニャニャ! ニャァ~♪」
ネコ精霊の存在に此処がイリーガル・コールの中だと言う事を思い出すが、振り返ったネコ精霊の姿に呆然としてしまう。満足気なドヤ顔で振り返るその顔の左右の頬には3本のネコヒゲが描かれており、更に口の上には以前手に入れた口髭まで付けられていた。
可愛いと可笑しいの間を反復横とびするその様子に頭を抱えつつ、ネコ精霊へと近寄り苦笑しながら頭を撫でる。頬のネコヒゲに触れてみるがペイントツールで描かれたそれは消えることは無く、ただネコ精霊がゴロゴロと喉を鳴らすだけに終った。
「これしばらくは消えないにゃぁ、誰にこれ描かれたにゃ?」
「ウニャ!」
「またレアちゃんか…、って私にも描いてあるにゃ!」
ネコ精霊との親密度が上がったからか、最近はこの「ウニャ語」も大体分かるようになってきた。ネコ精霊にまでレア呼ばわりされている事に同情しかかったニャンデストだったが、鏡に映る自身の顔にも同じくネコヒゲが描かれてる事に気付くとその気も失せてしまった。
「チョコチョコと地味に悪戯する娘だにゃ、ちょっとお仕置きが必要かにゃぁ」
「ニャニャ、ニャァゥ」
「はいはい、じゃ行くにゃ」
ヒゲを描かれた事で機嫌が良いネコ精霊と手を繋ぎ下の階へと降りていくと、1人寛ぐコーネリアスに挨拶とお礼をしフーレンスジルコニアスの行き先を教えてもらいギルドハウスを後にする。
銃職人工房に続く道を歩きながら、どうやって仕返しをしようかと考えていると目的地の前に人だかりが出来ているのに気が付く。またフーレンスジルコニアスがなにかやったのかと人垣の間から中を覗き込むが、その中心に居るのは盛大なイビキを掻きながら爆睡している大野さんであった。
「ニャ、ニャニャウ!」
「見ちゃいけません、行くにゃ」
不思議そうな顔をしながら大野さんを指差すネコ精霊を注意しながら、野次馬から離れ銃職人工房の扉を開けるとコチラに背を向けて何やらリズムを取っているフーレンスジルコニアスの姿が飛び込んできた。
『この娘はまた何かやらかす!』という野生の勘が働き、ササッと録画を始めるニャンデストの前でフーレンスジルコニアスが踊り出したのだった。
軽快な音楽に合わせてウインドウに映し出されるミニゲームに奮闘するフーレンスジルコニアス、銃を作成する工程を可愛らしいアニメーション風に表現したミニゲームだったが、中々にアクション性のある内容にピョンピョンと飛び跳ねたり手をバタバタと動かしたりしていた。
要するに端から見ればただ踊っているようにしか見えないのだが、本人は至って真剣に取り組んでおりそのギャップが余計に見るものの笑いを誘っていた。
30秒ほどのミニゲームだったが薄っすらと汗を浮かべたフーレンスジルコニアスが満足気に額の汗を拭うと、後ろからバタバタと暴れるような音が聞こえてくる。
嫌な予感を感じながらゆっくりと振り向けば、お腹を抱えて笑い転げるニャンデストと興味深そうにコチラを見つめるネコ精霊と目が合い、ピシリと固まるフーレンスジルコニアスだった。
「みみみ、見た?」
「ウニャ!」
ヒィーヒィー言いながら笑い転げて返事が出来ないニャンデストに代わり、ネコ精霊が目をキラキラとさせながらコクリと頷いた。
その後何で踊っていたのかと言う質問に製作過程のミニゲームをやっていたのだと説明をしたが、鍛冶スキルや裁縫スキルで踊ってる人は見たことが無いという指摘に、そういえば銃職人スキル以外でミニゲームがあるとは聞いたことが無かった。
疑問に思いながら開いていた銃職人スキルのウインドウを良く見てみれば、下の方に注意書きとして『工房室以外での製作には成功率DOWNとミニゲームが発生する』と書かれていた。
知っていればミニゲームなんかやらなかったのにとガックリと肩を落とすフーレンスジルコニアスだったが、本当の悲劇はこの後に訪れるのであった。
ニャンデストにミニゲームの説明の為、押していなかった製作終了をクリックするとガガーンという音と共に大失敗の文字が表示され、次いでズズンという振動が銃職人工房の建物全体を襲う。
地震のような振動に飛び起きたニャンデストだったが、直ぐに収まった事に一応の安堵の表情を浮かべるが、視線の先ではウインドウを見つめたままピクリとも動かないフーレンスジルコニアスが…。
「ど、どうしたにゃ?」
「ぅひ!」
背中から滲み出る悲壮なオーラに不安になったニャンデストが恐る恐る呼びかけると、過剰に反応したフーレンスジルコニアスがゆっくりと振り返る。その目には取り返しの付かない事をしてしまったと言う、怯えのような物が映し出されていた。
何か起きたのかと心配になったニャンデストが何かを言おうとした時、ポーンというシステム音が鳴り響きフーレンスジルコニアスが飛び跳ねた。
『特別サーバー内限定スキル「上位生産スキル」が開放されました。このスキルは複数の生産スキルを組み合わせる事で、設定型オブジェクトの作成ができるようになります。作成は特別サーバー内限定ですが後日運営の監修の元、問題が無ければ本サーバーメンテナンス時に適応されます。詳しくは公式HPをご覧下さい』
運営からのアナウンスが流れたことで何となく事情がわかったニャンデストの目の前で、ピシリと固まったままのフーレンスジルコニアスが哀愁を誘うが、外から聞こえるザワザワと言うどよめきに一体どんなオブジェクトを設置してしまったのかと外へと出てみるニャンデスト。
元々大野さんが作っていた群集は、今は銃職人工房の屋根を指差しながら見上げている、その視線を追い見上げたニャンデストには、とうとうココまでやらかしたかという思いが浮かんできていた。
な ん と い う こ と で しょ う
チャ~ラ~ララ~ラ~♪(お好きなBGMをお使い下さい)
工房の無個性な赤いレンガ作りの屋根に、一際異彩を放つ黒い大きな砲身が聳え立っているではありませんか。
周囲との調和を力の限り拒絶するような、3m程の砲身が陽の光を浴びながら不吉に輝き、通りに集まる人々に好奇と苦笑を与える影を落としていた。
匠の手による渾身の砲身は、迷う事無く街の中心にある巨大な時計塔に向けられ、撃ち出される時を今か今かと待ちわびているようでさえあった。
「にゃ…にゃにゃ……」
「なんだろう不思議と誰の仕業かがわかるのは…」
「あぁ…俺もわかった…」
「あの娘は誰と戦争する気なんだ?」
「国家?」
「むしろ運営?」
「…よろしい、ならば戦s(ry」
フーレンスジルコニアスが言っていた特別サーバーは生産職向けという言葉に、なるほどと感心しながら工房内へと戻るとそこにネコ精霊以外の姿を見つけることは出来なかった。
2階に逃げたかなと思い階段に向かおうとすると、ネコ精霊がトテトテと近づいてきてクイクイと袖を引っ張ってくる。促されネコ精霊が指差すテーブルへと近づくと、その上には1枚のメモが置かれていた。
一身上の都合により、お家帰る。
フーレンスジルコニアス(主人公)、特別サーバー2日目早朝『戦線離脱』
公式HP内 上位生産スキルより抜粋
上位生産スキル『複合化』実装
特別サーバーログイン時のみ複数の生産スキルが発動し、固定型オブジェクトの作成が可能に成ります。
新たに追加されている簡易作成のミニゲーム使用時に大失敗をすると、一定の確率で作成物がオブジェクト化されますのでご注意下さい。
また特別サーバー終了後、翌日の本サーバーメンテナンス時に運営の判断の元、問題が無い場合はメンテナンス後に本サーバーにもオブジェクトが反映されます。
実際に使用するスキルが主体とされ複合される側がサブスキルと位置付けられます、同じ組み合わせでも主体とサブスキルを入れ替えると造れるものが変わります。
複合化生産スキルの一例
木工スキル+鍛冶スキル=建物など
鍛冶スキル+裁縫スキル=軍旗など
銃職人スキル+鍛冶スキル=砲台など
裁縫スキル+木工スキル=巨大ヌイグルミなど
組み合わせ次第でまだまだ作成できるオブジェクトがあるので探してみてくださいね。
主人公が逃走しました。
おにょれ…
次話はちょっとコメディ要素が薄めになります。
少しだけシリアス路線にチャレンジです。
(でもこの作者が書くシリアスなので高が知れてますが…)




