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第 6 話  魔術師

 魔術の起源は知らないが……。

 最初の魔法書の著者は、古代エジプトのトートと言われている。

 文字を作り、神々の書記官だった彼だ、それくらいの役得があっても許されただろう。

 宇宙の秘密を42巻の書物にまとめ、女神イシスに多くの呪文を授けた。

 最高神 ラーでさえ、その魔力に感服した。


 神が人間以上の力を持っているのは、その魔法の力を使うことが出来たからだ。

 だが、時として……人間が、その力を得ることがあった。

 神さえも使役する人間を、人々は“魔術師”と呼んだ。



 真子に、携帯のアドレスと番号を教えた。

 正直に言うと、私が手間取って彼女が全てを設定したのだが……

 今時の魔術師は、携帯の扱いにも慣れているらしい。


 彼女は黒猫と遊んだ後、表情を明るくして帰って行った。

 意外だったのはベンツの運転手だった。

 ワンレングス ショートボブに、レイバンのサングラスを掛けた若い女性だ。

 見覚えはあったが、思い出せなかった。


 少女に携帯の操作を習うより悔しかった。


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