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第 2 話  訪問者

 

 熱いシャワーを浴び、届いたばかりの夕刊を読んで一息入れていた。

 職住一体の特典だ、もう外には出ないと決心した。

 夜の営業まで、階下に行く必要もないだろう。



「マスター、お客様です」


 上戸由香里の、普段より一音階高い声が聞こえた。

 しかも、”様”付きだ。

 賭けてもいい、こんな時は男に決まっている。

 それも、”イケメン”だ。


 二階の自宅から戻ると、確かに当たっていた。

 ボルサリーノを手にした背の高い男が、姿勢を正して立っていた。

 特徴的なのは、日本人離れした銀色の髪と彫りの深い顔。

 そして、眼力だった。

 意思や内面の強さだけではなく、闇を見通す光が宿っていた。


「初めてお目にかかります。伊集院家の者です。」

 朗々とした声だった。

「真子さまが、お世話になりました。ご挨拶が遅れ申し訳ございません」


 若く見えるが、落ち着いた物腰だ。

 私は、後で由香里に殴られないよう紳士を気取った。

「どうぞ、お楽に」

 誰もいない店内、カウンターの一番良い席を勧めた。

 入り口と……私の定位置から一番遠い席だ。



 彼は座る代わりに、上流階級の身勝手さを申し訳なさそうに伝えた。

「突然のお願いで恐縮でございますが、ご足労いただけませんでしょうか?」


 悲観は連鎖する。

 だが、悲観するか否かは自分で決められる。


 私は丁重にお断りした。


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