第三十七話
---リア---
遂に........遂にこの時がきた
やっとあいつに復讐出来る
クリアとか言う不思議な魔法を解き姿を現していく
「貴様らは誰だ!?兵士はどうした!?............使えない兵士どもめ」
こいつが、目の前にいるこいつがお母さん達を殺した
「僕たちが誰だか分からないみたいだね........教えてあげるよ、、僕はアスルの王女だよ」
ヒタが言う
「アスル?あぁ、我らに逆らった愚かな国の事か.........」
その言葉を聞いたら黙って居られなかった
「愚かですって?愚かなのはどっちなの?力に溺れて平気で人を殺す様なあなた達の方が!!」
咄嗟に叫んでしまう
『まぁ、落ち着けってリア...........まぁ、本題に入ろう。ヒタ、リア、お前らはこいつに何を望んでいるんだ?』
くろが聞いてくる
何を望んでいるか?
そんなの決まっている、こいつを殺していままでの罪を償わせる
そんな事を考えているとくろが言った
『まぁ、いきなり聞かれても困るだろうしな、少し考えてろよ。その間に俺はこいつと少し話してるから』
くろが渡すわたちにそう告げて奴の方を向く
『何でアスルを滅ぼした?』
くろが口を開く
「そんなのは決まってるだろう、我が国に逆らったからだ。」
『ふざけんな!!』
「ぐふっ」
くろが奴の腹を蹴る
いい気味だ
『逆らったから滅ぼしただと?お前何様のつもりだ?』
くろが王様の胸ぐらを掴み言葉を続ける
『さっきからずっと気に入らねぇな。いっそのこと今ここで殺してやろうか?』
くろが殺気を込めて言うと奴は「ひぃっ」と情けない声を出したあと黙り込んでしまった
『まぁ、次の質問だ。何故リアの家族を殺した?国民じゃ無いのか?』
さっきのくろの殺すと言う脅しが効いたのかずっと黙っている王様
ここは私が話すしかなさそうだ
「私が説明するわ」
みんなが黙っている中口を開く
「私の母はこの国がアスルを滅ぼした時に起きたクーデターの主犯格よ。私が小さい時から自分の正しいと思った道は真っ直ぐ進んでいく人だったの。それで、その時もクーデターなんて起こして........」
自分でも眼に涙が溜まっていくのがわかる
「結局、そのクーデターに参加した国民はほとんどが殺されたわ。もちろん、母も。そして私の妹は殺され、大事な人を二人も失った私は殺されずに地下牢に閉じ込められていたの」
ついにその涙が流れる
『そうか.........悪いなリア。嫌な事話させちゃったな........』
くろが私に気を使って言葉をかけてくれる
「べつにいいわ」
涙を拭いながら小さな声で返す
『悪いがもう我慢は無理だ。ウィン、ヒタ、リア、ちょっと待っててくれ、腐りきったこいつの精神を叩き直してやる』
くろがよくわからない物を取り出しながら言う
『お前は本当にクズだな。とりあえず、ヒタやリアが味わった苦しみの分としてジワジワと死に近づいていってもらおうか』《パン!!》
乾いた音が鳴ったかと思うと王様の右足から血が出ている
「ぐあぁぁ」
痛みに顔を歪める王様
『まだ全然足りないぜ』《パン!!》
今度は左足から
『まだまだだな』《パン!!パン!!》
今度は両腕だ
四肢が使えなくなって、完全に身動きの取れなくなった王
『どうだ?痛いか?辛いか?なら安心しろ、もう楽にしてやる』
くろが王の頭によくわからない何かを向ける
くろの持っている物がなんなのかはよくわからない、でもあの正体のわからない物は恐ろしい殺傷力を持っているだろう。なら好都合だあいつを殺すことができる
しかしなんだろう、この胸の奥のモヤモヤした感じは.........
「ゆ、許してくれ。なんでもするから、頼む。許して《パン!!》」
これで奴の命も終わりだと思っていたがどうやら違うようだ
『何やってんだよ!?ヒタ!!』
くろが驚いた様子で叫ぶ
「くろ.......もういいから.......これ以上やめて.......」
ヒタが血の流れる肩を抑えながら言う
『何でこんなこと........』
「これ以上やったら、この人が死んじゃう。もしくろがこの人を殺したら、くろもこの人と一緒になっちゃう。そんなの絶対いやだよ........」
ヒタの目からも涙がこぼれ落ちる
『ヒタ.........ごめんな。ありがとう』
くろがヒタの頭を撫でる
『んで、リアはどうする?』
くろが聞いてくる
あんな光景を見せられたのに殺せなんて言える訳がないでしょ.........
「ヒタの言うとおり、もう十分よ.......」
『そうか.........良かったな、お前。みんな優しくて........』
くろがあいつとヒタの怪我を治しながら言う
『じゃぁ、行こうか。もう此処には用は無いだろ?』
そのくろの言葉に頷く
『じゃぁ、行こうか。瞬間移動』
くろがそう言うと、国の近くの森の中にいた
突然の事にびっくりしたが、もう疲れた
奴を殺す事は出来なかったが、気分はとても晴れ晴れとしていた
今回でウォリス編おしまいです
次回から新章に入ります