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説明・普段ルール編

基本、テスト一週間前は、部活は全て休みになる。

しかし、

「予想外だったわ……」

「はい」

今日、まだ部活はあった。というのも、今回のテストは少し変則的な日程が組まれており、テストが始まるのが来週の火曜日から、五日間かけて行われる。

つまり再来週の月曜日まで使われ、故に月曜日の今日はまだテスト一週間前ではなく、当然のように部活があったのだった。

それを帰りのホームルームで聞かされ、

「まぁ、私達には関係ないけど」

書道部の明花、調理部の佐々木、

「はい、帰宅部ですし……となると、これも部活でしょうか?」

野球部の前田、吹奏楽部の波浜、そして空手道部の高橋は部活があり、現在は帰宅部の、

「帰ることが部活内容なら、そうだろうな」

朝香、夜月、浜田は、

「でもそれが本当なら、部活が休みになったら帰れなくなる……ってそうじゃないわよ!」

「かなり長いノリツッコミだったな」

寮への帰路に付いていた。

「とにかく、明日から勉強会開始だな」

「そうね、まずは今日を繰り下げてイチバンの部屋から、土日は変わらず私と夜月の部屋で、残りは明日決めましょう」

「普段はルールは適用か?」

「はい?」

「もちろんよ、でも部屋を貸す時は責任持っていなさいよ」

「分かってるよ」

そんな朝香と浜田の会話の中に、

「あの……一つお聞きしてもいいでしょうか」

聞きなれない言葉を見つけ、夜月は挙手をして訪ねた。

「普段ルールとは何ですか?」

それに対して朝香は、そういえば、という風に思い出した。

「言ってなかったわね、良い機会だし、夜月に教えるわ。私達の普段ルールを」

朝香は説明し始めた。




普段ルール。

今となっては何故そんな名前で呼んでいるか忘れてしまった、朝香達独自のルール。

決まりは計三つ。

一、何か特別な日を見つけたら集まる

二、ただし、私用を優先する

三、一を聞いたら一を語る

「何か一つ足りないような気がしますけど……」

「私の名前の件なら、私の身勝手だから。で、それをこうして紙に書いておくのよ」

朝香は鞄の中からA4サイズのコピー用紙を取り出した。用紙には、今先ほど説明した決まりが全て書かれている。

「ただし、これとは別に皆が持っているオリジナルがあるわ。これもこれで皆は持ってるけど。ね、浜田」

「あぁ」

浜田も鞄から、朝香が持っている物と同じことが書かれた紙を取り出した。

「オリジナル、ですか?」

「とは言っても、あだ名とフルネーム。後は暗黙のルールを一つと、持っている人により異なる事を一つずつだ」

「その、暗黙のルールとは……」

そういう呼ばれ方をしているなら、そう簡単には聞けないだろうと思っていた夜月だったが、

「一つ隠し事をする事よ」

朝香はあっさりと教えてくれた。

「つまり……オリジナルは、こういい物よ」

鞄から取り出した一枚のルーズリーフに、さらさらと書き、夜月に渡された。



一、何か特別な日を見つけたら集まる

二、ただし、私用を優先する

三、一を聞いたら一を語る

 フルネーム(あだ名)


四、1つ、隠し事をする

 (隠し事)



「なるほど……」

「隠し事が書かれてるからオリジナルは誰の目にも入らないところに保管してるのよ。ちょうど良いから、夜月も書きなさい、紙の形状・大きさはなんでもいいから」

「分かりました、さっそく戻って書こうと思います。では、お先に失礼します」

言葉の通り、夜月は一人早足で寮へと入っていった。







寮の自室へと帰ってきた朝香は、鞄を机の上に置き、椅子に座った。

「隠し事、ねぇ……」

先ほどの会話を思い出し、立ち上がると部屋の角に積まれている三つの箱、一番上にある箱を横に避け、二番目の箱を開けた。

中身をあさり、ある物を取り出す。

それは写真立てだった。本来の役割通り、中には一枚の写真が納まっている。

背景は。先日七夕を行っていた寮の屋上。写っているのは9人。

写真で見て右側に明花、波浜、前田。左側に佐々木、浜田、高橋。左右の外側に渡兄妹が立ち。ちょうど真ん中に、朝香が写っていた。

「……」

写真を数秒見た朝香は、写真立てを裏返して金具を外し、写真を取り出して。

写真を裏返した。

そこには写真特有の、白一色……ではなかった。

ボールペンで書かれた、三つの決まり。名前。あだ名。四つ目の決まりに……隠し事。

「紙の形状・大きさはなんでもいいとは言ったけど。私ぐらいよね。写真の裏に書いてるのは。まず紙じゃないし」

それだけ呟くと、写真を戻し、写真立てごと箱に戻した。

「さて……と」

一仕事終えた風に言うと、朝香は机へと向かった。

たとえ一週間前でなくても、生徒全員にテストが迫っているから。







四、1つ隠し事を書く


……なんとかここまで書きましたが。隠し事……隠し事、ですか

星座と月のことは、もうばれていますし。義足のことはクラスの皆さんに知られています

転校前のこと? いや、これはぜひ伝えたい

そう考えると、なかなか難しいですね……

皆さんも、何かしら1つ隠し事をしているのでしょうから、自分も考えなくてはいけないのですが……

「……あ」

そうだ、アレがありました。これにしましょう

たった1つの、隠し事

これ以外は、なるべく皆さんに伝えよう


なるべく……そう、なるべく……


普段ルール。よく友達の間でだけ通じる、特別なルール。

皆さんも、こういうものがありませんでしたか?


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