七夕祭り
学生寮の屋上、ここは特に封鎖するわけではなく、様々な行事などで使いたい生徒達に解放している。
そこに今、明花と稲荷が折りたたみ式の机を二つ運び、各々持ち寄った物を机の上に置いた。
「みんな遅いねー」
「うん、どうしたんだろう」
時刻は7時44分。明花と稲荷は他の皆を待っていた。
その時、屋上へ繋がる扉が開かれ、
「あ、イチバン、光、ななみーも」
朝香、前田、波浜の3人が現れた。
「悪い、少し遅れたわ」
「いいっていいって」
「あれ? 夜月くんは一緒じゃないの?」
「少し遅れてくるわ、これで全員?」
「うん、ガクシ達は用事があるんだってさ」
「そう、それじゃあ先に初めて、夜月を迎えましょう」
「おー!」と明花の声を合図に、七夕祭りが開始された。
七夕祭り、という名前ではあるものの、笹も短冊も無い。
ただ7月7日に集まって、皆でわいわい楽しむ。これはそういう集まりなのだ。
最初にこれを考えたのは、まだ朝香達が中学生のころ。その時からのメンバーは朝香、前田、明花、3人。中学の頃から何かしら特別な日を見つけてはこうして集まっていて、次第に波浜などメンバーが増え、高校生で数人が離れ離れになったが、発案者が残っていた為にそのまま続行、新たに稲荷などのメンバーが加入し、今に至っている。
そして今日、また一人。
「こんばんわ、皆さん」
「あ、来たわね夜月」
屋上の扉を開いて、夜月が現れた。
「すみません。せっかくお呼びいただいたのに遅れてしまいまして」
「別にいいわよ、まだ始まったばかりだから」
夜月を加えて、七夕祭りはさらに賑やかになった。
「基本はこういった他愛もない話をして楽しむ集まりよ」
朝香による集まりの説明が終わり、話題はそのまま夜月の話に。
「改めまして自己紹介させていただきます。自分は夜月 光。外国は南半球、オーストラリアから転校してきました。そして、すでにご存じかもしれませんが…」
夜月はズボンの裾を持ち上げ、
「…右足、膝から下は義足なので、激しい運動などは禁じられています」
「おぉ! ホントに義足だ!」
義足を見せ、唯一見たことの無かった波浜を驚かせた。
「本日は、お誘いありがとうございました」
裾を下げて、夜月は深々と頭を下げた。
「よし、自己紹介も終わったし、これからが本番よ!」
『おーー!』
朝香の掛け声に全員が答え、七夕祭りが本格的に始まった。
他愛の無い会話をし、持ち寄った物を食べたりしながら、
時間は過ぎていった。
なんとか間に合いました……
七夕祭り、名前はそうですが、笹も短冊も無く、ただ他愛の無いおしゃべりをするだけ。しかし、朝香達にとってはそれさえも青春の1ページで、一つの思い出なのです。
話自体はもう少し続きますが、少しだけ間を空けてから投稿しようと思います。
もし早く読みたいという方がいましたら、ご連絡を、努力してみます。
それでは、
感想及び一言、お待ちしています。