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説明・月の力編

夜月の持っている月の力、これには幾つもの条件があり、その条件の下に夜月は月の力を使っている。

条件その一、空に月が昇っている時にのみ武器を出せる。つまり夜ならば学校の外でも使う事が出来るのだ。

条件その二、一度に出せる月の武器は限られている。月の満ち欠けにより人が名を付けて区別した三十種類、その内互いに反転したものは同型の武器で、全十六種類の武器を夜月は扱える。

「ちなみに、月の満ち欠けの名前には長い物もありますので、他のと似た名で代用しています」

「へぇー」

「そして限られているというところですが、コレはちょうど三十になるように、月の円形に収まるようにしているのです」

「月に……収まる?」

「簡単に説明しますと、自分が先日使った剣、あれは三日月で、後残り二十七までの武器を出す事が出来るのです」

「えーっと……」

簡単に聞こえるが、朝香にはちんぷんかんぷんだった。

「分かるような分からないような……つまり、その力は非日常の物ね」

だから簡潔にまとめてしまう事にした。

「そうなりますね。もしもですが、朝香さんならこの力、喜んでもらいますか?」

「え?」

一瞬きょとんとしたが、朝香はすぐに理解した。

「もちろんじゃない! なによそれ、どこかでもらえるものなの?」

「いえ、残念ながら」

「あ……そう……」

淡い期待をした朝香だった。

「これは自分の祖父から受け継いだものですので、一子相伝というものですね。変に期待させてすみません」

「別に良いわよ、そこまで期待してなかったわ」

だが内心は、

(なによ! すっごい期待しちゃったじゃない!)

表には出さなかった朝香だった。

「さて、朝香さん」

説明を終えた夜月は、虚空から三日月の剣を取り出した。

「まずは頭の上のものをなんとかしましょう」

「え……? あぁ!」

朝香は頭上に手をやった。そこにはまだ、かんむり座が乗っかっていた。

「このっ……離れなさい!」

頭を左右に振ったり、手で外そうとするが、

「いたたたた!」

まるでのりで付けられているかのように外れなかった。

「いてて……すっかり忘れてたわ」

「静かでしたしね」

「落ち着いてないでなんとかしなさいよ!」

「分かっています。少し動かないで下さい」

夜月は剣を振り上げた。

「ちょっ! ちょっとなにする気よ!?」

それを見てさすがに訊かずにはいられなかった。

「簡単に説明します。星座には人型と動物型の他に、道具を模した星座があります。それらは普通、自分単体では自由に動けず、人間を操る事があるのです」

「でも私なんともないわよ?」

「ごく稀にですがそういう人もいるみたいです。今までに朝香さんを含めて2人ですが、この場合はその星座を破壊すれば終わりです」

「簡単に言ってるけど……それ大丈夫なの?」

つまりはウィリアム・テルのように朝香の頭上のかんむり座を夜月が剣で切るという事だ。怖くないと言えば、嘘になる。

「今までも、なるべく人に傷をつけないように努力してきました。……やむを得なかった時もありましたが…」

「後の方は言わなくても良かったんじゃない?」

最初の言葉でほっとしたが、後半の言葉で不安を更に煽られた。

「ご心配なく、今回のは危険ではありませんから」

「そう……信じてるわよ」

夜月はこういう時に冗談を言うような人じゃないと、朝香は思っていた。

「はい」

夜月は剣の柄を両手で持った。

「いきます」

声を合図に、夜月は剣を振り切った。

「っ!!」

思わず朝香は目をつむり、


ザシンッ!





カコン カコン


そんな音を聞いた、何が行ったかは見ていない。

「終わりました」

夜月の声に朝香は目を開け、頭上に手をやる。手は障害無く頂点を触った。

「……無いわ」

「下に落ちてますよ」

下を見ると、横に切断されたかんむり座が消滅しているところだった。

「さて、こちらはこれで大丈夫……問題は次ですね」

「え? 次ってなによ?」

朝香がかんむりから視線を上げると、夜月は何も言わずに踵を返して自分が来た方向へ歩き出していた。

「ちょっと待ちなさいよ! 次ってどういう意味よ!」

朝香は後を追った。

かんむり座が消滅し、昇降口には沈黙と暗闇だけが残った。


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