表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

「もし」シリーズ

婚約破棄した結果

作者: 笛伊豆
掲載日:2026/02/28

いつもの婚約破棄。

政略婚姻の場合、どうなるのでしょうか。

恋愛要素ゼロです。

「ゲイブリル・アラン伯爵令嬢! お前とは婚約破棄だ!」


 突然叫ばれました。

 学園の卒業パーティでも舞踏会でもない、ただの平日のお昼時。

 場所は学園の食堂です。


 叫んだのは(わたくし)の婚約者であるクラーク・ロッソ伯爵令息です。

 背後に地味なドレスの小柄な令嬢を従えていらっしゃいます。

 侍女なのかしら。


 クラーク様は(わたくし)の婚約者ではあるのですが、これはロッソ伯爵領とアラン伯爵領との通商に関わる政略婚姻ですので、婚約と言っても一種の約定のようなものです。


 なので(わたくし)とクラーク令息は学園内においてもほとんど接触もありませんでした。

 一応、婚約者ということで定期的にお茶会をすることになっていたのですが、お互いの都合が合わずに中止になることもしばしば。


 そういう意味では婚約が解消されてもおかしくないような状況ではありました。

 ただ、こういうことはお互いの家同士が公的に決めることではあると思うのですが。


「聞いているのかゲイブリル!」

「聞いております。婚約解消でございますね」

「違う! 婚約破棄だ!」


 拘るようです。

 どっちでもいいような気がしますが。


「判りました。お受けします」

「……そういうところが気に食わないのだ! 淑女はもっと男を立てるものだ!」

「はいはい」

「もういい!」


 激怒して去って行くクラーク様、じゃなくてロッソ伯爵令息。

 くっついていた令嬢が慌てて追いかけていきます。

 紹介もして頂けませんでした。


 (わたくし)は後ろに立っている侍女のミリィに目で合図しました。

 頷いて「手の者」を走らせるミリィ。

 (わたくし)のやることはこれでおしまい。


 伯爵家ともなれば直臣だけでも百人を越えます。

 間接的に雇用している者まで含めれば千人以上いるでしょう。

 それほどの人数を動かすためにはシステムが不可欠です。

 そう、(わたくし)の前世で言えば上場企業並の組織なのです。


 政略婚姻ということは、もはや個人ではなく組織同士の契約になります。

 クラーク様と(わたくし)は婚姻の当事者ではありますが、それは巨大な取引の一環、言わば約束手形のような物。

 手形が不渡りになるようならば、速やかに新しい手形が振り出されます。

 つまり、(わたくし)たちの婚約が破棄されたくらいでは貴族家同士の契約は揺らぎもしません。


 組織は問題ありませんが、当事者は別です。

 (わたくし)もクラーク様も嫡子というわけではございません。

 いくらでも代行の者がおります。

 ですが、(わたくし)たち自身はこのような不手際を犯したとすれば人事上の制裁は必至でしょう。


 (わたくし)は適齢期の未婚の令嬢ということで、しばらくは修道院辺りでほとぼりを冷ましてから人事異動(新たな婚約)になると思われます。

 願わくば別の貴族家令息との婚約であれば良いのですが。

 まあ大丈夫だとは思います。

 婚姻適齢期の伯爵令嬢という属性はなかなか貴重ですのよ。

 実務能力よりは存在自体に値打ちがあると解釈されますので、使い捨てにはならないかと。


 ですがクラーク様は殿方。

 自らの能力と実績をもって存在価値を示す必要がございます。

 なのに、せっかく決まっていた婚姻契約を自ら破棄されておしまいになった。

 しかもどうやら女絡みのご様子。

 おそらく人事評価は駄々下がりでありましょう。

 まだ学生で実績も無く、特出した能力も示せていない。

 左遷は必至。

 将来は暗いと思われます。


 ざまぁ?

伯爵領ってなろうでは軽く扱われるけど、よく考えたら下手すると今の自治体(市)レベルなんだよね。

子爵領が町で男爵領が村くらいかな。

上の方は侯爵領が県で公爵家は下手したら州だったりして。


市にも色々あるけど、現代のでかい市になると人口数十万、役人は1万人くらいいそう。

小さな市でも地方公務員だけで千人以上はいる。


そんな自治体同士の契約とか、当事者が勝手に破棄できるはずがないでしょう。

やったら担当者は左遷どころか懲戒免職ですよ(笑)。


ちなみにヒロインは前世で商社の総合職だったので達観しています。

貴族の結婚は仕事です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ