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ハズレ勇者は引きこもりの配信者  作者: 月野槐樹


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第4話 レベル99と帰還の夢

配信を続け、ついにレベル99。


【最大レベル到達:地球帰還スキル発動】


影山の視界が歪み、気づけば地球の部屋にいた。引きこもり部屋、散らかったPCのケーブル、マウス、コンビニの袋。


「あれ?夢……だった? 異世界、全部夢だったのか? あー、そりゃそうかぁ」


コンビニに行ってみる。夜更かしした後の眩しい陽の光。通りを走る車のエンジン音。よく知っている、ありふれた日常。


異世界に召喚されて、追放されて、配信して……。そんな夢を見ていたなぁ、そういえば、学校も暫くサボっちゃった気がする。そろそろ、行かなくちゃなぁ。なんて思っていた。


でも、ふと、端末にメッセージが来ていたことに気がついた。差出人は、吉田良夫。

あれ。異世界の夢の中では、ちょっとだけ喋ったけど、クラスで喋ったことあったっけ? ……まあ、吉田君は良い人そうだからなぁ。不登校っぽかったから、連絡くれたのかな?


そんなことを考えながら、メッセージを開いてみた。


『いなくなったらしいって聞いたけど、もしかして、地球に帰れたの? 俺も帰りたい! あ、でも、そうじゃなくてどこかで困ってる? 大丈夫? ――吉田良夫』


影山はハッとした。吉田はまだ異世界にいる。あの日々は夢じゃなかった?

親切にしてくれた吉田を、忘れちゃいけない。


「そうだ、吉田君……」


スキルが再発動。レベルアップで得たのはコラボ配信モードだ。


影山のチャンネルに吉田の視点が追加。吉田専用のサブチャンネルが作成できた。


これは、もしかして?

配信を開始、視聴者と吉田に呼びかける。


「みんな、吉田くんのチャンネル登録して! 増えたら吉田くんも帰れるんだ!……多分……?」


『多分?って何だよ! 配信したら俺も帰れるのか? 何を配信するんだ?』


吉田はよくわからず、日中は配信しっぱなしにしていた。


吉田の配信には冒険の裏側、勇者たちの日常、癒しのエピソード綴られていく。「本日の勇者メシ」のコーナーも人気になった。


コラボで、影山が解説をすると、さらに吉田の良い人さが際立っていった。


じわじわ。着実に、吉田のチャンネルへの登録者が増えていく


『吉田さんいい人すぎ』


『登録した! 帰ってきて!』


登録者が順調に増え、吉田の異世界スキルがレベルアップしていった。レベルが90になった頃、勇者達は遂に魔王を倒した。しかし、魔王を倒しても、財宝と名声は得たが地球に帰る手段は得られなかった。


吉田は、希望を捨てず、配信を続けた。

「勇者祝賀会」「凱旋パレード」「祝賀会後の勇者メシ」。実況をしていく。


『凱旋後、初の勇者メシは澤村君リクエストのポテトフライ付きだよ! こっちでは植物油が手に入りにくいから、揚げ物は特別メニューなんだ。澤村君は、ポテチをリクエストしたらしいんだけどね。上手く伝わらなかったか、芋を薄く切れなかったか、どっちだろ』


『ポテトフライだって、美味いぞ!』


ポテトフライを指先で摘んで、澤村が横からピョコっと顔を出す。


『澤村君、かっこいい』

『ポテトフライ美味しそう!』


吉田視点の配信も人気が出た。


そしてレベル99に達成し、吉田はついに地球への帰還を果たした。


「吉田くん! おかえり!」


地球で再会した二人。影山の部屋で。もちろん、再会の様子も配信している。感動の再会の場面では投げ銭が殺到した。


「影山くん、ありがとう……でも、俺も配信者かよ」


こうして、影山は配信仲間を増やした。


吉田が、配信者になってスキルアップしたことで地球に帰還したということを知った澤村、三村、剛田は、自分からコラボ配信したいと影山に申し出てきた。


次々コラボ。影山の配信開始当初からの、ファンは、みんな澤村達の行く末を気にしていた。当然、チャンネル登録をしていく。視聴者がどんどん増えていって帰還の連鎖だ。


ハズレ勇者は、引きこもり配信者として、異世界と地球をつなぐ伝説となった。


「次は誰を呼ぼうかな」


影山は画面に向かって微笑んだ。引きこもり生活は、永遠に続いていた。


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