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第1話 エースと新人の会話

 ってぇことで、1話が始まりますよ。何の山場もなくぐだぐだと進むつまんない回です。

 この回で全部そういうつまんないところは書こうと思ったんですけど、色々長くなりそうだったんで


 分けます。

 なので、次回もこんな話になっりますよ~。

 「でも本当に嬉しいですよ。また姐さんとお仕事できて」

 「…」

 「ああ!そしてこんなにも良いお天気で…!神様も、ボクらのコンビが最高で最強だと祝福しているみたい!」

 「…」

 「もうー!姐さんってばぁ~、ム・シ・し・な・い・で・く・だ・さ・い・よー!」

 「…」

 「そんなに照れないでください。ボクだってあまりの嬉しさに失神しそうなんですから!」

 「…おい、少し静かにしろ」


 真っ青な空の下、二人の人間が歩いていた。

 一人は背の高い女性で、身長は少なくとも180はある(長さの単位は普通に「センチメートル」です)。上は黒のコートを着用し、下は蛇革の細めのパンツで、脚のラインや美しさを崩すことなく穿かれている。適度に汚れた編みあげのブーツが、地面の砂利を踏み潰していく。モデルのようなスタイルと顔立ち。髪の毛は首筋にかかるぐらいのショートヘア。ぱっと見真っ白に見える髪の毛だが、完全な白色ではなく申し訳程度に青が入っている。

 おおよそ完璧な外見。減点するところがあるとすれば、その女性の瞳に光が全く無く無表情なところと、あまり手入れをしていないのか、髪の毛が少し傷んでいるところくらいである。街を歩けば多くの視線を集められそうだが、どこか近寄りがたい、切られそうで鋭く冷たい雰囲気を漂わせる女性だった。 モデルのようにとは言ったが、ただの痩せ型というわけではない。胸の方はもちろん、腕や脚にも適度に筋肉が付いていた。

 ただ、その美しさもあるだろうが、人々がまず視線を向けるのはその女性が持っている()だろう。

 女性が持っていた物、それは「棺」だった。自分と同じくらいの大きさの棺。無論、成人男性でも一人で持つのは大変だろう。なのに、それを片手で持っている。より詳しく述べると、棺から出ている一本の鎖を左手に巻きつけ、肩に担ぐように、バッグを持つように…持っていた。しかもその棺、木製などではない。陽にあたりキラリと光る鋼鉄製…。鎖と棺が擦れあい「ガチャ」とも「ガシャ」とも言える音を立てていた。

 その隣をもう一人、可愛らしい少女が歩く。背は160あるかないかくらいであったが、隣の人物との身長差があるためかなり小さく見えた。

 また、隣が自分よりも大きい人物である上に、その背中には大の大人が簡単に納まりそうな棺が担がれているので、少女の存在感は押し潰されてしまいそうだった。

 ただし、少女の存在感が決して薄い訳ではない。今二人が歩いているのは、人気が全く無い田舎道であったが、この場所では少女の格好も十分目を引いた。それは別に少女のファッションが奇抜だとか、そういった意味ではない。ただ、このような場所では珍しいというだけで、人の集まる街中では少女のような格好をした人間は多く見かけることだろう。

 赤のカラーシャツに、その上には黒のスーツ。ネクタイはそれに合わせるように黒のネクタイ。穿いているのも黒のパンツスーツで、こちらはベルトを使用せずサスペンダーを使っている。髪の毛は肩ほどまでの長さで、ところどころハネた黒髪。その上には手触りの良さそうな黒いソフト帽。

 どれも高級そうな物で、少女のファッションのこだわりの高さが伺える……と思いきや、足に履いているのは高級革靴などではなく、無骨な安全靴だった。

 棺を担いだ女性と、場違いなフォーマルファッションの少女………。

 棺の女性の肩書きは、「ジャンク・ジャンク」大量殺人課序列第二位「虐殺爆弾(ジェノサイドボム)」、名前はレオナ・ジーンサイド。

 もう一人の少女は、同じく「ジャンク・ジャンク」の殺人者ユエル・オルティナだった。


 天気は快晴。まさにピクニック日和といった感じで、この奇妙な二人組でさえも「ピクニックにでも行くのか?」と思われるくらい。しかし、二人はそんなのんびりとした目的で歩いているのではなかった。

 二人の目的、それはダゼルという村を壊滅させること。数日前、「ジャンク・ジャンク」からユエルに依頼が入り、それにレオナが同行する形で隣を歩いているのであった―――……。

 

 「ええ~。それはヤ!ですね。せっかく姐さんと一緒に仕事できるんだから、いっぱい話したいですよ」静かにしろと注意されたユエルが、レオナを見上げ唇を尖らせた。

 「はあ…。あと、その手に持ってる物もしまえ」

 ため息を吐きながらレオナの目がユエルの手に向けられる。ユエルの手に握られているのは、背にも顔にも似合わない大型の「回転式六発弾倉拳銃(リボルバー)」が一丁。

 レオナに言われユエルもリボルバーに目を向ける。うっとりとした表情でその手を掲げる。

 「これどーっスか?D&Gディーゼルアンドギャリッソン社の新作なんですよ。ごつくも美しいこのフォルム…やっぱリボルバーは最高にカッコイイですよねぇ」

 .357口径(約9㎜)、使用する弾丸は.357マグナム弾。作動方式はダブルアクション。レオナの頭に自然とそういった情報が入ってくる。これも一種の職業病だろうか。

 「だからってこんな道端で出すな。目立つから」まるで玩具の様に銃を扱うユエルから目を離し、言った。

 ユエルは一瞬ポカンとした表情をすると、すぐに「く、くく…プププ」と笑い始めた。

 「ね、姐さんに言われたくないっスよ!ププ…姐さんの担いでる棺の方が何倍も目立ってますって」

 「う……確かに」


 結局、ユエルはリボルバーをヒップホルスターに収めた。

 それを確認したレオナは、ずっと気になっていたことをユエルに訊ねた。「しかし、何故リボルバーなんだ?」

 「えー?カッコイイからですよっ」

 「大量殺人課向きじゃない」

 二人が所属する「大量殺人課」のモットーは「圧倒的な火力と、敵が全滅するまでそれを続けること」だ。リボルバーの弾の充填数は六発…まあ、それ以上の弾丸を込められる物もあるにはあるが、基本的には六発だ。一発で一人殺せたとしても、最大六人しか殺せない。弾を込める時間を考えれば、同じ拳銃でも、装弾数が多くリロードも素早く行える自動式拳銃の方が良いに決まっている。まあ、動作不良や部品も壊れやすくはなるが…。どちらにしたって、一発ずつしか撃てない拳銃はあまりこの課に向いていない。

 「だからいいんじゃないですか。大量殺人課でリボルバーを使う殺人者なんて、絶対カッコイイ異名付けられますよ」未来の自分に思いを馳せるかのようにユエルが言う。

 レオナは呆れた。そんな理由で得物を選んでいるのか、と。

 「それに…お前のそれ、改造されてるんだろ」

 「あれ、何で分かったんですか?」不思議そうな顔をしてユエルはレオナを見た。

 考えなくても分かった。このユエルと仕事をするのは今回で二回目だが、前回の時も今持っている物とは違う改造リボルバーを使っていた。それに、自分達の武器はそのほとんどが「武器商人」から購入した物であり、そういったところの武器は違法な物、そして改造された物ばかりだからだ。

 レオナ達が武器商人から武器を買うのは、単純にそちらの方が買いやすいし、リスクが少ないからでもあった。一般人でも買えるような正規の店を利用することもできるが、あいにく「ジャンク・ジャンク」の殺人者のほとんどは、指名手配犯や何かしらの犯罪者だ。通報されるのも面倒だし、何より表に出て自分の情報を少しでも流すことはできるだけ避けたい。

 そこでお世話になるのが武器商人だった。彼らは「ジャンク・ジャンク」同様に、裏の世界の住人なのでそのような心配は無い。ただ、一概に良いとも言えなかった。先述したとおり、武器は改造されていたりして品質は著しく下がっているし(勘違いしてほしくはありませんが、品質が下がる分武器の威力は格段に上がってるんですよ?)、彼らが自分達の情報を「掃除屋(スイーパー)」等の、同じく裏世界の住人に流すことは止められない。顔なじみになれば安く売ってくれるが、それ以上の対価も覚悟しなくてはならなかった。

 レオナも例に漏れず武器商人からあらゆる武器を買っているが、できるだけ製造元から卸された状態のままの物を扱う商人を利用していた。理由は、レオナが改造された武器を嫌うからだ。いくら威力を底上げしたところで、肝心なときに壊れてしまっては意味が無い。いつかは壊れる兵器も、毎日かかさず手入れをしてやれば案外長持ちしてくれる。特にレオナは「火力」を重視していたので、使う武器と言えば銃火器類ばかりなのも大きな理由だ。「大量殺人課」のほとんどが遠距離武器を好むが、無論近接武器を使う者もいた。

 納得行かないユエルを見ながら、レオナは言った。

 「そんな物使わなくてもお前の体質なら、お前だけの武器になるし大きな特徴になるだろう?」

 「えぇ~…。それはヤ!ですね。カッコ悪いし、オシャレじゃないですもん」あからさまに嫌そうな顔のユエル。

 そんなものだろうか?レオナは何故ユエルがそういう風に考えるのかが分からなかった。

 「にしても…あとどんだけかかるんスかねー」

 ユエルがウンザリした声で言った。そうなるのも無理はなく、もうかれこれ三時間は同じような場所を歩いていた。その道中、誰ともすれ違わなかった。

 「歩いて行くと言ったのはお前だろう」感情込めずにレオナが言う。

 今回依頼を受けたのは、あくまでユエルだ。なので移動手段はユエルに従うことにしていたレオナ。「ジャンク・ジャンク」は移動手段までは用意してくれない。どれだけ場所が遠くても、そこに行くまでの費用は依頼を受けた殺人者持ちだ。

 「ええ~……それはだって…その方が姐さんといっぱい話せるかな、なんてゴニョゴニョ…」

 ユエルの小さな呟きはレオナには聞こえていない。

 別にレオナも歩くのは嫌いではなかったし、自分が依頼を受けてもそのほとんどの移動は歩きだった。海を越える場合なんかはそりゃ船等を使うが。

 ただいつも思う。「ジャンク・ジャンク」も移動費くらいだしてくれたらいいのに、と。

 契約金は全部、報酬金にいたってもその一割を天引きされているのだ、それくらい思っても罰は当たらない。

 …まあ、「ジャンク・ジャンク」も組織ではあるが、幹部といった存在や偉そうに命令する人間もいないので、それらのお金が理由も無く搾取されている訳ではないのだろう。多分、天引きされた部分は「ジャンク・ジャンク」の設備維持やバーにあるお酒とかに使われているのだ。レオナ自身の想像でしかないが、そう思うと何となく許せた。「大量殺人課」はそうでもないが、こういったところにシビアな殺人者は少なからずいる。


 そこからしばらく無言の状態が続いた。景色は相変わらずで、細い一本道がずっと伸びている。両脇は木々が茂っていて昼間でも薄暗かった。

―――次回!予告!


 最近近所の子ども達が使って遊んでいるアレは何だ!?

 黒いスケボーみたいなあのボード…。スケボーなのか!?ニューエイジのスケボーなのか!?

 またしてもアメリカからやってきたクールなオモチャなのか!?


 次回!

  そんなオレの悩みは解決するのか?


 期待してろよ!

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