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第14話 団子とたい焼き

 今回の話の元ネタは「八丁念仏団子刺」と漫画「シグルイ」の中に出てくる「七丁念仏」です。こんなん言ったらどんな話かまる分かりですねw

 前回の予告のアレ、まんまシグルイの台詞使わしてもらいましたww虎眼先生ww

 じゃあ、もしかして……無明逆流れも……?


 シグルイ好きです!

 街の大通りの中、人ごみに紛れて奴らはいる。


 ×


「らー♪るーるるー♪」

 その女は片手に紙袋を抱え、右手には串団子を持って、ひどく上機嫌であった。

 女の姿は、人ごみの中でもかなり目立った。身長が高いから、とかそんなのではなく、他の大勢の人間とは着ている物が違ったからだった。

 この世界では珍しい袴姿。胸は白いさらしをきつく巻き、隠している。その上には濃紺色で薄手の着物。上下ともかなり使い古しているのかボロボロである。足下は白足袋に草履と、どこまでも珍しい。しかも腰には、こちらでは手に入れられない武器、「刀」が一本――――。

 衣服はみすぼらしいが、それとは対照的に顔立ちは端整で、肌は透けるような白さ。長い、藍色の髪の毛は、後ろで一つにまとめられ、腰の辺りにまできれいな帯となって伸びていた。

「ジパング」発祥の伝説クールファッション・サムライスタイル!

 ほとんど幻と言って良いほどこのスタイルはお目にかかれない。異世界なみに遠く離れた「ジパング」に、もはやサムライがいないこと、さらに着物等の「ジパング」特有の衣類も、ひどく手に入れにくいためコスプレすらもできないからだ。

 ……しかし、この女のファッション。コスプレとは思えない。

 衣類はボロボロだし、何より刀など手に入れること自体できない。模造刀でも芸術品として数百万(この世界での通貨単位は「ムック」です。お忘れなきよう)の価値を持っている。

 そして、女はこれらを着こなしている。サマになっているのだ。ならば、まさか本物のサムライなのか。だが、サムライは男しかなれない。

 それを知ってか知らずか、もしくは、ただ女の格好が珍しいからか、その両方か……。すれ違う人々は、皆一様に女を見ていく。

「いやあ、でもラッキーだったなあ……!まさかこんなところでお団子とたい焼きが手に入るなんて」

 人々の視線など、まるで気にしていない様子で、女は串団子最後の一個を頬張った。そして脇に抱える紙袋に目を落とす。中身は大量のたい焼き(お団子もたい焼きも、ジパング特有のお菓子なのですが、たい焼きはこちらではあまり手に入れることができないお菓子でして。ええ、あの……説明しますか?しましょうか!「たい焼き」の「たい」というのはそもそもお魚の名前でして、たい焼きとはその魚に似せた生地の中に餡子を詰めて焼いたものなのです。ふっくらとした生地の中に甘ーい餡子がぎっしりとあって、とても美味なのです。私には甘すぎるんですが……。あー、いえ、どうでも良いですね……出来立てが一番美味しいんです。たい焼きのほかにも「人形焼き」や「たこ焼き」、「大判焼き」とかイカ焼きとかそりゃもうバラエティ富んだ……(略))であった。小ぶりのたい焼き達がお互いを温めあっている。

「けど、問題は味なんだよね。ここの人達って、どこかジパングを勘違いしているから……ああ、でも、このお団子は美味しかった」

 少し不満そうな表情を作る女。しかし、すぐに明るいものに戻す。細長い串を口の端にくわえたまま微笑む。

 ジパングで生まれた食べ物や製品は、ただでさえあまり市場に出回らない上、それらのものがこちらの住人に非常に人気があるため、着物一つでもものすごい高値となる。たい焼きなどの、素朴な食べ物はジパング以外の人間でも作ることはでき、実際にそういったものが売られてはいるが、似ている部分は形だけ……というものが多くあり、本当に美味しいものが食べられる確率はかなり低い。

 性質の悪いことに、ジパング出身の者なら不味いとはっきり分かる味が、こちらの人間にはそれが分からなかったりする。「おいしい」とは全く思わないのに、ジパングのことなんて何一つ知らないから、店の人間に「これがジパングの味さぁ!どうだイカしているだろう!」などと言われれば、「そうなのか」と納得してしまうのだ。結果……、味が改善されることなく誤ったジパング知識が広がる要因となっていくのだった。

 彼女も既にたい焼きでないたい焼きをいくらか食べさせられていた。なつかしい味を見つけても、すぐに喜べないのが辛いところだ。

 ただ、今日買ったたい焼き屋の近くで買った団子は美味しかったので、期待する気持ちの方が強かった。

 早く食べてみたかったが、それは後のお楽しみにとっておく。「仕事」の後のお楽しみ。

 人ごみの遠く、こちらの方向に歩いてくる二人の男を、女が捉える。

 今回のターゲットだ。

 女は真剣な目つきとなり、緊張感を高め、意識をその二人に集中させる。


 ×


 二人の男は、どちらもガラが悪く、二人ともどこかの高級ブランドのスーツを着、その内の一人はそれ以外にもごつい金のネックレス。遠目からでも輝いているのが分かる腕時計と、嫌でも目立つ。

 その目立つ男の少し後ろを、もう一人の男が歩く。周囲をギロリと睨みつけ、人々に道を開けさせている。

「ええと……」

 女は自分の持っている情報を、頭の中で整理する。

 次回!予告!


「愛国心」。それはこの世で最も美しい「徳」だ。

 国のため

 命をかける事が

 家族を守る事に

 つながると考えるのは

「人間の気高さ」だけだ……

 狂信者とはまったく違う心


 君のお父さんと親友でいれた事を誇りに思う。さあ、このハンカチは君のものだ。


 何を言いたいかって?

 この台詞スティールボールランに出てきたんだけど、ほんと、グッときたぜええええ!荒木先生さいこー!!


 次回も期待して待ってな!

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