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依頼達成のお知らせ

 いらっしゃいませー!「ジャンク・ジャンク」へようこそ!……ってあら!いつぞやのお客様!お待ちしておりましたー。お客様の依頼、無事達成されてますよ?

 ・・・ ・・・ ・・・

 ええ、数日前に。何の問題もなく、スムーズに村は壊滅されましたよ?

 ・・・ ・・・ ・・・

 はい。報酬金は100万ムックとなります!お安いでしょう?

 ・・・ ・・・ ・・・

 ありがとうございます。100万ムックきっちりと、現金で……。

 ・・・ ・・・ ・・・?

 え……?あ、ははは。

 流石です。やはり良い情報網をお持ちですね。

 はい。お客様の仰るとおり、「何も」「問題なく」……というのは嘘です。隠すつもりで言ったのではないですが……、何分身内の恥を晒してしまうことになってしまいますので……。いや、お恥ずかしい。


 ……実はですね、ユエルに同行していた殺人者、レオナ・ジーンサイドが、その……何と言いますか……。裏切った、と言いますか……。ユエルに詳しく聞かないといけないのですが、依頼達成からこっち、ショックで完全に不安定な状態でして……。

 ただ、レオナが「ジャンク・ジャンク」を抜けた、というのは本当らしいようで……。本当に参りましたよ。

 ・・・ ・・・ ・・・

 あまりそう見えない?そんな!お客様は私をそんな風にお思いなのですか!……ショックです。

 ・・・ ・・・ ・・・

 くすくす。いえいえ……。そのようなお顔をなさらないでください。ただの戯れですので、お気になさらず。

 ですが、そうですね……。レオナが「ジャンク・ジャンク」からいなくなったこと自体は、それほど大した問題ではありません。しかし、レオナが持っている「ある物」が問題でして。

 ・・・ ・・・ ・・・?

 お客様。お客様はレオナの異名を覚えておりますか?

 ・・・ ・・・ ・・・

 そうです、「虐殺爆弾(ジェノサイドボム)」です。……何故そう呼ばれるのか、分かりますか?

 レオナは「大量殺人課」の殺人者ではありますが、主に使用する武器は爆弾ではありません。どちらかと言えば火力の高い重・銃火器類を好んで使います。

 なのに何故、「虐殺爆弾」なんでしょう。

 ・・・ ・・・ ・・・

 くすり。そうですね、もったいぶっても仕方の無いことです。

 レオナはいつも鋼鉄製の棺を担いでいて、そこには数多くの武器が収納されているのですが……その中に真っ赤な宝石の様な物があるんです。私もじっくりと見れた訳ではないんですけど、本当に美しく、見惚れてしまうほどの物なんです。

 これが問題の「ある物」です。

 ・・・ ・・・ ・・・

 もちろん宝石なんかじゃありません。それが……それこそが、レオナが「虐殺爆弾」と呼ばれる所以なのです。

 お客様は「核爆弾」という物をご存知でしょうか?レオナの棺に納められている「ある物」とは、それです。


 核爆弾です。


 頭の良いお客様ならば、この意味が分かりますよね。今は「核を持っている」だけで、外交上の強力なカードになりますし、何よりレオナのそれは「一人の人間が携帯できる」のです。核爆弾、核兵器の小型化……なんてのは、どの国も欲しがる情報と思いませんか?

 故に危うい。

 今はまだこの情報は洩れておりませんが、いずれはそれも難しくなるでしょう。そうなった場合、裏世界の面々はもちろん、国が動く事態にもなりかねません。

 もう分かりますでしょう?それほどのカードを「ジャンク・ジャンク」は持っていたのに、レオナの裏切りによってそれを失ってしまったのです。

 レオナはどうでも良い。けれどもレオナの棺は外に出したくない……。そういうことです。

 ・・・ ・・・ ・・・?

 ……レオナがどういった経緯でそのような兵器を手に入れたかは詳しく分かりません。レオナが依頼で訪れた町の科学者に手渡された物、と……それぐらいしか分かっていません。その町はレオナによって消されましたし、科学者もその時死んだと考えて良いでしょう。レオナの棺もその時渡された物らしいのです。

 レオナはその棺を武器庫として使っていますが、あの棺は……本当は、核兵器から身を守る「一人用シェルター」とも言える代物なんです。

 ・・・ ・・・ ・・・

 え?あ……いいえ!お客様が気になさることはありません!先ほども言ったように、レオナの裏切り自体は大した問題ではないのです。むしろウチの連中は喜んでいるくらいですよ。「裏切り者として、堂々とレオナを殺せる~」なんて言って。……無論、棺の奪回には腕利きの殺人者が向かうでしょうけど……。

 ですので、お客様は何もお気になさらず……。またいつでも、我々をご利用下さい。


 ――それではお客様、今回は「ジャンク・ジャンク」をご利用いただき、まことにありがとうございました。またのご利用、心よりお待ちしております。

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