テイマーの憂鬱
さて、早くも2月。
今年はオリンピックがないから28日しかない。
いや、オリンピックが理由では無かったような・・・
それにしても、どうして365日を素直に12で割らなかったんだろう。
誰か教えて。
「ご利用ありがとうございます。異世界転生カスタマーセンター、お客様サービス係でございます。」
「私、ジャニス・マクレーンと言う者です。ここに来て5年になります。よろしくお願いします。」
「ジャニス様ですね。ご用件をお伺いします。」
「私、テイマーの憧れてこの世界に来たのですが、私がどんなに活躍してもテイマー人気が高まりません。ここは転生者も多く住む世界なのですが、転生者でテイマーをやっているのが私一人なんです。」
「テイム仲間を増やしたいのですね。」
「はい。私の活躍でテイマーの評価は上がったと自負していますが、私の後に続く者がいないんです。」
「ちなみに、ジャニスさんはどんな生き物でもテイムできるのですか?」
「はい。チートをもらいましたので。」
「そうですか。ご承知のとおり、テイマーは一時期モフ好きに人気がありましたが、その後は下火となり、今では不人気といっても良い状態です。」
「何故みんなこの魅力を分かってくれないのでしょう。」
「確かに、テイムした魔物の戦闘力は凄まじいものがありますが、結局、呼び出したモンスターを戦わせている他力本願にしか見えませんので、運命を自らの手で切り開きたい層には響かないようですね。」
「しかし、評価はされています。」
「ええ、ですから、パーティー加入に困ったことは無いでしょう?」
「ああ、他人がやる分には構わないと・・・」
「そうですね。自分で磨いた技や魔法を駆使して、困難に立ち向かう緊迫感は今一つですよね。」
「いや、緊迫感はありますよ。」
「勇者や賢者のそれとは少し違うのでしょう。ポケ○ンバトルみたいな。」
「○ケモンバトル言わないで下さいよ。これでも私、25なんですから。」
「25にもなってポ。」
「言わないでください!」
「でも、あなたの戦力は評価されているのでしょう。」
「はい。魔力残量を気にしなくてもいい上に、最大火力といっても過言で無いですから。」
「それでいいではないですか。」
「しかし、後に続く転生者がいないってことは、実際には不当な評価をされているということなんでしょう。」
「でも、現地人の中にはいるのでしょう。」
「はい。彼らはチートを持っていませんので、私ほどの実力者はいませんが。」
「では、あなたはその世界において唯一無二な訳です。そして、その評価はあなた次第です。」
「それは分かっていますが。」
「異世界からやって来る転生者はどうにもなりませんが、今あなたの周りにいるテイマーについては、あなたの呼びかけ一つで社会に浸透し、評価を上げる仲間になってくれるはずです。」
「まずはやれることをやれと。」
「それしかできませんからね。ところで、あなたがテイムした代表的なものは何ですか?」
「ドラゴンとイフリート、フェニックス、フェンリル、ケルベロス、キメラなどです。」
「凄いじゃないですか。ちなみに、人間はできないのですね。」
「もちろんです。それに能力の悪用は評判を下げますからね。」
「立派なことだと思います。それで、今はどちらのパーティーに所属していますか?」
「勇者パーティーです。」
「最高ではありませんか。きっと知名度も高いでしょうし、将来、英雄の称号を得られるかも知れません。」
「後進のためにも頑張りますよ。」
「それなら、冒険者ギルドのほかに、テイマー協会などを設立して、地位や技術の向上、後進育成をすると良いでしょう。」
「仲間が増えて心強いですね。」
「初めての友達ゲットだぜっ!」
「・・・・」
何だか最後は微妙な空気で通話は終わった・・・
「先輩、どうしたらテイマー人気が上がりますかね。」
「異世界ファンタジーにポケ○ン要素を入れるのが一番ね。」
「やはりあの不朽の名作には敵いませんか。」
「インパクトのある人気キャラを主役に脇を固める何百、何千のモンスター、それに強くなるための冒険と魅力的な敵方キャラです。」
「ではGOみたいな世界ですね。」
「そうですね。世界の果てまでまだ見ぬモンスターを追って、というストーリーにしないと、テイマーに光が当たりません。」
「でも、世界的先達がいますね。」
「まあ、あの物語のトレーナーほど、異世界のテイマーは熱が無いですからね。テイムしたモンスターと共に成長していくという気概がないと、周囲からの共感は得られません。」
「共に戦う姿が見えにくいから他力本願って言われるのですね。」
「そこから脱するのが先決です。」
何となく分かったような気がした。




