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SSSのその上

 7月に入っても仕事は相変わらずだ。別に暑くないし。

 ミチコも相変わらずで、たまにしか顔を出さない。

 本当に天界って自由なんだなあと思う。



「ご利用ありがとうございます。異世界転生カスタマーセンター、お客様サービス係でございます。」

「私、異世界で冒険者をしています、元日本人のクロードといいます。よろしくお願いします。」

「クロード様ですね。ご用件をお伺いします。」


「早く強くなる方法を教えて下さい。」

「あの、それならそちらの世界の方に教えてもらった方がいいと思いますが。」

「いやその。とても急いでるんです。」


「何か事情でもおありなのでしょうか。」

「はい。私、ここに来る前にギフトをいただけるとのことで、SSSランク相当のスキルをお願いしたんです。」

「それはごく一般的ですね。SSSギフトセットですか?」

「そうですそうです。魔法と剣術と補助的なものがセットになったヤツです。それで、単にチート無双するだけじゃ面白くないので、それでもハラハラドキドキ出来る世界をお願いしたんです。」


「せっかくチートをもらったんですから、それで無双すればよかったでしょうに。」

「いや、それではすぐに飽きてしまうと思ったんですよ。」

「それで、SSSクラスでも骨のある相手のいる世界を選ばれたのですね。」

「はい。ところがこの世界、SSSなんてそこら中にいて、世界ランク一位は何と、Sが100個付いてるんです。」


「SSSなんてLv3相当のザコですね。」

「そうなんです。どうにかなりませんか。」

「ちなみに、SはスペシャルのSですよね。」

「はい。そのとおりです。ただし、この世界のスペシャルのニュアンスは、まあまあ凄いっていう感じなんだそうです。」


「では、地球でのスペシャルはそちらでいうと・・・」

「ゴージャスエクストラっていうらしいです。」

「間違いなく脚本家は日本人ですね。」

「お陰で、新人にしてはまあまあかなって程度なんです。生まれたばかりの子供だってSなんですから。」


「Sが基本数値なんですね。」

「これでは活躍どころか生活すらできません。」

「鍛えて、ください・・・」

「いやいや、前世では剣すら持ったことないんですよ。運動だって人並みだったし。」

「それでも、冒険者用ギフトをもらったということは、今さら堅気といわれる職業は難しいですよ?きっと関連スキルがないと事務員や農民には向かないでしょうし。」


「それより、冒険者は堅気じゃないんでしょうか。」

「初対面の相手に『おいてめえ、見かけねえ顔だな』なんて挨拶するの、冒険者かゴロツキくらいなもんですよ。」

「確かに堅気じゃありませんでした。ごめんなさい。」

「でも、一応はチートキャラになれる素質はあります。」

「はい。一応は全属性魔法と剣聖、空間収納なんかを持ってます。」

「それでは、町外れの草むらで、スライムなどを狩ってレベルを上げるしかありませんね。」


「SSSなのにスライム・・・」

「きっとその世界においては、さほど違和感は無いと思いますよ。」

「チート・・・」

「いや、ギフトの内容はチートらしいラインナップです。あとは、気持ちの持ちようです。」

「まあ、今さらそうにもならないんですよね。」

「はい。残念ながら。」

「頑張ります・・・」

「お元気で。」


 こうして電話は終わってしまった。


「神様にはちゃんと具体的に条件提示しないといけないという良い教訓ですね。」

「でも、死亡直後に冷静になれというのがそもそも無理です。」

「そうですね。本当は神の方が配慮すべきですね。」

「でも、あの全知全能にそれを求めるのも酷ですわね。」

「ええ、相手をおもんばかる能力も人知を超えてますからねえ。でも、それでかなり仕事が増えてる側面もあります。」

「そうねえ。班長名で上申しておきますわ。」

「期待薄ですけど。」


 ここでなら言っても非難されないだろう。

 全くやれやれだ。



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