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私では無いのですが

 凄い勢いで回答し、もうほとんど終わりかけていたので、後はミントちゃんに任せて席に戻る。

本当に彼女たちは楽しそうに働くなと感心してるとコールが鳴る。


「ご利用ありがとうございます。異世界転生カスタマーセンター、お客様サービス係でございます。」

「私、安藤可奈と申します。よろしくお願いします。」

「アンドウ様ですね。C-CC5619ですね。」

 そうだ、今日は担当外からも容赦無く来る日だった・・・


「では、ご用件をお伺いします。」

「はい。実は私ではなく友達の悩みなのですが、こちらにお電話してよかったでしょうか。」

「お客様の要望でなければお応えできかねますが、それでもよろしければお話は伺います。」

「その友人は私と同じく転生者なんですけど。」


「それならば大丈夫ですが、その方からお電話された方がよろしいのではないでしょうか?」

「それが、彼女はこちらの会員証を持っていないのです。ここに来る際にも神になど会っていないというんです。」

「なるほど、それはこの世界の方に召喚された転移者でしょう。天界が関与していないため、当会員ではないということです。」


「そう言えば、怪しげな古文書を研究している科学者に連れてこられたと言ってました。」

「凄い科学技術ですね。21世紀のパラレルワールドなのに。」

「はい。マッドサイエンティストを名乗っていたそうです。」

「ということは現在、お友達の方は召還者と行動を共にしていないということですね。」

「はい。逃亡したそうです。」


「それがご用の件でしょうか。」

「はい。その科学者からの追っ手が厳しくて、上手く逃げる方法を伝授いただきたいのです。」

「何故、その科学者が彼女に固執しているかは分かりますか?」

「研究材料として必要なのだと言ってました。」

「同じ人間なのでしょう?」

「今さらどこを、って感じですね。」

「それに、異世界人ならあなたを確保してもいいはずです。」

「あの男は私の存在を知らないです。」

「なるほど。あなたと科学者の関係は分かりました。それで、追っ手はどうやって彼女の現在地を特定しているのでしょうか。」

「科学的な手法を使っているのかも知れません。体臭とか、住民登録情報のハッキングとか。」


「マイナンバー登録はどうなさっているのですか?」

「ありません。外国人登録は特例でしていただけました。」

「ならば、住所はそのままに田舎で村おこしなんてどうですか。今時田舎に外国人がいるのは当たり前ですし、ちょっと人里離れたところで香水まみれの生活をすれば見つからないと思いますよ。」

「科学者の手の内って分からないものなのでしょうか。」

「原住民の情報は残念ながら・・・少々お待ち下さい。他の転生者情報を検索します。」

 ディスプレイの詳細情報をクリックすると、他にも結構な数の転移者がいる。

 面倒だが、一人一人調べると、23世紀人がいた。


「ジェームズ・ヒライという人が登録会員の中にいますね。物理学者で時空の歪みを研究しているとありますから、これですね。」

「では、空間を操作して召還を行っているということですね。」

「そういう技術が確立している未来世界は存在します。もちろん、無関係な人間を許可無く召喚することは禁じられていますが、21世紀パラレルの世界では、彼を誘拐に問える法は存在しないでしょう。」


「では、彼を処罰はできないのですね。」

「できませんね。天界においても黒寄りのグレーです。それを言い始めたら、あらゆる召喚に介入しないといけなくなります。」

「何とかならないものなのでしょうか。」

「対症療法しかありませんね。とにかく、お友達は何らかの個人情報が相手に握られており、これを基に居場所が特定されているはずです。そして、同じ異世界人であってもあなたは認識されていない。」

「そうですね。遺伝情報でしょうか。」

「だとしたら、それを変えることはできません。」


「諦めた方がいいのですか。」

「若しくは、相手の手段を使えなくしてしまうか。」

「逃げずに攻めろということでしょうか。」

「彼は何らかの機械でそれらの作業を行っているはずです。彼がこの世界に来たのは神の気まぐれでしょうが、この世界にあった古文書から転移装置を完成させたのだと思います。」

「自力で開発したんですね。」

「こちらに登録されているジェームズとその科学者が同一人物なら、ですが。」

「しかし、謎の古文書が読めて異世界から人を攫うことができる人なんて、そう何人もいるはずがありません。」


「そのお友達に彼の名前を聞いておいて下さい。」

「分かりました。」

「もしかしたら、今は元の世界と自由に行き来しているかも知れない・・・・となれば私が通報すれば彼を逮捕できますね。」

「できるのですか?」


「通常、個人が自己責任で行き来しているものは黙認していますが、誘拐を繰り返すとなれば亜空間の個人利用の範疇を超えた悪魔です。神に通報します。」

「お願いします。」

「では、アンドウ様にはやっていただきたい事があります。」

「何でもやります。」


「簡単に言えば、彼の身元調査と証拠集めです。そして、お友達も重要な証拠ですので、身の安全を確保して下さい。こちらで早急に手配しますので。」

「ありがとうございます。」


 後でエラリー副班長に報告しとかないとなあ・・・


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