クリスマスの新しい楽しみ方(今年限定)
時の流れは平等だ。
いや、神は時間を止めたり早めたりできるので、正しい表現ではないかも知れないが、流れている以上、そこに存在する物にとっては平等だ。
だから、天使の力を持ってしてもクリスマスは来てしまし、これを避けることはできない。
そして、今年もヘルプデスクから応援要請が来た。
しかし今年、一つだけ違うことがある。そう、可愛い二人の後輩がいるのだ。
今夜は彼女たちにお客様からの質問を任せている。
もちろん彼女たちは大喜びで、キャッキャ言いながら入力している。
質問: チート持ちの薬師なのに、みんな私の薬を飲んでくれません。
おいしくないとのまないよ。
質問: 何故みんな、四大属性魔法以外を軽く扱うのでしょう。
よくわかんないです。
質問: ダンジョンの宝箱を外に持ち出せません。
どろぼーはいけないよ。
質問: どうしてエルフは人間が嫌いなのですか?
そんなことはないよ。
えるふさんはすけべなおじさんがいやなだけだよ。
しなもんはかれいしゅうもいやだよ。
質問: 性格が悪いのに聖女になれるのは何でですか?
だいじなのはなかみじゃなくて、おかおだよ。
質問: どうして重騎士は不人気なのでしょう?
あせくさいから?
おかおがみえないから?
じゃんぷできないから?
えにうごきがないから?
質問: ビキニアーマーはどう考えても防御力低そうです。
かみさまはふつうのふくでたたかうよ?
質問: スライムが弱くないといけないというのは、乱暴な固定観念だと思いま
す。
てきはつよそうじゃないと、たおしてもうれしくないよ?
質問: 魔法が貴族しか使えないのは、どう考えてもおかしいです。
みんながつかえないからえらいのだとおもうの。
質問: 真実の愛って何ですか?
しんじつがみえなくなることって、おかあさまがいってた。
質問: どうして倒したはずの魔王が復活するのでしょう。
かみさまがふっかつさせてるよ。
みんとみたことあるもん。
「どうミントちゃん、シナモンちゃん。捗ってる?」
「うん、たのシー!」
「シナモンも一生懸命頑張ってるよ。」
「どれどれ? これ、私よりしっかりしてるじゃない。」
「やったーっ! お姉ちゃんに褒められちゃった。」
「本当だよ。上出来も上出来。神様より真理に近い所にいるよ。ご褒美にクリスマスと言えばこれ、ケーキよ。」
「これ知ってる~。王子殿下にもらったことある~」
「シナモンもあるよ~」
彼女たちはお菓子であれば何でも喜んでくれる。
これで、下手な天使じゃ太刀打ちできないくらいの実力者なんだから恐れ入る。
「でもナターシャおねえちゃん。これ分かんないの~」
「なになに? 彼氏の尖った顎がよく肩に刺さって痛いです。彼にどう伝えればいいですか?ねえ。」
「あごってささるのかなあ。」
「2Dの世界なら刺さると思うよ。固さはさすがに分からないけど。」
「そうかあ~。アニメは刺さるね~」
「刺さる刺さる。」
「じゃあじゃあ、上手に避けましょうって書いとく。」
「うん、シナモンもそれがいいと思う~」
「じゃあこれは?」
「どれどれ? ク○女神が許せません。」
「う○ちの女神様なのかなあ・・・」
「いいえ、女神はみんな○んちなのです。」
「キャハハッ!う~ん○、う~○ち。」
とてもお下劣なハーモニーが奏でられる。
でも、これがミントちゃんたちだと可愛いんだよなあ。ホント不思議だ。
「じゃあお姉様。う○ちだからって書いていいかなあ。」
「ええいいわよ。苦情が入ったら班長が謝りに行ってくれるわ。」
「班長さん、お菓子くれないの~」
「ああ、あれも女神と同じだからね。」
「え~っ! 班長さんもそうなの?」
「そうよ。ああいうのをク○上司って言うのよ。」
「ナターシャさん。純真無垢な妖精に変なこと吹き込まないで。」
エラリー先輩はそう言うが、明日絶対に班長の耳に入る自信はある。
そして、すでにロード・トゥ・お局様に片足を突っ込んでいる私を睨みつつ、直接何も言えない班長の姿も想像できる。
ざまぁ・・・




