結の思い
私は、モデルとしての活動を自ら進んでいたわけではない。
父が再婚した相手が私の姿を見て「私の知り合いにモデル事務所を立ち上げた友人がいるからもし興味があったら話だけでも聞いて来てほしい」とスカウトのような形で私は事務所へ足を運び再婚相手の友人と話した。話し合っている内にモデルとしてのミンの活動が順調に決まっていた。
モデルとしての仕事が決まると家に帰ることは中々難しくなっていた。
夜遅く家に帰ると父と愛人が同じベットで寝ている。私としては別に何も問題なかった。父は子供の頃から一人で私をここまで育ててくれた。だからこそ私としては父には幸せになってほしいと感じている。
ただ私は再婚相手の怪しんでいる。
あくる日の朝、再婚相手がベランダの扉を開けたまま電話で会話していたので、私は好奇心で聞いてしまった。
「ありがと。結をモデルにして」
「……」
「まぁ…この件は二人だけの秘密ということで!」と右耳からスマホを遠ざけた。
すると愛人はベランダから出て来て、近くにいた私に「どうしたの結ちゃん?」と聞かれた。
「何でもないよ!」と元気よく大学へ急いで向かった。
その日の講義は全く集中出来なかった。
今朝、電話越しで聞いた会話の推測だと、私がモデル活動出来たのは実力じゃなく愛人の力で掴み取ったものだったこと。
社長と愛人はどういう訳か私をモデルにすることで二人にとって利害が一致いたということ。
一体何が目的なのかわからない。
もしかしたら私の思い過ごしでただ私の考えすぎかも知れない。
ただ一つだけ私が胸の中で閉まっている言葉がある。
(自分で未来を切り開くそのためなら一番信用出来る人が必要だ)
そして現在に戻る。
私はベットで目覚めた。隣には上半身裸の男性が寝息を立てて眠っている。あの日の夜、私の事を助けてくれた年下の子…梅田春。
これから先、私のことを守ってくれるナイトとして頑張ってほしい。
私はナイトの身体に抱き着いて再び目を瞑った。