幸福感
「先輩…飲みすぎは気を付けた方がよいですよ」
僕は、藤花先輩の横に座り映画を見ている。
「どうしたの春く~ん」と隣に座っている春に抱き着いた。
「ど、どうしたんですか」
「う~ん…。誰でもいいから人肌の温もりが欲しくなったの…」と弱弱しい声で言っていた。
僕は藤花結を感じていた。
体温やお酒の甘いにおいという表面上だけじゃなく、謎の安心感や癒しも同時に与えられている感じがする。
「うん…ありがとう」と抱き着いていた密着した身体を離した。
このまま一緒にいると後には引けない気がする…。
「今後、梅田くんの家に行くことはなくなるかもしれない」と虚ろな目で言った。
「どうしてですか?」
嫌だ…
「梅田君には関係ないよ。ただ…私の個人としての問題ね」
藤花結の目は梅田春から反らしている。
彼女の目から涙が零れ落ちる…。
あーそうか…。
悪魔に支配されたと勘違いしていたんだ。
僕は満たしたいんだ。
幸福感が身体中に染み渡るとバックハグをした。
「放しませんよ。先輩」
「どうしたの?急に抱き着いて来て」
「先輩が泣いているからですよ」
「ち、違う。泣いてない…」
「いいえ泣いてます」と優しく語り始める。
「先輩、僕はどこにも行きません。ずっと先輩の味方です。あの日助けた時から僕は貴女のナイトになったんです。だから…僕の側から離れないでください」と泣きそうになる声を飲み込んで言った。
「それじゃあ…何かあったら助けてくれる?」
「もちろんです…」
その後は先輩と共に落ちていった。
幼馴染の椿との思い出も過去の出来事かのように思い出が書き替えられた。
寂しさを忘れるようにどこまでも身体を重ね合った…。