知り合った日
ある日の夜……。
サークルの飲み会の帰りの春は、真っ直ぐ家に帰らずに河川敷で酔いをさますために風にあたっていた。
服が汚れることも気にせずに座り冷えたお茶をコンビニで買って飲んでいると、見知らぬ女性と男性が春の存在に気づいていないのか喧嘩というか女性の方が助けを求めているかのような展開が繰り広げていた。
「誰か!誰でもいいので助けてください!!」
「怖がらないでミンちゃん!僕はずっとファンだったんだよ。SNSで最初の投稿した日からモデルで活躍している今でもただのファンなんだよ!」
「急にそんなこと言われても!近づきすぎです離れてください!!」
その様子を見ていた春は、男性が女性のカバンを取り上げようとしたので立ち上がり二人の所に近づいて一言呟いた。
「警察呼びますよ」と急に見知らぬ男性が話かけたので、二人の顔はそれぞれ違う。男性はバツが悪そうにその場から急いで逃げ、女性は春に対して安堵の表情をした。
男性が逃げた後に取り残された春は「じゃあ僕はこれで、気を付けてくださいね」と言いその場から離れようと家へ帰ろうとしたが女性の方から「あの…すみませんでした。もしよろしければお礼がしたいので連絡先の交換でも…」と言った。
「いいですよ」とすぐにスマホを出して連絡先を交換した。
「藤花結さん?」
「あなたは、梅田春さんだね!」
「それじゃあ、家来ます?」と女性と連絡先交換して嬉しかった僕はまだ酔いがまわっていてキモ発言をしたのにも関わらず、「いいですよ。私も飲みます」と女性側も乗り気で二人は近くのコンビニでレモンサワーを買い春の家で飲んだ。
ーーーーー
朝目覚ますと夜中に飲んだ女性は居なくなっていた。ただその代わりに机の上に手紙が用意されていた。
【昨日はありがとうございました。私は今日一限の授業があるので先に失礼します】とだけ書かれた手紙を読んで春はスマホを確認した。
「ヤバい!このままだと二限遅刻する!!」といいながら急いで支度して大学へ向かった。
ーーーーー
急いで駅に向かいギリギリで電車に乗ることが出来た。そのまま大学近くの最寄り駅まで乗り続けること数十分後に着いた。
そこから歩いて数分で大学に着く。
急いで大学内を走って教室まで向かおうとしたら目の前にバイト先の先輩がいた。
「あ!梅田くんお疲れ~」
「お疲れ様です。花野さん」
「今から二限?」
「そうなんですよ。教授が怖いんで遅刻しないように急ぎますね」とそのまま行こうとした時、花野さんの隣に座っていた女性に話かけられた。
「昨日はありがとうございました」
「あ、あのう…」と春が戸惑っているとキャップ帽子を取ってくれた。
「もしかして昨日の…」
「そうだよ!まさか酔って忘れ去られたと思って……」
「すみません。何か雰囲気が違ったものですから…というか同じ大学だったんですね」
「そうだよね。あ、そういえば今日も梅田くんの家に来てもいい?」
「な、何でですか!」
「そんなに驚かないでよ~。ただの遊びだよ」と藤花先輩が言った時にスマホの時計を確認すると既に一分遅刻していた。
「あっ!ヤバいすみません。あとは昨日交換した連絡先までー」
春は急いで教室まで向かったが教授に小言を言われた。