手土産を買う
結とデートが終わって数日後、ネットニュースを見ていると荒れていた。
【モデルミン。一般男性とデートか!!】
というような週刊記事と数日前に行っていた海の家の様子が撮られている写真がスマホ画面に映っている。
隣には家の中で結が呑気に映画を見ている。
「先輩!これ見て下さい!」とスマホ画面を見せた。
「何ちょっと、今ちょうどいい所なんだからさ。あと先輩じゃなくて結って呼んで」と言いながらもスマホを取り上げ記事の内容を見た。
「ああ~この記事なら大丈夫だよ」とスマホを僕に渡した。
「大丈夫なんですか!」
「心配しなくても週刊誌の方から記事の内容を事務所に通して公開される前に見せてくれたからね」
「それでも世間の反応は明らかによくないですよ」
「もう!春は心配性なの。確かに過激な発言をコメントしている人々がいるけど、実際に実行することはないから大丈夫!」と言った。
そんな楽観的に考えてもいいのか?
僕は結を守らないといけない。
以前のような出来事が増えたら、僕一人で守ることが可能なのか?
僕自身、結と付き合う時に守ると心に決めたけど、何も身に着けていない。
筋トレも最近サボっているし、武道経験もないのだ。
その状態で結を守ることが出来るとは思わない。
「どうしたの?真剣な表情で考え事?」
「いや、何にもないよ」
「ホントに?じゃあ今日の夜にお出かけいかない?」と映画が終わったので消していた。
「お出かけ?どこに行くの?」
「私の家かな?」
「え?結の家…??」
「どうしたの?何で驚いてるの?」
「え、いやだって…何となく家の話するのが嫌なのかなと思って…」
「そんな事ない!…って言いたかったけど実際に帰るのが億劫なんだよ」
「じゃあ何でわざわざ帰る」
「それはね。私の決別だよ」と答えた結の目には覚悟があった。
「決別ですか?」
「ううん。正しくは感謝と決別かな」と言った。
すると急に結は立ち上がり外に出る用事があるのか準備を始めた。
「夜はまで時間あるよ」
「久しぶりに家に帰るから手ぶらだとまずいかなと思って…それに春も彼氏として紹介するから手土産買わなくてもいいの?」
「よし!急いで外に出る準備する」と髪の毛をセットしに行った。
二人はおしゃれして家を出た。
不思議なことに僕が思ったより周りに近づく奴はいなかった。
それは結の変装が完璧だからだ。
あの日は撮影の時に着用していたワンピースを着ていたからバレてしまったと思っている。ただ今回はキャップを深くかぶっており、サングラスをしている。服も僕のを着ていた。
ちなみに僕の服なのでサイズ感があっていない。
それでも結が着ると様になるのはなんでだろう…。
不思議だ
ショッピングモールに行った目的は手土産を買いに行くだけだったはずが、まず最初に軽く雑貨やファッションのお店を見ながらぶらぶらした後、一緒にオムライスを食べていた。僕はデミグラスソースで結はケチャップのオムライスを食べた。
次にハンドメイド体験をした。アクセサリーをお互いのために作った。
「そのネックレス結に似合うよ」
「大事にするね//」と赤面していてとても嬉しそうだ。
実際に僕の首にもネックレスを付けている。似たような貝殻で作られた物だったが、色味やサイズ感の違いでそれぞれの良さがあった。
次にカフェで休憩した。僕はブラックコーヒーを頼み、結はキャラメルコーヒーを頼んだ。どうやらオムライスとは違い僕が王道の物を頼んでいた。
「そのパンケーキ美味しい?」と結は他にもスタンダードなパンケーキとイチゴとクリームがトッピングされているパンケーキを頼んでいた。
「うん!とても美味しいよ。春も何かスイーツ頼んだら?」
「いや、僕はいいよ」
「そうなの?一口食べる?」と口元に一口サイズのパンケーキが向かってきた。
「はい、あーん」と徐々に迫ってきたので恥ずかしながらも口の中にパンケーキを入れた。
「美味しい!」と美味しさのあまり声が大きくなった。
「そうでしょう、そうでしょう。ここのパンケーキ屋は人気だからね」と自慢げに語った。
流石というべきか、最近の情報を得ている。
結のパンケーキを頬張る姿を見て僕が幸せになっている。
「どうしたの?」と僕が見つめていたのを気にしていたようだ。
「鼻にクリームが付いているから気になって」というと手鏡を持って確認していた。
「なっ//早く言ってよ。恥ずかしいじゃん」と鼻に付いたクリームを丁寧にとった。
こうしてカフェを楽しんだ後、今度こそ手土産を買った。
気づけば僕たちはデートを楽しんでいた。




