先輩と同じ屋根
朝方、アラームの音で目を覚ますとベットに女性が寝ていた。
その女性は、いつのまにか僕の一人暮らしの部屋に平日は入り浸るようになった大学の先輩だ。
ただ、恋人関係にはまだ慣れていない。デートはもちろん手を繋いだこともスキンシップをしたこともない。
そんな僕らが、出会って三週間経った。
僕がデートを誘えばいいのにと思う男がいると思うが出来ずにいる。
何故、僕が前に進めずにいるのか、答えは単純で先輩よりも幼馴染のあの子のこと好きだからだ。
「おはよう。梅田くん」と隣で寝ていた藤花結がネコのようなしぐさで目を擦りながら言った。
「おはようございます!藤花先輩」
「洗面台使わせてもらうね」と慣れた足取りで洗面台へ向かって行った。
藤花先輩を待っている間、僕はメンソール系を吸いながらスマホを開いてSNSを漁っていた。
一番最初に目に入った投稿はモデルだった。
最近SNSで話題になっているモデルで元々はインフルエンサーで注目を浴びていたからモデルとしての彼女もSNS上では今も有名な人だ。
「準備終えたよ!」と藤花先輩はいつもの軽めのメイクをして伊達メガネをつけてキャップ帽を深く被っていた。
「毎回思いますが、それで変装になっているんですかね」
「別にバレても私は大丈夫だけどね。何故なら優しい梅田くんが助けてくれるし」
「偶然通ったときに助けただけですよ」
「でもね。咄嗟に助けることが出来るのは誰でも出来ることじゃないよ」
「あ、ありがとうございます」と思わず藤花先輩のミステリアスな雰囲気にのまれてしまった。
「いってきまーす!」とまるで恋人か夫婦のようなやりとりで藤花先輩は先に僕の家を出て大学へと向かった。
僕は、一人で過去の出来事を思い出していた。