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第二話・いきなり昇天!?、実はすご技だった、能力『鑑定』

 一際強くなった光に包まれたヨシ子は、ちゃぶ台ともども———の前から、消えてしまった。


「くっそう!」

「もう終わりだー!!」


 この言葉を、最後に。



 そして、

 

 

 







 

「………ん?」

 目を開けると、そこは、あたり一面の花、花、花——

 ヨシ子は、花畑の中にいた。

 どうやら、いつの間にか、ちゃぶ台に突っ伏して眠っていたようだ。

 数年ぶりの、深い眠りだった。

「ここは……?」

 見上げた空には、オーロラが揺らめき、金色の月と銀色の月が浮かんでいる。

 ヨシ子は、まだ眠気の残る頭で、黒マント達の言葉を思い出した。

 確か、『邪悪な者ども』とか『もう終わりだー!』とか言っていたような………

 と、いうことは、ここはあの世の花畑?

 黒マント達が言う、『邪悪な者ども』に消されて?

 くぅっ、こんなことのなるのなら、最後にアレを——アレを食べたかった………

 だけど、もう、それも叶わぬ夢………

 覚えてろ、あの王め。

 絶対に、夢枕に立ってでも祟ってやる。

 などと、ヨシ子は、再びちゃぶ台に突っ伏して、涙をにじませ考えていた。

 すると。

「おわかりになります?」

「!?」

 突然の声に驚いて頭と視線を上げる、と、急に動いたため、ヨシ子は軽いめまいを起こした。

 目を閉じ、何度か頭を軽く振ると、めまいはおさまった。

 あらためて声の方に視線を向けると、ちゃぶ台をはさんだ向かい側に、いつの間にか、穏やかに微笑む、青く長い髪の十代後半ほどの美少女が座っていた。

 ここがあの世とするならば、今目の前にいるこの娘が、死神なのだろうか?

 確かに、人間離れした雰囲気は感じるが、死神にしては、なんだかこう、妙にいきいきしているというか………

 どちらかといえば、あくまで想像や感覚的なものだが、精霊や妖精のような神秘的なモノのような気がするのだが………

 それに、このほんわか具合、誰かに似ているような?

 まあ、今は、それはさて置き、

「えーと………どちら様ですか? もしかして、あなたが死後の世界の、死神と呼ばれている方ですか?」

 ヨシ子が疑問を口にすると、

「あら、あらあら?」

 少女は、微笑んだまま小首をかしげて沈黙すること数秒。

「まあっ」

 少女は、ぽんっと手を叩いた。

「そういえば、まだ名乗っていませんでしたわね。失礼いたしました。

 わたくしは、ラミ=ヴィクトールですわ。ラミとお呼びくださいな」

 ラミと名乗った少女は、両手を胸に当て、深々と一礼した。

「あと、ご安心ください。ここは、死後の世界ではありませんわ。

 あなたは生きています」

「そうですか……良かった………」

 ラミの言葉に安心したヨシ子も、つられて頭を下げた——その時。

 ある違和感を覚えた。

「ところで、お体の方は大丈夫ですか? どこかお辛いところはありませんか?

 一応、痛めていらした箇所の治療はしたのですが……」

 言われて、ヨシ子は違和感の正体に気がついた。

 体が、まるで全盛期に戻ったように軽いのだ。

 持病の腰痛も、治っていた。

 痛みなど、まるで感じない。

 他の箇所も、同じく。

 慢性的な頭痛も、バネ指も、四十肩も。

 すべての痛みが消えていた。

 ……あと、気のせいか、全身の余分なお肉も減っている気がする。

 ラッキー♪

「……どうでしょう?」

 心配そうな顔をするラミ。

 ヨシ子は、にこっと笑い、

「最高です。

 今まで悩まされていた痛みは、全部きれいに治ってます。

 まるで若返ったみたいです」

「まあ、それは良かったですわ」

 不安の顔から一変。

 ラミも、うれしそうに微笑んだ。

 うんうん、やっぱりラミには、笑顔の方がよく似合う。

 ヨシ子は、うれしいときのくせで、髪をくるりと指に巻きつけ——

「えええええっ!?」

 絶叫した。

「どうなさいましたの?」

「いやあの、えっと……髪が!?」

 ラミは、不思議そうな顔で、ヨシ子をまじまじと見つめ、

「まぁ……きれいなウェーブですわ」

 そう感想を漏らした。

「それはありがとうございます……って、そうじゃなくて!

 あの、髪の……色が!」

「ええ、優しい栗色ですわ」

「長さも!」

「腰までありますね」

「……瞳の色は?」

「神秘的な紫色ですわ」

 うっとりとした笑みを浮かべて言うラミ。

「……………」

 ヨシ子は、言葉を失った。

 今までと、何もかもが違うのだ。

 髪の毛も、白髪まじりの黒髪で、肩の高さくらいの長さだったのに………

 瞳だって、最後に鏡を見た今朝までと、色が全然違う………

 一体、いつの間に変わってしまったのか?

 確かに、白髪がなくなれば良いな……とは、思っていたが、まさかの栗色とは。

 そもそも、四十五歳のこの身には、少々派手すぎないだろうか——

「ところで……」

「……あ、はい」

 ヨシ子は、半分うわの空で答えた。

「わたくしに、あなたを視せていただいてよろしいでしょうか?」

「……はい?」

 突然の謎の質問に、遠くに行っていたヨシ子の意識は、現実に引き戻され、その意味のわからない言葉に、目が点になった。

 その発言者——ラミは、瞳を瞬かせ、小首をかしげた。

「あの、『鑑定』をさせていただいてよろしいでしょうか? という意味なのですが……

 『鑑定』、ご存じでいらっしゃいます?」

 『鑑定』

 確か、対象の情報を視ることができる魔法だと、以前に読んだ本に書いてあった。

 レベルが低くても簡単に覚えられる初期魔法で、主に商人などに重宝されている、とか。

 ジャンルを問わず本が好きなヨシ子は、よく子供の本を借りて読んでいたので、こういうことに詳しいのである。

 あぁ、嫌がらずに、本を貸してくれてありがとう、子供達よ。

 ヨシ子が、自分が知る『鑑定』のことを話すと、

「いいえ、そうではないのです」

 ラミは、小さく首を横に振った。

 そして、この世界の『鑑定』のことを話すと、

「……え?」

 それは、ヨシ子が本で読んだ知識とは、あまりにもかけはなれているモノだった。

 ラミの説明が終わった時には、ヨシ子の目は、また点になっていた。

「それで、その……あなたを『鑑定』」させていただいてよろしいでしょうか?」

 あらためて尋ねてくるラミ。

「ぜひ!」

 好奇心旺盛なヨシ子は、貴重な『鑑定』を、ぜひとも体験してみたいということで、ラミの『鑑定』を、受けることにした。

「まあ、ありがとうございます」

 ラミはうれしそうに、にこりと笑った。

「では……能力『鑑定』発動!」

 ラミが言うと同時に、ヨシ子の前に、青い板が出現した。

 そこには、さまざまな文字や記号が書かれていた。

 ほほぅ、これが『鑑定』か。

「読み上げます」

 ラミは『鑑定』で出た結果——つまりは、青い板に書かれた情報を読んでいった。

「名前、植野ヨシ子様。四十五歳。女性。お子様が三人。レベルは——………」

 ラミの説明を聞きながら、ヨシ子は、じっと、青い板に書かれた文字を読んでいた。

 名前、性別、年齢、家族構成、レベル、HP、MP、各能力値など、本に載っていたのと同じ基礎情報が書かれていた。

 すると、ラミが、不思議そうな顔でヨシ子を見ていた。

「……ヨシ子様、もしかして、わたくしの『鑑定』の結果が視えていらっしゃいます?」

「え? この青い板に書いてあることですか? 視えてますが……」

 それが何か?

 と、ヨシ子が首をかしげると、

「あら、あらあら?」

 ラミも、謎の微笑みで小首をかしげ、沈黙すること数秒。

「まあっ」

 ラミは、ぽんっと手を叩いて、

「ヨシ子様、よろしかったら、わたくしを『鑑定』していただけませんでしょうか?」

 いきなりとんでもないことを言い出した。

「良いんですか? と、その前に、どうやったらいいかわからないんですけど?」

 すると、ラミは自分を指さし、

「わたくしを『鑑定』したいと思い、『鑑定』と言えば、ヨシ子様ならできますわ」

 簡単に言ってくれた。

 さっきの説明だと、かなり難しいようだったのに、一言あっさり「できますわ」のお墨付きとは。

 魔法なんて、使ったこともないのに………

 でも、やりもしないで、グチグチしているのは嫌だ。

 やれると言うのならば、やってみよう。

 ——もしできなかったら、ラミ、正座で一時間説教だからね。

「能力『鑑定』!」

 ヨシ子が言うと同時に、ラミの前に紫色の板が出現した。

 ぅおう、本当にできた。

「あら」

 なぜかラミも驚いていた。

 あのぅ、できると言ったのは、そちらでは?

 ヨシ子は、心の中でツッコミをいれた。

 発光する紫色の板には、ラミに関するさまざまな情報が書かれていた。

 名前、性別、年齢……うん? なんだかとんでもない数字が書いてあるような……まあ、それは置いといて。

 職業は、フェアリー&魔術師長&歌姫……と、さまざま。

 多才な人だなぁ。

 あとは、レベル、ステータスと続いて、性格、趣味、健康状態、食べ物の嗜好なども書いて……あれ? 体重とスリーサイズも書いてある………

「ヨシ子様」

「はい! 体重とスリーサイズは、けっして口外しません!」

 ヨシ子が反射的にそう叫ぶと、ラミは、小首をかしげた。

「あら? あらあら?」

 どうやら、ラミには、紫色の板に書かれた文字は視えていないようだ。

 ほっとした。

 ヨシ子に、ラミの『鑑定』の——青い板の文字は視えたのに、ラミに、紫色の板に書かれた文字が視えないのは、どうしてなのだろう?

 そもそも、ヨシ子とラミの鑑定結果の書かれた板の色が違うのは、なぜなのか?

 術者の個性だろうか?

 謎が深まるばかりだ。

「……これは……やはり………」

 紫色の板を凝視していたラミが、不意につぶやいた。

「紫色は、高位の証………」

「……はい?」

「ヨシ子様がおこなったのは、上位の『鑑定』。

 つまり、ヨシ子様は、わたくし以上の魔術師、ということですわ。

 ヨシ子様なら、きっと魔王を———」

「お断りします」

 ラミの言葉を遮り、即座にきっぱりと言うヨシ子。

「………はい?」

 ラミの顔には、はてなマークが浮かんでいる。

 ヨシ子が今まで読んできた本や、プレイしてきたテレビゲームの知識によれば、次になんと言われるかは、簡単に想像がつく。

 さっき、ラミが言っていた『魔王』。

 おそらくは、ソレを倒せ、とでも言うのだろう。

 そんなの、冗談ではない。

 早く家に帰って、もつ鍋を食べるんだ。

 ヨシ子が、そう決意を固めていると。

 ぐぅ、と、ヨシ子のお腹が鳴った。

 そういえば、食事はお昼のお弁当が最後で、夜はまだ食べていなかった。

 あれから、どのくらい時間が経ったのだろう?

 ラミは、くすっと小さく笑った。

「今は、お食事にしましょう。詳しいことは、それからお話しいたしますわ」

「いえ、でも……」

「それに、ヨシ子様は熱があるようです。

 食べてゆっくり休まないと、長引いてしまいますわ」

 ラミにそう言われて、ヨシ子は、額に手をあててみた。

 ……確かに、熱い。

 そういえば、寒さ真っ盛りの今の季節。今朝は出勤の時、『なんだか、今日は暖かいなぁ』と、感じたものだ。

 聞いてみると、ラミは医学の知識もあるらしい。

 なので、ラミの言う通り、食事をすることにした。

 その際、ラミに、『お好きな料理はなんですか?』と、聞かれたので、ヨシ子は、きっぱりとこう言った。

「もつ鍋」

 ———と。



(第二話:終わり)



黒月:桃栗三年柿八年、かぁ……

茅名:どうしたの? しんみりしちゃって……あ、それポン。

黒月:だって、柿を植えても、食べられるようになるのに、八年もかかるんだよ~

茅名:その間に、桃と栗が二回食べられるんだから、良いじゃない……あ、それ、カン。

黒月:あ~、なっるほど! 頭良い~!

茅名:でしょう?  ほら、謎は解けたんだから、いつものアレ。

黒月:そうだね! 桃栗三年柿八年、柿を待つ間に、二回も桃と栗を食べられるという、なんともありがたいお言葉でした。季節は、もう秋。食欲の秋。皆様も、食べ過ぎに気をつけて、秋を満喫してください。それでは、今回はこのへんで!


(あとがきと言う名の和平会談:終わり?)












黒月:…………って、ちょっと待てぇぇぇえい!

茅名:何? どうかしたの? あ、はい『国士無双』、これであがりね。

黒月:そこもさらに待てぇえ! さっきから、何やってるの!?

茅名:え? 麻雀。ふつうでしょ?

黒月:いやあの、小学生は、ふつう……? ふつうなのかな? それはさて置き! さっきなんて言ったの?

茅名:? あぁ。『国士無双』

黒月:麻雀の最強役じゃない……でも、なんか麻雀の駒? が、増えてるような……?

茅名:あ、やっと気づいた? わたし、手品も得意なんだよね♪ というわけで、はい、『国士無双』×二!

黒月:あのさ……これって、イカサマじゃ?

茅名:バレて手をつかまれるまでは、セーフよ。

黒月:…………あなた、今いくつ?

茅名:ん? 小学生。何年生かは聞かないでね? 知ってても言わないでね?

黒月:…………はい。

ところで、今さらな気がするけど、一応、簡単にで良いから、自己紹介してくれない? あとがき初登場だし。

茅名:えー? ま、良いけど。じゃあ……、はじめまして! 本名秘密。偽名は茅名。小学生です! ちなみに、麻雀は、教えてくれた親にも負けたことはありません! 好きなものは、バクチと黒月真名ちゃんです。

黒月:えぇえ!? 嫌われるよりは良いけれど……ま、良いか。うん。

バクチ好きって言うけど、将来は、バクチ打ちにでもなりたいの?

茅名:ううん。公務員になりたい。

黒月:えぇえ? バクチと正反対な……、して、その心は?

茅名:土日祝日休みで、お給料も保障されてるから。

黒月:うぉぅ、年に似合わず、大人な発言を。

茅名:そういう真名ちゃんは、子供の時、何になりたいと思ってたの?

黒月:…………う~ん、子供の時かぁ……中学の頃だったら覚えてるけど……

茅名:じゃあ、それで。

黒月:進路希望の紙に『世界征服』って書いて提出して、めちゃくちゃ怒られた。

茅名:…………当たり前でしょ。もっと、年相応で、実現可能な夢はなかったの?

黒月:あ、一応あったよ。

茅名:じゃあ、そっちを言えば良かったのに。

黒月:いや~、かなり地味な夢だったから、正直、ちょっとつまらないかなぁと。

茅名:良いから、言ってみて?

黒月:『平々凡々好き勝手自堕落な生活がしたいです』ってーー

茅名:はい、今回のあとがきは、ここまで。

いつになるかはわかりませんが、皆様、次回作をお待ちくださいませ。

黒月:茅名ちゃん、急にどうしたの? あとがきは、まだ、

茅名:真名ちゃんは、こっちでちょっと、お話し合いをしましょうね。

黒月:え? 茅名ちゃん、急に敬語? え? ………ぎ……ぎゃあぁぁぁああっ!!


(あとがきと言う名の和平会談:作者の生死不明のため終わり)

































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