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貞操逆転世界でモン娘たちにセクハラしたい  作者: 三峯汀


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第42話 唐揚げおいしい

「ごめんなさい、男が電車に乗る危険性が頭から抜けていたわ」


「いや、仕方がないよ、男と連れて歩くなんてなかなかないだろうし、気が回らないだろうさ、気にしなくていいよ」


「そう、ありがとう。あの痴漢女郎、顔覚えたわよ、今度あったら逃さないわ」


僕は電車には二度とのるまいと、そう思った。



しばらく歩くと閑静な住宅街に着いた。

「ここよ。私の家。素敵でしょ」


「いいね、安心する」


二階建ての一軒家。

普通の民家で安心した。アムエルは上質そうな着物(改造(制服))をきているし、お金持ちで、またでかい家に住んでいるのかと思ったけど。そんなことはなかった。


むしろ着物と洋風の家のアンバランスさが気になるところである。


「これは別荘なの」


「別荘」


全く安心できなかった。


「こっちに通うのにちょうど良かったから、私だけこっちに住んでいるのよ。だから両親はいないわ、一人暮らしなの」


金持ちだった。


「じゃあ母親の晩御飯の残りってのは?」


「冗談に決まってるでしょ、空気を読んだのよ。空気を読むことができるのは限られた動物だけよ。その能力を使わないのは勿体無いわ」


「だって真顔で言うんだもん」


真顔で冗談言われたら信じてしまう、いや僕が騙されやすいだけか?


「もういいから、入りましょう。さあようこそ、いえ、おかえり、あなた」


「意味がだいぶ変わってくるよ!」


「ご飯にする?お風呂にする?それとも罵倒される?」


「ええ?そこは、わ・た・し?でしょ!」


「え?た・わ・し?」


「ベタすぎる!」


「ご飯にする?お風呂にする?それとも罵られる?」


「言い方変えただけで一緒じゃないか!他にないのか!」


「ご飯にする?お風呂にする?それとも伝説の剣を探しにいく?」


伝説の剣!?

オラわくわくすっぞ!


「良かったわね、レアリティssr よ」


「ガチャ方式だった!?」


「飽きたわね、さぁ上がってちょうだい。ご飯の準備をしてるから、手を洗って

食卓テーブルに座って待ってて。ちょっと早いけれどご飯にしましょう」


「食卓テーブルとかどこの部屋にあるかわからないけど」


「見て回りなさい。一階のどこかにあるわ」


「そんな不親切な」


「伝説の剣を探すよりは簡単よ」


さて、食卓テーブルがある部屋を探すわけだが、はたして部屋はすぐに見つかった。見つけるまでの過程で他の部屋を見る機会があったが、印象として、何もない家だ、と思った。家の物を見てその人物が何が好きか、どういったものに興味があるかある程度わかるが、彼女がどう言う人物か全く読めない。例えば絵もなければ、写真もない。インテリアにも特徴がない。


言うなれば新築に必要最低限の家具を突っ込んだように思える。

まぁ一人で暮らすには大きすぎるためかもしれないが。


それに別荘だと言っていたし、あんまり使わないだろうから、家具も最低限のものしか置かないのだろう。


逆に彼女の部屋には何かあるのだろうか、そこが気になるところである。


「お待たせ」


と、考えに耽っていると、アムエルが夕食を運んできた。


白光するホカホカの白米、出来立ての唐揚げ、ゆったりと湯気が出ている味噌汁。

とても安心するセットだ。


「唐揚げ、最高だね!」


「朝につけてきたのよ。味が染みてて絶対に美味しいわよ」


「わーい!いただきまぁす」


僕は唐揚げを口に運ぶ。


うまい。


しっかりと味がついている、よくあがってサックサクの唐揚げは噛めば噛むほどにあつあつの肉汁が飛び出し、白米が止まらない。


「ふふ、気に入ってくれたようで、なによりよ」


アムエルは僕が食べる様子をじっくりと見ている。


「うん、めっちゃうまいよこれ、最高」


「よかった、食の好みや味つけの濃さは大事よね」


「そういえばさぁ、なんか家具が少なくない?生活感がないというか…別荘だから?」


「そうね、少ないかも。では、明日買いにいきましょう」


「僕も一緒ってこと?」


「そうよ、これからあなたもこの家で過ごすのだから」


「え?そんな放課後にたまに来るような人間のために家具を買うのかい?」


そう言うと、また、心底呆れたといいたそうな顔をして。


「何を言っているの、あなたはここで暮らしていくのよ」


「何を言って…」


何を言っているんだ、そう言いかけて、最後までそのセリフを言うことができなかった。なにも舌を噛んだとか、だれかに口を抑えられたというわけではない。


ただ、恐ろしいほどの、今までに経験したことがない眠気が僕を襲った。それだけの話だ。


ぼやけていく視界の中で、めったに笑わないアムエルが、軽く、微笑していた。


「おやすみ、あなた」


ここで僕の意識は飛んだ。

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