「迷いの森の使者たち」 長編SFファンタジー小説 紛失してしまった小説の梗概(再録) 改訂増補版
☆前書き
、今からおおよそ50年昔のころ
わたしはそのころ20代で、、小説家を目指していました、
毎日~毎日、、大学ノートに、小説の草稿を書き綴っていたのです。
まあそのころワープロもなかったし、、、まして
パソコンなどあり得ませんでしたからね。
いや?もしかしたら?ワープロの元祖?見たいのは出現していたかもしれませんが
いっぱんてきに普及はしていませんでした、
ということで
当時は
小説は原稿用紙か
大学ノートにでもしたためるしかなかったのです、
当時私は様々な小説を書きつづっていました、
当時ドイツロマン派に心酔して神田の古本屋街で
戦前の邦訳本を渉猟しては買い漁っていました、
そのころドイツロマン派の翻訳本なんて誰も?見向きもしませんでしたから
店頭の露台にどれでも100円コーナーに無造作に積まれた中に転がっていたりしました、
このブログのどっかに書いたように
そのころ手に入れた本がいまもかなりの数、、私の手元に残っています、
さてそんな若かった私が書き連ねた小説も当然ドイツロマン派張りの?
ダークファンタジーであったり
ゴシック小説であったりしましたね
そうですね
そういう小説の原稿は
ザっと10篇くらいはあったと思います、
でも、
その後、私の人生は有為転変
貧乏な家に生まれた私は
大学卒業後は
食うために?遠い田舎に都落ち状態でやっと就職
それからそれから
人生はあらぬ方向に転げまわってゆき
引っ越しも14回もしました、
その間食うに精いっぱいで、小説など書けるハズもなく
数十冊の小説原稿が書かれた大学ノートも、
引っ越しのたびに紛失してしまい
人生の荒波にもまれ、もまれて
その小説が出版などされるはずもなく
いつしか引っ越しに紛れてその原稿は 消え去ったのでした、
だが
こうしてその後50年がたち
いまや最後の停泊港?に舫いする老いさらばえた私の
記憶の中だけに存在する
「若書きの小説」たちの、大よその筋書き(あらすじ)だけは
不思議と記憶に残っているんですね。
完全にそれらの小説をいまさら、再現など今からは不可能ですから
それらは折に触れてこのブログにも断片的に思い出して
フラグメンテ(断片)として書き留めてきたはずです。
そうしたいまは完全に失われた小説たちの
その中のおそらく最大の長編小説が
いま
ふと、なぜか?
鮮明に思いだされてきたのです。
その記憶が消え無いうちに
ここにそのあらすじだけでも
書き留めたいという強い思いがよみがえったのです
この小説はたぶん?
まだこのブログにも書き留めたてはいないはずですから
そういうわけで
失われた長編小説を記憶をたどって
梗概だけを何とか再現してみたいと思います
よろしかったら
おつきあいくださいませ
それはこんな小説でした
☆迷いの森の使者たち
少年の私は深い森のはずれの一軒家に暮らしていた。
深い手つかずの森が私の遊び場だった
森には様ざまなキノコや霊木やシダやゼンマイやが群生していた
そして森深くには謎の廃屋がポツンとあって
細い消えかかった獣道をたどると、
時々謎の老人が、来ているみたいだった。
不用意に町の人がこの森に入ると
行方不明になったりして
わたしたちはこの深い森を「迷いの森」あるいは「まよわしの森」と呼んでいた
この森の奥の秘密の場所には一本の巨木があってそれに上ると
この樹海から上に出て森が上から一望できるのだった。
永遠に続く緑のじゅうたんがそこに広がっていた、
そしてまだこの森には秘密の場所がいくつもあった
そのひとつに巨岩の広場があった、
森の奥の開けた場所に高さ5メートル?のほぼ球形に巨岩があった
この岩に触れると、過去未来が忽然と脳裏に去来するという不思議な岩だった
さらに、
きのこのが群生する開けたゾーンもあった
びっしりときのこが一面に群生してるのだ
そのきのこは夕やみに紫色に光りだすのだった
あるいは森の秘めた場所の谷間には不思議な霊水が湧いていて
それを呑むと不思議な「覚醒や悟り」が開けるのだった。
そしてその奥には
ぽっかりと開けて不思議な花の野原があった。
ふしぎな森と交感する私と
その森の霊気が様々なヴィジョンを生み出して
可憐な少女幻想になったり
邪悪なコロボックルの呪文になったり
幻想空間の長い遍歴であったり
森自体の生ける宇宙が
降臨して
わたしの魂と、合体するのだ。
迷わしの、、森の本当の意趣とは何だったのか?
わたしの父がなぜ
ある日その森で死体として発見されねばならなかったのか?
もりと宇宙の融合と分離が
壮大な宇宙メロディを奏でる
もりの本当の秘密は誰も知らないある場所の
大きな陥没穴
それは数万年前に落ちた隕石が落ちた痕跡だった
其処には
地下に通じる秘密の通路があり、その先には実はそれは隕石でななくて巨大な
スペースシップでありそこからワープして異世界・別宇宙へとつながっていたのだった、
だがその乗組員(宇宙人)は、すでに死に絶えていた。
宇宙船はだが自動運転で
不可思議な光線で。
わたしをそこへワープした
たどり着いたその先には
私は、またしても異世界の巨大な深い森と出会い、
宇宙の秘密をそこの星人からイニシエートされるのだった、
その異世界での暮らしはまさに以心伝心で
インスピレーションがすべてでそれは常に宇宙の大きい心とつながっているのでした、、
そこでの私のしごと(役割)は宇宙局の究極真理保管庫の事務員でした、
そこでは森の中のヴィジョンのピースを振り分けるのです、、
だが私は星人の命令で帰還せねばならなかった、
再び懐かしい森の戻った私はすでに10年以上がたっていたと知る、
しかし私にはなんの使命も渡されていなかった
ただ戻れといわれただけだったから、
星人は、「お前はただ戻って普通に生きてゆくのです」というだけ
そして戻ってみると
あの不思議な森は消え果てそこにはごく平凡な雑木林があるだけ
普通の雑木林です。なにも不思議もありません
わたしは唖然として、この場所を去り街に出て
食うために工員としてはたらき
それから今までのことは胸に押し込んで
平凡に年を取ってゆきました
その間何の啓示もなく
何の目覚めもなく
ごく普通の凡人暮らしです。
やがて、普通の女性と、普通に結婚もしました、
そして現実のしごとと現実の家事・育児に翻弄されて
歳をとってゆくのでした、
だが
そんなある日、、
星人はこんなことも言っていたことをふと思い出すのでした
「お前の人生はここでの流刑なのさ。だから終わりにはまた迎えに来るよ」
なにがなんだか私にはわかりません
でも
それから50年があっという間に過ぎて
そんなある日私は大きな病気にかかり入院しました
どうやらもう駄目のようでした、
夢うつつの私の意識下に
忘れていたずっと昔に見慣れた
ヴィジョンが、
そうです
それは
昔、行ったことなどすっかり忘れていた異世界の森でした、
その森は
いまくっきりと私の意識を占有して
『帰るべき時が来たようだね』といって
薄れゆく私の意識をよみがえらすのでした。
意識が遠のき
ふとまためざめると
其処は異世界のあの森の花の広場でした。
やさしく見つめる星人に
わたしは聞きました
「私の一生ってなんだったのでしょうか ?」
星人は答えました
「わかるだろ?生まれたものは、また、いつかその根源に帰るってことさ」
わたしはゆっくりと起き上がり
あたりを見回しました
其処には
あたりは様々な花々が咲き乱れた
大きなお花畑が広がっていたのです。
FIN
付記。
これだけ梗概が思い出されるなら
再びこの小説を書けばいいではないか?
、、と、おっしゃるでしょうが、、
いま私には
そういう若書きの
50年前の構想した小説を
再び
これから老人の私がいまさら書く気力もないのです。
思い出は思い出にとどまっているから、、美しいのです
それを今、現実化したら
きっと
落胆だけなのでしょうから。