第二章 第二十九話 『突入』
遅くなりましたが、本話より主人公である笠井修二サイドの話へと移ります。
時刻は午後六時を越えて、ちょうど太陽が沈み、空が暗くなっていく頃合いの中、二人の男女が物陰に潜んでいた。
彼らは、誘拐されたとされる椎名真希の救出に、渋谷から約二時間以上かけてきていたのだ。
情報部の監視網によれば、今、視界に捉えられているビルの中に入って行ったとのことであった。
このビルが敵のアジトだとするならば、総力を掛けて叩き潰しにかかりたがったが、そうはいかない。
全国各所で発生しているとされるモルフの対応に、日本国内の自衛隊員や警察官が総力を持って動いていたからだ。
そこで、仕方なく三人での突入を余儀なくされたのだが、物陰に潜んでビルの入り口を注意深く観察していた笠井修二は、焦燥感を胸に抱いていた。
「桐生さん、来ないですね……」
「確かに、あの人にしては珍しいわね。何かトラブルに巻き込まれた可能性は……あるかもしれないわ」
一瞬、躊躇うようにそう話したのは、椎名真希奪還作戦を共にするアリスであった。
彼女は腰に掛けた拳銃だけの武器を持ってここにいるのだが、それでも戦力で見れば修二よりも遥かに高いことは修二自身も認めていた。
ここに桐生がいれば尚のこと、椎名を奪還するのに苦労はしないだろうが、彼は未だに約束の場所にこない。
そもそも、アリスは桐生の指示から修二を探して合流し、そこから敵アジトへと向かう段取りだった。
本来ならば、桐生の方が先に着いていないとおかしいのだ。
「でも、桐生さんに限って殺されるなんてことはないと思うんですが……」
「それは私も考えてもいないわ。何か、足止めをされているのかもしれない。もしくは、想定外の状況が起きた……とかね」
――想定外の状況。ありえない話ではないが、今回の騒動は謎が特に多い。
首謀者がどこにいるかも分からない状況であり、今、修二が見ているビルの中にそれがいるかも怪しいぐらいだ。
それも含めて、桐生の安否は特に不安は感じていないが、出水達のことも心配ではあった。
「彼らは、俺の同期メンバーは無事でしょうかね」
「大丈夫よ。あの子達と実際にやり合った私が言うんだもの。彼らは強いわ」
安心できる根拠にはならないが、アリスにもそう言うしか他になかったのだろう。
敵は生きた人間ではなく死した人間であり、銃もナイフにも恐れずに襲いかかってくる狂気の存在だ。
そんなものを相手に、桐生のような圧倒的な存在でないのならば、生き残れるという保証はない。
信じるしかないと、そう暗に伝えようとアリスはそれ以上は話を続けずに、ビルの入り口を再び見た。
「今は目の前の事に集中しなさい。あそこの中に、あなたの幼馴染がいるんでしょう?」
「そう……ですね。その通りだ。それで、どうしますか? 桐生さんを待たないのですか?」
「彼抜きでもやるしかないわ。もしかすると、後から来てくれるかもしれないからね。私達だけで先に突入するわよ」
「……でも、かなり警戒態勢入ってますよ?」
修二が指摘した当のビルは、敵の一味らしき人間が張り込みをしていた。
この時間、この緊急事態にあの様子は側から見れば違和感でしかないのだが、そんなことを気にする一般人はいないだろう。
さすがに武装まではしていないが、ここで修二達が飛び出せば、さすがに銃の類を出してきてもおかしくはない。
「そうね。……では、こうしましょう。私が正面突破を仕掛けるから、あなたは右手に見えるあの細い道から入って窓からでも侵入しなさい。別々に動いて、撹乱させるのよ」
「はい?」
何を言っているのか、呆気に取られていた修二は瞠目してアリスの顔を見た。
今の発言からすれば、彼女は単独で攻め入ろうとすると言っているかのように聞こえたのだ。
当のアリスは明らかに本気でやるつもりの表情をしている。
「いや、ちょ、ちょっと待って下さい。いくらなんでもそれは危険すぎるでしょ」
「まあ、時間が無いからもうその作戦でいくわよ。後はよろしくね」
笑顔でそう言ったアリスに、理解が追いつかない修二は混乱していたが、アリスはここまで移動するのに使ったバイクに跨って、
「じゃ、また後でね」
「ちょっ、アリスさん!?」
そのままエンジンを吹かしたアリスは、アクセル全開で走り出し、敵の本拠地であるビルの入り口へと突っ込んでいく。
突然、暴走バイクが突撃してきたことにより、入り口に張っていた人間は皆、驚いたようにアリスから避けていっていた。
「破天荒すぎるだろ……」
緊張感すら感じていないように、まるで、これから仕事に行ってくるねと、軽い感じで行くかのように、アリスは敵の本拠地へと突っ込んでいったのだ。
正気の沙汰とは思えなかったが、動き出したからには修二も行動を開始せざるを得ない。
アリスの突撃から避けた者達は、焦るように入り口の中へと入っていき、外には誰一人いなくなっていた。
これを好機と睨んだ修二は、すぐに動き出して右手に見える細い路地へと走っていく。
「死なないで下さいよ。アリスさん」
銃を手に握った修二は、ただ一人の仲間の無事を祈り、先を進んでいった。
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「思っていたよりいるわね……」
ビルの入り口から突撃し、受付の付近へとバイクを止めたアリスは周囲を見渡し、その光景に唖然としていた。
いかにも待ち構えていたかのように、武装した人間達がアリスへと刀を、銃を向けてきていたのだ。
襲撃を想定していたのだろうが、それでもこの人数はアリスも想定外であった。
「まあ、別にどっちでも関係ないんだけどね」
余裕の表情を崩さない様子で、アリスはバイクから降りる。
三百六十度、周囲を囲まれているのは絶望的観測ではあるだろう。
しかし、アリスにとってこのような状況は慣れていた。
「何者だ!?」
「てめぇ! 生きて帰れると思うなよ!」
「簡単には殺すなよ! とっ捕まえて辱めてやる!」
物騒なことを言う連中に、アリスは肩を落としていたが、この絶望的な状況の打破をする為に、周囲の人間を見渡す。
武器を持った人間しかいないが、その武器の種類はそれぞれ違っていた。
拳銃を持つ者もいれば、刀を持つ者もいて、他には金属バットを持つ人間もいる。
それぞれを見渡しながら、アリスは一箇所だけとある方向を見ていた。
それは、銃を持たない刀や金属バットのみを持つ集団だ。
「――見つけた」
そう言って、アリスは視点を全方位へと俯瞰するように見渡す。
狙いを悟られないように、注意深く敵の動きを見ながら、一人の男がこちらへと刀を持って斬りかかろうとした時、アリスは姿勢を低くした。
「死ねやおらぁ!」
殺す気で斬りかかりに来た男の振り抜きを予測して、アリスはわざと紙一重で避ける。
そして、その隙を見逃さないように男の背後へとするりと抜け出し、その首根っこを掴んだ。
「さあて、人質を一人取れたわね。これで、銃持ちは迂闊に撃てないでしょ?」
「クソ女が! 離しやがれ!」
「あら、あまり暴れるようなら首の骨へし折っちゃうけど、いいの?」
脅しをかけるようにアリスは男の首を強く絞めると、さすがに本気と気づいたのか、男の抵抗が弱くなる。
「それでいいのよ。さてと、あなた達は何者なのかしら?」
「お前、こそ何者だ。いきなりカチコミかけにきやがって……警察関係者か何かだろ!?」
「警察関係者とは違うわね。私は雇われた傭兵みたいなものよ。ここに若い女の子が攫われたって聞いてね。あなた達、何か知らない?」
アリスへと武器を向けた集団に尋ねて、全員が身を硬くする。
そして、その中の一人、天然パーマの髪型をした目つきが鋭い男が前に出てきた。
「そんな女は知らない。あんたは俺達を捕まえに来たのじゃないのか? そうでなくても、ここに侵入した時点で排除しなくてはいけないが」
「あら、やっと話が分かりそうな男が出てきたわね。端的に言うと、あなた達の逮捕には興味はないわ。本当に知らない? 二十代ぐらいの女の子で、結構可愛らしい子よ」
暴漢集団に囲まれながらも、臆せずに尋ねようとするアリスに、天然パーマの男はため息をついた。
「悪いが、本当に知らない。俺達は奴らの傘下で、ある意味奴隷みたいな扱いだ。奴らは俺達に情報を分け与えたりなんてしないからな」
「そう。それは残念ね。なら、逆に利害は一致するんじゃないのかしら? 私があなた達を縛る組織を壊滅させたら、それはあなた達にとってもメリットになるんじゃない?」
押し問答に、アリスは天然パーマの男にそう提案した。交渉をしたのは、この集団が椎名真希との関わりがないと判断したからだった。
アリスは、目的の障害となる者は戦闘で解決するが、関係の無い者には何かしようとは思わない。それが、アリスにとって障害とならなければの話だが。
「無理だ。あいつらは、あんたはあいつらには絶対勝てない。過大評価でもなんでもない。たとえ、この国の軍隊が相手をしてもそれは同じだ」
その言葉を聞いたアリスは、口元を緩めて、笑みを作る。
「ふうん、それは面白そう。勝てる勝てないの話をするなら、勝負しない? ここで私を殺すことが出来れば、あなた達は任務に従ったので上からはお咎め無し。私があなた達を倒せば、先に行ってその組織をぶっ潰す。それならいいでしょ?」
「本気で言っているのか?」
唖然とした表情でそう言う天然パーマの男に、アリスは表情を変えずに男の顔を見る。
「本気よ。こうして背中を見せているのにもかかわらず、後ろから銃で撃たない辺り、仲間意識は高いのはもう分かってる。それこそ、あなた達がヤクザだってことももう分かってるわ」
横目で囲む集団を見やりながら、アリスは未だ攻撃を仕掛けないことを指摘する。
ヤクザと言われたことに瞠目していた天然パーマの男は「ふっ」と笑い、
「さすがだな。あんたは、俺達と同じ匂いがするよ。――お前ら! この女を殺せ! 手加減するなよ!」
「一緒にしないでほしいけどね。それじゃ、いくわよ!」
合図と共に、アリスは首を掴んでいた男を前へと押し出す。
その瞬間、盾を失ったアリスへと向けて、銃を持った人間が一斉に構える。
「まあ、そうくるよね。素直な動きすぎて、助かるわ」
銃口を向けられた瞬間、アリスは囲む集団のある一角へ走り込む。
そこは、先ほど目で見やっていた銃器を持たない集団の方向だった。
「くっ!」
真っ直ぐ向かってきたアリスに対し、刀を持った男達はうろたえながらも斬りかかろうとした。
しかし、アリスは走る勢いで地面に手を突き、回転するようにジャンプして、武器を持った男達の頭上を飛び越えた。
「逃がすな! 追え!」
「逃げないわよ。拳銃の射線から逃れただけ」
着地したアリスは、そのまま刀を持った男達の集団へと低い姿勢で飛び込み、回し蹴りで目の前にいた男達を吹き飛ばす。
それから、すぐ近くにいた集団へとさらに追撃をかけようとする。
「クソッ! 誰かこいつを抑えろ!」
「速すぎるぞ、この女! 拳銃持ちは攻撃の後を狙え!」
怒号と指示が飛び交い、全て計算通りだったアリスは捕まえようとしてきた大柄な男の突進を軽々しく避けて、銃を持った集団を視界に入れる。
その銃口の先から、おおよその弾道を認識したアリスは前のめりに倒れ込む大柄の男の後ろに立ち位置を変える。
ちょうど、弾道から大柄な男が盾になるようにと。
「ちくしょうがっ! この女! わざと撃てないように立ち位置を変えてきやがる!」
「焦るな! 全員散らばれ! 多方向からこの女を狙うんだ!」
天然パーマの男が後ろから指示を出して、男達は顔色を変えて言う通りに動こうとする。
アリスからすれば、味方に流れ弾が当たる可能性があれば撃ってこないことは分かっていたので、この方法で銃を所持する者達からの射撃を回避していたのだが、あえて一箇所に固まらないという手段にでられたことで同じ手は使えなくなってしまう。
しかし、相手がどれだけ策を弄しようとも、アリスは焦ることはなかった。
「そう。なら、私も本気になるしかないわね」
アリスがその言葉を発した途端、腰にかけていた拳銃を抜き出し、誰もいない方向へとその拳銃を向けた。
正確には、アリスが乗っていたバイクへと向けて、
「何を――」
天然パーマの男が疑問に感じるも、もう遅かった。
アリスは発砲し、三発程撃った弾丸は全てバイクの座席の後ろ部分、ガソリンの入った燃料タンクへと命中する。
その瞬間、炎上が起こり、全員が身を硬くした。
全員の視線がバイクの方へと誘導され、爆発こそしなかったが、アリスからすれば十分であった。
爆発するかもしれないと思い込ませることができれば、動きが止まることを読んでいたからだ。
その一瞬の隙を狙い、近くにいた拳銃を持つ男の手を蹴り上げ、武器を離させた。
「しまった!」
不意をつかれた男は呆然としていてアリスを見ていたが、アリスは動きを止めることなく回し蹴りで男の首へと勢いよく蹴りを当てて無力化する。
「撃て! 撃てぇ!」
焦った男達は、アリスへと向けて発砲しようとした。が、アリスはその前に自分の持つ拳銃でこちらへと銃を向ける男達へ発砲。拳銃へと銃弾が当たり、弾かれるように手から離れる。
「これが訓練された兵士なら厄介だけど、大して銃を扱ったことがない奴らには判断すら一瞬の迷いがあるわ。その差は一瞬でも致命的よ」
拳銃を持つ男達はあと二人。
焦った銃持ちの二人は、なりふり構わずアリスへと向けて発砲しようとした。
「構えも狙い方も雑ね。そんなんじゃ当てられないわよ」
アリスからすれば、このヤクザ達が銃や刀の扱いが下手くそであることは持ち方から既に見抜いていた。
飛び道具である拳銃を、止まっている人間に当てることはそう難しくはないだろう。
だが、動いている人間に対してはそうはいかない。
ただでさえ、撃った後の反動が大きい武器であり、上手く狙いを合わせなければ狙いが逸れることの方が多いのだ。
アリスのように軽やかに移動し、翻弄させてくるような動きをされるのは、相手からしても厄介極まりないだろう。
それを理解していたアリスは、無造作に発砲する男の弾切れの瞬間を狙って即座に接近。得意の足技で蹴り上げて、拳銃を離させた。
そして、同じく弾切れになったもう一人の男へも一気に距離を縮めて、膝蹴りで相手の意識を沈める。
「さて、これで遠距離武器を持つ者はもういないでしょ」
「くっ」
傷一つつかず、疲れさえも見えないアリスを見ていた男達は、じりじりと詰め寄ろうとはするが、攻撃を仕掛けてこない。
迂闊に攻撃を仕掛けても、反撃されてやられることが目に見えていたからだ。
「来ないのなら一気に片付けるわよ」
その言葉を合図に、アリスは刀や金属バットを持つ集団へと飛び込んだ。
――そこからは圧倒的だった。
拳銃を持つ者がいた為に時間こそかかっていたわけだが、速度のない殺傷武器ではアリスを捉えることはできない。
全ての攻撃が空振りに終わり、その隙に攻撃を受けることで為すすべなく男達は地に伏せる。
たった一人、最初に言葉を交わした天然パーマの男以外は。
「――なんて野郎だ」
「野郎って私、女なのだけど」
「いくら武器の扱いが素人でも、この人数を相手に無双できる女なんて見たことがない」
「そう。なら、良かったじゃない。あなたの目の前にいるのが、その女よ」
軽い調子で返事をしながら、アリスは歩いて距離を縮める。
天然パーマの男は、その場から動きもせずに両手を上げた。
「完敗だ。あんたなら、もしかすると本当に奴らを壊滅できるかもしれないな」
「少し気になるのだけど、あなたの言う奴らってのはそんなに手強いの?」
「あんたとはタイプが異なるが、妙な武器を扱う連中だ。身体能力で言えば、あんたよりも低いだろう。だが、それなくしても俺達じゃあ歯が立たない。そもそも、俺が相対した奴は何をしたのかも分からなかったからな」
「……よく分からないけど、どうしてあなた達はその組織の下についたのよ?」
「俺達だって混乱してる。突然、頭である組長や役員連中が軒並み殺されたんだ。混乱に陥った組員達がほとんどだったし、犯行声明を出した連中が傘下に入れと言われた時も怒りに身を任せた組員はいた。でも、その全員が俺達ヤクザがやるよりも遥かに無惨な殺され方で死んでしまったんだ。結局、俺達は連中に従う他に道はなかったんだよ」
忌々しげに過去を話す天然パーマの男は、唇を噛んで悔しむ表情を見せていた。
もとより、社会の道から外れた連中の言い分に同情する余地はなかったアリスであったが、その連中に対して興味はあった。
「その連中の組織は、なんていうの?」
疑問に考えていたアリスは、その組織の名称を尋ねる。
世界の闇部分を良く知るアリスからすれば、組織の名称を知っている可能性があったからだ。
「その組織の名は――」
「おいおい、何があったんだ? 何でお前ら寝てるわけ?」
割り込むように声が入り、気配を感じ取れなかった二人は声がする方へと振り向く。
エントランスのような内観の中、中央奥の階段から見知らぬ男が降りてきていた。
見た目は全身、肌が見えない着込みをしている格好で、武器らしい武器は持っていない様子だったが、その口調と雰囲気からここにいるヤクザとはまるで違うようにも見えた。
「気をつけろ。奴がそうだ。連中の一人だが、俺が言う妙な武器を扱う奴だ。名は、ノア……だったか」
「ノア様、だろうが、高尾。お前ら日本人は礼儀正しい民族なんだろ? 同じ立ち位置にいると思ってんだったらお仕置きしないといけねえなぁ」
天然パーマの男を高尾と呼ぶノアという男は、五指を開閉させながら睨んできていた。
見た目はかなり若く、高尾よりも年下に見えるのだが、それなりの実力を持った人間ということだろう。
ノアは歩いて近づいてきながら、ふとアリスの存在に気づくと、
「ん? なんで知らない女がここにいるんだ? しかもめちゃくちゃ美人じゃねえか。高尾、お前も隅に置けねえな」
「見る目はあるようだけど、あなたみたいな子どもに言われても嬉しくはないわね。随分と偉そうだけど、あなたは何者なの?」
「……今、なんつった?」
声色が急に低くなり、ノアの雰囲気が変わる。
ただならぬ雰囲気を感じたアリスは戦闘態勢に入ろうと姿勢を低くすると、ノアは腰の部分に手を伸ばした。
「俺は子どもじゃねえ! このアバズレ女が!」
手に握られるは、見たことも無い形状をした武器であった。
リボルバーがついた銃のように見えたが、銃口は見えず、代わりに細い刃が取り付けられている。持ち手に関しては、まるでナックルダスターのような指をはめる部品があり、そこにノアは人差し指以外の指をはめている。
その奇妙な武器をアリスへと向けたノアに対し、アリスは不敵に笑うと、
「もう子どもは寝る時間よ。すぐに寝かせてあげる」
「ぶっ殺す!」
ノアが引き金を引くその瞬間、アリスにとっての第二ラウンドが始まった。
次話は明日午前一時に投稿予定。一気に第二章を進めていくつもりです。
また、今更という部分もありますが、現在までの既出の情報を整理して後書きにまとめていければなと考えています。
まだ名称すら出していない敵組織についても幹部に当たるキャラは全部決めています。
第二章終わりまでで三人ぐらいは出ているかなという感じです。
その中でも、一人は多分読んでても分からないだろうと思います(笑)
割と細かい部分で伏線を立てているので、よく見ていると面白いかもです!




