第二章 第二十一話 『イヴァン』
取っ手のついた床板を外して中を見ると、少々狭いが階段になっていることがわかった。
電気がない為、数メートル先は真っ暗闇となっており、先が見えない状態となっていて不気味な雰囲気を醸しだしていた。
「おいおい、お化け屋敷みてえだな。……実際、化け物はいるんだろうけど」
地上も地下も変わらないが、恐らくこの先にもモルフはいるはずだ。
榊原の情報によれば、仲間がこの先でモルフにされたとのことであり、それが地上に放り出されて無い限りは、この先にいる可能性は高い。
誰かは分からないが、『実験体』と言っていたとのことなので、まず間違いなく日本にウイルスをばら撒いた連中が地下にいることは明白である。
こんな事態でも実験や研究をしているのであれば、余程の自信家なのか馬鹿なのかは想像もつかないが、イカれた狂人であることは大体想像はつく。
とはいえ、いつ、どこでモルフと遭遇するかは分からない状況だ。
今はその事を考えず、前に進むことを優先とした。
「暗いな……足元、気をつけろよ」
「ライトつけても先が見えんって、どんだけ先に続いてるんや?」
ライトをつけて、先の様子を見ると、かなり深くまで階段が続いていることが分かった。
出水が先行し、その後を清水が、最後に神田という順で降りることとなった。
物音を立てずに静かな雰囲気の中を歩きながら、ゆっくりと前へ進む。
階段の終わりを見つけ、その先をライトで照らすと、更に先に続いて通路が続いていた。
「えらく長い道のりだな。こんな場所に本当にあるのか?」
「でも、見るからに怪しかったりはするけどな。あの厨房の下にこんな道が続いてるのは違和感しかないやろ」
清水の言う通り、確かに不自然ではあった。
あの場所に、ここまで長い道のりの地下がある事自体、普通はありえないのだ。
普通の人は、あの中に厨房で使う物の何かが置かれている程度にしか感じないはずであり、カモフラージュとしては機能していたということだった。
つまりは、榊原の話していた地下実験施設については、概ね確証のある情報となりつつあった。
「神田、一応、後ろの状況はよく確認しといてくれ。追っ手のモルフが来られても困るしな」
「了解した」
短く言葉を交わして、神田に後方を任せた。
一番頼りがいがある神田を後ろに置いたのは、この中で一番、生存確率が高い優秀な人間だったからだ。
本当は出水も前に出たいとは思わないが、仮にも指揮する側の役目がある。
本来ならば、清水を先頭におきたいところではあったが、破天荒なこの男は、意外に行動パターンが読めなかったりする為、真ん中の位置を任せることとした。
狭い通路の中を一列になって歩きながら進むと、その先に光が見えてきた。
それが見えたと同時、出水達はより警戒心を深めて、少しずつ進もうとして、先へ出た。
「ここは――」
――そこは、白い部屋の中であった。
通路とは違い、明るい蛍光灯が部屋の中を照らし、先ほどまでの暗い道のりとは大違いな場所である。
思わず、ライトを消すことを忘れて、あっけらかんとしていた三人であったが、先頭にいた出水は、ハッと冷静さを取り戻して、周囲を見渡す。
一見して、何も無い部屋の中だ。
先は通路となっており、突き当たりの道に左右の分かれ道があるぐらいである。
実験施設という割には、何一つ機材らしきものが見当たらない辺り、施設自体はもう少し先にあるということなのかもしれない。
「どうやら、ここで間違いなさそうだな。俺達の侵入に、敵が気づいているかどうかだが……」
「監視カメラのようなものは見当たらないな。それにしては無用心な気はするが……」
神田が周囲を見てそう言っていたが、確かにこの部屋の中にはそれらしきものは見当たらなかった。
物すら置かれていない為、隠しカメラのような類は隠すことすらできないので、まだ敵には出水達の侵入はバレていないとみて問題ないだろう。
「……ともかく、バレていないなら好都合だ。このまま先に進もう」
出水の指示に、後ろの二人は静かに頷いて、先へと進む。
周囲を警戒しながら進み、突き当たりの分かれ道へと着いて、両方の道を確認してから出水は、
「何もいないな。どっちに進む?」
「二手に別れるのはあまり得策じゃないかもな。誰かが一人になるわけやし、今の面子ではちょっと厳しいやろ」
「だな。神田、どう思う?」
「隅々まで探るつもりならどちらでもいいのではないか? どっちかを選べというなら、右からでもいこう」
右の道を選んだ神田に、出水も特に異論はない。
どちらを選んでもあまり意味はないのだ。仮に、右の道が危険極まりない道だとしても、それを判断する材料が今ここにはない。
「んじゃ、とりあえず右から行くか」
神田の勘に任せて、出水達は右の道を進む。
今までと変わらず、特に何もない道であったが、それにしては奇妙であった。
これだけ進んでも、人はおろか、化け物の一体もいないのだ。
もう既に抜け出された後であれば、出水達としても調査をしやすくはなるのだが、わざわざ施設を放ったらかしにして逃げるものだろうか?
せめて、施設ごと爆破してでも証拠隠滅を図るほうが自然ではある。
奇妙な違和感を胸に抱きながら、出水達は進んでいく。
そうして進むと、左の壁に扉が複数あるのを見つけた。
「念のため、入ってみるか?」
「いや、ダメだ。ロックが掛かってる。外から開けられないのを見るに、遠隔で開けるようなシステムにみえるぞ」
神田が扉を調べて、出水も一緒に調べてみたが、確かにこちら側からは開かない様子だ。
それ自体、何の部屋なのかは分からないが、そうして調べていた時――、
『やあ。もうここが勘づかれたのか。意外と早かったね』
「――っ!」
声が聞こえて、出水達は即座に声のする方向へ銃を構えた。が、そこには誰もいなく、その声のする音源が、天井に取り付けられた拡声器のようなものから発せられてることに気づく。
「しまった……!」
潜入がバレてしまったことに焦り、今すぐ離脱するかどうかを出水は迷った。
だが、そうしようとしたそのとき、
『おっと、待ちたまえ。安心しなさい。私は君達に危害を加えるつもりはないよ。敵対しているという意味では間違いはないのだがね』
拡声器から聞こえる男の声をした何者かは、そう言って出水達を引き止めようとした。
それを信じる根拠は何一つないのだが、その意思があるのならば、念の為、男の素性を聞こうとした。
「お前は何者だ? 『フォルス』ってやつの一味か?」
『ん? ……あー、あのマフィア軍団のか。彼らはただの下請けだ。彼らもこの騒動に関わっているのは間違いないのだがね』
ただの下請けと聞いて、出水は目を見開いた。
つまり、この騒動を起こした組織は他にもいるというように聞こえたのだ。
だが、情報を聞き出せているのは幸いであり、機嫌を損ねて面倒なことになるのを防ごうと、出水は慎重に拡声器の男に尋ねる。
「下請け? つまり、大元の組織が他にいるということか?」
『あまりごちゃごちゃ喋ることはしないがね。ところで自己紹介といこうじゃないか。私の名はイヴァン。この地下実験施設の総括を任されている研究員だ。キミ達は何者なのかな?』
何一つ臆面もなく、拡声器の男は自分の名を明かす。
それだけでも、この男が何を考えているのかまるで理解ができなかったが、出水は自分達の素性を明かすかどうかで逡巡していた。
『おや、せっかくこちらが自己紹介したのだから、キミ達もするのが礼儀だと思うのだが』
「……俺達は国から派遣されている特殊部隊だ。名を出水陽介という」
このままでは埒があかないので、隠密機動特殊部隊の名は伏せて、出水は自らの名を名乗った。
下手に機嫌を損ねる方が、リスクを高いと判断した上での行動だ。
『そうかそうか。しかし、SATとは違うようにも見えるね。キミ達はどう見ても若い。入り口から見ていたが、動きもまだ習いたてのような大雑把なようにもみえたが』
その言葉を聞いて、全員の動きが固まった。
この地下についてから、出水達の動きは視られていたのだ。監視カメラのようなものは見つからなかったが、どこかにあったということになる。
そして、それは出水達にとって、命の危険を高まらせることになるということでもある。
「……俺たちをどうするつもりだ?」
『ん、ああ。安心したまえ。本当に危害を加えるつもりはないよ。ただし、逃げるのであれば話は別だ。引き返そうと言うのであれば、ただちにレベル4モルフを数十体ほど、君達に差し向けることとなるな』
とんでもないことを言い放たれて、出水はこの場をどう切り抜けるかを考える。
もしも、製薬会社のビルで対峙したあの未知の化け物が『レベル4モルフ』であれば、出水達には勝ち目がないだろう。それを数十体もの数を相手にするならば、尚更である。
「――――」
もはや、最悪すぎる状況であった。
このまま、このイヴァンという男に従って動かなければ、出水達はいつでも殺されるような状況なのだ。
神田と清水に目配せして、今はこの男の言う通りにすることを目で伝える。
ここで戦闘になるのは、あまりにも分が悪すぎる。
せめて、陸自の応援部隊が来るまで、時間稼ぎをする方がまだマシな方だ。
「分かった。言う通りにする。それで、俺達はどうすればいいんだ?」
『話が早くて助かるよ。出水君、キミ達には私の研究史上、最高傑作を見せてあげたいんだ。喜びたまえ! 人類史上、関係者以外ではキミ達がお初にかかれるのだからねぇ!』
徐々に息が荒くなり、興奮したかのような声色で、イヴァンは出水にそう言った。
最高傑作とは何のことなのか、まるで理解はできないが、ろくでもないものだというのは確かだろう。
『はぁ、すまない、少し興奮してしまったよ。それでは案内しようか。君達はそのまま進み、左の道を進むんだ。そこを真っ直ぐ行った先に、私の見せたいものはある』
出水達は応対することなく、言われた通りにイヴァンの示す道を進む。
この動きさえ、どこからか奴は見ているのだろうが、それを把握するには時間も余裕もない。
作戦を立てようにも、声も聞かれていてはどうしようもなく、今は言う通りにする以外にないのだ。
「おい、出水。ええんか? このままで」
「……今はあいつの指示に従うしかない。まだ殺されてないだけマシだ。多分、そうはならないだろうが、今はまだ動く時じゃない」
「……」
そう、今はまだ行動を起こすべきじゃない。
いずれ、イヴァンという男は出水達を殺そうとする筈だ。
自らの研究の成果を自慢げに見せたがる辺り、役目を終えれば出水達はもう用なしになるのだ。
この場を切り抜けるには、どこかで隙を見つける以外にない。
俯き、出水は少しでもなんとかできないかと作戦を考えていたが、
「お、おい。なんや……あれ……」
清水が、動揺しながら何かを指差すようにしていた。
下を向いていたので気づかなかったが、途中から壁がガラスになっており、その隔てた先に大きな部屋があることが分かった。
だが、そんなことよりも、
「――は?」
驚愕に震えて、歩いていた足が止まる。
それは、この任務を開始して初めての感情であった。
今までも、何度か死を覚悟する瞬間はあり、その瞬間は今でさえも鮮明に覚えている。
だが、今回のは違う。
それを見た瞬間、出水は恐怖で動けなくなってしまったのだ。
それは、清水も神田も同じだった。
「な、んだよ。あれは……」
ガラスを隔てた先の大きな部屋の中に、ありえないほど大きな生き物がいる。
部屋にギリギリ収まりきっているぐらいのソレは、どの生き物にも例えられないほど、何なのかは分からなかった。
体長は十五メートルほどあり、全身が鱗のような何かに覆われていた。
背中には飛ぶためにあるのか、翼のようなものがあって、手足には鋭い爪が並び立てられている。
その生き物は、呼吸をするように体が揺れており、ここからでは分からないが寝ている状態にも見えた。
『どうかね。私の最高傑作は?』
天井に取り付けられた拡声器から、先ほど会話していたイヴァンの声が聞こえる。
出水は、その圧倒的な威圧感を前にして、口を開くことさえできないでいた。
『素晴らしいだろう。あれは、私の生涯において、最高の研究成果といってもいい。どれほどの莫大な金を掛けて、あれを作り出すことができたか……それも全て、モルフというウイルスのおかげでもあるのだがね』
「モルフ……だと?」
聞き逃せない単語を聞いて、出水は瞠目した状態で拡声器の方を向いた。
あれがモルフだというのならば、一体どうすればああなるのか、まるで理解ができなかったからだ。
見た目からして、人間の面影など何一つ感じられないそれが一体何なのか尋ねようとしたが、イヴァンが話し始めた。
『そう、モルフだよ。あれはモルフのウイルスの特性で再生した、白亜紀に生息していたとある生物だ』
「白亜紀……」
スケールの大きい話をされて、頭に理解が追いつかない。
白亜紀といえば、今から約六千万年前の話だ。
そんな時代に生息していた生物はただ一つしかない。
『我々は莫大な金を掛けて、今から約六千万こそ世紀の大発見とも言えるのだがね。私はふと考えたのだよ。モルフの特性とは変異し、再生を促すものであることを』
嫌な予感が、全身を駆け巡る。
遺伝子細胞とモルフの関係性。詳しくは出水も知るわけではないが、モルフの特性については嫌でも目に焼きつけてきていた。
モルフになったものは、腕を切り飛ばされようが足が吹っ飛ぼうが、元の形を覚えているかのように再生する。
それが、どういう原理でなっているのかは分からない。
質量保存の法則さえ無視するかのようなその現象は、このイヴァンという男でさえも何度も見てきたはずなのだ。
『私は思いついたのだよ。このモルフのウイルスを恐竜の遺伝子細胞に打ち込めば、もしかすると変異と再生を繰り返して、当時の姿に戻るのではないか? と』
「まさか……」
変異と再生。それは既に死んだ者さえ息を吹き返すという異常な現象だ。
この男が言っているのは、原形すら留めていない極小の細胞から元の姿に再生させるということだ。
だが、その発想に至るという着眼点自体、もはや頭がおかしいと思わざるをえない。
倫理観すら逆行するそのやり方は、同じ人間とは思えないのだ。
「それが、これだってのか?」
出水は今一度、ガラス先にいる巨大な化け物の姿を見る。
恐竜の姿は、テレビの中のイメージ動画でしか見たことがない。しかし、今、出水が見ているそれは、そのイメージ動画に映っていたものとは程遠い姿をしていた。
『厳密には、少しだけ違う部分はある。これほどの巨大な質量も含めて、強靭な体を作り上げるにはそれなりの素体が必要となるのだ。……つまり、混ぜ合わせたと言ってもいいだろう』
イヴァンの説明を聞きながら、出水は何が言っているのかすぐに理解することができた。
「まさか、他の生物と混ぜ合わせたのか!?」
『理解が早いね。――その通りだよ。このモルフには、ありとあらゆる生物の体を混ぜ合わせている。猫や鳥、虎なんかもそうだったかな。あと、人間もね』
「――っ!」
そんなものが外に放り出されればどうなるのか、もはや想像すらしたくもなかった。
少なくとも、この東京という都市は完全に崩壊するだろう。
もはや、民間人の救助やモルフの制圧は出水の頭に無い。
この化け物をどうにかしなければ、出水達だけでなく、日本という国の崩壊を招きかねないこととなるのだ。
『このモルフには名を与えていてね。モルフの特性は他者生物に襲いかかること。そして、古代の竜ということから、『戦龍リンドブルム』と名づけている。再生と破壊の象徴――、正に神と呼ぶべきものだ!』
イヴァンがそう声を荒げ出して、出水は唾を飲み込む。
『戦龍リンドブルム』と呼ばれるそれは、言われてみれば架空の存在である龍の姿に似ている。
漫画に出てくるかのようなその造形は格好良く見えるだろうが、出水達からすれば恐怖の象徴そのものだ。
なぜならそれは――、
「モルフの特性を引き継いでるんやったら……まさかこいつも再生するんか?」
清水が、出水の考えていたことを代弁するようにイヴァンへと問いただした。
『そうだね。君の言う通り、リンドブルムは例え傷ついても再生する。加えて、この強靭な鱗は頭でさえも硬く身を守っている。まだ実験はしていないが、戦車の砲弾すら防げるとは予測しているよ』
「なんやそれ……そんなんどうしようもないやん」
――同感だ。
もはやこれは、出水達だけでどうにかできる問題ではない。
それこそ、国家レベルの軍事兵器を用いなければ、このリンドブルムとやらは倒すことができないのだ。
ともすれば、今すぐにでも脱出し、上へと報告をしたいところではあるが、
『ん? なんだ?』
イヴァンが、何かに気づくように、キーボードを叩くような音が聞こえた。
それから少し沈黙が保たれた状態となって、
『……マズイね。君達にお願いがあるんだ。どうやら、君達の後方にある実験体を匿っていた部屋から、モルフが逃げ出したようでね。君達の力で排除してもらえないかい?』
「何で俺たちが……」
『いや、頼む頼まない以前に、君達が相手するのは時間の問題だからだよ。もう既に、その実験体は君達の方へと迫りつつあるよ?』
イヴァンの指摘に、出水達は後方を振り向く。
そして、角を曲がる先から人の顔のようなものがこちらを覗き込んでいた。
「あれは……やっぱりあれが『レベル4モルフ』だったのか……っ!」
その全身を蒼白に染めた姿は、製薬会社のビルで遭遇したものと一致していた。
全身に血色がまるでなく、毛一本残されていないその歪な姿は、思い出したくもない戦慄な思い出だ。
「クソッ! 神田、清水! ここは狭い! 一旦下がるぞ!」
『その先に、広い部屋にでるところがある。そこならばまだ優位に戦えるはずだ。急ぎたまえ』
どっちの味方なのか、そうアドバイスを出すイヴァンを無視して、出水達は全速力で走った。
それを追いかけるようにして、『レベル4モルフ』はこちらへと四足歩行で飛び向かってきているが、よく見ると、もっと最悪な状況を見てしまうこととなった。
こちらへと飛び向かってくる『レベル4モルフ』の後方に、もう一体の『レベル4モルフ』が後をつくように向かってきていたのだ。
「二体同時とか……冗談がキツすぎる!」
たったの一体を相手にしても、出水達からすればギリギリの戦いだったのだ。それが二体同時ならば、どれほど苦戦を強いられるかなど考えたくもなかった。
そして、イヴァンの言っていた通り、走っていると狭い通路から出て、天井が高く広い部屋へと出た。
驚くほど何もない部屋に、出水は愚痴を零そうとすることはなく、そのまま部屋全体を見渡しながら、
「天井が高く、壁から壁までの距離がある……」
出水は、後ろから迫り来るモルフよりも、部屋の中の地形を把握することに意識を割いていた。
それは、決して無駄な時間ではなく、この地形が意味することを理解するのに重要なことであった。
「ここなら……戦える。戦えるぞ!」
出水は、銃を構えている清水と神田へと振り向き、希望を持った表情でそう言った。
「今から作戦を伝える! お前らよく聞いとけよ!」
そして、三度目の死闘が今、始まろうとしていた。




