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Levelモルフ  作者: 太陽
最終章 『終末の七日間』
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Phase7 第八十四話 『Levelモルフ』

『レベル5モルフ』。それは、通常の感染段階を辿らずに、モルフに感染し、死ぬこともなく生きたままモルフの力を行使できる感染段階。

 ただ普通に感染しただけでは、必ずといっていいほど『レベル5モルフ』になれるものではなかった。

 条件としては、モルフに感染した者が非感染者に対して、どれだけ強く想いを寄せていたか。そして、その想いを寄せる者に対してモルフウイルスを感染させるといった段階を踏む必要があるというものだった。


 本来、それがモルフの最終感染段階だった。しかし、リアムはそこで終わりはしなかった。

 感染段階とは、順序を辿って折りなすもの。そして、リアムが辿り着いた先は、もはや感染段階と呼ぶべきものではないと、そう自身で確信していた。


 その新たな形態を、彼はこう呼称した。


 数字というレベルなんてものは存在しない、『Levelモルフ』と――。


△▼△▼△▼△▼△▼△▼


 死を予感した時は、これまでの戦闘において、幾度と経験したこともある。

 それは、ここにいる四人の者達の全員が、それぞれ過去にあった経験だ。


 しかし、今、四人全員が感じている死の予感。それはもはや、死ぬかもしれないという予測とかの話などではない。

 相対しただけで、死を体感した。それほどの絶望を心に植え付けられるレベルのものとなってしまっているのだ。


「――――」


 その見た目は、見た者を魅了する神々しささえ感じさせる。

 蝶の羽を連想させるような、鮮やかな色模様をさせたそれは、脈打つように揺らめいている。


「――――」


 その二本の羽が背中から顕現し、暗闇の中を照らす光としてある。

 人間という種族には、決して身に纏うことはないものだ。


「――――」


 神々しくも見え、恐ろしくも見える。それは、死を連想させる予感が彼らの目にはそう見えさせてしまっていたのだ。


「――――」


 生きとし生きる者達にとって、その場にいれば、死を覚悟する者達がほとんどだろう。


 クリサリダ構成員の一人であるリアム。彼は新たなモルフの形態を覚醒し、目の前に降り立つ。


「さあ、始めようか。キミ達の命の終わりを」


「っ、椎名」


「うん、いこう!」


 死の予感を退け、二人の『レベル5モルフ』がリアムへと立ち向かう。

 一見して、あの羽が脅威になるとはこの時点では二人とも考えてはいなかった。

 あれが武器になるとは考えづらく、見るべきはリアムが持つ赤黒き剣のみ。それだけを注視して、笠井修二と椎名真希の二人がリアムへと接近を仕掛ける。


「認識が甘いな」


「なっ!?」


 リアムの声が届いた瞬間、彼の背中にある二本の羽が動いた。

 ただ羽ばたくように羽を揺らしたそれが、暴風のように風が荒れ狂い、笠井修二達の動きを止めたのだ。


「なんて風だっ!」


「くるよ、修二!!」


 暴風に体ごと吹き飛ばされそうになりながら、抗おうとする笠井修二達へと向けて、リアムが動き出す。

 しかし、リアムの変化はそれだけではない。


「ぐっ!?」


「やっ!!」


 巨大な羽を背中に纏い、その重量も関係しないと言わんばかりの速さでリアムは数十メートルあった距離を一気に詰め、笠井修二達へと同時に斬りかかった。

 二人とも、ギリギリで反応したことによって、腹部を掠める程度で済んだのだが、驚くべきはその速さだけではなかった。

 羽を羽ばたかせ、まるで飛ぶ鳥のように急旋回し、猛烈な速さで笠井修二達の周囲を飛び回るリアム。今までの動きとはまるで変わったことにより、その動きを読むことが笠井修二達にはまるでできなかったのだ。


「クソッ!!」


「美しいだろう? これがモルフウイルスによって新たに創られし生命体、人間という地球を蝕む寄生虫を滅ぼす為にはうってつけな、最高の生物だ」


「何が新たな生命体だ……お前はただ! 命を奪ってるだけだろうが!!」


「キミはいつまでその屁理屈を語るつもりだ? 奪っていることなど、初めて人を殺したその時から自覚しているさ」


「――っ!」


 リアムの剣戟に合わせ、笠井修二は手に持つ剣で対抗を仕掛けるが、動きが読めない。

 急旋回、ホバリング、直進――。ただ速いだけではない、トリッキーな動きであり、変速軌道で動き回るリアムに、次の動きを読むことがまるでできないのだ。


「くっ!!」


「地上も空中も、私は全てを支配する。瞬き一つが死の要因になると思え」


 翻弄されながら、次の一手を考えて動き出そうとした笠井修二は、目の前で急停止して現れるリアムに体の動きが止まってしまう。

 そのせいで、次の動きの反応が遅れてしまった。


「がっ!?」


 右肩を剣で貫かれ、両足が地面に浮いた笠井修二はその場ではどうすることもできなくなってしまう。


「修二!!」


「クソッ!」


「舞台を用意しよう。キミを嬲り殺す為のな」


 笠井修二を助ける為に、椎名真希とデインの二人が同時に助けに入ろうとする。

 しかし、リアムは助けに入られる前に、笠井修二の右肩を貫いたまま、剣を上に勢いよく振り上げた。


「うおわあぁぁぁぁっっ!!」


 地上から数十メートル高く空中へと放り出されて、姿勢制御もできないまま、笠井修二は地面から空高く飛ばされていく。

 そして、空へ放り出された笠井修二へと、リアムは両の羽を羽ばたかせて地面を蹴り、宙へと飛んだ。


 空中へ放り出された笠井修二の体へと、リアムは剣を振り抜きにかかったのだ。


「っ!!」


「ふんっ!」


 最初の一撃は上手く防いだ。が、自在に動き回ることができるリアムと、体勢を整えられない笠井修二では、制空権がどっちに握られているかなど明らかだ。

 次々と仕掛けてくる刺突に、笠井修二は体を捻って避けようとするが、リアムの動きに反応が間に合わず、何度も何度も体を刃で貫かれていく。


「がっ!? くっ!!」


「はっ!!」


 体中を貫かれ、血が飛び散りながら、最後に脇腹を貫かれた笠井修二は、リアムによってそのまま地面へと放り投げられ、受け身も取れないまま追突する。

 貫かれた痛みだけではなく、地面に追突したダメージも共にのしかかった笠井修二は、立つこともままならない。


「く……クソッ!!」


 地面を血が濡らしていく。早く立たなければ、リアムからの追撃がくる。

 それでも、体がいうことを聞いてくれない。

 あまりにも圧倒的すぎる。これがリアムの本当の力だとでもいうのか?

 だとすれば、力の差は歴然にあるといっても過言ではない。


 はじめから、あの姿で戦っていれば、笠井修二達には勝ち目なんてないに等しかったのだ。


 どうすればいい? 血を出しすぎて……頭が回らない。


「修二!!」


「……椎名」


「私がすぐに治す!! デイン!」


「任せろ!! おらおらおらぁぁぁぁっっ!!」


 満身創痍の笠井修二へと、椎名真希がすぐさま駆け寄り、持ち前の超速再生能力で笠井修二の治療を図ろうとする。

 そして、デインはその邪魔をさせない為に、空中に飛ぶリアムへと牽制の動きで拳銃の引き金を引く。


「今更そんなオモチャが役に立つと思っているのか? 軽薄だな」


「ちぃっ!!」


「そろそろ、キミ達の体にも異変が起きる頃合いだが……」


「なに?」


 デインの拳銃によって発砲された銃弾をものともせず躱し、意味深な発言をするリアム。その時、この場にいた一人の男に異変が起きた。


「くっ……」


「おい、どうした!?」


 デインのすぐ近くにいたテオの様子がおかしい。

 頭を手で押さえて、苦しそうな様子をするテオ。それは、腕を失った痛みとはまた別の要因を感じさせた。


「この羽を展開させた以上、この周囲にいる人間は全員、モルフに感染する。私の羽から飛ばされる鱗粉を、彼は吸ってしまったようだからね」


「なん……だと?」


「だが、なぜキミは平気なのだ? とっくに感染し、初期症状が現れてもおかしくはない頃合いだというのに」


 テオの様子がおかしいのは、リアムの羽から飛ばされる鱗粉によってモルフウイルスに感染してしまっていたからだとそう告げるリアム。

 最悪の状況だと言うべきところに重ねて、デインが感染していない事実に気づいたリアムは、デインを観察していた。


 そして――、


「なるほど、それが椎名真希がキミを連れていた理由か」


「……っ! だったらどうする!?」


「愚問だ。私達にとって、キミの存在は明らかに邪魔だ。ここにいる誰よりも、優先して殺すべき存在であるとね」


 最優先に殺すべき対象をデインへと切り替えて、リアムが真っ直ぐに空からデインへと剣で斬りかかろうと動き出す。

 その変速的な動きに、照準を合わせられず、デインはリアムによって体を真っ二つにされかねんとしたところで、間に割り込む存在がいた。


「……笠井修二君の治療を続けなくてもいいのか?」


「デインは……殺させない!!」


 椎名真希が腕を前に出して、リアムの剣を受け止める。

 彼女の腕には、隠し持っていた鉄製のガントレットを装備していた。

 だから、リアムの剣によって、その両腕が切断されることはなかったのだ。


「今はキミよりも彼の方を先に殺したい。どけ」


「きゃっ!?」


 防御された腕ごと、構わず振り抜いたリアムに、椎名真希は地面へと勢いよく突き飛ばされてしまう。

 そうして、邪魔がなくなったことで再びデインを殺しに掛かろうとするリアムに――。


「この……っ!」


「死ね」


 なし崩しにされた状況で、抵抗を見せるデイン。

 しかし、リアムは飛び回る動きもする必要もなくして、真っ直ぐにデインへと接近を仕掛けていく。


 その時、リアムの眉が少しだけ変化を見せて動いた。


「う、おおおおおおっっ!!」


 振り絞る力で、リアムのその体へと飛びつきにかかるテオ。

 もはや、意識も曖昧な状態であった彼は、最後の力を振り絞るつもりで抗おうとする。


「なんだ? 羽虫のように私に近づくな」


「らぁぁぁぁぁぁっっ!!」


 テオの必死の抗いを、リアムは自身の周囲を飛び回る虫を払うかのようにして、その剣を振り抜いた。

 腹部を斬りつけられ、地面に倒されたテオは、また再び立ちあがろうとする。


「しつこいな。そんなに早く死にたいのか?」


「あ、ああああああっっ!!」


「人間ごときが……さっさと消えろ」


 鬱陶しいとでも感じたのか、軽蔑の眼差しを向けたリアムは羽を羽ばたかせる。そして、テオへと向けて強烈な暴風が襲いかかり、彼の体を吹き飛ばした。


「おい!?」


「がっ、がはっ!!」


 抗う力もなかったテオは、そのまま暴風によって吹き飛ばされ、近くの壁へと激突し、口から大量の血を吐き出した。

 甚大なダメージを負ったテオに、安否の声を掛けるデインだが、リアムは目線をデインへと向けると、


「人の心配をしている場合か? 随分と余裕だな」


「っ、このっ!」


「何をどう足掻こうと、この場にいる者達の死は覆らない。どうして足掻こうとする?」


「くっだらねえっ! そんなこと……生きる為に決まってんだろうが!!」


「話にならないな」


 デインの答えに、呆れさえ通り越したかのようなため息を吐いたリアムは、剣を持つ手をゆらりと動かした。


 ――予備動作のない動き。その動きを読むことができるのは、笠井修二と椎名真希の二人だけであり、デインには見切ることはおろか、何が起きたのかすら判断する余地もなく、やられてしまうことだろう。


 そう、たった一人であるならば、だ。


「「まだだっ!!」」


 二人の戦士が、デインの左右から同時に仕掛けて、リアムの剣を防ぎ止めた。


「おおおおおおおおおおっっ!!」


「やあああああああああっっ!!」


 笠井修二と椎名真希、二人の『レベル5モルフ』が、持てる力を全開放してリアムへも連撃を繰り出していく。

 だが、リアムは全方位集中感知能力を駆使して、動きを読んで見切っていた。


「私の固有能力を忘れたか? どれだけ力を解放しようとも、私には――」


 全て見えている。そう、全て見えていた。

 笠井修二が完全模倣能力であらゆる身体能力を複合模倣しながら、剣での攻撃を、椎名真希が身体能力強化の力を使用しながら、笠井修二の剣の間合いに入らないギリギリ外から蹴りを繰り出そうとしていたこと。

 そして、あのデインという男が、その後ろから拳銃の銃口をこちらへと向けていたこと――。


「なに?」


 その角度は無謀というものだろう。射線上には、笠井修二と椎名真希の二人がいる。

 今撃てば、二人のどちらかが被弾し、勢いのついた攻勢を自分の手で無碍にしてしまうのだ。


「やけくそか?」


「俺は……信じている」


 微かに聞こえたその声、同時に、発砲音が聞こえて、リアムと笠井修二、椎名真希がぶつかり合うその方向へと、デインの持つ拳銃から銃弾が放たれた。

 リアムはこの時、確信していた。銃口と角度から見て、その銃弾は椎名真希の左肩を貫くだろうということに。


 それならば、椎名真希が怯んだ瞬間を狙い、笠井修二の動きを完全に止めてしまえばいい。そうなれば、もう将棋倒しのように決着はつく。


「終わり、だな」


 リアムは先に、剣の動きを笠井修二へと焦点に合わせようとした。

 その一手が、彼の致命的なミスだった。


 椎名真希の左肩へと向かう銃弾――、まるで、椎名真希は見えていたかのように、体を縦回転した。


「な、にっ!?」


「はぁぁぁぁぁぁっっ!!」


 タイミングを合わせたかのように避けられたことで、銃弾は真っ直ぐリアムへと直進した。

 次の動作に入っていたリアムは、対応を間に合わせられず、体を逸らしたのだが、銃弾は彼の右側の羽へと直撃する。


「ちぃっ!!」


 当たった。しかし、そんなことは些細なものだ。問題はこの後だった。


「ああああっ!!」


 体を縦回転させ、丸くなった体勢から足を展開させた椎名真希は、踵部分をリアムの顔面へと目掛けて打撃させようとしたのだ。


 その技は、アリスから教わった技の一つ、胴回し回転蹴りと呼ばれる蹴り技の一種だ。


「くっ!」


 左腕を前に押し出し、椎名の蹴りを受け止めるリアム。

 彼には、全方位集中感知能力という動きを感知する能力がありながら、なぜ後手に回る動きをしているのか、それはあくまで偶然に過ぎないものだった。


 デインが銃弾を放つことができたのは、椎名真希の動きを彼が知っていたから。椎名真希が迷わず蹴り技を仕掛けられたのは、彼女がデインを信頼していたから――。


 椎名真希なら必ずこの動きをすると、そう直感したデインが、椎名真希を信頼して引き金を引けた。


 その結果が、リアムの全方位集中感知能力を乱すことに成功させたのだ。


「はぁぁっっ!!」


「――っ!」


 椎名真希の蹴りに対処している隙を狙い、笠井修二が迫る。

 すかさず、カウンターを仕掛けて笠井修二の顔面目掛けて剣を振るったリアムだが、


「――!」


「がっ、ぐぅゔゔっ!!」


 顔面へと迫る剣の刃を、歯で白刃取りする笠井修二。

 ここにきて、また予想外の動きをされたことで、リアムも驚きの表情を浮かべた。


 ――順応している。リアムがそう感じ取ったのは、紛れもなく事実としてあった。

 この土壇場、普通に攻めようとしたところで動きはリアムに読まれてしまう。

 だからこそ、想像の外にある行動パターンを取られでもすれば、リアムは動きを後手に回らざるを得なくなってしまうのだ。


「ふぅゔゔゔゔっづ!!」


 リアムの赤黒き剣を抑えこみ、笠井修二は剣を振るう。

 そして、リアムの右の羽を切断した。


「っ、ちぃっ!!」


 リアムの動きの変化の源ともされる片翼を失ったことで、リアムもその場から離れざるを得なかった。

 

「私の速さに慣れてきたか? ……いや、違うな。私の固有能力に対応してきている」


 多対一という状況ということもあるが、それでも戦力的な差はリアムの方が上回っている。

 それなのに、笠井修二達がリアムへとダメージを与えることができていたのは、リアムの固有能力である全方位集中感知能力への対応があったからだろう。

 対応、それは、あくまでリアムが感知した動きとは予測外の動きをされること。先ほどのデインの味方への誤射を含めた発砲も、椎名が構わず自身の動きを再現させたこと。そして、笠井修二の先ほどの歯での受け止めも、全てが相応のリスクを取った動きだ。

 下手をすれば、その時点で勝負を決してしまうような動きを、三人が突如として行動し始めていたのだ。


「……ちっ」


 リアムは舌打ちをした。これまで戦ってきた相手の中でも、今こそが一番厄介だと、そう初めて認識をし始めたのだ。

 本来、リアムの力はこの世界にいるどんな特殊部隊であろうと殲滅できるほどの戦力がある。

 たとえそれがゲリラ戦になりうる事態だったとしても、全方位集中感知能力さえあれば、障害物の多い市街戦であろうとも有利なのはリアムだ。

 だが、相手が『レベル5モルフ』二体と人間一人、そして、リスクに対して迷わない動きをする彼らに、リアムは動きを感知するその力が、存分に発揮できない状況へと追い込まれてしまっている。


「ならば、先に動きを止める」


 再び距離を詰めに掛かる笠井修二達へと向けて、リアムは片方の羽を揺らめかせ、勢いよく風を吹上げた。

 立つこともままならない、猛烈な暴風が笠井修二へと迫る。

 動きが止まれば、その瞬間に隙が生まれる。ここまで、リアムはまだ、モルフに感染したテオのみしか戦闘不能にできていない。

 一人ずつ、確実に殺す為に、全員の動きを止めていく必要があったのだ。


「お、おおおおおおおおっっ!!」


 だが、笠井修二達は互いに何をすべきかを認識していた。

 吹き荒れる暴風に、笠井修二が地面から足が離れて、後ろへと飛ばされたその瞬間、


「修二!!」


 椎名真希が笠井修二の手を掴み、暴風が止んだ瞬間に、彼の体を遠心力を全開にして、リアムの方へと投げたのだ。


「リアムッッ!!」


「随分と息が合っているな! なぜ、そんな動きができる!?」


「知れたことだ!! 俺は……俺と椎名は互いに信頼してる! 一緒にいた長さは誰にも負けねえ!! だからっ!!」


「っ!」


「一人であるお前なんかにっ!! 負けるもんかよっ!!」


 剣と剣がぶつかり、その勢いは笠井修二の方が上回っていた。

 押し負けそうになっていたリアムは、笠井修二の発言の意味を汲み取れなかった。

 そんなものは理由にはならない。それは理屈ではなく、ただの精神論だ。


 分かるわけがなかった。人間を忌み嫌うリアムには、どうやったって無理だ。

 人間の想いの強さ、手を取り合い、深まる絆を、彼自身が知る筈もなかったのだ。


「最後だ! リアム!! お前はここで倒す!!」


「――っ、やれるものなら、やってみろっっ!!」


 人間とモルフ。生物として大きく違い、同じ系列でもあり、違う彼らはクライマックスへと導かれていく。

 リアムにはもう、今までの余裕はなくなっていた。

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