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Levelモルフ  作者: 太陽
最終章 『終末の七日間』
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Phase6 第六十七話 『静かな世界』


 アメリカの大地は広大だ。およそ五十に及ぶ州は世界の中でもトップに近い広大さを誇る。

 その広大な地を踏み締める男がいた。長い銀髪を背中までかからせ、右手には赤黒い剣を握る男。

 今、このアメリカの大地をモルフウイルスによって混乱に突き落としている諸悪の根源、リアムだ。

 彼は空が見えない天井へと頭を仰ぎ、深く息を吐いた。


「さぁ、あともう少しだ」


 そう言葉を吐き、誰かへと向けて語る。そこに生きている人間はいない。

 いたのは死体だけだった。そう、アメリカ合衆国の中で一番偉いとされる大統領の――。


△▼△▼△▼△▼△▼


 A区画外部――、リーフェンと死闘を繰り広げ、彼女は突如として逃亡を図ることとなってしまった。

 大量の犠牲の代償を与えることができたのはたった数発の銃弾のみ。あの程度であれば『レベル5モルフ』の再生能力を使えば元通りになってしまうだろう。


 そして、落ち着いたであろうタイミングで神田慶次達が合流することとなった。


「出水……」


「神田?」


「お前達……あの女と戦ったのか?」


「ああ……悪い、逃がしちまったけど……」


「どこにいった!?」


 仕留めきれなかったことを伝えたつもりだが、神田は出水の肩を掴み、殺意すら感じる形相で出水へとリーフェンの行き先を問いかけてきた。

 その必死さを見て出水は驚いたが、彼は冷静になると、


「落ち着けよ。何を焦ってんだ?」


「――――」


「あの女はミスリルの屋上を伝って移動してる。どこにいったかまでは分からねえけど、追いかけて追いつけるものでもない。それに、今はアリスさん達の治療が先決だ」


「……ああ、そうだな」


 現状を一括りにまとめて、今やるべきことを伝えた出水に、神田は堪えた様子でいた。

 なぜ、そこまで神田が取り乱した様子でいたのか、最初は出水も気づかなかった。

 だから、探りかけてみようと彼は試みた。


「あの女を……知ってるのか?」


「――――」


「俺とお前はメキシコ国境戦線以降からは会うことはなかったからな。そこから逆算して考えるなら……もしかしてあの女が補給地点を襲った奴ってことか?」


「……そうだ」


「それで、静蘭を襲ったのもあの女だってことか」


「そう、だ」


「……なるほどな」


 神田の様子がおかしかった理由に納得がいった出水は、ようやく頭の整理がついた。

 静蘭が記憶喪失になったのは、凄惨な現場に直面したことによるショックが原因とのことだった。

 そして、その現場に恐らくリーフェンは居合わせていたのだろう。なぜ、静蘭を殺さずして放っておいたのかはわからないが――。


「今は落ち着かせろ。この状況を見たらわかるだろ?」


「……ああ、すまん」


 感情的になっていることを抑えさせようとしたのも、今はリーフェンに構う余裕はないからだ。

 犠牲となってしまったものはさておいても、アリスとシャオの二人は死の危険があるほどの重傷を負ってしまっている。

 彼らの手当てを急ぐ為にも、今はリーフェンのことを構う余裕はない。それが出水の判断であり、正当な意見だった。


 清水がアリスの肩を持ち、A区画内部の入り口へと向かう直前、神田と一緒にいたミナモと不知火が駆け寄る。


「私達が運びます。清水さんも怪我人でしょ?」


「そ、そうですぅ。わ、私は戦うよりこっちの役目の方が動けますから……任せてくだ、さい」


「お、そうか? てか久しぶりやな二人とも。……アリスさんのこと、任せてええんか?」


 タケミカヅチ第二部隊の面々を知っていた清水は、久しぶりの顔ぶれを見て懐かしみの言葉と共にそう言った。

 アリスは一刻の猶予もないほどに危ない状況だ。清水だけではミスリルのどこに連れていけば良いのか分からないので、本当は誰かに任せておきたいところではあった。


「任せてください!! 地下までいけば……そこで医療の関係者が避難しています。そこまで私達が連れていきますよ」


「おお、そうか」


「モルフの相手は俺がなんとかしますよ、清水さん。アリスさんには傷一つつけませんから」


「雪丸、相変わらずなつるっぱげ頭してんなお前は。よっしゃ、任せるで」


 親指を立てて、雪丸に護衛を任せる清水。歳は雪丸の方が上なのだが、彼らはなぜか神田や出水、清水に対しては敬語だ。清水だけは先輩面をするのだが、彼らも何かを言うまでもない。

 そして、意識が薄いアリスを連れて彼らはB区画内部へと向かった。


「お前はどうするんだ? 神田」


「俺は……」


「……俺と清水はミスリル内部のモルフ掃討に動くつもりだ。お前もやることねえなら――」


「いや、神田君にはここにいてもらう」


 迷いを見せる神田に、出水はミスリル内部のモルフ掃討を提案したのだが、それを間から反対意見を出したのはここにいない者の声だった。

 それは出水も清水も知る人物、レイラだった。彼女はアリスを連れていった雪丸達と入れ違う形でB区画内部の扉から出てくると、神田の肩に手を置いて、


「外壁周辺にいるモルフを掃討しないといけない。だから彼にも手を貸してもらう」


「レイラ……もう体の調子はいけるんか?」


「私をなめるな、清水。ドクターストップが掛かろうとも事態が事態だ。まあ、死ぬほどの痛みではないさ」


「……お互い様やからなんとも言えんな」


 イライザにやられた腹部を摩り、本調子ではないことを本音で打ち明けるレイラに、自分のことも言えないと苦笑いを浮かべる清水。

 そんなやりとりをしていると、同じく腹を斬られてしまっていたニックスが立ち上がり、


「レイラッッ! 生きててくれたんだな!!」


「このやりとり何度目だニックス……。お前の心配性はいい加減にうっとうしいぞ」


「嫁の心配するのは当たり前であろう!!」


「ああ、もういい……。お前もここに残れ。その方が良さそうだ」


「了解だ!!」


 元気の良い返事を返すニックスは、本当に怪我人かと思わせないぐらいの様子だった。

 レイラも合流したことで、これからのそれぞれの役割を明確にする一同。出水と清水はミスリル内部を、レイラとニックス、そして神田はミスリル外壁からモルフを掃討することになる。


 未だ、ミスリル内部にはモルフが蔓延る状況となっており、一刻も早い排除が求められることは人間側にとっては最優先事項だ。

 リーフェン――もとはクリサリダの狙いがミスリルを陥落させることを目的としているのであれば、出水達としても対抗する形で動かざるを得ない。


「俺達は行くけど……神田、大丈夫だな?」


「……ああ、落ち着いた。すまない、取り乱したな」


「いいってことよ。……なんだかな。さっきのお前は修二を思い出したからさ」


「――――」


 今はここにいない仲間と同じ様子だったことを指摘されて黙り込む神田。彼も心当たりがあった様子で、出水のその言葉に納得の姿勢でいた。


「あいつ……今頃何してるんだろな」


「さあな。俺達は俺達のやるべきことをするべきだ」


「ま、そりゃそうだよな。すまん、忘れてくれ」


「おい、はよいくで!」


「おう! じゃ、また後でな、神田」


「ああ」


 今はいない者のことを考えている時間はない。

 彼らは各々のやるべきことを果たすべくして動く。


 そして、出水達と神田は再び別行動を取ることになる。


△▼△▼△▼△▼△▼△▼


 午後十一時三十八分――。ミスリルから約十五キロ離れた高速道路を一台の大型バイクが突っ切っていた。

 スピード違反を取り締まる者もいないその場所を限界ギリギリまでアクセルを握り、スピードを出す男。それはたった一人で独断で動いている笠井修二だった。

 彼は乗り捨ててあったバイクを拾い、ここまで来たのだ。


「……もうすぐだな」


 彼の行き先は明確だった。当初はシアトルへ向かう予定であった彼だが、あることがきっかけで目的地を変更することとなっていた。


「ミラの死体から漁ったあの端末の情報が正しかったら……奴はそこへ向かう筈だ」


 モルフテロが起きて一日目の夜、笠井修二はミラ・ジノヴィエフと交戦し、死闘の果てに殺すことに成功した。

 その後、彼は自身の傷を再生能力で癒やし、死体となったミラの死体を確認していた。

 その時に見つかった通信端末の情報から、ミラがアメリカにあるとされる避難所、ミスリルへと向かおうとしていたことが発覚し、笠井修二はそこに向かおうとしているのである。

 確証はないが、笠井修二の宿敵であるリアムもそこに向かう可能性が十分に考えられるのだ。


「あれからもう六日……もうすぐ日が変わるが、妙なモルフが湧いて出てきてる。あの野郎、何が目的だ」


 アメリカ国内を走る中、笠井修二は道中で妙な存在を目に掛けていた。

 それは今までには見たこともない、歪な姿をした化け物達だ。

 特に人を襲うようなことをすることもなく、生物では例えようもない姿をしたそれはただ蠢くだけの気色の悪い存在だった。

 あれが何かは分かってはいないが、モルフであることはなんとなく理解はしていた。

 問題は、あれが何の目的で存在しているのか、それが分からないことだ。


「奴は文字通り、アメリカを混沌に陥れている。絶対に許さない……必ず殺してやる……っ」


 今も笠井修二の心は憎しみに染まりきり、リアムへの殺意は変わってなどいなかった。

 変わり果てた日本でのあの出来事、笠井修二は師である桐生大我の最期を見届けた。対人においては最強とも言われる彼を殺したのはリアムだ。

 最期の瞬間を忘れたことはない。傷だらけで満身創痍であった桐生は、笠井修二に対して魂を、想いを託すとそう言った。

 忘れることはない。だから彼は立ち上がったのだ。滾る怒りを胸に抱いて、全てを懸けてリアムを殺すと――。


「静かだ……」


 真っ暗な夜、電気系統の沈んだ暗転されたこの高速道路をライトを照らしながら進んでいた笠井修二は、そのあまりにも静かな世界に何かを感じていた。

 聞こえるのはバイクのエンジン音のみ。しかし、それ以外の何も音がないこの世界は、何かがおかしい。


 まるで、何かが起きる前兆のような、嵐の前の静けさのように感じられる。


「……急ごう」


 嫌な予感を感じ取った笠井修二はアクセルを強めて、速度を速めた。

 目的地まではもう近い。リアムが何かを仕掛ける前に、奴を探さなければならない。


 彼はこの静かな世界を走った。


△▼△▼△▼△▼△▼△▼


 D区画アメリカ軍司令室での出来事だ。

 アーネストはある報告を受けていたところだった。一つはB区画へと誘導させた白装束の女が外壁を伝って逃げたということ。

 そしてもう一つは――。


「クソッ!!」


 ガンッと強く壁を殴り、怒りをその顔に滲ませて吐き捨てたアーネスト。彼は現状を知らされ、敗戦を確定させた瞬間と同等に悔しさを感じていた。

 その理由は一つだけ――ミスリルで起きた何かではない。


「大統領が殺された……それは本当か……?」


「間違いないかと思われます。信号が完全に途絶えたことから鑑みるに、おそらくはリアムに――」


「このミスリルでの混乱に乗じて……あの男は大統領を殺しに向かったと……? なんたる様だ……」


 ロイからの報告を受けたアーネストは、ワナワナとその手を震わせていた。

 リーフェンがミスリルを襲撃している隙に、リアムは手をこまねいていたミスリル側の動きを見計らうかのようにして大統領暗殺を決行させたのだ。

 最初はアーネスト達にとってもリアムを殺すという手段に余裕がなかったわけではない。余裕がなくなってしまったのは、リーフェンという一人の存在にミスリルの状況が脅かされてしまったことにある。


「あの男の狙いははじめから大統領暗殺を狙っていたということか……そして白装束の女には逃げられた……これが奴らの思い描いた目論見……」


「油断は出来ないでしょう。ただ、ミスリル内部に侵入したモルフは片付きつつあります。外壁にいる兵士達からも外周にいるモルフは今も減らしつつあるとのことです。つまり、収束の目処が立ってしまったということです」


「大統領を殺されて収束ができるようになっただと……? いくらなんでも状況が出来すぎている……」


 敵の消息が絶った瞬間に、ミスリルの混乱は落ち着きを取り戻しつつあるという報告を受けて、アーネストは苦い顔を浮かべる。

 こんなものは解決とは言えないだろう。相手の目的だけを完遂させられて、そのまま事態は落ち着きを取り戻す。

 そんなものは収束したとは言えない。リアムもリーフェンもまだ生きているのだから、これで終わるわけにはいかないのだ。


「あの白装束の女を捜索しろ。生死は問わない。アメリカ軍の威信にかけて、必ず殺す」


「分かりました」


 アーネストからの指令を受けたロイは、特に反論することもなく司令室から出ていく。

 そして、アーネストは監視カメラに映る血に染まった仲間の死体を見つめると、


「これで終わりだと思うな……」


 やるだけやって、このまま逃がすなどありえない。

 面目を潰された側としては、これ以上ない屈辱であった。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼


 午後十一時四十分――。ミスリルD区画三階フロアの通路で、風間平次と多々良平蔵は日本兵と共にいた。

 銃火器を手に持ち、戦闘の準備が整っていた彼らはある一室の前に立っていた。


「この中だ。全員、覚悟は出来たな?」


「「「はい!!」」」


「私の我儘に付き合わせてすまない。これは独断で行う作戦だ。もし、嫌なら今のうちだぞ」


「そんなことはないですよ、風間司令」


「多々良君……」


「私は最後まであなたについていく。息子がいなくなったあの日を境に、そう決めたんです」


 覚悟を問われた一同に、進んで答えたのは多々良であった。

 彼は日本で、あの御影島での一件で息子を亡くしてしまっている。

 泣き、絶望した。それでも立ち上がることができたのは風間平次という存在がいたからだ。

 彼は多々良の息子を死に追いやった組織を粛清すると誓い、多々良も迎合したのだ。


 そして今、その長年の願いが叶うところまできている。

 今更引き下がるなどありえないだろう。


「どんなことがあろうと、私はあなたの後ろについていきます。さぁ、いきましょう」


「ああ、そうだな。全員、気を抜くな。私の考えが正しければ、命懸けになる筈だ」


 緊張感が一同の表情に張り詰められ、彼らは頷く。

 この作戦を知るのはここにいるメンバーのみ。出水も神田も、アリスでさえも知らない。

 完全な独断での作戦行動のために、その責任は全て風間へと一任されているのだ。


「では、開けます」


 多々良が前に出て、ある一室のドアの取手を掴み、中へと入る。


 そこはミスリルの中でも、かなりの広さを誇る一室だった。

 さながら、日本でいう国会議事堂の中と例えるのが近いのかもしれない。会議室で見立てられた壇上へと向きを向ける座席が扇形に立ち並べられており、一般人が見れば圧巻の様子となるだろう。

 ここではお偉い方が議場として利用されていたのだが、モルフがミスリル内部に侵入した現状ではもうもぬけの殻だった。


 そう、たった一人を残してだ。


「ん、どうしてキミがここに?」


 壇上にいた一人の男がこちらに気づき、暗闇から姿を現す。




 一つの仮説があった。


 世界をモルフウイルスの脅威に突き落とした組織、クリサリダは日本近海の島、御影島を使って多くの日本人の死者を出した。

 そして、次は本土である日本が巻き込まれ、日本という国自体が崩壊するという事態を招いた。


 だが、その事態を招く少し前、ある一つの出来事があった。

 他国からのウイルステロでないことから、日米安全保障条約に適応されず、はじめは軍事介入こそあったアメリカ軍が突如として撤退を始めたことだ。

 タイミングが非常に良くなかった。大量の民間人がモルフに襲われている中、更には難民の支援も途中で打ち切るという事態に発展し、日本はモルフという凶暴な存在を残した檻となってしまったのだ。


 だが、そもそもそれは誰が指示を出したものなのか――。


 メキシコ国境戦線時、アメリカによる指示で日本の兵達は前線に駆り出されることになった。

 理不尽にも思えるが、その理由はアメリカ国内に日本人の住む土地を与えたことに対する対価とみなした指示でもあった。


 しかし、裏では小さくもない事件はあった。

 事前に予測していたことで免れたのだが、椎名真希を探す謎の一団が日本人の住む村へとやってきていたのだ。


 椎名真希が『レベル5モルフ』であることはこの時点ではアメリカ側にも知られていなかった。なのに日本の兵がいない隙を狙ったこの行動はあまりにもタイミングが良すぎていた。


 そして、メキシコ国境戦線から程なくして桐生大我と笠井修二が姿を眩ましたこと。

 これについても違和感はあった。

 敵組織であるクリサリダの組織の全貌が見えない中で、なぜ彼らだけがどこかへと消えてしまうことになってしまったのか。仮に笠井修二が何者かに誘拐されたにしても、桐生大我に関してはそもそも捕縛すること自体、無理な話なのである。


 考えられる可能性があるとすればそれは一つ。何者かに唆されて独断での行動を彼らがしたということ。

 ありえない話ではなかった。ただ、そうであるならばアメリカ側にクリサリダの組織の一員がいることは明らかにもなってくる。


 そして、アメリカで起きたであろうモルフテロ。


 今回、モルフウイルスによる感染の原因は空から撒かれた空気感染を可能としたウイルスの散布が要因であることは知っていた。

 だが、大規模なヘリを使用したとされるそれは、国が関与しなければ到底実現しえないほどのものだった。

 つまりは、アメリカ側の要人の誰かがクリサリダの一員であり、組織の構成員がアメリカ軍に内通していた可能性が挙げられる。

 それならば、今回のウイルステロによる大規模な混乱は実現しえない話ではなくなるのだ。


 では誰がそんなことをしたのか。


 現在進行形で状況は変わっていきながら、風間は最後のピースを嵌めることに成功する。


 アメリカ大統領の暗殺をリアムが決行しようとしていたこと。


 そんなことをして何になるのか――風間はリアムの狙いにいち早く気づくことができてしまった。


 それは、国のメンツを潰すような目的などでは断じてない。


 それは、実に効率的かつ用意周到に練られたであろう作戦であった。


 風間はある一つの仮説を立てた。


 そして、真実が目の前にいることももう分かっている。


「……あなたに話があってここに来ました」


 午後十一時四五分――。

 この長く辛く感じた物語に終止符を打つべくして、風間は壇上に立つ男の顔を見てこう言った。


「あなたはクリサリダの一員じゃないのですか? ――シェリル・シャルロット副大統領」


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